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電磁超音波探傷・計測方法及び装置

国内特許コード P06A009446
整理番号 11281
掲載日 2006年11月10日
出願番号 特願2005-059502
公開番号 特開2006-242770
登録番号 特許第4117366号
出願日 平成17年3月3日(2005.3.3)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
登録日 平成20年5月2日(2008.5.2)
発明者
  • 徐 陽
  • 田川 明広
  • 上田 雅司
  • 山下 卓哉
出願人
  • 独立行政法人 日本原子力研究開発機構
発明の名称 電磁超音波探傷・計測方法及び装置
発明の概要

【課題】 探触子配置面積を小さくできる利点を有する1つのコイルを用いた1探触子反射法を採用しつつ、時間応答の遅い近距離計測でも、遅い時間応答範囲内の有効信号を抽出し、高感度で被検体の欠陥探傷あるいは材料特性評価を行えるようにする。
【解決手段】 送受信を行う1つのコイルを有する1探触子法により、超音波の送受信を行う。被検体の欠陥部領域で得られる受信波形を計測生信号とし、被検体の健全部領域で得られる受信波形を参照信号として、前記計測生信号と前記参照信号を減算処理することで差分信号波形を取り出し、被検体の欠陥探傷あるいは材料特性評価を行う。参照信号として、計測生信号の計測位置とは異なる欠陥部領域の位置で得られる信号を用いることも有効である。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


超音波探傷・計測装置には各種の超音波変換素子が使用されており、その1つに電磁超音波探触子がある。電磁超音波探触子は、磁石(永久磁石あるいは電磁石)構造とコイルから構成され、導電性を有する被検体の表面近傍に配置するコイルに高周波電流を流し、電磁誘導によって被検体内に誘起される渦電流と探触子に設けた磁石による磁場との相互作用により、被検体内に周期的なローレンツ力を発生させ、格子振動を介して、超音波として被検体内部に伝播させたり、あるいはその逆の原理で超音波信号を受信し、欠陥探傷や被検体の特性評価などを行うデバイスである。この種の電磁超音波探触子は、磁石構造とコイル形状の組合せにより、縦波、横波、表面波、板波など様々なモードの超音波を送受信できる特徴がある。



このような電磁超音波法は、圧電素子超音波法のようにカップラントを必要としないため、非接触で高速移動による探傷や計測が可能であり、導電性被検体であれば、表面粗さや塗布層の存在に影響されず、高温材などにも適応できるため、原子力発電所、化学プラント、鉄鋼分野、鉄道探傷などの分野への応用が盛んに研究されている。



超音波による探傷・計測には反射法と透過法がある。透過法は2つ以上の探触子を必要とするが、反射法では1つの探触子で探傷・計測が可能である(1探触子法)。しかし、電磁超音波探傷・計測では、探触子の特性などにより、反射法を用いた場合も、2探触子法や2探触子法あるいは多数探触子(例えばアレイ式)測定法なども用いられている。



2探触子反射法は、送信探触子と受信探触子を各1個用い、検査目的に合わせて、両探触子を、ある角度あるいは距離をもたせた状態で組み合わせ、被検体の表面に沿って走査しながら探傷や計測を行う方法である。例えば特許文献1には、SH波(水平偏波横波)送受信探触子を各1個用い、ある固定構成角φをなした状態で両探触子をVの形をして1組の電磁超音波探触子を構成し、溶接部の長手方向に対して周波数を走査するだけで突合せ溶接部の全肉厚を探傷する手法が提案されている。ここで「SH波」とは、被検体の表面と平行な偏波面を有する横波のことである。その特徴は、振動方向と平行する反射面での反射によるモード変換がなく、モード変換により生成される縦波・横波の混合エコーモードが無いため、粗大粒や組織多様性及び異方性の大きい溶接部とその熱影響部での減衰が小さく、SN比の向上に有利なことである。



しかし、SH波電磁超音波探触子の指向性は周波数に依存し、周波数変化に伴い、送信探触子の最大音圧位置が変化する。固定構成角φを持つ送受信SH波電磁超音波探触子においては、ある特定の周波数以外、送信探触子から出した超音波の最大音圧位置は受信探触子の受信中心対称面から外れることになる。この送信探触子の超音波最大音圧位置の超音波周波数依存性により、特別な周波数以外に、受信探触子は最大受信信号を得ることができないので、この構造は最適な探触子配置とは言えない。



