TOP > 国内特許検索 > 減圧処理/加圧処理の使用を含むエレクトロポーレーション方法

減圧処理/加圧処理の使用を含むエレクトロポーレーション方法

国内特許コード P06A009348
掲載日 2006年10月13日
出願番号 特願2004-521208
公表番号 特表2005-534299
登録番号 特許第4273231号
出願日 平成15年7月14日(2003.7.14)
公表日 平成17年11月17日(2005.11.17)
登録日 平成21年3月13日(2009.3.13)
国際出願番号 JP2003008937
国際公開番号 WO2004007736
国際出願日 平成15年7月14日(2003.7.14)
国際公開日 平成16年1月22日(2004.1.22)
優先権データ
  • 特願2002-207611 (2002.7.16) JP
発明者
  • 萩尾 高志
  • 田部井 豊
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 減圧処理/加圧処理の使用を含むエレクトロポーレーション方法
発明の概要 従来法と比較して簡便かつ迅速な形質転換方法を確立することが、本発明の課題である。上記課題は、a)細胞を大気圧と異なる圧力下に維持する工程;およびb)該細胞と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起き得る条件下に配置する工程を包含する方法によって解決され得る。本発明によれば、遺伝子導入操作後に通常必要な培養過程が必要とされない。従って、本発明は、従来法では形質転換体を得ることが不可能であるか、または極めて困難であった種の形質転換体を得ることを可能にする。簡便な本発明の方法はこの分野の開発研究において重要な大量処理・大量解析を容易にせしめ、ひいては飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え体の開発につながる。
従来技術、競合技術の概要


コムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、ダイズなどの主要穀物は人類の生存にとって必須のものであるが、世界的な人口増加に見合った食料生産の増加をするためには、従来の作物より収量の多い作物を開発していく必要がある。収率を上げる品種改良の一つとして、組換えDNA技術を用いた形質転換作物の開発が行われている。



また、例えば、ハクサイ、トマト、キュウリなどの野菜類は食生活を豊かにし、栄養面でも必須の作物である。しかしながら、これらの野菜は様々な病虫害に弱く、遺伝子組換え技術の利用により耐病虫害性を付与することができるならば、収穫量を安定させることが可能となる。そのため、有用な遺伝子の単離と共にこれらの遺伝子を用いる形質転換方法が開発されてきた。



形質転換を行うためには、植物の場合、一般に、以下の2つの方法がある:植物に対して直接的に遺伝子導入を行う方法(直接的遺伝子導入法);および植物に対して間接的に遺伝子導入を行う方法(間接的遺伝子導入法)が行われる。



現在までに、間接的な遺伝子導入法として、アグロバクテリウムを利用した方法が広く利用されている。例えばイネの完熟種子を培養して3週間後に得られたカルスに対してアグロバクテリウムを感染させる方法(Hieiら,Plant Journal,6:271-282,1994を参照)あるいは、発芽後4-5日の種子に対してアグロバクテリウムを感染させて形質転換体を迅速に得ることができる方法(田中ら、特許第3141084号を参照)を挙げることができる。



直接的遺伝子導入方法の例として、パーティクルガン法(Christou P.ら,Bio/Technology,9:957-962,1991を参照)、ポリエチレングリコール法(Datta,S.K.ら,Bio/Technology,8:736-740,1990を参照)、およびエレクトロポーレーション法(Shimamoto,K.ら,Nature,338:274-276,1989を参照)などが挙げられ、形質転換体の作出に利用されている。エレクトロポーレーション法は、所望のDNAを含む溶液に細胞(例えば、植物細胞)を入れ、電気的刺激により遺伝子を細胞内に取り込むことによって、遺伝子導入を行うものである。



この直接的遺伝子導入方法は、間接的遺伝子導入方法と比較して、組織培養およびアグロバクテリウムの調製が不要であるなどの利点を有する。しかし、直接的遺伝子導入方法であるパーティクルガン法の場合には、形質転換組織から形質転換体(例えば、形質転換植物体)を再生する効率が依然として低いという欠点がある(Hagio,JARQ,32(4):239-247,1998)。エレクトロポーレーション法の場合には、適用可能な細胞および組織が限定されるという欠点がある。そのため、直接的遺伝子導入方法は、制限された適用を有していた。



従来のエレクトロポーレーション法は、細胞壁が遺伝的に存在しない細胞および細胞壁を人工的に取り去った細胞(例えば、プロトプラスト)に対してのみ可能であった。これに対して、細胞壁を有する細胞(例えば、植物(例えば、種子などの休眠組織が挙げられる))に対しては、エレクトロポーレーションを行うことが、不可能であると考えられている。実際に、種子にエレクトロポーレーションによって核酸導入する方法は報告されていない。従って、従来のエレクトロポーレーション法を用いて核酸導入体(特に、形質転換植物体)を得るためには、プロトプラストなどの組織に対して核酸導入をした後に、プロトプラスト培養、組織培養(例えば、再分化)または他の操作が必須である。そのため、エレクトロポレーションは、必ずしも簡便な方法ではなく、費用、時間および労力を必要とした。



