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モデリング装置、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに対応付け方法及びモデリング方法 コモンズ

国内特許コード P06P003420
整理番号 A281P05
掲載日 2006年8月18日
出願番号 特願2005-018949
公開番号 特開2006-204463
登録番号 特許第3836487号
出願日 平成17年1月26日(2005.1.26)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
登録日 平成18年8月4日(2006.8.4)
発明者
  • 久田 俊明
  • 黒川 洋
  • 忍田 伸彦
  • 山本 雅史
  • 鷲尾 巧
  • 岡田 純一
  • 渡邉 浩志
  • 杉浦 清了
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 モデリング装置、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに対応付け方法及びモデリング方法 コモンズ
発明の概要 【課題】 複雑な形状を有する物体であっても、或る物体から得られた特性情報を形状が異なる他の物体に容易に射影できるモデリング装置を実現する。
【解決手段】 本発明のモデリング装置1は、心臓に対して所定の電圧を印加した際の、心臓内の任意の位置における電位を求める仮想通電部12と、入力部10から入力された形状情報に基づいて形成された心臓モデルに対して、繊維方向を射影する射影部13とを備えている。ここで、射影部13は、射影先となる位置を、仮想通電部12によって求められた電位に基づいて特定する。このように位置特定に電位を用いることにより、形状が複雑で、かつ、形状が様々な心臓に対して、繊維方向を容易に射影することができる。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


心臓は一定の調子で収縮及び弛緩、すなわち拍動を行っている。不整脈とは、この拍動の周期が乱れる疾患であり、時として心停止を引き起こす深刻な疾患である。この不整脈の治療や診断のために、心臓の拍動メカニズムに関して様々な詳細な研究が行われている。



心臓の収縮は次のようにして起こる。まず、右心房にある洞房結節と呼ばれる部分から、電気的な刺激が一定の周期で発せられる。この電気的な刺激は、右心房及び左心房の各心筋細胞に伝わり、心筋細胞内の筋原繊維が収縮する。この筋原繊維の収縮が右心房及び左心房全体で生じると、左右両心房の収縮が引き起こされる。また、電気的な刺激の一部は、右心房の下部で心室中隔部付近にある房室結節にも達する。房室結節に達した刺激は、ヒス束、左右の脚、プルキンエ繊維を伝わって左心室及び右心室に達し、左右両心室の収縮を引き起こす。以上のように、心臓の拍動は心臓を伝わる電気的な刺激によって引き起こされている。



心筋細胞は、直径が約5~20μm、長さが約100μmの円柱状の細胞であり、一定の方向に整列した状態で束を形成している。この心筋細胞の長さ方向は、細胞内の筋原繊維の方向でもあるため、一般に繊維方向と呼ばれている。筋肉の収縮は筋原繊維の滑り運動によって引き起こされ、繊維方向は心臓の収縮運動と密接な関係がある。従って、心臓の収縮を力学的に解析する上で、繊維方向は重要な要素となっている。また、繊維方向は、細胞内において電流が流れやすい方向でもあり、心臓における電気的な刺激の伝達方向にも関与している。従って、繊維方向は、心臓における電気的な刺激の伝達経路を解析する上でも重要な要素となっている。



心臓の効率的収縮ひいては血液拍出に適切な繊維配置が重要であることは、経験的にも知られている。この繊維方向は部位によって様々であり、心臓全体としては複雑な配向となっている。従来、繊維方向は、解剖学的・組織学的な手法によって計測されているが、倫理上の観点から、ヒトの心臓ではなく、ヒトに比較的近いイヌやブタ等の心臓が用いられている。



例えば、非特許文献1,2では、ブタの心臓の繊維方向及びシート方向を計測し、長円座標系等の3つの座標系とエルミート有限要素とを導入して、計測した繊維方向のデータを整理している。なお、シート方向とは、心筋細胞が並ぶ平面(シート)に関係する方向であり、数学的には、この平面に対して垂直な方向を指す。



また、非特許文献3,4では、拡散テンソル磁気共鳴法(diffusion tensor MRI)を用いた繊維方向の計測手法及び計算手法が開示されており、実際にイヌの心臓の繊維方向について空間分布を求め、組織学的なデータと対比させて検証を行っている。



