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オキシム化合物のベックマン転位反応用触媒、及びそれを用いたアミド化合物の製造方法 実績あり

国内特許コード P06P003974
整理番号 NU-0048
掲載日 2006年10月13日
出願番号 特願2005-087274
公開番号 特開2006-219470
登録番号 特許第4029159号
出願日 平成17年3月24日(2005.3.24)
公開日 平成18年8月24日(2006.8.24)
登録日 平成19年10月26日(2007.10.26)
優先権データ
  • 特願2005-008461 (2005.1.14) JP
発明者
  • 石原 一彰
出願人
  • 学校法人名古屋大学
  • 宇部興産株式会社
発明の名称 オキシム化合物のベックマン転位反応用触媒、及びそれを用いたアミド化合物の製造方法 実績あり
発明の概要

【課題】 触媒の存在下にオキシム化合物のベックマン転位反応を行うにあたり、強酸を使用せず、オキシム化合物を転位せしめて高効率にアミド化合物を製造する方法や、かかるアミド化合物を製造する際に用いるオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒を提供すること。
【解決手段】 ベックマン転位反応用触媒として、(1)芳香環を構成する原子として、脱離基を有する炭素原子を少なくとも1つ含み、(2)芳香環を構成する原子として、ヘテロ原子又は電子吸引基を有する炭素原子のいずれかの原子の一方又は両方を少なくとも3つ含み、(3)前記へテロ原子又は電子吸引基を有する炭素原子のうち2つが前記脱離基を有する炭素原子のオルトあるいはパラ位に位置する、ことからなる芳香環含有化合物の存在下、ニトリル系溶媒中で、オキシム化合物のベックマン転位反応を行うと、強酸を使用することなくオキシム化合物から温和な反応条件下、高収率でアミド化合物が得られる。

従来技術、競合技術の概要


ベックマン転位反応は、アミド又はラクタム化合物の合成法の一つとして知られている。例えばシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応はナイロン6の鍵中間体であるε-カプロラクタムの合成に用いられている。ε-カプロラクタムの工業的製造方法においては発煙硫酸が用いられており、反応終了後に硫酸をアンモニアで中和する必要があるため、多量の硫酸アンモニアが副生することや、強酸による装置の腐食等の問題がある。このことから、これらの問題のない触媒反応系の開発が求められている。最近では奈良坂らによって過酸化レニウムのアンモニウム塩とトリフルオロメタンスルホン酸の混合系(例えば、非特許文献1参照)をはじめ、インジウムトリフラート(例えば、非特許文献2参照)、イッテルビウムトリフラート(例えば、非特許文献3参照)等の触媒が報告されているがいずれも強酸を含んでいる。



また、酸を含むものとしては、オキシム化合物を液相中でベックマン転位反応を行うことによりアミド化合物を製造する方法において、五酸化リン又は縮合リン酸化合物、N,N-二置換アミド化合物、及び、非含フッ素スルホン酸無水物又はスルホカルボン酸無水物の存在下で反応を行うことを特徴とするアミド化合物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。さらに、予め酸を含む水溶液で処理したゼオライトを触媒として使用することを特徴とするアミド化合物の製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。



ところで、近年、有機合成において有機触媒を用いた反応系の開発が盛んに行われている。有機触媒は反応に対する触媒の構造の最適化が容易であり、さらに金属を用いないため環境に対する負荷が低減できる利点がある。



その他、ベックマン転位反応を行うことによりアミド化合物を製造する方法として、レニウム化合物と、ピリジン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、インドール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、キノリン誘導体、ビピリジル誘導体又はフェナントロリン誘導体等の含窒素複素環化合物の共存下、オキシム化合物を転位させることを特徴とするアミド化合物の製造方法や(例えば、特許文献4、特許文献5参照)、亜鉛酸化物を含有するベータ型ゼオライトを触媒として用いて転位反応を行うことを特徴とする有機化合物の製造方法(例えば、特許文献6参照)が提案されている。




【特許文献1】特開2001-302602号公報

【特許文献2】特開2001-302603号公報

【特許文献3】特開2001-072658号公報

【特許文献4】特開平09-301951号公報

【特許文献5】特開平09-301952号公報

【特許文献6】特開2001-019670号公報

【非特許文献1】K. Narasaka, et. al., Chemistry Letter, pp. 489-492(1993)

【非特許文献2】J. S. Sandhu, et. al., Indian Journal of Chemistry, pp. 154-156(2002)

【非特許文献3】J. S. Yadav, et. al., Journal of Chemical Research(S), pp. 236-238(2002)

産業上の利用分野


本発明は、オキシム化合物のベックマン転位反応用触媒、及びそれを用いたアミド化合物の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
芳香環含有化合物の存在下、極性溶媒中で、オキシム化合物のベックマン転位反応を行うことによりアミド化合物を製造する方法であって、該芳香環含有化合物の芳香環が、次の条件(1)~(3)すべてを満足するベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環又はトリアジン環であり、塩化水素、カルボン酸又はジメチルホルムアミドを添加することなく反応を行うことを特徴とするアミド化合物の製造方法。
(1)芳香環を構成する原子として、脱離基を有する炭素原子を少なくとも1つ含む
(2)芳香環を構成する原子として、電子吸引基を有する炭素原子を少なくともつ含む
(3)芳香環を構成する窒素原子又は電子吸引基を有する炭素原子のうちのつが、前記脱離基を有する炭素原子のオルト及びパラ位に位置する

