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多孔質半導体膜の形成方法 新技術説明会

国内特許コード P06A009407
整理番号 IP16-033
掲載日 2006年11月2日
出願番号 特願2004-331166
公開番号 特開2006-140426
登録番号 特許第4257431号
出願日 平成16年11月15日(2004.11.15)
公開日 平成18年6月1日(2006.6.1)
登録日 平成21年2月13日(2009.2.13)
発明者
  • 安達 定雄
  • 冨岡 克広
出願人
  • 学校法人群馬大学
発明の名称 多孔質半導体膜の形成方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】可視から紫外で発光が可能な多孔質半導体膜を、簡便かつ再現性よく形成する多孔質半導体膜の形成方法を提供する。本発明の方法で多孔質半導体膜が形成された半導体基板を用いて、可視から紫外で発光が可能な発光素子及びセンサを提供する。
【解決手段】フッ素を含む塩(フッ化塩)の水溶液10に浸漬された半導体基板14の基板面14aに、光源16から励起光18を照射すると、該基板面14aに紫外発光が可能な多孔質半導体膜が形成される。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


半導体基板の基板面を電解質溶液に浸漬し、半導体基板を陽極、白金電極等の対向電極を陰極として電流を印加すると、半導体基板の表面が電気化学エッチングされ、多孔質膜が形成される。この多孔質膜の形成方法は「陽極化成法」と呼ばれ、シリコン基板に多孔質膜を形成する最も一般的な技術である(特許文献1)。



シリコン基板に多孔質膜を形成する場合には、通常、電解質溶液としてフッ化水素の水溶液(フッ化水素酸)が用いられる。GaAsやGaP等の化合物半導体からなる基板に多孔質膜を形成する場合には、電解質溶液として塩酸や硝酸、或いはこれらの混液が用いられることが多い。また、より微細な多孔質構造を得るために、電解質溶液にメタノール、エタノール等のアルコール溶剤が添加されることもある。



この陽極化成法では、半導体基板を流れる電流密度が、多孔質膜形成プロセスを制御するための重要な因子になる。このため、紫外光や可視光を照射することで、電流密度を増加させ、多孔質膜の厚さや多孔質の度合いを制御する技術が知られている。例えば、p型シリコン基板では、電解質溶液に浸漬された基板面側から紫外光や可視光を照射する。



従来、陽極化成法以外の多孔質膜の形成方法は、ほとんど知られていない。唯一の例外として「光アシスト化学エッチング法」がある。この方法は、50%という高濃度のフッ化水素の水溶液中にシリコン基板を浸漬し、多孔質膜を形成する基板面側から波長600nm~700nmの光を照射するだけの、極めて簡単なものである(非特許文献1)。照射する光の波長がこれよりも長波長の場合には、多孔質膜は形成されない。



1990年にCanham等によって、シリコン基板の表面に形成された多孔質膜が赤色発光することが初めて報告された(非特許文献2)。例えば、シリコン基板の表面に陽極化成法で多孔質膜を形成すると、この多孔質膜は波長が630nm、発光エネルギーが2eVの赤色発光を示す。また、光アシスト化学エッチング法で作製した多孔質膜も同様に赤色発光を示す。



多孔質半導体膜を発光素子に応用するには、多孔質半導体膜が何色で発光するか、即ちどのような波長で発光するかが非常に重要であり、特に、発光波長が赤よりも緑、緑よりも青、青よりも紫外と、短波長になればなるほど、発光デバイスとしての応用の可能性が広がる。例えば、赤色に加えて緑色と青色の発光が可能となれば、いわゆる3原色(赤、緑、青)のフルカラー表示デバイスを実現することができる。



しかしながら、逆に、短波長になればなるほど、発光させることが技術的に難しくなる。少なくとも、従来の多孔質膜の形成方法では、得られるのは赤色発光する多孔質膜のみで、可視から紫外で発光する多孔質膜を直接形成することはできなかった。



