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セリシンハイドロゲル及びセリシン多孔質体の製造方法

国内特許コード P06A009343
掲載日 2006年10月13日
出願番号 特願2004-298096
公開番号 特開2006-111667
登録番号 特許第4714890号
出願日 平成16年10月12日(2004.10.12)
公開日 平成18年4月27日(2006.4.27)
登録日 平成23年4月8日(2011.4.8)
発明者
  • 寺本 英敏
  • 間瀬 啓介
  • 山本 俊雄
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 セリシンハイドロゲル及びセリシン多孔質体の製造方法
発明の概要 【課題】 成形性に優れたセリシンハイドロゲルの製造方法及びセリシン多孔質体の製造方法を提供する。
【解決手段】 蚕由来の絹糸腺、繭層又は繭から50kDa以上の分子量を有するセリシン抽出物を抽出し、抽出したセリシン抽出物にアルコールを添加し、さらに得られたセリシン抽出物及びアルコールを含む混合物を放置する。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


絹は、2種のタンパク質、フィブロイン及びセリシンから構成されている。フィブロインは繊維を形成しているタンパク質である。一方、セリシンは、絹糸を構成しているタンパク質であって、絹においてフィブロインが形成する繊維の外側を層状に覆っているゼラチン様の物性を有するタンパク質である。



上記2つのタンパク質のうち、フィブロインは、衣料分野及びその他の多岐にわたる分野で利用開発が進められている。一方、従来、セリシンは製糸過程で捨てられていたため、セリシンの利用開発はこれまで遅れていた。



しかしながら、近年、セリシンは、(1)高い保湿性(Voegeli, R.ら, Cosmetics & Toiletries, 1993, 108, 101-108)、(2)抗酸化性(Kato N.ら, Biosci. Biotechnol. Biochem.,1998, 62, 145-147)、(3)細胞増殖活性(Minoura N.ら, J. Biomed. Mater. Res., 1995, 29, 1215-1221)、及び(4)アパタイト形成能(Takeuchi A.ら, J. Biomed. Mater. Res., 2003, 65A, 283-289)等の機能性を有することが次第に明らかにされた。このようなセリシンの機能性を考慮し、保健衛生用資材や医療素材等へのセリシンの利用が期待されている。



例えば、高分子量タンパク質であるセリシンの利用形態の一つとして、セリシンをハイドロゲル(「ヒドロゲル」とも呼ばれる)として用いることがまず考えられる。ハイドロゲルとは、水を分散液体として有するゲルを意味する。ハイドロゲルは、親水性高分子鎖の三次元網目構造により多量の水を保持している。例えば、医療分野ではコンタクトレンズ、創傷被覆材及び薬剤徐放担体等の材料として、生活日用品分野では紙おむつ及び生理用品等の材料として、農林水産分野では土壌保水剤等の材料として、あるいは食品加工分野では食品加工用シート等の材料として、ハイドロゲルは利用されている。このようにハイドロゲルは、産業上広い分野において利用されている。これらの用途に利用されるハイドロゲルを構成する原料としては、各種の合成高分子に加え、アガロース、アルギン酸及びゼラチン等の天然高分子が知られている。



また、ハイドロゲルより調製できる多孔質体は、例えば、組織再生のための支持体として利用することが活発に研究されている。多孔質体とは、内部に大小様々な孔を有する固体を意味する。多孔質体を構成するハイドロゲルの原料としては、例えばコラーゲン又はその複合体が知られている。



一方、現在までに、セリシンのゲル化に関して数多くの研究が行われている(非特許文献1及び2)。しかしながら、従来ではゲル化の過程において、例えば、熱やアルカリ処理等によって変性した、本来有する特性を損なったセリシンを使用していため、セリシンのみから成るゲルは、もろく、成形性に劣るという欠点があった。このような欠点を補うため、合成高分子とのブレンド(非特許文献3)や化学薬品による架橋(非特許文献4)等により、セリシンを含むゲルの物性を向上させる試みがなされている。しかしながら、他成分とのブレンドや架橋試薬を用いる方法では、セリシンが本来持つ機能性を十分に発揮できないという懸念があった。



