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高分子固定化ルテニウム触媒及びその使用 実績あり

国内特許コード P06P003419
整理番号 E076P37
掲載日 2006年8月18日
出願番号 特願2005-023699
公開番号 特開2006-205124
登録番号 特許第4568804号
出願日 平成17年1月31日(2005.1.31)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
登録日 平成22年8月20日(2010.8.20)
発明者
  • 小林 修
  • 秋山 良
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 高分子固定化ルテニウム触媒及びその使用 実績あり
発明の概要 【課題】 本発明は、ルテニウム触媒を両親媒性の架橋性高分子中に固定することにより調整された、高分子固定化ルテニウム触媒を用いる有機合成反応方法を提供する。
【解決手段】 ルテニウムを架橋高分子に担持させてなる高分子固定化ルテニウム触媒であって、該架橋高分子が芳香族側鎖及び親水性側鎖を有する架橋性高分子を架橋させてなることを特徴とする高分子固定化ルテニウム触媒である。この高分子担持ルテニウム触媒は、例えば極性溶媒を含む溶液中で該架橋性高分子に該ルテニウムの超微粒子を担持したミセルを形成した後、該架橋性高分子を架橋反応に付すことによって形成されることが好ましい。この触媒は、アルコールやスルフィドの酸化反応に用いることができる。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


アルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物は、有機合成化学上最も有用な化合物の一つとして位置付けられ、これまでに数多くの合成法が開発されてきた。中でもアルデヒドの合成では、生成物であるアルデヒドの酸化状態がアルコールとカルボン酸の中間に位置しているため、反応において過剰酸化、過剰還元の制御が難しく、これらをコントロールすることも重要な課題となってくる。
例えば、1級アルコールからアルデヒドを得る最も一般的な酸化反応にクロム酸酸化(Jones酸化、Collins酸化、PCC酸化及びPDC酸化など)があるが、本反応では毒性の高いクロム酸を化学量論以上必要とするため、研究室などでの小スケールの反応には汎用されるが、工業スケールでの使用にはその毒性及び廃棄物の問題などから、その適用は難しい。そのため、よりクリーンかつ効率的な反応の開発が強く求められ、中でも金属試薬の触媒化に関する研究が活発に行われてきた。



例えば、触媒量のルテニウム種と安価な再酸化剤とを組み合わせた触媒的酸化反応として、SharplessらはN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)やトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)を再酸化剤とするジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[RuCl2(PPh3)3]による触媒的酸化反応を報告している(非特許文献1)。またLeyらが、NMOと過ルテニウム(VII)酸テトラ-n-プロピルアンモニウム(TPAP)を用いた触媒的酸化反応を報告している(非特許文献2)。
また近年では、不均一系ルテニウム触媒の開発も活発になっている。これら不均一系触媒はろ過という簡便な操作により反応混合物から容易に分離することができ、また触媒の回収、再使用が可能になるなどの利点を有することから、工業スケールへの応用が期待される(非特許文献3~5)。しかしながら、従来の固定化法には触媒活性の低下、金属の漏出などの問題が残されている。



一方、本発明者らは、パラジウム、白金、ルテニウムなどの金属を物理的、あるいは静電的相互作用を利用して芳香族系高分子上に固定化する、全く新しい金属の固定化法(マイクロカプセル化法)を開発した(特許文献1~2、非特許文献6~8)。その後、この手法はパラジウムに於いて、高分子鎖を架橋することなどの改良により、"高分子カルセランド型触媒"と命名した新しい方法に発展している。すなわち、側鎖にエポキシ基及び水酸基を有する架橋性高分子に、マイクロカプセル化法でパラジウムを固定した後、無溶媒条件下、加熱することで容易に架橋反応が進行し、通常の溶媒に不溶の新規"高分子固定化パラジウム触媒"を得た(特許文献3、非特許文献9~11)。この新規高分子固定化パラジウム触媒は、従来の高分子固定化パラジウム触媒に比べると、パラジウムクラスターのサイズが小さいことにより高活性であり、架橋していることから耐溶剤性に優れ、金属の漏出が無く、回収再使用が容易である。