一方、コムギへ遺伝子導入する場合には、未熟胚が用いられていた(J.T.Weeksら,Plant.Physiol.,102:1077-1084,1993を参照)。しかし、未熟胚を入手するためには、圃場や温室で植物を育成しなければならず、圃場では6-7ヶ月、温室では3-5ヶ月を要する。



したがって、アグロバクテリウムなどの培養・調製を必要とせず、核酸導入する試料の調製が容易であり、かつ、核酸導入の後の核酸導入体(特に、形質転換体)を容易に得ることができる、簡便かつ迅速な核酸導入法(特に、形質転換法)は存在していない。



本発明の目的は、簡便かつ迅速な核酸導入方法(特に、植物の形質転換方法)が確立されていないという上記現状に鑑み、当該分野において、(1)アグロバクテリウムなどの培養・調製を必要とせず、(2)核酸導入する試料の調製が容易であり、かつ、(3)核酸導入の後の核酸導入体を容易に得ることができる、簡便かつ迅速な核酸導入方法(特に、植物の形質転換方法)を提供することである。



簡便かつ迅速な本発明の方法を用いることによって、核酸導入体(特に、形質転換植物体)を、迅速かつ大量に得ることが可能になる。従って、本発明は、植物形質転換体を得ることが必要な産業分野のみならず、植物を用いる開発研究においても利用され得、大量処理・大量解析を容易にし得る。さらに、本発明は、飛躍的な研究の進歩を誘発し、画期的な組換え作物の開発につながる。

産業上の利用分野


本発明は、減圧処理または加圧処理と、エレクトロポーレーションを用いて、所望の核酸を細胞または組織(植物組織を含む)へ導入し、核酸導入体(形質転換体を含む)を作出する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
核酸を植物種子に導入する方法であって、以下の工程:
a)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する工程;および
b)工程(a)の後に、種子と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程
を包含する方法。

【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記b)工程が、少なくとも二種類の方向で、前記細胞と前記核酸とに電圧パルスをかけることを含む、方法。

【請求項3】
前記植物が、単子葉植物である請求項に記載の方法。

【請求項4】
前記単子葉植物がイネ科植物である、請求項に記載の方法。

【請求項5】
前記イネ科植物がコムギ(Triticum aestivum L.)である、請求項に記載の方法。

【請求項6】
前記イネ科植物がイネ(Oryza sativa L.)である、請求項に記載の方法。

【請求項7】
前記イネ科植物がトウモロコシ(Zea mays L.)である、請求項に記載の方法。

【請求項8】
前記植物が、双子葉植物である請求項に記載の方法。

【請求項9】
前記双子葉植物がアブラナ科植物である、請求項に記載の方法。

【請求項10】
前記アブラナ科植物がハクサイ(Brassica rapa L.)である、請求項の方法。

【請求項11】
前記アブラナ科植物がナタネ(Brassica napus L.)である、請求項の方法。

【請求項12】
前記双子葉植物がマメ科植物である、請求項に記載の方法。

【請求項13】
前記マメ科植物がダイズ(Glycine max Merr)である、請求項1に記載の方法。

【請求項14】
前記双子葉植物がナス科植物である、請求項に記載の方法。

【請求項15】
前記ナス科植物がトマト(Lycopersicum esculentum Mill)である、請求項14に記載の方法。

【請求項16】
前記双子葉植物がウリ科植物である、請求項に記載の方法。

【請求項17】
前記ウリ科植物がマクワウリ(Cucumis melo L.)である、請求項16に記載の方法。

【請求項18】
前記双子葉植物がヒルガオ科植物である、請求項に記載の方法。

【請求項19】
前記ヒルガオ科植物がアサガオ(Pharbitis nil Choisy)である、請求項18に記載の方法。

【請求項20】
核酸を細胞内に導入した植物を作製する方法であって、以下の工程:
a)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する工程;および
b)工程(a)の後に、種子と該核酸とを、エレクトロポーレーションが起きる条件下に配置する工程
を包含する方法。