これらの計測結果から、心臓内の繊維配置について凡その傾向が明らかになっている。そして、動物で得られた知見を生かして、計算機内で仮想的にヒトの心臓モデルを作成し、シミュレーション等を通じて医療や創薬に貢献する試みが行われている。
【非特許文献1】
Stevens C, Hunter PJ. Sarcomere length changes in a 3D mathematical model of the pig ventricles. Prog Biophys Mol Biol. 2003 May-Jul;82(1-3):229-241.
【非特許文献2】
Stevens C, Remme E, LeGrice I, Hunter P. Ventricular mechanics in diastole: material parameter sensitivity. J Biomech. 2003 May;36(5):737-748.
【非特許文献3】
Scollan DF, Holmes A, Winslow R, Forder J. Histological validation of myocardial microstructure obtained from diffusion tensor magnetic resonance imaging. Am J Physiol. 1998 Dec;275(6 Pt 2):H2308-H2318.
【非特許文献4】
Scollan DF, Holmes A, Zhang J, Winslow RL. Reconstruction of cardiac ventricular geometry and fiber orientation using magnetic resonance imaging. Ann Biomed Eng. 2000 Aug;28(8):934-944.

産業上の利用分野


本発明は、モデリング装置、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものであり、より詳細には、物体モデルを仮想的に形成するモデリング装置、これに用いられるプログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。また、本発明は、或る物体と他の物体とを対応付ける、対応付け方法に関するものでもある。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1の物体の形状情報が入力される第1入力部と、
上記第1の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標によって定まる特性が、第2の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における、上記第1の物体内の上記3つの電位座標に等しい3つの電位座標によって定まる特性に等しくなる第2の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標と上記特性との関係が含まれる特性情報が入力される第2入力部と、
上記第1の物体に対して所定の電圧を印加した際の、上記第1の物体内の任意の位置における、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標を求める通電手段と、
上記第1入力部から入力された形状情報に基づいた物体モデルに対して、上記第2入力部から入力された特性情報に含まれる特性を、上記物体モデル内において対応する位置に射影する射影手段とを備え、
上記射影手段が、射影先となる位置を、上記通電手段によって求められた上記電位座標の値、および上記特性情報に含まれる上記電位座標の値に基づいて特定することを特徴とする、モデリング装置。

【請求項2】
上記特性情報に含まれる特性が、方向に関する特性であり、
上記通電手段が、上記物体に対して電圧を印加した際の、物体内の任意の位置における電流方向をさらに求めるものであり、
上記射影手段が、上記方向に関する特性を、上記通電手段により求められた電流方向に基づいて射影することを特徴とする、請求項1に記載のモデリング装置。

【請求項3】
上記通電手段が、上記第1入力部から入力された形状情報に基づいた物体モデルに対して、仮想的に電圧を印加し、上記電位座標及び/又は電流方向を算出によって求める仮想通電手段であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモデリング装置。

【請求項4】
第1の物体の形状情報が入力される第1入力部と、
上記第1の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標によって定まる特性が、第2の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における、上記第1の物体内の上記3つの電位座標に等しい3つの電位座標によって定まる特性に等しくなる第2の物体内の位置と特性との関係が含まれる特性情報が入力される第2入力部と、
上記第1及び第2の物体に対して所定の電圧を印加した際の、各物体内の任意の位置における、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標を求める通電手段と、
上記通電手段によって求められた電位座標に基づいて、上記第2の物体内の位置における特性を、上記第1入力部から入力された形状情報に基づいた第1の物体モデル内の、上記第2の物体内の位置と同じ電位座標を持つ位置に射影する射影手段とを備えていることを特徴とする、モデリング装置。

【請求項5】
上記特性情報に含まれる特性が、方向に関する特性であり、
上記通電手段が、さらに、上記第1及び第2の物体に対して電圧を印加した際の、各物体内の任意の位置における電流方向に基づいて、各物体の局所座標系を求めるものであり、
上記第2入力部から入力された特性情報に含まれる方向に関する特性を、上記第2の物体の局所座標系に基づいた方向データに変換する変換手段をさらに備え、
上記射影手段が、上記変換手段により変換された方向データを、上記第1の物体の局所座標系に基づいて射影することを特徴とする、請求項4に記載のモデリング装置。

【請求項6】
上記第2の物体の形状情報が入力される第3入力部をさらに備え、
上記通電手段が、上記第1及び第3入力部から入力された各形状情報に基づいた各物体モデルに対して、仮想的に電圧を印加し、上記電位座標及び/又は電流方向を算出によって求める仮想通電手段であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のモデリング装置。

【請求項7】
上記物体が心臓であり、
上記第2入力部から入力される特性情報に含まれる特性が、心筋細胞の繊維方向及び/又はシート方向に関する特性であることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載のモデリング装置。

【請求項8】
上記通電手段が、心尖部-心基部間及び内膜-外膜間のそれぞれに所定の電圧を印加した際の心臓内の任意の位置における電位をそれぞれ求め、
上記射影手段が、心尖部-心基部間に所定の電圧を印加した際の電位と内膜-外膜間に電圧を印加した際の電位と心尖部-心基部方向に伸びる軸を中心とした回転方向における角度とに基づいて、上記方向に関する特性を、上記特性情報として射影することを特徴とする、請求項7に記載のモデリング装置。