【特許文献1】
特開2002-66330
【特許文献2】
特開2002-253972
【特許文献3】
WO2004/024323
【非特許文献1】
Sharpless, K. B.; Akashi, K.; Oshima, K. Tetrahedron Lett. 1976, 2503.
【非特許文献2】
Review: Ley, S. V.; Norman, J.; Griffith, W. P.; Marsden, S. P. Synthesis 1994, 639.
【非特許文献3】
Yamaguchi, K.; Mori, K.; Mizugaki, T.; Ebitani, K.; Kaneda, K. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 7144.
【非特許文献4】
Yamaguchi, K.; Mizuno, N. Angew. Chem., Int. Ed. 2003, 42, 1480.
【非特許文献5】
Motokura, K.; Nishimura, D.; Mori, K.; Mizugaki, T.; Ebitani, K.; Kaneda, K. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 5662.
【非特許文献6】
Kobayashi, S.; Ishida, T.; Akiyama, R. Org. Lett. 2001, 3, 2649.
【非特許文献7】
Kobayashi, S.; Akiyama, R. Chem. Commun. 2003, 449.
【非特許文献8】
Ishida, T.; Akiyama, R.; Kobayashi, S. Adv., Synth. Catal. 2003, 345, 576.
【非特許文献9】
Akiyama, R., Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 3412.
【非特許文献10】
K.Okamoto et al. J.Org.Chem. 69, 2871(2004).
【非特許文献11】
K.Okamoto et al. Org.Lett. 6, 1987(2004).

産業上の利用分野


本発明は、ルテニウム触媒を両親媒性の架橋ポリスチレン系高分子中に固定することにより調整された高分子固定化ルテニウム触媒及びこの触媒を用いたアルコールやスルフィドの酸化反応方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ルテニウムを架橋高分子に担持させてなる高分子固定化ルテニウム触媒であって、架橋性高分子及びルテニウムのハロゲン化物と配位子との錯体を含む良溶媒の溶液に、極性の異なる貧溶媒を加えることで相分離を生じさせ、相分離により2価のルテニウムが担持された該架橋性高分子を架橋反応に付すことによって形成され、該架橋高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖及び架橋基を有することを特徴とする酸化反応用高分子固定化ルテニウム触媒。

【請求項2】
前記架橋性高分子が更に芳香族側鎖以外の疎水性側鎖を有する請求項1に記載の触媒。

【請求項3】
前記ルテニウムのハロゲン化物が、塩化ルテニウムであり、前記配位子が、有機ホスフィン配位子である請求項1又は2に記載の触媒。

【請求項4】
前記架橋性高分子が、前記架橋基として、エポキシ基と水酸基を有し、該架橋性高分子を加熱による架橋反応に付すことによって形成された請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。

【請求項5】
前記架橋性高分子が、スチレンを含む重合性モノマーの共重合体である請求項1~に記載の触媒。

【請求項6】
アルコール又はスルフィドの酸化反応のための請求項1~のいずれか一項に記載の触媒の使用。

【請求項7】
架橋性高分子及びルテニウムのハロゲン化物と配位子との錯体を含む良溶媒の溶液に、極性の異なる貧溶媒を加えることで相分離を生じさせ、相分離により2価のルテニウムが担持された該架橋性高分子を架橋反応に付すことから成り、該架橋性高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖及び架橋基を有することを特徴とする高分子固定化ルテニウム触媒の製法。

【請求項8】
極性の良溶媒が、THF、ジオキサン、アセトン、DMF又はNMPであり、非極性の良溶媒が、トルエン、シクロヘキサン、ジクロロメタン又はクロロホルムであり、極性の貧溶媒が、メタノール、エタノール、ブタノール又はアミルアルコールであり、非極性の貧溶媒が、ヘキサン、ヘプタン又はオクタンである請求項7に記載の製法。

【請求項9】
前記ルテニウムのハロゲン化物が、塩化ルテニウムであり、前記配位子が、有機ホスフィン配位子である請求項7又は8に記載の製法。

【請求項10】
前記架橋性高分子が、前記架橋基として、エポキシ基と水酸基を有し、該架橋性高分子を加熱による架橋反応に付すことによって形成された請求項7~9のいずれか一項に記載の製法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
ライセンス状況 通常実施権[S06-04]
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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