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リン含有高分子固定化パラジウム触媒およびその使用 コモンズ

国内特許コード P06P004029
整理番号 E076P49
掲載日 2006年11月2日
出願番号 特願2005-240807
公開番号 特開2006-231318
登録番号 特許第4576584号
出願日 平成17年8月23日(2005.8.23)
公開日 平成18年9月7日(2006.9.7)
登録日 平成22年9月3日(2010.9.3)
優先権データ
  • 特願2005-023698 (2005.1.31) JP
発明者
  • 小林 修
  • 杉浦 正晴
  • 西尾 亮
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 リン含有高分子固定化パラジウム触媒およびその使用 コモンズ
発明の概要 【課題】 本発明は、パラジウム触媒を両親媒性のリン含有架橋性高分子中に固定することにより調整された高分子固定化パラジウム触媒とこの触媒を用いた有機合成反応方法を提供する。
【解決手段】 パラジウムを架橋高分子に担持させてなる高分子固定化パラジウム触媒であって、該架橋高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖、架橋基、及び-PR(式中、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)で表されるリン含有基を有する架橋性高分子を架橋させてなることを特徴とする高分子固定化パラジウム触媒である。この高分子担持パラジウム触媒は、例えば良溶媒中に溶解した該架橋性高分子とパラジウム化合物の溶液に貧溶媒を加えて相分離を生じさせることにより、該架橋性高分子に該パラジウムの超微粒子を担持したミセルを形成した後、該架橋性高分子を架橋反応に付すことによって形成されることが好ましい。この触媒は、鈴木-宮浦カップリング反応やアルキンのアルケンへの選択的水素化反応に用いることができる。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


高分子固定化触媒を用いる反応は、触媒と生成物との分離が容易であり、触媒の回収・再使用が可能になるため経済性、資源の有効利用、環境保全の観点から着目されている。しかし、一般的に均一系で使用する触媒を不溶性の担体に固定した場合、触媒活性や反応の選択性が低下する場合が多い。また、固定した触媒が反応時や後処理時に担体から漏出する問題もしばしば生ずる。そこで、高活性、高選択性、安定で使用時に触媒の漏出が起こらない触媒の担体への固定化法が求められている。



本発明者らは、パラジウム、スカンジウム、オスミウム、ルテニウムなどの金属を物理的、あるいは静電的相互作用を利用して芳香族系高分子上に固定化する、全く新しい金属の固定化法(マイクロカプセル化法)を開発した(特許文献1~2、非特許文献1)。その後、この手法はパラジウムにおいて、高分子鎖を架橋することなどの改良により、より高機能を有する触媒の調整法に発展している。すなわち、側鎖にエポキシ基及び水酸基を有する架橋性高分子に、マイクロカプセル化法でパラジウムを固定した後、無溶媒条件下、加熱することで容易に架橋反応が進行し、通常の溶媒に不溶の"高分子固定化パラジウム触媒"が得られる(特許文献3、非特許文献2~4)。この高分子固定化パラジウム触媒は、従来の高分子固定化パラジウム触媒に比べると、パラジウムクラスターのサイズが小さいことにより高活性であり、架橋していることから耐溶剤性に優れ、金属の漏出が無く、回収再使用が容易である。この触媒を水素化反応に用いるとアルキンは速やかにアルカンに還元される。



一方、パラジウムは遷移金属触媒の中でも最も古くから用いられている代表的な触媒であり、反応の種類も多い。代表的な不均一系パラジウム触媒として、接触還元等に用いられているパラジウム活性炭があるが、このものはアルキンのアルカンへの還元には有効であるがアルケンを得る目的には適さない。
アルキンからアルケンへの還元は医薬品や農薬などの製造過程でしばしば必要であり、この目的のためにはパラジウム系の不均一系触媒、中でもパラジウム-炭酸カルシウムを酢酸鉛(II)で被毒したLindlar(リンドラー)触媒が最も用いられており、アセチレン化合物の部分水素化に高選択性を示すことがよく知られている(非特許文献5)。また、粘土であるモンモリロナイト中にジフェニルホスフィノ基を導入しパラジウムを配位させた触媒が同様の反応において高い選択性を示すことが報告されている(非特許文献6)。しかし、これらの触媒は、選択性は優れているものの、触媒の回収・再使用が困難、あるいは鉛を用いる点で環境保護の観点から問題が残されている。