【請求項21】
請求項2に記載の方法であって、前記種子を、分化、成長および/または増殖させる工程をさらに包含する、方法。

【請求項22】
前記種子が、単子葉植物の種子である請求項2に記載の方法。

【請求項23】
前記単子葉植物の種子がイネ科の種子である、請求項22に記載の方法。

【請求項24】
前記イネ科種子がコムギ(Triticum aestivum L.)種子である、請求項23に記載の方法。

【請求項25】
前記イネ科種子がイネ(Oryza sativa L.)種子である、請求項23に記載の方法。

【請求項26】
前記イネ科種子がトウモロコシ(Zea mays L.)種子である、請求項23に記載の方法。

【請求項27】
前記種子が、双子葉植物の種子である請求項2に記載の方法。

【請求項28】
前記双子葉植物の種子がアブラナ科種子である、請求項27に記載の方法。

【請求項29】
前記アブラナ科種子がハクサイ(Brassica rapa L.)種子である、請求項28の方法。

【請求項30】
前記アブラナ科種子がナタネ(Brassica napus L.)種子である、請求項28の方法。

【請求項31】
前記双子葉植物の種子がマメ科種子である、請求項27に記載の方法。

【請求項32】
前記マメ科種子がダイズ(Glycine max Merr)種子である、請求項3に記載の方法。

【請求項33】
前記双子葉植物の種子がナス科種子である、請求項27に記載の方法。

【請求項34】
前記ナス科種子がトマト(Lycopersicum esculentum Mill)種子である、請求項33に記載の方法。

【請求項35】
前記双子葉植物の種子がウリ科種子である、請求項27に記載の方法。

【請求項36】
前記ウリ科種子がマクワウリ(Cucumis melo L.)種子である、請求項35に記載の方法。

【請求項37】
前記双子葉植物の種子がヒルガオ科種子である、請求項27に記載の方法。

【請求項38】
前記ヒルガオ科種子がアサガオ(Pharbitis nil Choisy)種子である、請求項37に記載の方法。

【請求項39】
核酸を植物種子内に導入するための装置であって、以下:
a)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する手段;および
b)エレクトロポーレーション手段、
を備えた、装置。

【請求項40】
請求項9に記載の装置であって、前記b)のエレクトロポーレーション手段は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離が、植物種子を収容し得る距離である、装置。

【請求項41】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、少なくとも5mmである、請求項40に記載の装置。

【請求項42】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、1cmよりも長い、請求項40に記載の装置。

【請求項43】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項40に記載の装置。

【請求項44】
請求項9に記載の装置であって、前記b)のエレクトロポーレーション手段は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離は、該第一電極と該第二電極との間の距離が植物種子を収容し得る距離となるように変動可能である、装置。

【請求項45】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項44に記載の装置。

【請求項46】
植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持することと組み合わせて、核酸を該種子内に導入するためのエレクトロポーレーション装置であって、該装置は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離が、植物種子を収容し得る距離である、装置。

【請求項47】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、少なくとも5mmである、請求項46に記載の装置。

【請求項48】
前記第一電極と前記第二電極との間の距離が、1cmよりも長い、請求項46に記載の装置。

【請求項49】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項46に記載の装置。

【請求項50】
植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持することと組み合わせて、核酸を該植物種子内に導入するためのエレクトロポーレーション装置であって、該装置は、アノードとして作用する第一電極およびカソードとして作用する第二電極を備え、ここで該第一電極と該第二電極との間の距離は、該第一電極と該第二電極との間の距離が植物種子を収容し得る距離となるように変動可能である、装置。

【請求項51】
前記第一電極および前記第二電極が白金電極である、請求項50に記載の装置。

【請求項52】
大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、かつ植物種子を収容し得る大きさを有する、エレクトロポーレーションチャンバー。

【請求項53】
前記エレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径が、少なくとも5mmである、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。

【請求項54】
前記エレクトロポーレーションチャンバーの内面の少なくとも3点に接する最大の内接円の直径が、1cmよりも大きい、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。

【請求項55】
前記チャンバーが四角形の横断面を有し、該チャンバーの内寸が、1cm×2cm×2cmである、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。

【請求項56】
前記チャンバーが円形の横断面を有し、該チャンバーの内寸が1cm×4cmである、請求項52に記載のエレクトロポーレーションチャンバー。

【請求項57】
大気圧と異なる圧力に耐える能力を有し、かつ植物種子を収容し得る大きさに変動可能である、エレクトロポーレーションチャンバー。

【請求項58】
自動化してエレクトロポーレーションを実行する装置であって、該装置は、以下:
a)核酸と植物種子とを含む混合液を入れる容器;
b)該a)の容器中に核酸を入れる手段;
c)該a)の容器中に植物種子を入れる手段;
d)植物種子大気圧よりも0.096MPa低い減圧下に維持する容器であって、大気圧と異なる圧力に耐える能力を有する、容器;
e)該植物種子を、該d)の容器中に配置する手段;
f)該d)の容器中を、大気圧と異なる圧力に維持する手段;
g)該核酸と該植物種子とを含む混合液に電圧パルスをかける容器;
h)該核酸と該植物種子とを含む混合液を、該g)の容器中に配置する手段;
i)該g)の容器中において、該核酸と該植物種子胞とを含む混合液に対して電圧パルスをかける手段;および
j)該b)、c)、e)、f)、h)およびi)の手段を自動化して実行する手段
を備え、ここで該b)の手段および該c)の手段は、互いに同一であるかまたは異なり、そして該e)の手段および該h)の手段は、互いに同一であるかまたは異なり、そして該a)の容器、該d)の容器および該g)の容器は、互いに同一であるかまたは異なる、装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2004521208thum.jpg
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close