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唾液腺由来の内胚葉系細胞および外胚葉系細胞の双方に分化可能な未分化な多分化能を有する新規細胞およびその細胞の調製方法

国内特許コード P06A009383
整理番号 H1539
掲載日 2006年10月19日
出願番号 特願2004-026549
公開番号 特開2005-218306
登録番号 特許第4147306号
出願日 平成16年2月3日(2004.2.3)
公開日 平成17年8月18日(2005.8.18)
登録日 平成20年7月4日(2008.7.4)
発明者
  • 遠藤 文夫
  • 松本 志郎
  • 久富 雄一朗
  • 奥村 健治
  • 中村 公俊
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 唾液腺由来の内胚葉系細胞および外胚葉系細胞の双方に分化可能な未分化な多分化能を有する新規細胞およびその細胞の調製方法
発明の概要

【課題】 細胞移植治療に使用できる、種々の組織に分化可能なより未熟で多分化能を有する体性幹細胞、および上記体性幹細胞の調製方法を提供すること。
【解決手段】 哺乳動物の唾液腺から単離される、内胚葉系細胞および外胚葉系細胞の双方に分化可能な多分化能を有する細胞。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


再生医療に有用なポテンシャルを有する幹細胞についての研究が盛んになされている。今日までに報告された代表的な幹細胞として、間葉系幹細胞、神経幹細胞、造血幹細胞、並びに膵幹細胞が挙げられる。



間葉系幹細胞はヒト成体骨髄液より分離された(Pittenger, M.F. et al., Science 284, 143 (1999))。この細胞は、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞へのin vitroにおける分化誘導が可能である。神経幹細胞(Gage, P.H., Science 287, 1433-1438 (2000))については1992年に成体の中枢神経系からの最初の分離の報告がなされており、2001年には成体の皮膚真皮から神経細胞に分化可能な幹細胞の分離(Toma, J.G. et al., Nature Cell Biology, 3, 778-784 (2001))が報告されている。



造血幹細胞は既に多くの研究がなされているが、その分化機能について報告されたのは比較的新しい。1999年に骨髄細胞が肝臓細胞に分化することがPatersenらによって明らかにされ(Petersen B.E. et al., Science 284, 1168 (1999))、翌年にはマウス造血幹細胞をc-kittil、Thr-1low、Linneg、Sca-1+にてsortingした細胞分画が、幹細胞に分化転換することが示されている(Lagasse, E. et al., Nature Medicine 6, 1229-1234 (2000))。この他にも造血幹細胞には分化転換能があると考えられており、心筋(Orlic, D. et al., Nature 410, 701-705 (2001))や、さらには肺胞上皮、腸管上皮、皮膚(Orlic, D. et al.,上掲)への分化も報告されている。



以上のように、間葉系もしくは外胚葉系の細胞についての幹細胞研究は進んでいるが、内胚葉系幹細胞の報告は未だ少ない。ヒト肝幹細胞についてはその存在が確実視されているが、未だ確定的な幹細胞の報告はない。膵臓についてはCorneliusらのグループが成体マウス膵臓より膵島産生幹細胞(islet producing stem cells (IPSCs))の分離を行っており、さらにIPSCsよりin vitroにて作製した膵島の移植実験を報告している(Ramiya, V.K. et al., Nature Medicine 6, 278-282 (2000))。この細胞についても、a、b、d細胞への分化は確認されているが、その他の細胞への分化能は確認されていない。膵島よりネスチン(nestin)陽性にて分離した幹細胞が膵臓の内、外分泌および肝臓の表現型へと分化したとの報告はあるが(Zulewski, H. et al., Diabetes 50, 521-533 (2001))、分化マーカーの免疫組織学的検索は示されていない。また、内胚葉系細胞および外胚葉系細胞の双方に分化可能なより未分化な多分化能を有する細胞についての報告はこれまでの所なされていない。




【非特許文献1】Pittenger, M.F. et al., Science 284, 143 (1999)

【非特許文献2】Gage, P.H., Science 287, 1433-1438 (2000)

【非特許文献3】Toma, J.G. et al., Nature Cell Biology, 3, 778-784 (2001)

