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膀胱癌患者の予後検出方法

国内特許コード P06P004448
整理番号 IP121
掲載日 2006年10月26日
出願番号 特願2005-100120
公開番号 特開2006-275989
登録番号 特許第4649608号
出願日 平成17年3月30日(2005.3.30)
公開日 平成18年10月12日(2006.10.12)
登録日 平成22年12月24日(2010.12.24)
発明者
  • 松山 豪泰
  • 内藤 克輔
  • 佐々木 功典
  • 奥田 優
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 膀胱癌患者の予後検出方法
発明の概要

【課題】
表在性膀胱癌は、より高分化、高浸潤性の癌に進展していく可能性が高く、高浸潤性の癌は、リンパ節転移や他臓器への転移の頻度が上昇するため、再発や進展を予測する手段の開発が望まれている。本発明は、簡便で客観的に得られる膀胱癌患者の予後の判定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
膀胱癌患者の切除組織あるいは、尿中に存在する細胞について、その細胞の中心体複製異常を、蛍光たんぱく質を用いた2段階抗原抗体反応により検出し、予後不良の可能性ありと判定することを特徴とする膀胱癌患者の予後判定方法。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


膀胱癌は、泌尿器科領域では、前立腺癌に次いで2番目に頻度の高い癌で、発症年齢は60‐70歳が最も多く、男女比は約3:1と男性に多く見られる。日本では、2003年度には、約15000例の発症があり、2015年には、約10000例の増加が見込まれている。膀胱癌には、膀胱粘膜内に癌が留まっている表在性膀胱癌と膀胱の筋肉や膀胱外にまで癌が根を張るように発育した浸潤性膀胱癌に大別される。表在性膀胱癌は、膀胱を温存する経尿道的切除術による治療が施されることが多く、手術でも根治が可能であるが、浸潤性膀胱癌の場合は膀胱全摘出あるいは、部分切除と言った治療を必要とすることが多くなり、当然患者への負担も大きい。表在性膀胱癌の場合であっても、その後、50~70%に再発が見られ、表在性膀胱癌から浸潤性膀胱癌へと進展するケースが10~20%に認められる。浸潤の程度がひどくなればなるほど、リンパ節転移や他臓器への転移の頻度は上昇する。



現在、膀胱癌は深達度(stage)と分化度(grade)という病理学的検査結果を中心として、その治療方針の決定や予後の判定が行われている(TNM臨床分類)。深達度は程度によって、pTa(表在粘膜を越えず非浸潤で乳頭状に発育するもの)とpT1(粘膜下層に浸潤がある)、pTis(粘膜内に存在する平らな腫瘍)、pT2(筋層浸潤があるもの)、pT3(膀胱外の脂肪組織に浸潤があるもの)、pT4(膀胱外の臓器に浸潤する)に分類され、pTa、pT1、pTisは表在性、pT2以上を浸潤性膀胱癌とされる。表在性膀胱癌は10~20%の症例に再発を繰り返すうちに、より高異型度、浸潤性の癌に進展していく可能性が示されている。そのため、再発や進展を予測する手段の開発が望まれている。



従来の膀胱癌の予後を予測する方法については、以下のものが知られている。膀胱癌患者から採取した血清中の可溶性Fas濃度を、抗Fas抗体を用いて測定することにより、膀胱癌患者の予後の良否を診断する方法があり、膀胱癌患者の血液又は血清中の可溶性Fas濃度が健常者のそれと比較して高いこと、また、可溶性Fas濃度の低い膀胱癌患者はその濃度の高い膀胱癌患者と比較して生存率が高くしかも非再発期間が長いことを明らかにしている(特許文献1)。他に、核小体に多く存在する真核DNAポリメラーゼα活性調節因子であるnucleophosmin/B23タンパク質に関与するリボ核酸(mRNA)の発現状態を予後の指標として、膀胱癌が再発及び悪化してハイステージ症状になっているかを検査する方法も開示されている(特許文献2)。癌性腫瘍細胞内でのグルコース輸送たんぱく質であるGLUT-1過剰発現の程度が腫瘍の進展度に相関することが見いだされ、GLUT-1過剰発現の程度で、癌性腫瘍を患う個体の予後判定が可能であるとしている(特許文献3)。しかしながら、これらのバイオマーカーの臨床的意義は明らかにされているとは言い難い。



本発明者らは、7、9、17番染色体のコピー数異常が、膀胱癌患者の臨床背景と相関するばかりでなく、その予後とも関連することを報告した(非特許文献1、2)。



また、特殊遺伝子の変異を利用した膀胱癌の予後を予測する方法として、癌抑制遺伝子のひとつであるp53遺伝子の異常により出現するp53異常タンパクを、免疫組織染色法で測定して判定する方法が明らかにされているが(非特許文献3)、判定が主観的であり予後予測の確率も高いとは言えない。



中心体複製異常と癌との関わりは、子宮頚部癌、前立腺癌、乳癌において、前癌状態の病変で中心体複製異常が発見されている報告や(非特許文献4、5)、ラット乳癌の初期変化の段階で、中心体複製異常やAurora‐Aタンパクの過剰発現が見られるとの報告もある(非特許文献6)。

【特許文献1】特開2000-131321公報

【特許文献2】特開2004-337120公報

【特許文献3】特表平11-511245公報

【非特許文献1】Tsukamoto M,et al..Cancer Genet Cytogenet.2002;134:41‐45.

【非特許文献2】Cavenee WK,et al..Nature 1983;305:779-84.

【非特許文献3】Sarkis AS,et al..J Natl Cancer Inst.1993;85:53‐9.

【非特許文献4】Lingle WL,et al..Proc Natl Acad Sci USA 2002;99:1978‐83.

【非特許文献5】Pihan GA,et al..Cancer Res.2003;63:1398‐404.

【非特許文献6】Goepfert TM,et al..Cancer Res.2002;62:4115‐22.

産業上の利用分野


本発明は、膀胱癌に侵食された臓器組織切除手術後の患者の予後判定方法に関し、特に細胞内の中心体複製異常を検出することによる膀胱癌の予後を判定する方法に関する。さらにまた、細胞内の中心体複製異常を検出する方法および検査用キットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
膀胱移行上皮癌に侵食された臓器組織切除手術後の患者の予後の検出において、患者の切除組織あるいは、尿中に存在する細胞について、その細胞の中心体を2段階抗原抗体反応により標識し、標識された中心体数の数値を蛍光顕微鏡下で測定し、3個以上の中心体が存在する中心体複製異常細胞が全細胞中に5%以上存在するか否かにより再発および進展の可能性の有無を検出することを特徴とする膀胱移行上皮癌患者の予後検出方法

【請求項2】
細胞の中心体に対し、マウスあるいはウサギに感作して得られた抗体を一次抗体として結合させ、さらに、一次抗体に特異的に結合するIgG蛍光抗体を二次抗体として結合させ、蛍光顕微鏡下で、中心体数の数値を測定し、全細胞中に存在する中心体複製異常の存在率を算出し、再発および進展の指標とする請求項1に記載の膀胱移行上皮癌患者の予後検出方法

【請求項3】
少なくとも観察対象の膀胱移行上皮癌患者の切除組織あるいは、尿中に存在する細胞の中心体に結合する一次抗体と、一次抗体に特異的に結合するIgG蛍光二次抗体とを含有し、再発および進展の可能性の有無を検出することを特徴とする膀胱移行上皮癌患者の予後検出用キット。
産業区分
  • 治療衛生
  • 微生物工業
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005100120thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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