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ナノ粒子を水溶化させる高分子化合物とこれを用い水溶化されたナノ粒子

国内特許コード P06P004427
整理番号 IP92
掲載日 2006年9月22日
出願番号 特願2005-058282
公開番号 特開2006-239552
登録番号 特許第4820981号
出願日 平成17年3月3日(2005.3.3)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
登録日 平成23年9月16日(2011.9.16)
発明者
  • 堤 宏守
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 ナノ粒子を水溶化させる高分子化合物とこれを用い水溶化されたナノ粒子
発明の概要

【課題】 水中で安定な水溶化ナノ粒子を提供し、該水溶化ナノ粒子からなる生体標識材料を提供する。
【解決手段】 不飽和高級脂肪酸と1種又は2種以上の水溶性単量体との共重合体とからなる親水化処理剤を製造し、該親水化処理剤でナノ粒子を被覆することにより、ナノ粒子を親水化すれば、ナノ粒子を水中に可溶化することができ、生成する可溶化液は安定で、凝集を起こさない。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


本明細書においては、半導体ナノ粒子を単にナノ粒子とも指称する。



粒径が10nm付近より小さいナノ粒子は、バルク半導体結晶と分子との中間領域に位置することから、いずれとも異なった物理化学特性を示す。このような領域では、量子サイズ効果の発現により、粒径の減少に伴って半導体ナノ粒子のエネルギーギャップが増大する。さらにこれに付随して、バルク半導体で見られたエネルギーバンドの縮退が解け軌道が離散化し、伝導帯下端が負側に、価電子帯上端が正側にシフトする。



粒径が10nm付近より小さいナノ粒子が注目されている所以は、半値全幅の狭い強い蛍光を発することを特徴とするため、さまざまな蛍光色の創製が可能であり、従来の蛍光色素などが使用されている分野をはじめ,光利用技術や医療分野への応用など、将来の応用用途がほぼ無限に考えられるためである。



そして、粒径が10nm付近より小さいナノ粒子の性質は、現在用いられている有機色素等の試薬よりも耐久性が高く、ほとんど褪色しない。さらに、その粒径を変化させることでさまざまな半値全幅の狭いスペクトルを示す試薬を同一の材料で創製することができ、光デバイス等における応用のみならず、生体高分子検出及びバイオイメージングなどにおいても利用することが可能である。



CdS半導体ナノ粒子の製造方法は、Cd及びSの前駆体を等モル量溶解することで簡単に調製することができる。これらは、CdSe、ZnS、ZnSe、HgS、HgSe、PbS、PbSe等における製造についても同様である。



粒径が10nm付近より小さいナノ粒子を生体標識材料に使用するアイディアは、クォンタムドット(Quantum Dot)社で既に商品化されている。



しかしながら、このようなナノ粒子は、調製上の制約から疎水性安定剤(トリオクチルホスフィンオキシドなど)に覆われており、生体標識材料として用いるためには、ナノ粒子のこの疎水性表面を親水化して、ナノ粒子を水中に可溶化する必要があり、いろいろな方法が提案されている。



ナノ粒子を水中に可溶化する従来例
(1)チオ-ル基を有するカルボン酸やアミノ酸を用いる例
(a)チオグリコ-ル酸を用いる例(非特許文献1)
(b)チオコハク酸,チオスルホン酸,シスタミン,システインを用いる例(非特許文献2)
(c)ジヒドロリポ酸を用いる例(非特許文献3)
(2)リン脂質などを用いる例(ナノ粒子表面に存在する疎水性の安定化剤の疎水性部分との相互作用を利用したもの)(非特許文献4)
(3)ポリマ-を利用した例
(a)ポリエチレングリコ-ル系ポリマーを利用した例(非特許文献5)
(b)スチレン-アクリル酸ブロック共重合体を用いた例(非特許文献6)
(c)オリゴペプチドを用いた例(非特許文献7)
(d)不飽和高級脂肪酸を表面修飾した後,不飽和高級脂肪酸内の二重結合を足場としてポリマ-を修飾した例(ただし,この場合は金ナノ粒子を使用)(非特許文献8)
(4)ピリジンを用いる例(非特許文献9)
(5)クォンタムドット(Quantum Dot)社の例
クォンタムドット(Quantum Dot)社は、そのホームページで、ナノ粒子を次のように紹介している。



