TOP > 国内特許検索 > 熱電変換モジュール

熱電変換モジュール 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P06P004069
整理番号 IP59
掲載日 2006年6月23日
出願番号 特願2004-306500
公開番号 特開2006-147600
登録番号 特許第4810652号
出願日 平成16年10月21日(2004.10.21)
公開日 平成18年6月8日(2006.6.8)
登録日 平成23年9月2日(2011.9.2)
優先権データ
  • 特願2004-302614 (2004.10.18) JP
発明者
  • 三木 俊克
  • 村田 卓也
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 熱電変換モジュール 新技術説明会 外国出願あり
発明の概要

【課題】 本発明は、自動車、工場における中高温の排出ガスの熱、或いは焼却炉の熱を利用し、これを電気エネルギーに変換するか、又は、逆に電気エネルギーを熱に変換し、局部的に加熱又は冷却することにより、電子デバイスや小型冷蔵庫等に適用できる熱電変換モジュールの熱電変換効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】 本発明は、吸熱部、熱電変換部及び放熱部よりなる熱電変換モジュールにおいて、少なくとも吸熱部と熱電変換部とが固着一体化されていることにより、特に400℃以上の中高温下で好適に使用することができる熱電変換モジュールを提供する。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


近年、自動車や工場や焼却炉等から排出される廃熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換して利用しようとする試みがなされており、環境問題やエネルギー問題解決の1手段として期待されている。熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する熱電変換モジュールは、ゼーベック効果、ペルチェ効果、トムソン効果として知られる熱電効果を利用した1対以上のP型及びN型の熱電半導体を組み合わせて構成されるものが主流となっている。



熱電変換モジュールは、構造が簡単、取り扱いが安易かつ安定に特性を維持できることから、広範囲にわたる利用が期待されている。特に、ペルチェ効果を利用した局所冷却においては、精緻な温度制御が可能であることから、オプトエレクトロニクス用デバイスや、半導体レーザ等の温度制御、小型冷蔵庫等の実現に向けて広く研究開発が進められている。



一方、ゼーベック効果を利用した熱電発電の原理は、一端を接続した異種導電体の接合部と他端との温度差により起電力を生ずるものであり、N型半導体素子とP型半導体素子とを用いることによって大きな起電力を得ることが知られている。



これらの熱電変換モジュールにおいては、前記両端の温度差が起電力に大きく影響を及ぼすため、一方に吸熱部を、他方に放熱部を設け、中間に熱電変換部を存在させる構造をとるのが一般的である。これらの構造においては各部材間に熱的、及び/又は電気的接続部分が形成される。それらの接続部分における電気的及び/又は熱的接触抵抗による損失は意外と大きいものである。特に400℃を超える中高温下における熱電変換にあっては、全く無視することはできない。



接触抵抗を小さくするには、両部材を強圧接し、間隙を小さくすることがまず考えられるが、部材間の完全接触(密着)は不可能であり、接触抵抗を極小化することは困難である。そこで電気及び/又は熱の良導体により固着一体化する方法が考えられる。



しかしながら、400℃を超える温度条件下では、部材間の線膨張係数の違いにより、部材接合部に生ずる熱応力が大きく、繰り返される熱履歴のため接続不良を生じるという問題があり、更に高温になるほど接続部分での両部材を構成する元素の拡散が大きくなり、熱電素子の経時的性能低下をきたすという部材間の接続の問題があった。



他方、自動車や工場等の廃熱或いは、焼却炉の熱の多くは、400℃以上、場合によっては800℃~1200℃であり、それらの熱エネルギーを効率よく利用するためには、400℃以上の中高温域において高い熱電変換性能(電気出力とエネルギー変換効率)を示す熱電変換モジュールが必要となる。また、そうした熱電変換モジュールの熱耐久性を確保するために、熱応力緩和と元素拡散防止を可能とする部材間の接続手段の開発が必要である。



近年、400℃以上、一般に400℃~600℃の中高温域で熱電変換効率の高い熱電変換素子として、コバルト‐アンチモン(Co-Sb)系半導体等のスクッテルダイト系化合物や、充填型スクッテルダイト系化合物、例えばイッテルビウム(Yb)を充填したスクッテルダイト系化合物等の熱電変換素子が開発されている。更に、高温領域で変換特性の優れる熱電変換素子としてシリコン‐ゲルマニウム(Si-Ge)系等がある。