【請求項2】
芳香環が、ベンゼン環であることを特徴とする請求項1記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項3】
ベンゼン環が、ニトロ基を有する炭素原子2つを有し、該炭素原子が脱離基を有する炭素原子の両端に隣接してることを特徴とする請求項2記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項4】
ベンゼン環の脱離基を有する炭素原子のパラ位に位置する電子吸引基が、シアノ基又はニトロ基であることを特徴とする請求項2又は3記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項5】
ベンゼン環含有化合物が、4-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル又はピクリルクロリドであることを特徴とする請求項2~4のいずれか記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項6】
4-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリルを、オキシム化合物に対して5mol%~20mol%用いることを特徴とする請求項5記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項7】
芳香環が、ピリジン環、ピリミジン環又はトリアジン環であることを特徴とする請求項1に記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項8】
ピリジンの窒素原子が、脱離基を有する炭素原子のオルト位に位置してることを特徴とする請求項7に記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項9】
ピリジン環含有化合物が、2-クロロ-3,5-ジニトロピリジンであることを特徴とする請求項8に記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項10】
トリアジン環含有化合物が、トリクロロトリアジンであることを特徴とする請求項7記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項11】
脱離基が、ハロゲン原子であること特徴とする請求項1~10のいずれか記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項12】
ハロゲン原子が、塩素であることを特徴とする請求項11記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項13】
オキシム化合物が、シクロドデカノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、パラ-メトキシアセトフェノンオキシム、オルト-メトキシアセトフェノンオキシム、又はパラ-フルオロアセトフェノンオキシムであることを特徴とする請求項1~12記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項14】
極性溶媒が、ニトリル系溶媒であることを特徴とする請求項1~13のいずれか記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項15】
ニトリル系溶媒が、アセトニトリル又はベンゾニトリルであることを特徴とする請求項14記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項16】
共触媒を用いて、ベックマン転位反応を行うことを特徴とする請求項1~15のいずれか記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項17】
共触媒が、ルイス酸性を有する金属塩であることを特徴とする請求項2~6のいずれか記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項18】
共触媒が、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸から選ばれるブレンステッド酸であることを特徴とする請求項7~10のいずれか記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項19】
ベックマン転位反応を加熱還流下に行うことを特徴とする請求項1~18のいずれか記載のアミド化合物の製造方法。

【請求項20】
次の条件(1)~(3)すべてを満足する芳香環含有化合物であって、該芳香環含有化合物の芳香環が、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環又はトリアジン環であり、塩化水素、カルボン酸又はジメチルホルムアミドを添加することなくベックマン転位反応を行う際に使用されること特徴とするオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。
(1)芳香環を構成する原子として、脱離基を有する炭素原子を少なくとも1つ含む
(2)芳香環を構成する原子として、電子吸引基を有する炭素原子を少なくともつ含む
(3)芳香環を構成する窒素原子又は電子吸引基を有する炭素原子のうちのつが、前記脱離基を有する炭素原子のオルト及びパラ位に位置する

【請求項21】
芳香環が、ベンゼン環であることを特徴とする請求項20記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項22】
ベンゼン環が、ニトロ基を有する炭素原子2つを有し、該炭素原子が脱離基を有する炭素原子のオルトあるいはパラ位に位置してることを特徴とする請求項21記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項23】
ベンゼン環の脱離基を有する炭素原子のパラ位に位置する電子吸引基が、シアノ基又はニトロ基であることを特徴とする請求項21又は22記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項24】
ベンゼン環含有化合物が、4-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル又はピクリルクロリドであることを特徴とする請求項22~23のいずれか記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項25】
芳香環が、ピリジン環、ピリミジン環又はトリアジン環であることを特徴とする請求項20に記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項26】
ピリジンの窒素原子が、脱離基を有する炭素原子のオルト位に位置してることを特徴とする請求項25に記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項27】
ピリジン環含有化合物が、2-クロロ-3,5-ジニトロピリジンであることを特徴とする請求項26に記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項28】
トリアジン環含有化合物が、トリクロロトリアジンであることを特徴とする請求項2記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項29】
脱離基が、ハロゲン原子であること特徴とする請求項20~28のいずれか記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒

【請求項30】
ハロゲン原子が、塩素であることを特徴とする請求項29記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。

【請求項31】
オキシム化合物が、シクロドデカノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、パラ-メトキシアセトフェノンオキシム、オルト-メトキシアセトフェノンオキシム、又はパラ-フルオロアセトフェノンオキシムであることを特徴とする請求項20~30のいずれか記載のオキシム化合物のベックマン転位反応用触媒。
産業区分
  • 有機化合物
  • その他無機化学
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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