上述した機能性を有するセリシンを原料として、成形性に優れたハイドロゲル又は多孔質体を容易に調製できれば、新規材料としての活用が大いに期待できる。
【非特許文献1】
Zhu, L.J.ら, 「The Journal of Sericultural Science of Japan」, 1995年, 第64巻, p.415-419
【非特許文献2】
Zhu, L.J.ら, 「The Journal of Sericultural Science of Japan」, 1996年, 第65巻, p.270-274
【非特許文献3】
Wang, S.ら, 「The Journal of Sericultural Science of Japan」, 1998年, 第67巻, p.295-302
【非特許文献4】
Nagura, M.ら, 「Journal of Insect Biotechnology and Sericology」, 2001年, 第70巻, p.149-153

産業上の利用分野


本発明は、例えば、成形性に優れたセリシンハイドロゲルの製造方法及びセリシン多孔質体の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
蚕品種セリシンホープ由来の絹糸腺、繭層又は繭から50kDa以上の分子量を有するセリシン抽出物を抽出する第1工程と、
上記第1工程で抽出したセリシン抽出物にアルコールを添加する第2工程と、
上記第2工程で得られたセリシン抽出物及びアルコールを含む混合物を放置する第3工程と、
を含むことを特徴とする、セリシンハイドロゲルの製造方法。

【請求項2】
上記セリシン抽出物中のセリシン濃度が、0.5~3重量%であることを特徴とする、請求項1記載のセリシンハイドロゲルの製造方法。

【請求項3】
上記アルコールが、エタノールであることを特徴とする、請求項1記載のセリシンハイドロゲルの製造方法。

【請求項4】
上記第2工程において、添加するアルコール量が、セリシン抽出物に対して5~30容量%であることを特徴とする、請求項1記載のセリシンハイドロゲルの製造方法。

【請求項5】
上記第3工程の後に、セリシンハイドロゲルを水に浸漬する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載のセリシンハイドロゲルの製造方法。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のセリシンハイドロゲルの製造方法により製造される50kDa以上の分子量を有するセリシンを主成分とするセリシンハイドロゲル。

【請求項7】
蚕品種セリシンホープ由来の絹糸腺、繭層又は繭から50kDa以上の分子量を有するセリシン抽出物を抽出する第1工程と、
上記第1工程で抽出したセリシン抽出物にアルコールを添加する第2工程と、
上記第2工程で得られたセリシン抽出物及びアルコールを含む混合物を放置する第3工程と、
上記第3工程で得られたセリシンハイドロゲルを凍結乾燥する第4工程と、
を含むことを特徴とする、セリシン多孔質体の製造方法。

【請求項8】
上記セリシン抽出物中のセリシン濃度が、0.5~3重量%であることを特徴とする、請求項7記載のセリシン多孔質体の製造方法。

【請求項9】
上記アルコールが、エタノールであることを特徴とする、請求項7記載のセリシン多孔質体の製造方法。

【請求項10】
上記第2工程において、添加するアルコール量が、セリシン抽出物に対して5~30容量%であることを特徴とする、請求項7記載のセリシン多孔質体の製造方法。

【請求項11】
上記第3工程の後に、セリシンハイドロゲルを水に浸漬する工程を含むことを特徴とする、請求項7記載のセリシン多孔質体の製造方法。

【請求項12】
上記第4工程において、セリシンハイドロゲルを水の共存下で凍結乾燥することを特徴とする、請求項7記載のセリシン多孔質体の製造方法。

【請求項13】
請求項7~12のいずれか1項に記載のセリシン多孔質体の製造方法により製造される50kDa以上の分子量を有するセリシンを主成分とするセリシン多孔質体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録


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