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LKP2部分cDNAを用いた遺伝子導入による植物体の種子収量、乾燥重量の制御

国内特許コード P06A008591
整理番号 152-537
掲載日 2006年6月2日
出願番号 特願2003-288291
公開番号 特開2005-052114
登録番号 特許第4452876号
出願日 平成15年8月6日(2003.8.6)
公開日 平成17年3月3日(2005.3.3)
登録日 平成22年2月12日(2010.2.12)
発明者
  • 清末 知宏
出願人
  • 国立大学法人 香川大学
発明の名称 LKP2部分cDNAを用いた遺伝子導入による植物体の種子収量、乾燥重量の制御
発明の概要

【課題】植物体の開花日数、種子収量、葉数、または植物体重量の制御因子を提供する。またこの制御因子を利用して、植物体の開花日数、種子収量、葉数、または植物体重量を制御する方法を提供する。さら開花日数、種子収量、葉数、または植物体重量が制御されてなるトランスジェニック植物を提供する。
【解決手段】制御因子として、シロイヌナズナのLKPの機能領域である、LOV domain、F-box及びKelch repeatよりなる群から選択される1または2のアミノ酸配列をコードする塩基配列を用いる。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


従来より、高等植物であるマメ科植物の葉に日周期で開閉する就眠(昼夜)運動が観察されており、このことから植物にも生物時計が存在することが示唆されている。かかる日周期の就眠運動は恒常条件下でも数日間続き、気孔の開閉、呼吸、及び光合成などの他、遺伝子の発現においても多数確認されている概日リズム(circadian rhythm)の一つとされている。こうした概日リズムを示す植物の現象は、気孔の開閉、呼吸、及び光合成などの他、遺伝子の発現においても多数確認されている。



概日リズムは、環境の変化を排除した恒常状態のもとにおいて、概ね(circa)1日の(-dian)周期で変動する生命現象である。また、概日リズムは自律性と24時間に近い自由継続周期(free-running period)に加え、環境周期に対する同調性と自由継続周期の温度補償性(temperature compensation)を要件とすることもある。(例えば、非特許文献1等参照のこと)。これら概日リズムは生物時計と密接な関係があることが分かっているものの、そのメカニズムは解明されていない。



シロイヌナズナArabidopsis thaliana(Columbia ecotype, Col)のLKP2(LOV kelch protein 2)は、生物時計との関わりが推測されている611アミノ酸残基からなる66KDaのタンパク質因子である。かかるLKP2は、N末端からLOV domain(light oxygen voltage domain)、F-box、kelch repeatという3つの機能領域を有している(図1参照)。



ここでLOV domain〔時計遺伝子産物:Period(非特許文献2等参照のこと)、ダイオキシン受容体:Aryl hydrocarbon receptor(非特許文献3等参照のこと)、及び中枢神経発生の制御因子:Single-minded(非特許文献4等参照のこと)に共通したアミノ酸配列に因んで、各々の各頭文字をとって「PASドメイン」とも呼ばれる〕は、タンパク質間の相互作用ドメインとして機能するほか、発色団や電子受容体を保持することがあり、外界からの刺激応答にも働くと考えられている(例えば、非特許文献5等参照のこと)。



またF-boxは、SKP1が結合するサイクリンF中のアミノ酸ドメインとして見いだされた領域である。かかるSKP1が結合するアミノ酸ドメインは、ほかの遺伝子産物中にも共通類似配列として見出され、これらを総称して「F-box」と呼ばれている。後にSkp1p-Cdc53p-F-boxタンパク質複合体(SCF複合体)が、E3ユビキチンリガーゼとして機能することが示され、F-boxはユビキチン/プロテアソーム経路のタンパク質分解制御に関わるアミノ酸ドメインであると考えられている(例えば、非特許文献6等参照のこと)。



kelchリピートは、ショウジョウバエのkelchタンパク質中にある約50アミノ酸の反復配列として見出された領域である。後の立体構造解析から、kelchリピートは4つのβシートを1つの単位とするβプロペラ構造をとり、合計6枚前後のβプロペラ構造からなる特徴的な3次構造を示すことが明らかにされた。kelchリピートは、タンパク質間相互作用ドメインとして機能すると考えられている(例えば、非特許文献6等参照のこと)。



