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微生物群集、人工培地、微生物群集組成物、微生物群集の活性維持・増強方法、汚染土壌の浄化方法、土壌汚染物質の拡散防止方法 コモンズ

国内特許コード P06P004080
整理番号 NU-0054
掲載日 2006年12月8日
出願番号 特願2005-146279
公開番号 特開2006-320249
登録番号 特許第4820983号
出願日 平成17年5月19日(2005.5.19)
公開日 平成18年11月30日(2006.11.30)
登録日 平成23年9月16日(2011.9.16)
発明者
  • 片山 新太
  • 馬場 大輔
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 微生物群集、人工培地、微生物群集組成物、微生物群集の活性維持・増強方法、汚染土壌の浄化方法、土壌汚染物質の拡散防止方法 コモンズ
発明の概要

【課題】 PCB等の広範囲な同族体に対して長期的に維持可能な分解活性を示す微生物群集と、この分解活性を更に増強できる人工培地とを提供する。
【解決手段】 芳香族塩素化合物で汚染されていない湿地還元層土壌、特に水田のグライ層土壌に芳香族塩素化合物を投与し、嫌気的条件下で土壌中培養して得られる、多環芳香族塩素化合物の2塩素化物ないし6塩素化物に対する脱塩素活性が高い微生物群集。活性炭、無機質材料製ビーズの集積体又は焼成土等の孔隙に富む多孔質材料を主材とする人工培地。
【選択図】 図3

従来技術、競合技術の概要


周知のように、PCBやダイオキシン類によって代表される芳香族塩素化合物は生物毒性のある合成化学物質であるが、物理化学的に非常に安定であるため、環境中における長期残留問題を引き起こしている。



近年、芳香族塩素化合物を高濃度に含有する土砂等の廃棄物に対して、物理・化学的方法を中心に各種の処理技術の開発が進められている。一方、芳香族塩素化合物の排出源とは直接に関係しない通常の土壌中にも、主に河床や底質層等の嫌気的環境において、低濃度ではあるがPCB等の芳香族塩素化合物が広範囲に残留している。そして、これらが種々の経路を通じて生物体へ高濃度に蓄積することが懸念されている。



土壌中等に低濃度に残留するPCB等の浄化に当たっては、いわゆるバイオレメディエーション等の微生物分解技術が期待されている。これらの微生物分解技術においては、要するに、多様な微生物からなる微生物群集が土壌中で芳香族塩素化合物の嫌気的分解(少なくとも脱塩素反応)を行うものと理解される。そして、土壌中での低濃度汚染物質の浄化と言う点を考えたとき、原位置浄化が可能で設備投資も少なくて済む微生物分解技術は、コスト的に有利である。



芳香族塩素化合物に対する微生物分解技術に関する従来技術としては、例えば以下の非特許文献1~非特許文献5又は特許文献1を挙げることができる。



下記の非特許文献1、非特許文献2には嫌気性USAB( Upflow Anaerobic
Sludge Blanket)反応装置によるPCB嫌気性分解の報告がある。但し、その嫌気性分解を行う微生物は特定されていない。




【非特許文献1】Natarajan, M. et al., "Dechlorination of spikedPCBs in lake sediment by anaerobic microbial granules" Water Res, 32,3013-3020(1998)

【非特許文献2】Nollet, H. et al., "Carbon/electron sourcedependense of polychlorinated biphenyl dechlorination pathways foranaerobic granules" Chemosphere, 58, 299-310(2005) 下記の非特許文献3その他の幾つかの報告において、芳香族塩素化合物の嫌気的分解活性を持つ微生物群集が報告されている。但し、いずれの報告においても微生物群集の分解活性の安定的な維持に関しては困難を伴っている様子であり、その後の発表がない。




【非特許文献3】Mohn, N. W. et al., "Microbial reductivedehalogenation" Microbial Rev., 56, 482-507(1992) 下記の非特許文献4、非特許文献5においてはPCE(テトラクロロエチレン)やクロロベンゼンの脱塩素活性を持つ Dehalococcoides属細菌がPCBの幾つかの同族体を脱塩素することを報告している。但し、それらの同族体は、例えば 2,3,4,5,6-PeCB 等の、片側のフェニル基のみに塩素が結合したタイプのものに限られている。




