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動脈硬化診断用マーカー及びその使用

国内特許コード P06A009277
整理番号 Y2004-P029
掲載日 2006年8月25日
出願番号 特願2004-337476
公開番号 特開2005-168498
登録番号 特許第4274432号
出願日 平成16年11月22日(2004.11.22)
公開日 平成17年6月30日(2005.6.30)
登録日 平成21年3月13日(2009.3.13)
優先権データ
  • 特願2003-393157 (2003.11.21) JP
発明者
  • 久保田 基夫
  • 町田 利生
  • 内野 福生
  • 小林 英一
  • 佐伯 直勝
  • 山浦 晶
  • 日和佐 隆樹
  • 滝口 正樹
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 動脈硬化診断用マーカー及びその使用
発明の概要 【課題】 動脈硬化病変の検出及び診断に用いる動脈硬化診断用ポリペプチドマーカー及び動脈硬化診断用遺伝子マーカー、該動脈硬化診断用ポリペプチドに特異的に結合する抗体、該動脈硬化診断用遺伝子の発現を検出するプローブ、及び動脈硬化病動脈硬化病変の検出及び診断方法を提供すること。
【解決手段】 スロンボスポンディン タイプ1のモチーフ7を有するディスインテグリン-様及びメタロプロテアーゼであるADAMTS7、その遺伝子、及び本発明において検出した34クローンの遺伝子を動脈硬化病変を特異的に検出することが可能な動脈硬化診断用ポリペプチドマーカー及び動脈硬化診断用遺伝子マーカーとして用いる。本発明は、該動脈硬化診断用ポリペプチドマーカーを検出するための抗体、血清中の抗体を検出するための抗原タンパク質、及び、該動脈硬化診断用遺伝子マーカーを検出するためのDNAプローブ等を包含する。
従来技術、競合技術の概要


動脈硬化症は、大動脈、冠状動脈、脳動脈或いは頚動脈に多く発生し、心筋梗塞や脳梗塞などの主因となっている疾患である。現在、死亡原因の最上位を占める虚血性心疾患や脳血管障害などの虚血性臓器疾患発症の基礎には、粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)の存在が重要であるといわれている。動脈硬化病変の病理形態学的特徴は、内皮下にコレステロールエステルを蓄積した細胞(泡沫化細胞)が集積した脂肪線状、更に進行した状態である平滑筋細胞、マクロファージ、T細胞などの浸潤と細胞壊死と脂肪蓄積が認められる繊維性硬班(fibrous plaque)にある。脂肪蓄積した部位は構造的脆弱性を示し、血行力学的な力が引き金となり硬班が破綻し、組織因子と血液凝固系因子との反応により急激に血栓が形成される。冠動脈で硬班が破綻し血栓性閉塞が起きることが急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓性突然死などのいわゆる急性冠症候群の発症に密接に関係することが明らかにされて来ている(N. Eng. J. Med.,326,242-250,1992)。



動脈硬化は、自覚症状がないまま徐々に進行し、突如として心筋梗塞、脳梗塞、狭心症などに襲われるため早期発見が必要である。動脈硬化の病変の診断は、従来から、超音波検査、血管撮影、MRI等の画像検査、心電図、脳波測定などが広く行われて来ているが、動脈硬化の病変の診断を早期発見に繋げるためには、生化学的検査による方法が望まれている。



生化学的検査による動脈硬化の病変の診断には、従来の方法としては血清中或いは血漿中のLDL(低密度リポタンパク質)、リポ蛋白(α)、レムナントリポ蛋白、酸化LDLなどの血管壁脂質蓄積と関連する動脈硬化症惹起性のリポ蛋白の測定が用いられてきた。特に、近年血液中の動脈硬化関連物質の測定が注目され、炎症性物質:CRPの測定、クラミジア抗体価の測定が有用であるとの報告がある。