このように2探触子法は、基本的に固定周波数での送受信を行うため、超音波指向性が一定であり、正確に検査・計測を行うためには、機械的に探触子を走査する必要がある。そのため、電磁超音波探触子を含む探傷・計測装置全体の重量と寸法が大きくなる。原子力発電所や化学プラントなど、狭い箇所における探傷・計測においては、このような2探触子法では探触子配置面積の要求を満足できない場合も多い。



そのような問題を解決できる方法として、送受信を1つのコイルで行う1探触子法がある(特許文献2参照)。これは、高周波電流をコイル(この場合は発信コイルとして機能する)に供給することで被検体表面から超音波を送信し、欠陥や被検体表面などで反射した超音波を同じコイル(この場合は受信コイルとして機能する)によって電気信号に変換し、受信した信号波形によって欠陥の有無を判断したり、伝播時間などを計測して材料の特性などを評価する方法である。しかし、従来の1コイル1探触子反射法は、SN比が悪く、ゲインも劣る。しかも、1探触子法は2探触子法より不感帯が大きく、時間応答が悪いため、近距離測定において測定信号を直接に見つけることが困難であるという問題がある。

【特許文献1】特開平1-248052号公報

【特許文献2】特開昭62-277555号公報

産業上の利用分野


本発明は、超音波の送受信を1つのコイルで行う1探触子反射法による電磁超音波探傷・計測方法及び装置に関し、更に詳しく述べると、金属材料など導電性材料の電磁誘導原理を利用して超音波を送受信し、信号差分処理を施すことで近距離欠陥探傷あるいは材料特性計測などを可能とした電磁超音波探傷・計測方法及び装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
送受信を行う1つのコイルを有する1探触子反射法により、導電性材料の電磁誘導原理を利用して超音波の送受信を行い、被検体の非破壊検査を行う方法において、
被検体の欠陥部領域あるいは反射体のある領域で得られる受信波形を計測生信号とし、その計測生信号の計測位置に対して超音波送受信方向に沿ってシフトしている異なる計測位置で得られる受信波形を参照信号として、前記計測生信号と前記参照信号を順次減算処理することでシフト距離の異なる参照信号の計測位置に応じた差分信号波形を取り出し、欠陥信号のレベルが最も大きくなるシフト距離を参照して、その減算処理後の差分信号波形を用いて被検体の欠陥探傷あるいは材料特性評価を行うようにしたことを特徴とする電磁超音波探傷・計測方法。

【請求項2】
請求項1記載の電磁超音波探傷・計測方法に用いる装置であって、送受信を行う1つのコイルを有する1つの電磁超音波探触子と、前記コイルに高周波電流を供給すると共に該コイルからの電気信号を受信する信号採取部と、受信した電気信号の信号波形を処理するデータ処理部と、計測結果を表示する表示部を具備し
前記データ処理部は、被検体の欠陥部領域あるいは反射体のある領域で得られる受信波形を計測生信号として記憶させる第1の信号記憶装置と、前記計測生信号の計測位置に対して超音波送受信方向に沿ってシフトしている異なる位置で得られる受信波形を参照信号として記憶させる第2の信号記憶装置と、前記第1の信号記憶装置に記憶した計測生信号と前記第2の信号記憶装置に記憶した参照信号との間で減算処理を行い差分信号波形を取り出す減算器を具備すると共に、該減算器で得られる差分信号波形を保存するデータ生成装置、及び前記データ生成装置の差分信号波形を解析する信号判断装置を具備し、前記データ生成装置の差分信号波形を表示部で表示すると共にデータ生成装置の差分信号波形を用い欠陥信号のレベルが最も大きくなるシフト距離を参照して被検体の欠陥探傷あるいは材料特性評価を行うようにしたことを特徴とする電磁超音波探傷・計測装置。

【請求項3】
信号判断装置は、データ生成装置からの差分信号波形について信号レベルを決定する信号レベル決定装置とノイズレベルを決定するノイズレベル決定装置、及び前記信号レベル決定装置で決定した信号レベルと前記ノイズレベル決定装置で決定したノイズレベルを用いて両者の信号ノイズ比を求めるSN比決定装置を具備し、該SN比決定装置で決定したSN比の結果を表示部で表示する請求項記載の電磁超音波探傷・計測装置。

【請求項4】
信号判断装置は、欠陥寸法・過去の探傷結果データベース、材料劣化データベース、あるいは材料特性評価データベースなどのデータベースを装備すると共に、信号レベル決定装置で得られる信号レベル及びデータ生成装置で保存した差分信号波形とデータベースに保存された信号レベルデータ及び信号波形データとを比較するための比較判断装置を装備し、該比較判断装置で得られる比較判断結果を表示部で表示する請求項記載の電磁超音波探傷・計測装置。


産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005059502thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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