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弱毒ズッキーニ黄斑モザイクウイルスを用いたウリ科作物ウイルス病の防除方法

国内特許コード P06A009457
掲載日 2006年11月17日
出願番号 特願2004-052855
公開番号 特開2004-283164
登録番号 特許第4045358号
出願日 平成16年2月27日(2004.2.27)
公開日 平成16年10月14日(2004.10.14)
登録日 平成19年11月30日(2007.11.30)
優先権データ
  • 特願2003-054736 (2003.2.28) JP
発明者
  • 小坂 能尚
  • 夏秋 知英
  • 塩見 寛
  • 安原 寿雄
出願人
  • 京都府
  • 国立大学法人宇都宮大学
  • 株式会社微生物化学研究所
発明の名称 弱毒ズッキーニ黄斑モザイクウイルスを用いたウリ科作物ウイルス病の防除方法
発明の概要 【課題】 ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)によるウイルス病の防除効果に優れ、接種による副作用的な減収のない弱毒ZYMV、及びこれを利用したウリ科作物のウイルス病の防除方法を提供する。
【解決手段】 ZYMVの強毒株から低温処理等の突然変異処理により選抜した特定のアミノ酸配列をコードするゲノムRNAを持つ弱毒ZYMV 2002株であり、特に、ゲノムRNAによりコードされるアミノ酸配列の350番目がトレオニン、636番目がセリン、733番目がセリン、761番目がアルギニンであることを特徴とする弱毒ウイルスである。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


キュウリ、ズッキーニ、カボチャなどのウリ科作物では、わが国のみならず世界において、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(Zucchini yellow mosaic virus)(以下、ZYMVという場合がある)による被害が著しい。このウイルスは、ポティウイルス(Potyviridae)科のポティウイルス(Potyvirus)属に分類されるウイルスであり、そのゲノムは、(+)極の一本鎖RNAであることが知られている(Urcuqui-Inchima,S et.al.(2001), Potyvirus protein: a wealth of functions, Virus Reseach, 74, p.157-175)。



ZYMVの感染を防ぐには、媒介虫であるアブラムシに対する殺虫剤の散布や忌避・遮断資材の利用が一般的に行われているが、その効果は不十分である。そのため、現在のところ、弱毒ウイルスの利用が最も有効な手段の一つとされ、世界各国で開発が進められている。ここで、弱毒ウイルスとは、感染した植物において病徴が軽微かほとんど病徴を現さない弱病原性で、かつ、同種類の強毒ウイルスに対する干渉効果を持つウイルスのことをいう。



これまでに、ZYMVの被害を防ぐために実用化されている弱毒ウイルスは世界でもわずか2種類に過ぎない(下記非特許文献1)(小坂能尚(1999),弱毒ウイルスによるウイルス病害防除の歩みと展望,バイオコントロール研究会レポート6,p.61-65)。



このうちの一つであるZYMV-WK株は、現在、イスラエルのウリ科野菜類で広く使われており(Yarden,G. et al.(2000), Cross-protection of cucurbitaceae from zucchini yellow mosaic potyvirus, Proc. cucurbitaceae 2000, Eds.N.Katzir & H.S.Paris, Acta Hort. 510, ISHS 2000, p.349-356)、また、アミノ酸解析によりヘルパーコンポーネントプロテアーゼ(HC-Pro)領域におけるFRNKモチーフの変異が弱病原性に関与しているとの報告もなされている(下記非特許文献2)。しかし、一方では、地域が異なるとそこで発生している強毒ウイルス系統には防除効果が十分に発揮されない可能性が示されている(Wang,H.L.et al.(1991), Effectiveness of cross protection by a mild strain of zucchini yellow mosaic virus in cucumber, melon, and squash, Plant Disease, Vol.75 No.2, p.203-207)。この実例は、ZYMVとごく近縁のパパイア輪点ウイルスでも報告されている(Huogen,X. et al.(1995), Studies on the cross-protection among strains of papaya ringspot virus and its application in the disease control, Proc. Int. workshop on the pest management strategies in Asian monsoon groecosystems, p.281-291)。