最近、これらの動脈硬化症惹起性のリポ蛋白を測定する動脈硬化の病変の多くの診断方法が開示されている。例えば、LDLの測定に関するものとしては、血清若しくは血漿中に存在する酸化LDLと複合体を形成するクラトフェリン、ミエロペルオキシダーゼ、又は顆粒球エラストラーゼなどの血清若しくは血漿中の好中球、単球/マクロファージなどの炎症細胞由来成分を免疫学的方法で測定するもの(特開2002-48790号公報)、酸化LDL受容体の細胞外領域と免疫グロブリンの重鎖の定常領域の一部からなる融合ポリペプチドを用いた免疫学的アッセイ法を用いるもの(特開2002-17353号公報)、酸化LDLとα1アンチトリプシン複合体を特異的に認識する抗ヒトアルデヒド修飾-α1アンチトリプシンモノクローナル抗体を用いるもの(特開2000-184885号公報、特開平10-142226号公報)、血漿中のLDLの酸化変性度をV-70等のアゾ化合物からなる酸化剤により測定することよりなるもの(特開平9-203736号公報)等が開示されている。



更にリポ蛋白を測定する動脈硬化の病変の診断に関するものとしては、変性血液中のレムナントリポ蛋白(IPL)を測定するもの(特開2002-181820号公報)、ヒト軟骨GP39-Lポリペプチドの遺伝子の発現を検出して、リュウマチや動脈硬化の病変の診断を行うもの(特開2002-142781号公報)、血液中のアポB100リポ蛋白を測定して動脈硬化の病変の診断を行うもの(特開2002-55106号公報)、ヒトリン脂質転送タンパク質(PLTP)に対するモノクローナル抗体を用いてPLTPを測定することによるもの(特開平11-346782号公報)、及びアポリポ蛋白A-I抗体を動脈硬化診断用マーカーとして用いるもの(特開平8-160042号公報)等が開示されている。



また、動脈硬化の病変の診断に関するその他のものとしては、ナトリウム依存性胆汁酸トランスポータータンパク質の抗体を用いて、高脂血症や動脈硬化の病変の診断を行うもの(特開2003-310281号公報)、第VII凝固因子-活性プロテアーゼ(FSAP)をアテローム性動脈硬化症の危険因子として測定して診断するもの(特開2003-304873号公報)、血管内皮細胞・平滑筋細胞由来ニューロピリン様分子(ESDN)、やその遺伝子の発現を検出して動脈硬化の検査を行うもの(特開2003-189872号公報)、抗ヒト肝性トリグリセリドリパーゼ抗体を用いるもの(特開2002-308900号公報)、血漿試料中のセロトニン濃度をマーカーとして動脈硬化の病変の診断を行うもの(特開2002-277461号公報、特開2002-131313号公報))、等が開示されている。



更に、動脈硬化の病変の診断に関するその他のものとして、サイトカイン/増殖因子のTGF-βフアミリーのメンバーであるDPPのシグナル伝達に必要とされるMADのイソ型sMAD3ポリペプチドを標的として、慢性腎不全、アテローム性動脈硬化の診断を行うもの((特開2002-238589号公報)、血液中のLp(α)とα2-マクログロブリン/インターロイキン6との複合体を測定対象とし、その抗体を用いて免疫学的方法により測定するもの(特開2001-249128号公報)、パラオキソナ-ゼに対するモノクローナル抗体を用いるもの(特開2000-333674号公報)、飽和極長脂肪酸を測定して動脈硬化の検定を行うもの(特開2000-206113号公報)、RC-9タンパク質、及びその抗体を用いてアテローム性動脈硬化症の診断を行うもの(特表2000-503764号公報)等が開示されている。このように、動脈硬化の病変の診断に関する生化学的検査については、近年多くの方法が開示されているが、それらの検出マーカーはリスクマーカーがほとんどで、動脈硬化の病変の特異的診断のためには、該病変を特異的に検出できるマーカーの更なる開発が要望されている。