シロイヌナズナには、こうしたLKP2以外に、LKP1(LOV kelch protein 1)(ZTL1/ADO1 [ZEITLUPE 1/ADAGIO 1])、及びLKP3(LOV kelch protein 3)(FKF1/ADO3 [Flavin-binding:kelch repeat:F-box 1/ADAGIO 3])というアミノ酸配列が良く似たタンパク質因子(LKPファミリー)が存在している(例えば、非特許文献7及び8等参照のこと)。これらはアミノ酸レベルで、LKP1とLKP2とは73.02%、LKP1とLKP3とは62.62%、LKP2とLKP3とは59.20%のホモロジーを有している〔Takeishi K, Gotoh O. (1982) Computer analysis of the sequence relationships among 4.5S RNA molecular species from various sources. J Biochem (Tokyo). 92(4) :pp.1173-7 に基づくGENETYX-MAC Maximum Matching(ソフトウエア開発)により計算。なお、Lipman-Pearson法(Lipman DJ, Pearson WR. (1985) Rapid and sensitive protein similarity searches. Science. 22; 227 (4693): pp.1435-41.)に基づいたGENETYX-MAC Amino Acid Sequence Homology Data(ソフトウエア開発)で計算するとLKP1とLKP2とのホモロジーは図1に示すように74.1%となる。〕。各機能領域毎のアミノ酸レベルの相同性をみると、LOV domainに関してはLKP2に対してLKP1が77%及びLKP3が67%、F-boxに関してはLKP2に対してLKP1が66%及びLKP3が63%、kelch repeatに関してはLKP2に対してLKP1が80%及びLKP3が62%である(例えば、非特許文献9等参照のこと)。



しかし、これらのLKPファミリーの役割、並びにこれらのファミリーが共通して有する上記機能領域(LOV domain、F-box、及びkelch repeat)の個々の役割は十分に解明されていない。



LKPファミリーに関して、現在判明していることは、LKP1の過剰発現体(カリフラワーモザイクウィルス(CaMV:cauliflower mosaic virus)の35SプロモーターにLKP1をつなげたコンストラクトを導入した形質転換植物;[CaMV35S::LKP1 plants]において、細胞伸長、胚軸伸長、長日条件下での開花遅延、並びに本葉の増加が認められること(例えば、非特許文献10等参照のこと)、LKP2の過剰発現体(カリフラワーモザイクウィルス(CaMV)の35SプロモーターにLKP1をつなげたコンストラクトを導入した形質転換植物;[CaMV35S::LKP2 plants]において、概日リズムの消失、胚軸伸長、長日条件下での開花遅延、本葉の増加が認められること(例えば、非特許文献9等参照のこと)、LKP3の欠損変異体において、長日条件下での開花遅延、ジベレリン処理と低温処理による開花遅延の回復が認められること(例えば、非特許文献11等参照のこと)である。しかし、LOV domain、F-box及びkelch repeatのどの機能領域がこの結果をもたらしているのか、全ての機能領域が必要なのか、どれか1つの機能領域で十分なのか、この点の解析は行われていない。

【非特許文献1】岩波生物学辞典 第4版、「概日リズム」欄、 1996年、岩波書店

【非特許文献2】Reddy,P., Jacquier,A.C., Abovich,N., Peterson,G., Rosbash,M., (1986) The period clock of D.melanogaster codes for a proteoglycan. Cell, 46, p.53‐61

【非特許文献3】Hoffman,E.C., Reyes,H., Chu,F.F., Sander,F., Conley,L.H., Brooks,B.A., Hankinson,O., (1991) Cloning of a factor required for activity of the Ah(dioxin) receptor. Science, 252, p.954‐958

【非特許文献4】Crews,S,T., Thomas,J,B., Goodman,C,S., (1988) The Drosophila single-minded gene encodes a nuclear protein with sequence similarity to the per gene product. Cell, 5, p.143‐151

