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ラマンスペクトルの測定方法、該方法に使用する貴金属粒子および該貴金属粒子の製造方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P06A008529
整理番号 40-133
掲載日 2006年5月26日
出願番号 特願2005-029242
公開番号 特開2005-249779
登録番号 特許第4665161号
出願日 平成17年2月4日(2005.2.4)
公開日 平成17年9月15日(2005.9.15)
登録日 平成23年1月21日(2011.1.21)
優先権データ
  • 特願2004-030122 (2004.2.6) JP
発明者
  • 渡辺 茂
出願人
  • 学校法人高知大学
発明の名称 ラマンスペクトルの測定方法、該方法に使用する貴金属粒子および該貴金属粒子の製造方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】 特定の化合物のみならず試料全体のラマンスペクトルを得ることができる方法であって、添加剤の分散安定性とラマン分散光の増強という相反する特性を両立することに成功した方法を提供する。また、本発明では、分散安定性に優れ且つ表面プラズモン共鳴効果を有効に発揮することができラマン分散光を増強することが可能な貴金属粒子、およびその製造方法を提供することも目的としている。
【解決手段】 本発明のラマンスペクトル測定方法は、表面に下記式(I)で表される置換基を有する貴金属粒子を試料に添加するものである。
【化1】

[式中、(Saccharide)は側鎖にイオン性基を有しない単糖類または二糖類を示す。]

従来技術、競合技術の概要


生体は、外部環境や内部環境の変化に対して恒常性を保つための複雑な機構を有しており、斯かる機構に乱れが生じると、疾病などの症状として表われる。従って、恒常性の維持に関わる情報伝達物質(例えば、ホルモンやオータコイド)等の生体内における存在状態を把握することによって、疾病の診断に応用できる可能性がある。例えば癌細胞では、特定遺伝子が過剰に発現していたり或いは発現が抑制されていることから、当該遺伝子に対応する化合物(RNAや情報伝達物質など)の存在を測定することによって、癌を診断したり或いはその予兆の有無を判断できる可能性があると考えられる。



そこで、標的とする化合物へ特異的に結合する基(抗体など)を介して蛍光基などで標識し、その蛍光発色の強度により標的化合物を定量分析する方法が種々検討されている。そして近年では、従来の蛍光等を利用した定量分析方法のみならず、ラマンスペクトルを利用した方法も研究されている。



ラマンスペクトルとは、物質に一定振動数ν0の単色光を照射することにより発生する散乱光中、同一振動数以外(ν0±νi)の散乱光(ラマン散乱光)のスペクトルである。そして、このラマン振動数νiは、物質を構成する分子や結晶の振動や回転のエネルギー準位間の振動数に等しいことから、物質のエネルギー準位を決定、同定、定量するための情報源となる(「化学大辞典」東京化学同人を参照)。しかし、このラマン散乱光は非常に微弱であるため、表面プラズモン共鳴効果を利用して増強した上で測定することが行なわれている。この表面プラズモン共鳴効果は、一般に光は電子波(プラズモン)とはカップリングしないが、金属粒子表面ではカップリングを起こすという現象を利用したものであって、例えば金粒子を用いた場合には、520nm付近の光に対して強い吸収ピークが現われる。斯かる技術を応用したものとしては、特許文献1と2で開示されている発明がある。これら発明では、抗体等へ結合するための反応性基を末端に有するポリエチレングリコールで金等の粒子を被覆することによって溶液中での粒子の分散安定性を高めた上で、表面プラズモン共鳴効果により標的化合物のラマン散乱光の増強を図っている。



しかし当該技術では、化学構造など、標的化合物への特異的結合を達成するための詳細な情報が必要であり、また、当該化合物を標識するための化合物を調製しなければならない。



一方、特定化合物のみならず、試料全体に存在する化合物の情報をラマンスペクトルにより得られれば、その試料に関する総合的な判断が可能になり得る。例えば、生体試料については、疾病の診断やその予兆を把握することができ、排水であれば、如何なる有害物質が含まれているか判断し得る。また、ラマンスペクトルによれば、未知の化合物の構造に関する情報も得られるため、新たな有用化合物の探索にも利用し得る。



しかし、様々な化合物が含まれる生体試料等の場合、ラマンスペクトル測定の感度をより一層高める必要がある。そこで、表面プラズモン共鳴効果を向上すべく、金属粒子の表面積を大きくすることが考えられるが、粒子が大きくなるほど当然に分散安定性が低下することになる。