【非特許文献4】Petersen B.E. et al., Science 284, 1168 (1999)

【非特許文献5】Lagasse, E. et al., Nature Medicine 6, 1229-1234 (2000)

【非特許文献6】Orlic, D. et al., Nature 410, 701-705 (2001)

【非特許文献7】Ramiya, V.K. et al., Nature Medicine 6, 278-282 (2000)

【非特許文献8】Zulewski, H. et al., Diabetes 50, 521-533 (2001)

産業上の利用分野


本発明は、唾液腺由来の内胚葉系細胞および外胚葉系細胞の双方に分化可能な未分化な多分化能を有する新規細胞およびその細胞の調製方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
哺乳動物の唾液腺から単離される、内胚葉系細胞および外胚葉系細胞の双方に分化可能な多分化能を有する細胞であって、哺乳動物の唾液腺に由来する細胞浮遊液をI型コラーゲンコートプレートに付着させて培養することにより得られる有突起浮遊細胞である上記細胞。

【請求項2】
哺乳動物がブタまたはヒトである、請求項1に記載の細胞。

【請求項3】
内胚葉系細胞である膵臓内分泌細胞及び/又は肝臓細胞へ分化する能力と、外胚葉系細胞である神経系細胞へ分化する能力とを有している、請求項1又は2に記載の細胞。

【請求項4】
哺乳動物の唾液腺から細胞浮遊液を調製し、該細胞浮遊液をI型コラーゲンコートプレートに1x106 ~3x106cells/ 100mm dish の細胞密度で播種して培養を行い、10~14日目以降に出現する突起を有する細胞を単離することにより製造される、請求項1からの何れかに記載の細胞。

【請求項5】
哺乳動物の唾液腺から細胞浮遊液を調製し、該細胞浮遊液をI型コラーゲンコートプレートに1x106 ~3x106cells/ 100mm dish の細胞密度で播種して培養を行い、10~14日目以降に出現する突起を有する細胞を単離することを含む、請求項1からの何れかに記載の細胞の製造方法。

【請求項6】
請求項1からの何れかに記載の細胞を、内胚葉系細胞に分化させる条件下で培養することを含む、内胚葉系細胞又は該細胞に由来する組織の製造方法。

【請求項7】
内胚葉系細胞が、膵臓内分泌細胞又は肝臓細胞である、請求項に記載の方法。

【請求項8】
内胚葉系細胞に分化させる条件が、哺乳動物の唾液腺に由来する細胞浮遊液をI型コラーゲンコートプレートに付着させて培養した細胞をU字型の底面を有する容器にて培養を行うことを含む、請求項6又は7に記載の方法。

【請求項9】
インスリンの発現及び/又は膵臓特異的転写調節因子の発現の有無を指標として膵臓内分泌細胞に分化した細胞を取得する、請求項6から8の何れかに記載の方法。

【請求項10】
アルブミンの発現の有無を指標として肝臓細胞に分化した細胞を取得する、請求項6から8の何れかに記載の方法。

【請求項11】
請求項1からの何れかに記載の細胞を、外胚葉系細胞に分化させる条件下で培養することを含む、外胚葉系細胞又は該細胞に由来する組織の製造方法。

【請求項12】
外胚葉系細胞が神経系細胞である、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
外胚葉系細胞に分化させる条件が、哺乳動物の唾液腺に由来する細胞浮遊液をI型コラーゲンコートプレートに付着させて培養した細胞をニューロスフェア(neurosphere)法で培養し、形成した細胞球状塊をlaminin / poly-D lysineコードディッシュに播種することを含む、請求項11又は12に記載の方法。

【請求項14】
Tuj-I及び/又はGFAPの発現の有無を指標として神経系細胞に分化した細胞を取得する、請求項11から13の何れかに記載の方法。

【請求項15】
請求項1からの何れかに記載の細胞に、被検物質を投与し、誘導された細胞の機能を評価することを含む、細胞の分化に影響を与える物質のスクリーニング方法。

【請求項16】
所望の細胞に特異的な蛋白質の発現を指標として、誘導された細胞の機能を評価する、請求項15に記載のスクリーニング方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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