【非特許文献5】Barak,S., Tobin,E.M., Andronis,C., Sugano,S., Green,R.M., (2000) All in good time:the Arabidopsis circadian clock. Trends Plant Sci, 5, p.517‐522

【非特許文献6】小林恭士,荒木崇、 (2000)「生物時計と花成制御」 植物細胞工学シリーズ, 13, p.166‐170

【非特許文献7】Somers,D.E., Schultz,T.F., Milnsmow,M.and Kay,S.A., (2000) ZEITLUPE encodes a novel clock-associated PAS protein from Arabidopsis. Cell, 101, p. 319‐329

【非特許文献8】Jarillo,J.A., Capel.J., Tang,R.H., Yang,H.Q., Alonso,J.M., Ecker,J.R., Cashmore,A.R.,(2001) An Arbidopsis circadian clock component interacts with both CRY1 and phyB. Nature, 410, p.487‐490

【非特許文献9】Schultz,T.F., Kiyosue,T., Yanovsky,M., Wada,M.and Kay,S.A. (2001) A role for LKP2 in the circadian clock of Arabidopsis. Plant Cell, 13, p.2659‐2670

【非特許文献10】Kiyosue,T.and Wada,M. (2000) LKP1(LOV kelch protein 1): a factor involved in the regulation of flowering time in Arabidopsis. The Plant Journal, 23(6), p.807‐815

【非特許文献11】Nelson,D.C., Lasswell,J., Rogg,L.E., Cohen,M.A.and Bartel,B., (2000) FKF1, a Clock-Controlled Gene that Regulates the Transition to Flowering in Arabidopsis. Cell, 101, p.331‐340

産業上の利用分野


本発明は、シロイヌナズナLKP2(LOV kelch protein 2)の部分cDNAを用いて、植物の開花日数を制御し、また植物個体当たりの種子収量、植物体重量、或いは葉数を増加制御する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
LKP2のLOV domain、F-boxおよびKelch repeatよりなる群から選択される1または2の機能領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、植物体重量または葉数の増加因子であって、当該機能領域がLKP2のLOV domainとKelch repeatの2つを組み合わせたものか、またはF-box の1つからなることを特徴とする増加因子。

【請求項2】
LKP2のLOV domainが、配列番号1に記載するアミノ酸配列からなる機能領域であるか、または配列番号2に記載する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列からなるものである、請求項1記載の増加因子。

【請求項3】
LKP2のF-boxが、配列番号3に記載するアミノ酸配列からなる機能領域であるか、または配列番号4に記載する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列からなるものである、請求項1または2に記載の増加因子。

【請求項4】
LKP2のKelch repeatが、配列番号5に記載するアミノ酸配列からなるものであるか、または配列番号6に記載する塩基配列によってコードされるアミノ酸配列からなるものである、請求項1乃至3のいずれかに記載の増加因子。

【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の増加因子、並びに該増加因子に作動可能に結合した塩基配列を含む、植物における遺伝子発現用カセット。

【請求項6】
増加因子に作動可能に結合した塩基配列が、プロモーター及び/又はターミネーターである請求項に記載する遺伝子発現用カセット。

【請求項7】
請求項1乃至のいずれかに記載の増加因子を含むプラスミド。

【請求項8】
請求項またはに記載の遺伝子発現用カセットを含むプラスミド。

【請求項9】
請求項1乃至のいずれかに記載の増加因子、または請求項またはに記載の遺伝子発現用カセットを含むトランスジェニック植物。

【請求項10】
植物のゲノムDNAに、発現可能に、LKP2のLOV domainとKelch repeatのアミノ酸配列をコードする塩基配列、またはLKP2のF-boxのアミノ酸配列をコードする塩基配列を導入し、形質転換する工程を含む、植物体重量または葉数が増加してなるトランスジェニック植物の作製方法。

【請求項11】
植物のゲノムDNAに、発現可能に、LKP2のLOV domainとKelch repeatのアミノ酸配列をコードする塩基配列、またはLKP2のF-boxのアミノ酸配列をコードする塩基配列を導入し、形質転換する工程を含む、当該植物体について植物体重量または葉数を増加させる方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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