従来、ラマンスペクトル測定で用いられる金属微粒子では、試料中での分散安定性を確保するために、表面にクエン酸等のイオン性基を担持せしめ、粒子間のイオン反発力を利用していた。ところが、金属表面にイオン性基が存在すると、試料のイオン強度が高い場合に極めて容易に粒子が凝集沈降し、測定できないという問題があった。



一方、特許文献1と2に記載の技術を応用して、金属表面にポリエチレングリコールを担持することによって、粒子の凝集沈降を抑制することも考えられる。しかしそれでは、ラマン散乱光の増強という目的が達成できない。即ち、表面プラズモン共鳴効果は金属粒子の表面積が大きい程その効果は高まるために、凝集沈降しない範囲で金属粒子どうしを接近させ、見かけ上の粒子表面積を高めることが効果的である。ところが、粒子の表面がポリエチレングリコール等の高分子で覆われていると、金属粒子同士の接近には限界があるために、表面プラズモン共鳴効果は、単独の粒子に固有のものに留まらざるを得ない。



以上の通り、ラマンスペクトル測定において微弱なラマン散乱光を増強するためには、測定時に金属粒子を適度に凝集させることによって見かけ上の粒子表面積を高め、表面プラズモン共鳴効果を有効に利用することが考えられる。ところが、斯かる凝集を達成しようとすると、粒子の分散安定性が低下することになる。この様に、従来の技術では、金属粒子の分散安定性と表面プラズモン共鳴効果の有効利用という互いに相反する特性を、同時に満たすことはできなかった。



また、特許文献1と2に記載の製造方法では、主に塩化金酸を水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤で還元することによって金属粒子を製造しているが、斯かる方法で得られた金属粒子は粒径が小さく、表面プラズモン共鳴効果を十分に発揮することはできない。



一方、特許文献3では、特に還元剤を使用することなく糖類自身の還元力によって、金と糖類が硫黄原子を介して結合している化合物を製造している。ところが斯かる化合物は、その使用目的(写真用材料の合成中間体および写真用添加剤)や、塩化金酸と糖類とを氷冷しながら混合していることを考慮すれば、金属粒子上に糖類が置換しているものであるとは考え難い。実際、当該文献記載の一般式や実際に合成されたものの化学式(C611SAu=392.17)は、金原子(Au)と糖類が1対1で結合していることを示しており、糖類のかさ高さを考慮すれば、この化合物が集合して粒子を形成しているとは到底考えられない。つまり当該化合物は、技術常識をもって判断すれば、金粒子の表面に糖類が置換したものではないといえる。

【特許文献1】特開平13-200050(請求項1、段落[0002]、[0003])

【特許文献2】特開平14-80903(請求項1~4、段落[0002]、[0003])

【特許文献3】特開2003-113194(請求項1、段落[0001]、[0060])

産業上の利用分野


本発明は、ラマンスペクトルの測定方法、当該方法に使用する貴金属粒子、および当該貴金属粒子の製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)で表される置換基を表面に有する貴金属ナノ粒子と塩を試料に添加し、試料中における陽イオンの濃度を10~100mMとすることを特徴とするラマンスペクトル測定方法。
【化学式1】


[上記式中、(Saccharide)は側鎖にイオン性基を有しない単糖類または二糖類を示す。]

【請求項2】
請求項1に記載のラマンスペクトル測定方法において、上記貴金属ナノ粒子として平均粒径が30~50nmであるものを用いる方法。

【請求項3】
請求項1に記載のラマンスペクトル測定方法において、上記貴金属ナノ粒子を粒径0.6~1.5μmに凝集させる方法。

【請求項4】
下記式(I)で表される置換基を表面に有する貴金属ナノ粒子からなることを特徴とする表面プラズモン共鳴効果の増強物質
【化学式2】


[上記式中、(Saccharide)は側鎖にイオン性基を有しない単糖類または二糖類を示す。]

【請求項5】
貴金属ナノ粒子の平均粒径が30~50nmである請求項4に記載の表面プラズモン共鳴効果の増強物質

【請求項6】
ハロゲン化貴金属酸若しくはその塩または無機酸の貴金属塩の溶液に、加熱しながら下記式(II)で表される化合物の溶液を滴下することを特徴とする請求項4または5に記載の貴金属ナノ粒子の製造方法。
【化学式3】


[上記式中、(Saccharide)は側鎖にイオン性基を有しない単糖類または二糖類を示す。]
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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