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バイオディーゼル廃液からの水素およびエタノールの製造方法

国内特許コード P06P003846
掲載日 2006年7月21日
出願番号 特願2004-378043
公開番号 特開2006-180782
登録番号 特許第4665157号
出願日 平成16年12月27日(2004.12.27)
公開日 平成18年7月13日(2006.7.13)
登録日 平成23年1月21日(2011.1.21)
発明者
  • 西尾 尚道
  • 中島田 豊
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 バイオディーゼル廃液からの水素およびエタノールの製造方法
発明の概要

【課題】 本発明の目的は、バイオディーゼル廃液の有効利用方法として、バイオディ-ゼル廃液から簡便かつ効率的に水素およびエタノールを生産する方法、並びに当該方法を行なうためのキットを提供することにある。
【解決手段】 バイオディーゼル廃液を含む原料液は、原料液タンク7からポンプ8によって、原料液流入孔5を通って発酵槽2に供給される。発酵槽2内の原料液は、細菌固定化多孔質担体4に固定化されたエンテロバクター(Enterobacter)属細菌によって発酵され水素およびエタノールを生産する。エタノールを含む発酵液は、原料液の供給に伴い発酵液流出孔6を通って発酵槽2外へと流出し回収される。一方、発酵生産された水素ガスを含む気体成分は、排気口9を通って発酵槽2外へと排出され、ガス回収槽10において回収されるようになっている。発酵槽2内の温度は発酵槽の外側面を覆うように設けられた恒温ジャケット3内を循環する恒温水によって、一定に保たれている。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


近年、植物性油脂、動物性油脂、および廃油等の油脂をリパーゼの存在下でメタノールと反応(メタノリシス反応)させることにより得られる脂肪酸メチルエステルは、バイオディーゼル燃料と呼ばれ、軽油の代替燃料として注目されている。かかるバイオディーゼル燃料中には、(1)ほとんど硫黄分が含まれていないために酸性雨の原因となる硫黄酸化物(SO)が発生しないこと、(2)炭素および水素以外に酸素が含まれているため軽油に比べて黒煙発生が少なく排気ガスが清浄化すること等の理由から、環境負荷の少ない燃料として特に期待されている。かかるバイオディーゼル燃料は軽油に比べると若干発熱量が低いという物性を有しているが、自動車に適用した場合においてその走行にはほとんど影響が無いということが確認されている。さらには、動粘度が5.6m/sec、引火点が135~145℃であり、その性状も軽油と類似しているため、軽油の強制規格基準をほぼ満足している(非特許文献1参照)。かかるバイオディーゼル燃料の製造方法については、各所において開発研究が進められており、種々報告されている(例えば非特許文献2~5、特許文献1参照)。



一方、上記バイオディーゼル燃料を生産する際には、以下の反応式(式I)に示すように副生成物としてグリセロールが生成される。



【化学式1】




(式中R~Rはアルキル基を示す)
上記反応式に示す生成物のうち、脂肪酸メチルエステルについては、既述のごとくバイオディーゼル燃料として有効に利用可能であるが、その残渣のグリセロールについては特に用途が無く、廃棄されているのが現状である。



上記現状に鑑みて、廃棄物であるグリセロールを含む廃液の有効利用を行なうべく、上記廃液から水素を回収する方法の開発が試みられている。例えば、特許文献2においては副生成物であるグリセロールを加熱気化させて水素ガスを発生させ回収する装置について記載されている。



一方、通性嫌気性細菌エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)は、グルコース等から水素を発酵生産することが知られている(非特許文献6参照)。本発明者らは、独自に分離したエンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)HU101株の各種炭化水素に対する水素生産量について検討したところ、グリセロールを基質として発酵させた時に、最大の水素生産量が得られることを確認した(非特許文献7参照)。

【非特許文献1】福田 秀樹、「クリーンエネルギー(バイオディーゼル燃料)」日本農芸化学会シンポジウム:2002.3、p358

【非特許文献2】吉川 浩ら、「超臨界メタノールによる植物油からのバイオディーゼル燃料の製造」高圧討論会講演要旨集、VOL.42nd、p109(2001)

【非特許文献3】渡辺 嘉ら、「固定相型バイオリアクターを用いた廃食用油のバイオディーゼル燃料への連続変換」、酵素工学研究会講演会講演要旨集、VOL.46th、p42(2001)

【非特許文献4】FUKUDA H, KONDO A, NODA H,”Biodiesel Fuel Production by Transesterification of Oils” J Biosci Bioeng, VOL. 92, NO.5, p405-416(2001)

【非特許文献5】SAKA S, KUSDIANA D,「超臨界メタノールを利用した植物油廃棄物からバイオディーゼル燃料の生産」、資源処理技術、VOL.47、NO.2、p95-102

【非特許文献6】谷生 重晴ら、「Enterobacter aerogenes の発酵水素発生と利用基質について」、醗酵工学会誌、第67巻、第1号、p29-34、1989

【非特許文献7】Y.Nakashimada, M.A.Racman, T. kakizono, N. Nishio,”Hydrogen production of Enterobacter aerogenes altered by extracellular and intracellular redox states” International Jounal of Hydorogen Energy 27(2002),1399-1405

【特許文献1】特開2002-23393号公報(公開日:平成14年8月20日)

【特許文献2】特開2004-209415号公報(公開日:平成16年7月29日)

産業上の利用分野


本発明は、植物性油脂、動物性油脂、廃油等の油脂をメチルエステル化してバイオディーゼル燃料を製造する際に副生成物として得られる、いわゆるバイオディーゼル廃液の有効利用方法として、当該バイオディーゼル廃液から水素およびエタノールを効率良く製造する方法、並びに当該方法を行なうために用いられるキットに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
原料液として、油脂をメチルエステル化して得られる生成物からメチルエステルを除去して得られるバイオディーゼル廃液を含むものを用い、
少なくともその表面に微生物を固定可能な担体が存在する条件下で、エンテロバクター(Enterobacter)属細菌によって発酵させる発酵工程を含むことを特徴とする水素およびエタノールの製造方法。

【請求項2】
上記エンテロバクター(Enterobacter)属細菌が、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・ゲルゴビエ(Enterobacter gergoviae)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、およびエンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)からなる細菌群から選ばれる少なくとも1つ以上の細菌であることを特徴とする請求項1に記載の水素およびエタノールの製造方法。

【請求項3】
上記エンテロバクター(Enterobacter)属細菌が、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)HU101(受託番号:NBRC100048)であることを特徴とする請求項1または2に記載の水素およびエタノールの製造方法。

【請求項4】
上記担体が、多孔質であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水素およびエタノールの製造方法。

【請求項5】
上記担体が、粒子状であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水素およびエタノールの製造方法。

【請求項6】
上記担体の平均粒子径が、3mm以上、20mm以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水素およびエタノールの製造方法。

【請求項7】
上記担体が、貫通孔を有する多孔質担体であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水素およびエタノールの製造方法。

【請求項8】
上記発酵工程が、連続培養により行なわれることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水素およびエタノールの製造方法。

【請求項9】
上記原料液が、酵母抽出物およびカゼイン酵素分解物を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水素およびエタノールの製造方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004378043thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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