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遺伝子導入細胞、及びそれを用いたテロメラーゼ誘導物質の検出方法

国内特許コード P06P004213
掲載日 2006年9月22日
出願番号 特願2005-060418
公開番号 特開2006-238817
登録番号 特許第4635196号
出願日 平成17年3月4日(2005.3.4)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
登録日 平成22年12月3日(2010.12.3)
発明者
  • 井出 利憲
  • 田原 栄俊
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 遺伝子導入細胞、及びそれを用いたテロメラーゼ誘導物質の検出方法
発明の概要

【課題】 テロメラーゼ触媒サブユニット(TERT)遺伝子の転写活性調節の研究を可能にし、テロメラーゼを誘導する物質をスクリーニングすることを可能にする手段を提供する。
【解決手段】 本発明の遺伝子導入細胞は、テロメラーゼ触媒サブユニット(TERT)遺伝子と、該TERT遺伝子の上流に連結された構成的プロモーターとを有するTERT発現ベクターを導入することによって不死化した正常体細胞に、TERTのプロモーターと該TERTのプロモーターの下流に連結された外来遺伝子とを有するベクターを導入してなる。本発明のテロメラーゼ誘導物質の検出方法は、上記遺伝子導入細胞を被検物質と接触させて、外来遺伝子の発現の有無及び発現の程度を測定することによって、該被検物質がテロメラーゼを誘導するか否かを検出することを特徴とする。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


真核細胞の染色体の両末端には、それぞれテロメアと呼ばれる特殊な構造がある。ヒトの場合、テロメアは、テロメアに結合するタンパク質と5’-TTAGGG-3’の繰り返し配列からなるテロメアDNAからなる。テロメアDNAは、2~10kbp程度の二本鎖テロメア配列からなっているが、3’末端部分は、約500塩基ほど突出した一本鎖テロメアDNA配列からなる。テロメアDNAは、細胞分裂においてDNAが複製される際、新生鎖の5'末端を複製機構の持つ性質のために完全には合成できないことと、鋳型鎖の5'末端が複製後に一部分解されることから、短縮する。したがって、細胞分裂を繰り返す度にテロメアDNAが次第に短縮することになる。一般に、正常体細胞では、ある一定の回数細胞が分裂し、テロメアDNAがある一定の長さまで短縮すると、増殖が停止し、いわゆる細胞老化が起きると考えられている。



一方で、生殖細胞、幹細胞、活性化リンパ球などの細胞や、90%以上の癌細胞では、テロメアDNAを延長する酵素であるテロメラーゼが発現しているため、分裂を繰り返してもテロメアDNAは短縮せず、分裂寿命がない。すなわち、これらの細胞は不死化している。テロメラーゼは、テロメアDNAの3’末端を逆転写して延長合成するTERTと呼ばれる触媒サブユニットと、それに結合する幾つかのテロメラーゼ結合タンパク質、およびテロメア配列合成に必要な鋳型RNAであるTR(Telomerase RNA)からなる。ヒトにおいては、TERT以外の遺伝子は、生体内のほとんどの細胞で発現が確認されているが、TERT遺伝子は、正常体細胞において通常は発現しておらず、テロメラーゼの活性制御はTERTの発現制御によってなされていることが知られている。



TERT遺伝子のプロモーターの解析は主に癌細胞などテロメラーゼ活性のある細胞などを用いて解析され、様々な転写因子が結合して転写を亢進していることが知られている(非特許文献1)。しかし、正常体細胞でTERT遺伝子の転写が抑制され、がん細胞でその抑制が解除されているかについては全くわかっていない。また、正常体細胞で弱いながらもテロメラーゼを誘導できる遺伝子としてはc-mycなどの報告(非特許文献2)があるが、テロメラーゼを誘導できる薬剤などは全く知られていない。



これらの結果を、総合的に解釈すると、テロメラーゼを誘導する物質をスクリーニングする試験方法ができれば、細胞の老化の回避等が可能になる物質を見出すことが考えられる。細胞の老化は、がん、糖尿病、動脈硬化などの成人病を引き起こす要因であることから、テロメラーゼを誘導する物質がこれら老化に伴う疾患の一助となるものとも考えられる。




【非特許文献1】Horikawa, I., Cable, P. L., Mazur, S. J., Appella, E., Afshari, C. A., and Barrett, J. C. Downstream E-box-mediated regulation of the human telomerase reverse transcriptase (hTERT) gene transcription: evidence for an endogenous mechanism of transcriptional repression. Mol Biol Cell, 13: 2585-2597, 2002.

【非特許文献2】Wu, K. J., Grandori, C., Amacker, M., Simon-Vermot, N., Polack, A., Lingner, J., and Dalla-Favera, R. Direct activation of TERT transcription by c-MYC. Nat Genet, 21: 220-224, 1999.

産業上の利用分野


本発明は、遺伝子導入細胞、及びそれを用いたテロメラーゼ誘導物質の検出方法に関し、詳細には、テロメラーゼ触媒サブユニット(TERT)遺伝子と、該遺伝子の上流に連結された構成的プロモーターとを有するTERT発現ベクターを導入することによって不死化した正常体細胞に、TERTのプロモーターと該TERTのプロモーターの下流に連結された外来遺伝子とを有するベクターを導入してなる遺伝子導入細胞に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
テロメラーゼ触媒サブユニット(TERT)遺伝子と、該TERT遺伝子の上流に連結された構成的プロモーターとを有するTERT発現ベクターを導入することによって不死化した正常体細胞に、TERTのプロモーターと該TERTのプロモーターの下流に連結された外来遺伝子とを有するベクターを導入してなる遺伝子導入細胞。

【請求項2】
前記構成的プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、及びマウスホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターからなる群から選択される少なくとも1種のプロモーターであることを特徴とする請求項1記載の遺伝子導入細胞。

【請求項3】
前記正常体細胞は、正常繊維芽細胞である請求項1又は2記載の遺伝子導入細胞。

【請求項4】
前記外来遺伝子は、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ、蛍光タンパク質からなる群から選択される少なくとも1種由来の遺伝子であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の遺伝子導入細胞。

【請求項5】
請求項1~4項のいずれか1項に記載の遺伝子導入細胞を被検物質と接触させて、外来遺伝子の発現の有無及び発現の程度を測定することによって、該被検物質がテロメラーゼを誘導するか否かを検出することを特徴とするテロメラーゼ誘導物質の検出方法。

【請求項6】
前記外来遺伝子の発現の有無及び発現の程度を、ルシフェラーゼの発光強度によって測定する請求項5記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005060418thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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