一方、メタロプロテアーゼのADAM(A Disintegrin And Metalloprotease)の特徴を示し、そして更にスロンボスポンジン(thrombospondin)ドメイン(TS)を含むタンパク質としてADAMTSタンパク質が知られている。プロトタイプのADAMTSは、マウスにおいて同定され、心臓及び腎臓内で発現され、そして炎症誘発性の刺激によりアップレギュレートされることが判明している(Journal of Biological Chemistry,272,556,January 1997)。ADAMTSはこれまで9つのメンバーが認められており、このフアミリーのメンバーは、軟骨に重要な機械特性を提供し、そして関節炎の進行の間に失われる高分子量のプロテオグリカンであるアグレカン(aggrecan)を分解する能力を持つことが知られている。



例えば、マウスADAMTS-1タンパク質は、マトリックスメタロプロテアーゼドメイン及びディスインテグリンドメインを有し、また、スロンボスポンジンドメインを有するが、マトリックスメタロプロテアーゼドメイン及びディスインテグリンドメインを有するADAMフアミリーには、骨や筋肉代謝、癌増殖抑制、又は受精に関与する各種タンパク質が含まれ、また、スロンボスポンジンには血管新生阻害作用、及び癌抑制作用があることが知られており、近年、ADAMTSタンパク質を医薬として利用することのいくつかの開示がなされている(特開2003-180384号公報;特開2002-330762号公報;特開2002-330761号公報;特開2001-327297号公報;特開2001-309794号公報;特開平11-46781号公報)。ヒトADAMTS5~7については、J. Biol. Chem. 274(36),25555-25563,1999,に報告されている。



【特許文献1】
特開2003-310281号公報。
【特許文献2】
特開2003-304873号公報。
【特許文献3】
特開2003-189872号公報。
【特許文献4】
特開2003-180384号公報。
【特許文献5】
特開2002-330762号公報。
【特許文献6】
特開2002-330761号公報。
【特許文献7】
特開2002-308900公報。
【特許文献8】
特開2002-277461号公報。
【特許文献9】
特開2002-238589号公報。
【特許文献10】
特開2002-181820号公報。
【特許文献11】
特開2002-142781号公報。
【特許文献12】
特開2002-131313号公報。
【特許文献13】
特開2002-55106号公報。
【特許文献14】
特開2002-48790号公報。
【特許文献15】
特開2002-17353号公報。
【特許文献16】
特開2001-327297号公報。
【特許文献17】
特開2001-309794号公報。
【特許文献18】
特開2001-249128号公報。
【特許文献19】
特開2000-333674号公報。
【特許文献20】
特開2000-206113号公報。
【特許文献21】
特開2000-184885号公報。
【特許文献22】
特開平11-346782号公報。
【特許文献23】
特開平11-46781号公報。
【特許文献24】
特開平10-142226号公報。
【特許文献25】
特開平9-203736号公報。
【特許文献26】
特開平8-160042号公報。
【特許文献27】
特表2000-503764号公報。
【非特許文献1】
N. Eng. J. Med.,326,242-250,1992。
【非特許文献2】
Journal of Biological Chemistry,272,556,January 1997。
【非特許文献3】
J. Biol. Chem. 274(36),25555-25563,1999

産業上の利用分野


本発明は、動脈硬化病変の検出及び診断に関し、特に、動脈硬化病変を特異的に検出及び診断するのに用いる動脈硬化診断用ポリペプチドマーカー及び動脈硬化診断用遺伝子マーカー、更には該マーカーを用いた動脈硬化の検出及び診断方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検試料における、クローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、及びクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる1又は2以上の遺伝子の発現をイン ビトロで検出することを特徴とする動脈硬化病変の検出方法。