【非特許文献4】Fennel, D. E. et al., "Dehalococcoidesethanogenes Strain195 reductively dechlorinates diverse ChlorinatedAromatic pollutants" Environ. Sci. Technol., 38, 2075-2081(2004)

【非特許文献5】Adrian, L. et al., "Bacterial dehaloresirationwith Chlorinated benzenes" Nature, 408, 580-583(2000) 下記の特許文献1には、難分解性の有機塩素農薬PCNBを分解する好気性細菌ブルクホルデリアセパシアを、砕片化多孔質材に集積させる技術が開示されている。但し、この細菌が多環芳香族塩素化合物であるPCBやダイオキシン類の分解に有効か否かは不明である。又、好気性細菌は還元的な環境の多い汚染土壌の浄化には使用し難いと考えられる。




【特許文献1】特開平 11-318435(特願平 10-135156)

産業上の利用分野


本発明は、各種のPCB(ポリ塩化ビフェニル)やいわゆるダイオキシン類等の芳香族塩素化合物に対して嫌気的分解活性を示す微生物群集に関する。更に、本発明は、このような微生物群集の分解活性の維持・増強に有効な人工培地と、この人工培地に上記の微生物群集を接種してなる微生物群集組成物とに関する。更に、本発明は、芳香族塩素化合物で汚染された土壌に対する上記の微生物群集や微生物群集組成物の有効な利用に関する。



なお「ダイオキシン類」とは、社会通念に従い、ポリ塩化ベンゾパラジオキシン(慣用名ダイオキシン)やポリ塩化ベンゾフラン(PCDF)を言う。PCBの内、コプラナーPCB(Co-PCB: 2,6-位に塩素が結合していない平面性PCB)も「ダイオキシン類」に含まれる。PCBやダイオキシン類等の多環芳香族塩素化合物(芳香環を2つ又はそれ以上持つ芳香族塩素化合物)は、芳香族塩素化合物の内でも、とりわけ難分解性である。

特許請求の範囲 【請求項1】
芳香族塩素化合物で汚染されていない水田のグライ層土壌の土壌微生物群集に芳香族塩素化合物を投与し、嫌気的条件下で土壌中培養することによって得られる微生物群集であって、下記の(1)の分解活性を示し、更に下記の(2)及び/又は(3)に該当する分解活性維持能力を示すものであることを特徴とする微生物群集。
(1)少なくとも多環芳香族塩素化合物を包含する芳香族塩素化合物に対する嫌気的分解活性を示す。
(2)殺菌土壌に対する5回以上の継代培養を繰り返しても初期分解活性以上の分解活性を維持できる。
(3)初期分解活性以上の分解活性を10ケ月以上維持できる。

【請求項2】
前記(1)の分解活性を示す土壌微生物群集が前記土壌中培養を4ケ月以上行うことにより得られるものであり、前記(1)~(3)の分解活性及び分解活性維持能力を示す土壌微生物群集が前記土壌中培養を10ケ月以上行うことにより得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の微生物群集。

【請求項3】
芳香族塩素化合物で汚染されていない水田のグライ層土壌の土壌微生物群集に芳香族塩素化合物を投与し、嫌気的条件下で土壌中培養することによって得られる、少なくとも多環芳香族塩素化合物を包含する芳香族塩素化合物に対して嫌気的分解活性を示す微生物群集であって、優占種として少なくとも Clostridium属の嫌気的微生物を含み、かつ、以下の(4)及び/又は(5)に該当することを特徴とする微生物群集。
(4)キノンプロファイル法による微生物群集構造解析においてメナキノン6,7のみが検出される。
(5)主として、δ,ε-サブクラスのプロテオバクテリアに属する微生物からなる。

【請求項4】
芳香族塩素化合物で汚染されていない水田のグライ層土壌の土壌微生物群集に芳香族塩素化合物を投与し、嫌気的条件下で土壌中培養することによって得られる、少なくとも多環芳香族塩素化合物を包含する芳香族塩素化合物に対して嫌気的分解活性を示す微生物群集であって、その分解反応の主反応として芳香環のメタ位及びパラ位における脱塩素反応を起こし、かつ、汚染土壌中で検出される芳香族塩素化合物の主体をなす2塩素化物~6塩素化物のいずれに対しても脱塩素活性を示すことを特徴とする微生物群集。

