TOP > 国内特許検索 > 昆虫の乾燥耐性遺伝子とその利用

昆虫の乾燥耐性遺伝子とその利用

国内特許コード P06A009356
掲載日 2006年10月13日
出願番号 特願2005-260148
公開番号 特開2006-101874
登録番号 特許第4674377号
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
公開日 平成18年4月20日(2006.4.20)
登録日 平成23年2月4日(2011.2.4)
優先権データ
  • 特願2004-261412 (2004.9.8) JP
発明者
  • 黄川田 隆洋
  • 奥田 隆
  • 渡邊 匡彦
  • 三田 和英
  • 門野 敬子
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 昆虫の乾燥耐性遺伝子とその利用
発明の概要 【課題】本発明は、昆虫の乾燥耐性タンパク質をコードするポリヌクレオチドならびにその利用方法を提供することを課題とする。
【解決手段】乾燥後のネムリユスリカ幼虫からcDNAライブラリーを作製し、ネムリユスリカのESTデータベースを構築し、LEAタンパク質をコードする遺伝子を単離した。その結果、3種類のLEA様タンパク質をコードする新規の遺伝子(PvLEA1、PvLEA2およびPvLEA3)の単離に成功した。各遺伝子から推定されるタンパク質の二次構造予測およびモチーフ検索を行なったところ、3つともLEAタンパク質の特徴であるα-ヘリックスリッチの構造およびLEA_4モチーフを有していたことから、単離した3つの遺伝子は新規のネムリユスリカ由来のLEA遺伝子であることが判明した。また、これらPvLEA1, 2及び3遺伝子を動物細胞に導入することにより、乾燥耐性を付与させることに成功した。本発明は世界で始めて昆虫からLEA遺伝子を単離した例である。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


アフリカの半乾燥地帯にのみ生息するネムリユスリカ幼虫は、48時間かけて完全に乾燥した状態になっても、水に戻すだけで吸水し1時間以内に正常な発育を再開する唯一の昆虫である(非特許文献1)。この完全に乾燥しても復活できる状態は、クリプトビオシス (cryptobiosis) と呼ばれる。一旦クリプトビオシスの状態になったネムリユスリカは、-270℃から+102℃の温度や100%エタノールにも完全に耐えうる(非特許文献2および3)。これまでクリプトビオシスの状態を誘導・維持するにはトレハロースが必須であると言われてきたが、高濃度のトレハロースを体内に蓄積するように誘導した後に乾燥しても、クリプトビオシスの状態にならない場合がある(非特許文献4)。従って、トレハロースの蓄積のみでクリプトビオシス誘導・維持の機構を説明するには不十分であることから、トレハロース以外の因子もクリプトビオシスには必要であることが考えられた。



一方、植物の種子の休眠もクリプトビオシスの一種である。種子休眠は胚発生後期に起こるが、この時期に特異的にLEA (late embryogenesis abundant) タンパク質と呼ばれるタンパク質が蓄積されることが20年ほど前から知られていた(非特許文献5および6)。このタンパク質は、種子以外の花粉や植物体本体においても、乾燥刺激を与えると、発現が上昇する(非特許文献7)。LEAタンパク質は、その二次構造に特徴があり、α-ヘリックスリッチである点が共通である(非特許文献8)。また、このタンパク質は、酵母やイネへの遺伝子導入の結果から、耐乾燥性・耐寒性・耐塩性といったストレス耐性機能を有していることがわかっているが、タンパク質自体の詳細な生化学的機能(活性)は現在でも不明である(非特許文献9)。このタンパク質は、植物にのみ存在すると考えられていたが、2002年に線虫から発見されたことから(非特許文献10)、植物以外にもLEAタンパク質が存在する可能性が強く示唆されている。



なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【非特許文献1】
Watanabe, M., Kikawada, T., Minagawa, N., Yukuhiro, F., and Okuda, T. (2002) J Exp Biol 205, 2799-2802
【非特許文献2】
Hinton, H. E. (1960) J Insect Phys 5, 286-300
【非特許文献3】
Hinton, H. E. (1960) Nature 188, 336-337
【非特許文献4】
Watanabe, M., Kikawada, T., and Okuda, T. (2003) J Exp Biol 206, 2281-2286
【非特許文献5】
Dure, L., 3rd, Greenway, S. C., and Galau, G. A. (1981) Biochemistry 20, 4162-4168
【非特許文献6】
Grzelczak, Z. F., Sattolo, M. H., Hanley-Bowdoin, L. K., Kennedy, T. D., and Lane, B. G. (1982) Can J Biochem 60, 389-397
【非特許文献7】
Ingram, J., and Bartels, D. (1996) Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol 47, 377-403
【非特許文献8】
Goyal, K., Tisi, L., Basran, A., Browne, J., Burnell, A., Zurdo, J., and Tunnacliffe, A. (2003) J Biol Chem 278, 12977-12984
【非特許文献9】
Wise, M. J., and Tunnacliffe, A. (2004) Trends Plant Sci 9, 13-17
【非特許文献10】
Browne, J., Tunnacliffe, A., and Burnell, A. (2002) Nature 416, 38

産業上の利用分野


本発明は、昆虫由来の乾燥耐性タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ならびにそれらの利用方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)から(d)のいずれかに記載の、昆虫由来のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:2、4、6のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b)配列番号:1、3、5のいずれかに記載の塩基配列のコード領域を含むポリヌクレオチド
(c)配列番号:2、4、6のいずれかに記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d)配列番号:1、3、5のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド

【請求項2】
ネムリユスリカ由来である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。

【請求項3】
請求項1または2に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。

【請求項4】
請求項1もしくは2に記載のポリヌクレオチド、または請求項3に記載のベクターを保持する宿主細胞。

【請求項5】
請求項1もしくは2に記載のポリヌクレオチド、または請求項3に記載のベクターを含有する、細胞を乾燥耐性にするための薬剤。

【請求項6】
請求項1または2に記載のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質を細胞内で発現させることを特徴とする、細胞を乾燥耐性にする方法。

【請求項7】
配列番号:1、3、5のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドまたはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。

【請求項8】
被検細胞において、請求項1に記載のポリヌクレオチド、または請求項1に記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質の発現を測定する工程を含む、被検細胞の乾燥耐性の有無を判定する方法。

【請求項9】
被検細胞において、請求項1に記載のポリヌクレオチド、または請求項1に記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質の発現を測定する工程を含む、被検細胞の乾燥状態を判定する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

14850_01SUM.gif
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close