もう一つの弱毒ZYMVは、平成7年に京都府で開発し、府内のキュウリで利用されているZY95株であるが、ここ数年、その接種苗の導入面積は約1haに止まっている。この大きな要因の一つには、ZY95株が沖縄県から分離されたZYMVに由来するものであるため、京都府内で発生している強毒ウイルス系統に対する干渉効果が不十分なこと、さらに生育後半からそれ自体の病徴が現れるため、接種していない健全なキュウリよりも1~2割減収し、そのため強毒ZYMVの発生が少なかった場合に生じるリスクが大きいことが挙げられる(下記非特許文献3)(小坂能尚(1997),キュウリ萎ちょう症を予防する弱毒ウイルス接種技術,農耕と園芸,52(4),p.91-93)。
【非特許文献1】
Lecoq,H,Control of plant virus disease by cross protection,“Plant virus disease control”,(米国),APS Press,1998年,p.33-40
【非特許文献2】
Gal-On,A,A point mutation in the FRNK motif of the potyvirus helper component-protease gene alters symptom expression in cucurbits and elicits protection against the severe homologous virus,“Phytopathology”,(米国),2000年,Vol.90 No.5, p.467-473
【非特許文献3】
Kosaka,Y. and Fukunishi,T.,Multiple Inoculation with Three Attenuated Viruses for the Control of Cucumber Virus Disease,“Plant Disease”,(米国),1997年,Vol.81 No.7, p.733-738

産業上の利用分野


本発明は、ズッキーニ黄斑モザイクウイルスによるウリ科作物のウイルス病を防ぐ弱毒ウイルスとこれを利用したウイルス病の防除方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号2のアミノ酸配列をコードするRNAを有する弱毒ズッキーニ黄斑モザイクウイルス。

【請求項2】
下記(A)、(B)及び(C)のRNAを有する弱毒ズッキーニ黄斑モザイクウイルス。
(A) 配列番号3のアミノ酸配列をコードするRNA、又は、
配列番号3のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であって、アミノ酸番号40に相当するアミノ酸がトレオニン、アミノ酸番号326に相当するアミノ酸がセリン、アミノ酸番号423に相当するアミノ酸がセリン、及びアミノ酸番号451に相当するアミノ酸がアルギニンであるアミノ酸配列からなり、かつヘルパーコンポーネントプロテアーゼ活性を持つタンパク質をコードするRNA。
(B) 配列番号4のアミノ酸配列をコードするRNA、又は、
配列番号4のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であって、アミノ酸番号100に相当するアミノ酸がトレオニンであるアミノ酸配列からなり、かつRNAヘリカーゼ活性を持つタンパク質をコードするRNA。
(C) 配列番号5のアミノ酸配列をコードするRNA、又は、
配列番号5のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であって、アミノ酸番号33に相当するアミノ酸がセリンであるアミノ酸配列からなり、かつRNA依存RNAポリメラーゼ活性を持つタンパク質をコードするRNA。

【請求項3】
下記のRNAを有する弱毒ズッキーニ黄斑モザイクウイルス。
配列番号3のアミノ酸配列をコードするRNA、又は、
配列番号3のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であって、下記(D1)~(D3)のいずれかを満足するアミノ酸配列からなり、かつヘルパーコンポーネントプロテアーゼ活性を持つタンパク質をコードするRNA。
(D1)アミノ酸番号40に相当するアミノ酸がトレオニン、アミノ酸番号326に相当するアミノ酸がセリン、及びアミノ酸番号423に相当するアミノ酸がセリンであること。
(D2)アミノ酸番号40に相当するアミノ酸がトレオニン、アミノ酸番号326に相当するアミノ酸がセリン、及びアミノ酸番号451に相当するアミノ酸がアルギニンであること。
(D3)アミノ酸番号40に相当するアミノ酸がトレオニン、アミノ酸番号326に相当するアミノ酸がセリン、アミノ酸番号423に相当するアミノ酸がセリン、及びアミノ酸番号451に相当するアミノ酸がアルギニンであること。

【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の弱毒ズッキーニ黄斑モザイクウイルスをウリ科作物に接種することを特徴とするウリ科作物ウイルス病の防除方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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