しかしながら、中高温下で用いられる熱電変換モジュールにおける部材間の接続の問題は、いまだ解決されず、その開発が望まれていた。



一般に熱電変換モジュールの製造工程において、P型素子とN型素子とを電極によって接続する際に、熱電素子と電極の接合は半田や銀蝋等の蝋材を介して行われる。



同様に、熱電半導体材料によって構成された材料と電極材料を圧接させた状態で、大電流通電によるプラズマ接合を行って、熱電変換素子本体と電極とが一体化された熱電変換素子を得る方法(特許文献1)、熱電半導体材料と電極材料とを圧接させた状態で、放電プラズマ焼結(spark plasma sintering:SPS)を行うことにより、熱電素子本体と電極とが一体化された熱電変換素子の製造方法も知られている(特許文献2)。



しかしながら、このような接続方法によると熱電素子相互、或いは熱電素子と金属の電極とが直接接した状態で接続されているため、該接合面で双方の部材を構成する元素が相手方に拡散する。特に電極部材の元素が熱電素子中に拡散することによって熱電性能の経時的低下を招く。



更に両部材の熱膨張率の違いも無視できず、接合部の破損のおそれもある。また最も致命的なことは、接続工程で生ずる熱に耐えられない熱電素子に対しては適用し得ないことである。



そこで、特許文献3には、厚さ7μm以上のニッケル鍍金によって熱電変換素子に拡散防止層を形成することが開示されている。しかしながら、比較的拡散し難いと考えられるニッケルであっても中高温域では、ニッケル自体が拡散してしまうおそれがある。



更に、特許文献4には、P型熱電半導体とN型熱電半導体との間、或いはこれらの熱電半導体と電極との間に、Ti、Zr、Cu、Niを含む合金を用いて蝋付けすることによって、該蝋材と被接合両部材との拡散により新たに形成される合金よりなる接合層を形成させることが開示されている。この場合も、Zrの存在により、ある程度は拡散は抑えられるが、やはり蝋材を溶融させることにより、熱電素子への銅、ニッケル等の拡散は否めず、熱電変換素子の性能の減退は免れない。



また、特許文献5では、熱電素子において必須とされる元素拡散防止層と熱応力緩和層を熱電半導体素子に組み込むための最適な溶射条件(溶射材チタンTi、層厚10μm以上100μm以下)を提示し、且つ金属電極に直接接合して拡散防止層兼熱応力緩和層を実現する熱電素子とその製造方法を開示している。しかしながら、溶射法では気孔率をゼロにすることは実質的に不可能であり、この気孔を通じて熱電部材、電極部材の構成元素が熱拡散する可能性は高い。更に、こうした気孔は溶射金属層及び熱拡散した蝋材金属の酸化層形成の場所ともなるため、やはり素子の電気抵抗・熱抵抗を増加してしまい、結果として熱電変換効率を下げることとなる。また、通常こうした溶射層に使用される溶射材は高融点金属が多く、層が薄ければ気孔率が上がって元素拡散の生じやすい場所となるとともに、熱応力に起因するクラック等が生じやすくなる。また、層が厚すぎれば熱抵抗・電気抵抗ともに増加するため、熱電変換性能にとって不利となる。



更に、特許文献5にはSPS法により高融点金属であるTi金属箔を介して熱電部材を直接金属電極に接合する技術も開示されている。しかしながら、当該文献中では、熱電変換モジュール構造は熱電部材に金属電極を接合した熱電素子の作製にとどまっており、更には、熱電変換モジュールの変換性能を向上するために必須な伝熱部の熱伝導までを考慮したものではない。



熱電変換を実現するためには熱電変換素子の金属電極部材と吸熱部及び/又は放熱部(以下伝熱部ともいう)との間が電気絶縁されていなければならない。通常、熱電変換部と伝熱部との間の電気絶縁性を確保するために挿入される電気絶縁部材及びその間の僅かな空隙において生じる温度低下などの温度差が、熱電変換モジュールの熱電変換性能に大きな影響を与える。この課題に対して、特許文献6では伝熱部と熱電素子を固着させて熱電変換素子と熱交換器(伝熱部)とを一体化することにより、熱回収特性を向上する方法について開示している。