QDナノ粒子(Qdot Nanocrystal商標)は、半導体材料(CdSe)のナノメートルスケールの結晶である。この粒子は、材料の光学的性質を改良するためにその外側を半導体シェル(ZnS)で覆われている。これらの材料は、放出極大が655付近の、狭い対称的放出スペクトルを有している。このコア-シェル材料はさらにポリマーシェルで覆われ、この材料を生物学的分子に結合可能にし、そして、光学的性質が改良されるようにしている。このポリマーシェルは直接抗体に結合できる。



従来の可溶化手法の問題点
チオ-ル基を有する化合物を用いた可溶化の手法については、可溶化後の安定性、特にナノ粒子の凝集を防ぐ効果があまり高くなく、数日で凝集してしまう。



また、先行文献で用いられているポリペプチドはその合成が容易ではない。ポリペプチドなどによる表面修飾は、CdSeナノ粒子に抗体などを結合させて利用する際には、抗体による抗原分子認識を妨害する可能性もある。



枝分かれの多い高分子材料による修飾では、修飾後のナノ粒子の大きさが大きくなり、組織染色などに用いる場合には、組織内の拡散速度が低下し、染色効率が低下する可能性がある。

【非特許文献1】Warren C.W.Chan and Shuming Nie,Science,281,2016-2018(1998).

【非特許文献2】Alyona Sukhanova,Jerome Devy,a Lydie Venteo,Herv e Kaplan,Mikhail Artemyev,Vladimir Oleinikov,a,c Dmitry Klinov,Michel Pluot,Jacques H. M. Cohen,Igor Nabieva,Analytical Biochemistry 324,60-67(2004).

【非特許文献3】H.Mattoussi,J.M.Mauro,E.R.Goldman,J.Am.Chem.Soc.122,12142-12150(2000).

【非特許文献4】Benoit Dubertret,Paris Skourides,David J.Norris,Vincent Noireaux,Ali H.Brivanlou,Albert Libchaber,Science,298,1759-1762(2002).

【非特許文献5】Byron Ballou,B.Christoffer Lagerholm,Lauren A.Ernst,Marcel P.Bruchez,Alan S.Waggoner,Bioconjugate Chem.15,79-86(2004).

【非特許文献6】C.-W.Wang and M.G.Moffitt,Langmuir,20,11784-11796(2004).

【非特許文献7】Fabien Pinaud,David King,Hsiao-Ping Moore,Shimon Weiss,Journal of American Chemical Society,(2004).(Web公開版:)冊子体:126,6115-6123(2004)

【非特許文献8】Jun-Hyun Kim,T.Randall Lee,Chemical Materials,(2004).(Web公開版:)冊子体:16,3647-3651(2004)

【非特許文献9】Chunxin Zhang,Stephen O‘Brien,and Lajos Balogh,J.Phys.Chem.B 106,10316-10321(2002).

産業上の利用分野


本発明は、水溶化されたナノ粒子に関する。本発明は、水溶化ナノ粒子からなる生体標識材料に関する。本発明は、ナノ粒子の水溶化に好適な親水化処理剤に関する。そして、本発明は、この親水化処理剤を構成する高分子化合物を製造する方法に関する。本発明は、この親水化処理剤に使用するのが好適な高分子化合物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
不飽和高級脂肪酸と1種又は2種以上の水溶性単量体との共重合体からなる親水化処理剤で水溶化された半導体ナノ粒子。

【請求項2】
請求項1記載の親水化処理剤で水溶化された半導体ナノ粒子からなる生体標識材料。

【請求項3】
不飽和高級脂肪酸と1種又は2種以上の水溶性単量体との共重合体からなる請求項1記載の半導体ナノ粒子の水溶化用親水化処理剤。

【請求項4】
0.01~50モル%の不飽和高級脂肪酸と99.99~50モル%の1種又は2種以上の水溶性単量体との、分子量1000以上の共重合体からなる請求項3記載の半導体ナノ粒子の水溶化用親水化処理剤。
産業区分
  • 処理操作
  • 高分子化合物
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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