【請求項5】
前記芳香族塩素化合物の2塩素化物~6塩素化物に対する脱塩素活性が、下記の式に定義する脱塩素化率として5%以上の値を示すものであることを特徴とする請求項4に記載の微生物群集。
脱塩素化率(%)=〔1-(培養後全塩素化量/培養前全塩素化量)〕×100
(上記の式において、「全塩素化量」は、培地中の芳香族塩素化合物の2、3、4、5、6塩素化物のそれぞれの含有量を2P、3P、4P、5P、6Pであると規定した場合、(2P×2)、(3P×3)、(4P×4)、(5P×5)、(6P×6)の総和で与えられる。又、「培養前全塩素化量」、「培養後全塩素化量」とは、それぞれ、微生物群集の培養開始直前及び56日間の培養後における培地の全塩素化量を言う。)

【請求項6】
芳香族塩素化合物に対して嫌気的分解活性を示す微生物群集を接種するために調製される人工培地であって、任意の微生物培地と、これに対して添加される、孔隙に富む多孔質材料である人工生息場材とからなり、接種された微生物群集の嫌気的分解活性を10ケ月以上維持させ、及び/又は、2倍以上に増強させることができるものであることを特徴とする人工培地。

【請求項7】
前記多孔質材料が、活性炭、無機質材料製ビーズの集積体又は焼成土であることを特徴とする請求項6に記載の人工培地。

【請求項8】
前記多孔質材料の平均孔隙径が10~800μmの範囲内であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の人工培地。

【請求項9】
前記多孔質材料に金属粉が混合されていることを特徴とする請求項6~請求項8のいずれかに記載の人工培地。

【請求項10】
前記金属粉が鉄粉又はチタン粉であることを特徴とする請求項9に記載の人工培地。

【請求項11】
芳香族塩素化合物で汚染されていない水田のグライ層土壌の土壌微生物群集に芳香族塩素化合物を投与し、嫌気的条件下で土壌中培養することによって得られる、少なくとも多環芳香族塩素化合物を包含する芳香族塩素化合物に対して嫌気的分解活性を示す微生物群集を、請求項6~請求項10のいずれかに記載の人工培地に接種して嫌気条件下で培養したものであることを特徴とする微生物群集組成物。

【請求項12】
前記微生物群集の嫌気的分解活性が接種後10ケ月以上維持され、及び/又は、接種後2倍以上に増強されていることを特徴とする請求項11に記載の微生物群集組成物。

【請求項13】
前記請求項11又は請求項12において規定された微生物群集が請求項1~請求項5のいずれかに記載の微生物群集であることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の微生物群集組成物。

【請求項14】
芳香族塩素化合物で汚染されていない水田のグライ層土壌の土壌微生物群集に芳香族塩素化合物を投与し、嫌気的条件下で土壌中培養することによって得られる、少なくとも多環芳香族塩素化合物を包含する芳香族塩素化合物に対して嫌気的分解活性を示す微生物群集を、請求項6~請求項10のいずれかに記載の人工培地に接種して嫌気的条件下で培養することにより、接種前における微生物群集の嫌気的分解活性を10ケ月以上維持させ、及び/又は、2倍以上に増強させることを特徴とする微生物群集の活性維持・増強方法。

【請求項15】
前記請求項14において規定された微生物群集が請求項1~請求項5のいずれかに記載の微生物群集であることを特徴とする請求項14に記載の微生物群集の活性維持・増強方法。

【請求項16】
芳香族塩素化合物で汚染された土壌に対して、請求項1~請求項5のいずれかに記載の微生物群集又は請求項11~請求項13のいずれかに記載の微生物群集組成物を散布又は混合することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。

【請求項17】
芳香族塩素化合物で汚染された土壌地域に対して、請求項1~請求項5のいずれかに記載の微生物群集又は請求項11~請求項13のいずれかに記載の微生物群集組成物を含むバリヤー層を、当該土壌地域の周囲の土壌中に上下方向に構築し、及び/又は、当該土壌地域の底層の土壌中に水平方向に構築し、前記バリヤー層の外側への芳香族塩素化合物の拡散を防止することを特徴とする土壌汚染物質の拡散防止方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 処理操作
  • 微生物工業
  • 廃棄物処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005146279thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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