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スギ花粉アレルゲンの高次構造IgEエピトープを含むペプチドおよびその利用 コモンズ

国内特許コード P06P004217
掲載日 2006年10月26日
出願番号 特願2005-101234
公開番号 特開2006-280210
登録番号 特許第4686712号
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
登録日 平成23年2月25日(2011.2.25)
発明者
  • 重田 征子
  • 大下 昌利
  • 小埜 和久
  • 秋 庸裕
  • 河本 正次
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 スギ花粉アレルゲンの高次構造IgEエピトープを含むペプチドおよびその利用 コモンズ
発明の概要

【課題】 スギ花粉アレルゲンの高次構造IgEエピトープを含むペプチド、そのペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびそのペプチドと結合する抗体を提供すること、並びにそれらを用いてスギ花粉症の治療薬、診断キット等を提供する。
【解決手段】ペプチドS95-1は、12アミノ酸からなるペプチド(TYSPFHSFTSIP)であり、抗Cry j 1モノクローナル抗体およびスギ花粉症患者血清IgE抗体と結合し、かつそのアミノ酸配列がCry j 1 のアミノ酸配列上に存在しないものである。すなわち当該ペプチドは、スギ花粉アレルゲン Cry j 1の高次構造IgEエピトープを含むものである。
【選択図】 図7

従来技術、競合技術の概要


スギ花粉症は、第二次世界大戦後に植林された大量のスギ林から早春に飛散する花粉を吸入することによって起こる即時型アレルギーであり、近年の恒温で気密性に富む居住環境、環境汚染、ストレスの増加などの要因から患者が急増している。特に、働き盛りの成年層の患者が多く存在し、深刻な社会問題となっている。これまでその対策としては、一時的な対症療法からスギ花粉抗原を用いた減感作療法まで各種行なわれてきているが、ホヤ喘息,ハチ毒アレルギーで得られたような著しい症状の改善例が少ないのが現状である。



スギ花粉症は、1964年、堀口、斎藤らによって見いだされ、安枝ら(非特許文献1参照)によってCry j 1が、坂口ら(非特許文献2参照)によってCry j 2が、スギ花粉主要抗原(スギ花粉主要アレルゲン)として同定された。Cry j 1はペクテートリアーゼ活性を示す分子量45,000~50,000、等電点8.5~9の糖タンパク質で、花粉中の含量は採集された地域間変動が少なく、100g当たり27~35mgである。モノクローナル抗体を用いたエピトープ解析の結果から、Cry j 1 の免疫グロブリンE(IgE)抗体に対するエピトープ(以下、適宜「IgEエピトープ」という)は、ペプチド部分に少なくとも5ヶ所存在するということが分かっている(非特許文献3参照)。



かかるIgEエピトープとしては、二つのタイプが存在し、一つはタンパク質のある特定なアミノ酸配列(一次構造)上にあるもの(シークエンシャルエピトープ)であり、もう一つは高次構造上にある高次構造エピトープ(コンフォーメーショナルエピトープ)である。アレルゲン分子の一次構造上にあるエピトープ構造(シークエンシャルエピトープ)は、比較的容易に同定することができる。しかしIgE抗体は、そのほとんど天然のアレルゲン分子の高次構造(立体配置)を認識するために、当該高次構造の特定の部位がそのままエピトープとなる場合が多い。すなわちIgEエピトープの大多数が、高次構造エピトープ(コンフォーメーショナルエピトープ)であるといっても過言でない。



高次構造IgEエピトープ(コンフォーメーショナルIgEエピトープ)を解析する方法としては、主に二つの方法が知られている。一つはX線による結晶解析であり、もう一つはNMRを用いた解析である。前者のX線解析を用いる方法ではアレルゲンを結晶化する必要があり、高度な結晶化技術と大量のアレルゲン(10mg以上)が必要であるという問題点がある。一方、NMRを用いる方法では、溶液状態で解析可能であるが、アレルゲン中のアミノ酸を点変換して立体配置の変化と活性を測定し、コンフォーメーショナルIgEエピトープを同定していく必要があり、そのためには、リコンビナントアレルゲンを天然のアレルゲンと同じ立体構造をもった状態で生産しなければならない。高等生物由来のアレルゲンは、さまざまな修飾を受けているので、天然のアレルゲンと同じ立体構造を備えるリコンビナントアレルゲンを生産することは至難の業である。したがって、現在でもアレルゲン分子の高次構造IgEエピトープ(コンフォーメーショナルIgEエピトープ)の構造決定は、極めて困難であるといえる。



スギ花粉主要アレルゲン(Cry j 1 および Cry j 2 )についてIgEエピトープの解析が行われており、シークエンシャルIgEエピトープについてはいくつか報告されているが(Cry j 1 については非特許文献4参照、Cry j 2 については例えば特許文献1参照)、高次構造IgEエピトープ(コンフォーメーショナルIgEエピトープ)については、いまだに同定されていないのが現状である。



1価のIgEエピトープは、アレルギー反応の抑制に有効であることが知られており、アレルギー治療薬、改善薬としての利用が期待されている。1価のIgEエピトープによるアレルギー反応の抑制は、肥満細胞または好塩基球上のIgE分子と1価のIgEエピトープとが結合し、天然型アレルゲン分子の多価エピトープによるIgE分子架橋の形成を阻害することによるものであると考えられている。

【非特許文献1】H. Yasueda, Y. Yui, T. Shimizu et al. :J. Allergy Clin. Immunol., 71, 77(1983).

【非特許文献2】M. Sakaguchi, S. Inoue, M. Taniai, S. Ando et al.: Allergy, 45, 309(1990).

【非特許文献3】M. Sakaguti, M. Hashimoto, H. Nigi et al. : Immunology, 91, 161 (1997).

【非特許文献4】Taniai M, Kayano T, Takakura R, Yamamoto S, Usui m, Ando Kurimoto M, Panzani R, Matuhasi T. Mol Immunol. 1993; 30:183-9.

【特許文献1】特開平8-47392号公報(公開日:平成8年(1996)2月20日)

産業上の利用分野


本発明は、スギ花粉アレルゲンの高次構造IgEエピトープを含むペプチド、そのペプチドと結合する抗体、およびそのペプチドをコードするポリヌクレオチド、並びにそれらの代表的利用に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
Cry j 1の高次構造IgEエピトープを含む、以下の(a)~(e)のいずれかのペプチド:
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、かつスギ花粉アレルゲン特異IgE抗体と結合することを特徴とするペプチド;
(b)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、かつスギ花粉アレルゲン特異IgE抗体と結合することを特徴とするペプチド;
(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含み、かつスギ花粉アレルゲン特異IgE抗体と結合することを特徴とするペプチド;
(d)配列番号9に示されるアミノ酸配列を含み、かつスギ花粉アレルゲン特異IgE抗体と結合することを特徴とするペプチド;および
(e)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含み、かつスギ花粉アレルゲン特異IgE抗体と結合することを特徴とするペプチド。

【請求項2】
請求項1に記載のペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。

【請求項3】
請求項1に記載のペプチドを含むことを特徴とするスギ花粉症の診断キット。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005101234thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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