また、近年パラジウム触媒を用いた様々な反応が開発されている。例えば、鈴木-宮浦カップリング反応、Heck反応、薗頭アセチレンカップリング反応、Stilleクロスカップリング反応などの炭素-炭素結合形成反応や、アリル位置換反応、Buchwald-Hartwigクロスカップリング反応(アミノ化反応)などは有機合成上重要な反応となっている。なお、これらの反応の多くはホスフィン配位子を必要とする。
これらの反応に対しても様々な固定化パラジウム触媒(非特許文献7)が検討されているが、先に述べたような触媒の固定化による様々な問題により実用化されたものは少ない。
一方、本発明者らが開発した、マイクロカプセル化法と芳香族性高分子の架橋反応を用いて製造した高分子固定化パラジウム触媒は、パラジウムクラスターのサイズが小さため高活性であり、パラジウムの漏出も少なく、様々な反応に有効である。本固定化パラジウム触媒においてパラジウムは0価で、ホスフィンフリーの状態で固定されているため、これを用いる反応ではホスフィンの外部添加が有効である。しかし、ホスフィンを外部添加した場合、反応終了後に生成物とホスフィン配位子を分離する操作が必要となり、回収した触媒を再使用する際には再度ホスフィンの外部添加が必要となる(非特許文献4)。
【特許文献1】
特開2002-66330
【特許文献2】
特開2002-253972
【特許文献3】
WO2004/024323
【非特許文献1】
Kobayashi, S.; Akiyama, R. Chem. Commun. 2003, 449.
【非特許文献2】
Akiyama, R., Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 3412.
【非特許文献3】
K.Okamoto et al. J.Org.Chem. 69, 2871(2004).
【非特許文献4】
K.Okamoto et al. Org.Lett. 6, 1987(2004).
【非特許文献5】
Suzuki, T. et al. Tetrahedron Lett. 42, 65(2001).
【非特許文献6】
J. Org. Chem. 54, 2998(1989).
【非特許文献7】
Uozumi, Y. Topics in Current Chemistry, 242, 77-112 (2004).

産業上の利用分野


本発明は、パラジウム触媒を両親媒性の架橋ポリスチレン系高分子中に固定することにより調整された高分子固定化パラジウム触媒及びこの触媒を用いる選択的な水素化反応方法、更に鈴木-宮浦カップリング反応に関し、より詳細には、前者はアルキンのアルケンへの選択的水素化反応、後者は有機ホウ素化合物ハロゲン化アリールとのクロスカップリング反応によるビアリール化合物、アルキルアリール化合物又は置換オレフィンの合成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
パラジウムを架橋高分子に担持させてなる高分子固定化パラジウム触媒であって、該架橋高分子が、芳香族側鎖及び親水性側鎖を有し、更に架橋基及び-PR(式中、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)で表されるリン含有基を有する架橋性高分子とパラジウム前駆体を良溶媒に溶解した後、貧溶媒を加えて相分離を起こすことにより、パラジウムをポリマー凝集物又はミセル様集合体に取り込み、パラジウム前駆体中のパラジウムが0価以外のものである場合には相分離の際に還元処理を行って0価のパラジウムとして固定し、この架橋性高分子を架橋させてなることを特徴とする高分子固定化パラジウム触媒。

【請求項2】
前記架橋性高分子が更に芳香族側鎖以外の疎水性側鎖を有する請求項1に記載の触媒。

【請求項3】
前記架橋性高分子が、
(A)1)芳香族側鎖、親水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、2)芳香族側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、3)架橋基を有する芳香族側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、及び4)芳香族側鎖及び重合性二重結合を有するモノマーの芳香族側鎖に上記リン含有基を有するモノマーを共重合することにより得られる架橋性高分子、
(B)1)疎水性側鎖、架橋基を有する親水性側鎖又は疎水性側鎖、リン含有基を有する親水性側鎖又は疎水性側鎖、及び重合性二重結合を有する少なくとも1種のモノマーを重合又は共重合することにより得られる架橋性高分子(但し、上記疎水性側鎖の少なくともいずれかが芳香族側鎖を含む。)
)、又は
(C)1)疎水性側鎖、架橋基を有する親水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、2)疎水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、及び3)架橋基を有する親水性側鎖又は疎水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマーから成る群から選択される少なくとも2種のモノマー、並びに4)リン含有基を有する疎水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマーを共重合することにより得られる架橋性高分子(但し、上記疎水性側鎖の少なくともいずれかが芳香族側鎖を含む。)
である請求項1又は2に記載の触媒。

【請求項4】
前記パラジウム前駆体が、パラジウムの酸化物、ハロゲン化物又は配位子との錯体である請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。

【請求項5】
前記架橋性高分子が、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基又はチオイソシアネート基を有する側鎖を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。

【請求項6】
前記架橋性高分子が、更に、水酸基、1級若しくは2級のアミノ基又はチオール基を含む側鎖を少なくとも一種有する請求項5に記載の触媒。

【請求項7】
前記架橋性高分子がエポキシ基と水酸基をともに持ち、該高分子を加熱による架橋反応に付すことによって形成された請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。

【請求項8】
前記架橋性高分子が、スチレンを含む重合性モノマーの共重合体である請求項1~7に記載の触媒。

【請求項9】
請求項1~8に記載の触媒の存在下で、R-C≡C-R(式中、R及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表す。)で表されるアルキンを水素化することから成る、R-CH=CH-Rで表されるアルケンの製法。

【請求項10】
請求項1~8に記載の触媒の存在下で、有機ホウ素化合物とハロゲン化アリール又はハロゲン化ビニルとをクロスカップリング反応(鈴木-宮浦カップリング)させることから成るビアリール化合物、アルキルアリール化合物又は置換オレフィン類の製法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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