該一体型ユニットにおいては、低温側熱交換器部材はアルミニウム(Al)とし、これをアルマイト処理して電気絶縁層とし、熱電変換素子と半田付け、或いは蝋付けする方法を提案している。一方、高温側熱交換器部材はステンレスとし、モジュール電極との接触面は電気絶縁性をもたせるために電気絶縁処理を施して電気絶縁層を形成するとあるが、熱応力緩和のために両者を接合せず、押し付けて接触させスライド可能な構造としている。従って、放熱部の熱伝導性を良くし、且つ電気絶縁層を介在させて熱電変換効率を向上する構造としては新規な発想であるが、特に部材の線膨張率の違いによる熱応力や部材間の元素拡散が問題となる高温側の固着方法については未だ解決されておらず、熱電変換性能を向上するための良熱伝導特性を一括して実現するには至っていない。



一方、本発明者らは、真空やNガス雰囲気等の非酸化性雰囲気におけるホットプレスにより、熱電半導体や金属電極等を含む多くの金属間、並びに良熱伝導性セラミックスと金属間に水素を吸蔵した金属箔片を挿入して圧接し、加熱することにより、一旦金属箔に吸蔵させた水素を離脱させ、脱水素化によって金属箔が活性化することを利用して、該金属を溶融することなく、両部材間に強固な接合層を形成させる方法を提案し、その実施例として、良熱伝導性窒化アルミニウムセラミックス同士の接合だけでなく、スクッテルダイト系熱電半導体、充填型スクッテルダイト系熱電半導体、ビスマスーテルル系熱電半導体と銅等の金属電極部材との接合を提示している。



本発明は、かかる技術を利用することにより、中高温下で用いられる熱電変換モジュールにおける部材間の接続の問題を解決するものである。

【特許文献1】特開平10-74986号公報

【特許文献2】特開2001-102645号公報

【特許文献3】特開平10-65222号公報

【特許文献4】特開平10-84140号公報

【特許文献5】特開2003-309294号公報

【特許文献6】特開2002-325470号公報

産業上の利用分野


本発明は、熱電変換モジュールに関する。詳しくは、熱電変換効率が改良された熱電変換モジュールに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
熱電変換部と吸熱部及び放熱部とよりなる熱電変換モジュールにおいて、該熱電変換部と吸熱部とが、両部材間に介在する表層部に水素を吸蔵した金属箔を圧接加熱し水素を放出させてなる応力緩和層を介して、固着一体化してなることを特徴とする熱電変換モジュール。

【請求項2】
熱電変換部吸熱部及び放熱部の三者が固着一体化してなることを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。

【請求項3】
吸熱部及び放熱部のうち少なくとも一方を構成する部材がセラミックスであり、該セラミックスで構成された部材が熱電変換部に固着一体化してなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱電変換モジュール。

【請求項4】
吸熱部及び放熱部の少なくとも一方が金属部材で構成され、該部材の熱電変換部に対する面が不導体化されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち、いずれかに記載の熱電変換モジュール。

【請求項5】
熱電変換部がN型熱電素子とP型熱電素子及びそれらを連結する電極とよりなる請求項1乃至3のいずれかに記載の熱電変換モジュール。

【請求項6】
N型熱電素子及びP型熱電素子のうち、一方の熱電素子がスクッテルダイト系、充填型スクッテルダイト系化合物、シリコンゲルマニウム(Si-Ge)及びビスマステルル(Bi-Te)系合金のうち、少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項5記載の熱電変換モジュール。

【請求項7】
N型熱電素子、P型熱電素子、該N型熱電素子と該P型熱電素子とを連結する電極、吸熱部及び放熱部の各構成部材が有する接続部分のうち少なくとも一つの接続個所において、該接続部の間に水素を吸蔵した金属箔を挟持せた後、加熱処理を施すことにより、該金属箔を介して接続されていることを特徴とする請求項5又は6記載の熱電変換モジュール。

【請求項8】
応力緩和層がチタン又はチタン合金である請求項1乃至7のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
産業区分
  • 固体素子
  • 発電、電動
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

14205_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close