このため、1990年にCanham等によって、シリコン基板の表面に形成された多孔質膜が赤色発光することが初めて報告されて以来、今日まで、特に発光波長の短波長化に関する、涙ぐましい努力が続けられている。そして、これまでに報告された発光波長の制御方法としては、以下の(1)~(3)の方法がある。
(1)陽極化成法で作製した多孔質半導体膜の酸化
多孔質シリコン膜を酸化することで、発光波長が短波長側にシフトする。酸化方法としては、(a)熱酸化(非特許文献3)、(b)空気中放置による自然酸化(非特許文献4)、(c)陽極化成時に、フッ化水素とアルコールとを混合した電解液に金属亜鉛を溶解させることで、多孔質シリコン膜を効率的に酸化させる(非特許文献5)、等の方法がある。
(2)陽極化成法で作製した多孔質半導体膜の微細化
化学薬品によるエッチングや電解エッチングにより、陽極化成法で作製した多孔質部分を腐食溶解させて微細化することにより、量子サイズ効果に起因した発光の短波長側へのシフトを起こさせる(非特許文献6,7)。
(3)陽極化成法で作製した多孔質半導体膜の異種物質での被覆
多孔質シリコン膜の表面を、PbとZr、Tiの酸化物であるPb(ZrxTi1-x)O3でコーティングすることにより、発光特性が赤色発光から青色発光に変化する(非特許文献8)。同様に、多孔質シリコン膜をMnO2で被覆することにより、赤色発光が赤色および紫外の2色発光に変化する(非特許文献9)。但し、紫外発光の起源は不明であり、多孔質シリコン膜からの発光ではなくて、MnO2からの本質的ではない発光の可能性も考えられる。



陽極化成法で作製した多孔質シリコン膜を上記(2)の方法で微細化した例を、図9を参照して説明する。シリコン基板をフッ化水素水溶液とアルコールとの混合溶液による陽極化成法で多孔質化し、その後多孔質表面を化学薬品による酸化とフッ化水素による酸化膜の除去の工程を繰り返すことで、多孔質部分の微細化を段々に進めながら、発光スペクトルの変化を測定した。



図9中、(a)は、陽極化成直後の多孔質シリコン膜の発光スペクトルである。(b)~(g)は、酸化と酸化膜除去により微細化した多孔質シリコン膜の発光スペクトルであり、特に(g)は、酸化と酸化膜除去を最も多く繰り返して微細化した多孔質シリコン膜の発光スペクトルである。この図9から、多孔質部分の微細化によって、赤色から緑色へと発光スペクトルのピーク波長がシフトし、短波長化が図られていることが分かる。この例のように、微細化が理想的に進めば、短波長化が可能となり、赤色から緑色だけでなく、もっと短波長の青色まで、広範囲に発光波長が制御される。

【特許文献1】特開2002-93775公報

【非特許文献1】N. Noguchi and I. Suemune, Appl. Phys. Lett. Vol. 62, p. 1429, 1993年

【非特許文献2】L. T. Canham, Appl. Phys. Lett. Vol. 57, p. 1046, 1990年

【非特許文献3】H. Mimura et al., Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 33, p. 586, 1994年

【非特許文献4】T. Maruyama and S. Ohtani, Appl. Phys. Lett. Vol. 65, p. 1346, 1994年

【非特許文献5】K. Y. Suh et al., J. Electrochem. Soc. Vol. 148, p. C439, 2001年

【非特許文献6】T. Moriguchi et al., J. Electrochem. Soc. Vol. 147, p.602, 2000年

【非特許文献7】M. V. Wolkin et al., Phys. Rev. Lett. Vol. 82, p. 197, 1999年

【非特許文献8】Q. W. Chen et al., Appl. Phys. Lett. Vol. 82, p. 1018, 2003年

【非特許文献9】Q. Chen et al., Appl. Phys. Lett. Vol. 77, p. 854, 2000年

産業上の利用分野


本発明は、多孔質半導体膜の形成方法に関し、詳しくは、シリコン基板に可視から紫外での発光が可能な多孔質膜を形成するための多孔質半導体膜の形成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルカリ性を示すフッ化塩の水溶液にシリコン基板を浸漬し、
浸漬されたシリコン基板に電流を印加せずに該シリコン基板の基板面に光を照射し、
該基板面に可視から紫外で発光可能な多孔質半導体膜を形成する、
多孔質半導体膜の形成方法。

【請求項2】
前記塩が、アルカリ金属塩である請求項1記載の多孔質半導体膜の形成方法。

【請求項3】
前記塩が、アンモニウム塩又はヒドラジニウム塩である請求項1記載の多孔質半導体膜の形成方法。

【請求項4】
前記光が、シリコン基板に吸収される光の波長以下の波長の光である請求項1~3のいずれか1項に記載の多孔質半導体膜の形成方法。

【請求項5】
前記塩が、LiF、NaF、KF、RbF,CsF、NHF、及びNFからなる群から選択された1種または複数種の塩である請求項1記載の多孔質半導体膜の形成方法。
産業区分
  • 固体素子
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004331166thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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