【請求項2】
被検試料における、クローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、又はクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる遺伝子の発現の検出を、該遺伝子がコードするポリペプチド、又は該ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる動脈硬化診断用ポリペプチドマーカーの検出によって行なわれることを特徴とする請求項1記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項3】
被検試料における、クローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、又はクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる遺伝子の発現の検出が、該遺伝子の塩基配列、又は該遺伝子の塩基配列を含む塩基配列からなる動脈硬化診断用遺伝子マーカーの検出によって行なわれることを特徴とする請求項1記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項4】
被検試料における、クローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、又はクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる遺伝子がコードするポリペプチドの発現のイン ビトロでの検出を、該ポリペプチドにより誘導され、該ポリペプチドに特異的に結合する抗体を用いて行うことを特徴とする請求項1又は2記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項5】
抗体が、モノクローナル抗体であることを特徴とする請求項4記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項6】
抗体を用いたクローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、又はクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる遺伝子がコードするポリペプチドの発現のイン ビトロでの検出を、被験体血中における抗体の発現を検出することによって行うことを特徴とする請求項4又は5記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項7】
抗体を用いる動脈硬化診断用マーカーポリペプチドの発現の検出を、ウェスタンブロット法、ELISA法、プロテインアレイ法、放射線免疫検定法、蛍光抗体法、又はSEREX法を用いて行うことを特徴とする請求項4又は5記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項8】
被検試料における、クローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、又はクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる遺伝子の発現のイン ビトロでの検出を、TOF-MASS法又はプロテインチップ法を用いて行うことを特徴とする請求項1又は2記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項9】
クローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、又はクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる遺伝子の塩基配列、又は該遺伝子の塩基配列を含む塩基配列からなる動脈硬化診断用遺伝子マーカーの検出による、被検試料におけるクローンS8A(配列表の配列番号3)、クローンS1A1(配列表の配列番号4)、クローンN4J3(配列表の配列番号5)、クローンN11D1(配列表の配列番号6)、クローンS3T3(配列表の配列番号7)、クローンS3M1(配列表の配列番号8)、クローンS104(配列表の配列番号9)、又はクローン47B2(配列表の配列番号10)からなる遺伝子がコードするポリペプチドの発現の検出を、該遺伝子の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列を有する動脈硬化マーカー遺伝子検出用プローブを用いて行うことを特徴とする請求項3記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項10】
請求項9記載の遺伝子の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列を有する動脈硬化マーカー遺伝子検出用プローブが、該塩基配列のアンチセンス鎖からなる動脈硬化マーカー遺伝子検出用プローブであることを特徴とする請求項9記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項11】
動脈硬化マーカー遺伝子検出用プローブを用いる動脈硬化病変の検出を、請求項9又は10記載の動脈硬化マーカー遺伝子検出用プローブであるDNAの少なくとも1つ以上を固定化させた、動脈硬化マーカー遺伝子検出用マイクロアレイ又はDNAチップを用いて行うことを特徴とする請求項9又は10記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項12】
動脈硬化マーカー遺伝子の発現の検出を、ノーザンブロッティング法を用いて行うことを特徴とする請求項9記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項13】
動脈硬化マーカー遺伝子の発現の検出が、定量的又は半定量的PCRの使用を含んでいることを特徴とする請求項9~12のいずれか記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項14】
定量的又は半定量的PCRの使用が、RT-PCR法、又はリアルタイムPCR法であることを特徴とする請求項13記載の動脈硬化病変の検出方法。

【請求項15】
請求項9又は10記載の動脈硬化マーカー遺伝子検出用プローブ、該プローブを固定した請求項11記載の動脈硬化マーカー遺伝子検出用マイクロアレイ又はDNAチップ、及び請求項4又は5記載の抗体の少なくとも一つ以上を装備してなる動脈硬化病変の検出用キット。

【請求項16】
請求項2記載の動脈硬化診断用ポリペプチドマーカーの少なくとも一つ以上を搭載した動脈硬化マーカー抗体検出用診断キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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