【請求項9】
上記局所座標系が直交座標系であり、
上記局所座標系における第1の座標軸が、心尖部-心基部間に電圧が印加された際の電流方向に伸びる軸であり、
上記局所座標系における第2の座標軸が、内膜-外膜間に電圧が印加された際の電流方向に伸びる軸及び上記第1の座標軸の何れに対しても直交する軸であり、
上記局所座標系における第3の座標軸が、上記第1の座標軸及び第2の座標軸の何れに対しても直交する軸であることを特徴とする、請求項8に記載のモデリング装置。

【請求項10】
上記射影手段によって特性が射影された物体モデルに対して、ジオメトリ処理を行うジオメトリ手段と、
上記ジオメトリ手段によってジオメトリ処理が行われた物体モデルを表示する表示部とをさらに備えていることを特徴とする、請求項1から9の何れか1項に記載のモデリング装置。

【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載の各手段として、コンピュータを動作させるためのプログラム。

【請求項12】
請求項11に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【請求項13】
第1の物体内の位置と、上記第1の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標によって定まる特性が、第2の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における、上記第1の物体内の上記3つの電位座標に等しい3つの電位座標によって定まる特性に等しくなる第2の物体内の位置とを、上記第1の物体の形状情報に基づいた第1の物体モデル及び上記第2の物体の形状情報に基づいた第2の物体モデルに基づき対応付ける対応付け方法であって、
上記第1の物体モデル及び第2の物体モデルに対して、所定の電圧を印加した際の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標をそれぞれ算出によって求める工程と、
求められた上記電位座標に基づいて、上記第1の物体内の位置を、上記第2の物体内の位置のうち、上記第1の物体内の位置同じ上記電位座標を持つ位置に対応付ける工程とを含んでいることを特徴とする、対応付け方法。

【請求項14】
第1の物体の形状情報が入力される第1入力工程と、
上記第1の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標によって定まる特性が、第2の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における、上記第1の物体内の上記3つの電位座標に等しい3つの電位座標によって定まる特性に等しくなる第2の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標と、特性との関係が含まれる特性情報が入力される第2入力工程と、
上記第1の物体の形状情報に基づく物体モデルに仮想的に電圧を印加することによって、上記第1の物体に対して所定の電圧を印加した際の、物体内の任意の位置における、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標を、算出によって求める仮想通電工程と、
上記第1入力工程において入力された形状情報に基づいた物体モデルに対して、上記第2入力工程において入力された特性情報に含まれる特性を、上記物体モデル内において対応する位置に射影する射影工程とを含み、
上記射影工程において、射影先となる位置を、上記仮想通電工程によって求められた上記電位座標の値、および上記特性情報に含まれる上記電位座標の値に基づいて特定することを特徴とする、モデリング方法。

【請求項15】
第1の物体の形状情報が入力される第1入力工程と、
上記第1の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標によって定まる特性が、第2の物体内の、互いに方向の異なる座標軸における、上記第1の物体内の上記3つの電位座標に等しい3つの電位座標によって定まる特性に等しくなる第2の物体内の位置と特性との関係が含まれる特性情報が入力される第2入力工程と、
上記第2の物体の形状情報が入力される第3入力工程と、
上記各形状情報に基づいた各物体モデルに対して仮想的に電圧を印加することによって、第1及び第2の物体に対して所定の電圧を印加した際の、各物体内の任意の位置における、互いに方向の異なる座標軸における3つの電位座標を算出によって求める仮想通電工程と、
上記仮想通電工程において求められた電位座標に基づいて、上記第2の物体内の位置における特性を、上記第1入力工程において入力された形状情報に基づいた第1の物体モデル内の、上記第2の物体内の位置と同じ電位座標を持つ位置に射影する射影工程とを含んでいることを特徴とする、モデリング方法。

【請求項16】
上記特性情報に含まれる特性が、方向に関する特性であり、
上記仮想通電工程において、さらに、上記第1及び第2の物体に対して電圧を印加した際の、各物体内の任意の位置における電流方向に基づいて、各物体の局所座標系を算出によって求め、
上記第2入力工程において入力された特性情報に含まれる方向に関する特性を、上記第2の物体の局所座標系に基づいた方向データに変換する変換工程をさらに含み、
上記射影工程において、上記変換工程において変換された方向データを、上記第1の物体の局所座標系に基づいて射影することを特徴とする、請求項15に記載のモデリング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST シミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築(CRESTプログラム、さきがけプログラムの混合型領域) 領域
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