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サメ軟骨のコンドロイチン硫酸由来の硫酸化八糖 コモンズ

国内特許コード P06P003873
整理番号 A261P18
掲載日 2007年1月9日
出願番号 特願2005-165699
公開番号 特開2006-335987
登録番号 特許第5344783号
出願日 平成17年6月6日(2005.6.6)
公開日 平成18年12月14日(2006.12.14)
登録日 平成25年8月23日(2013.8.23)
発明者
  • 菅原 一幸
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 サメ軟骨のコンドロイチン硫酸由来の硫酸化八糖 コモンズ
発明の概要 【課題】 種々の生物活性をもつコンドロイチン硫酸の構造と機能を解明するための研究用試薬として有用な新規硫酸化オリゴ糖を提供すること。
【解決手段】 サメ軟骨のコンドロイチン硫酸(CS-C)を出発材料とし、ヒアルロニダーゼを用いて断片化して得られた八糖画分を陰イオン交換クロマトグラフィーでさらに分画することによって八糖の硫酸化オリゴ糖を含む複数の画分を調製した。各画分に含まれる硫酸化オリゴ糖について構造解析を行い、17種類の新規硫酸化八糖の構造を決定した。これらの硫酸化八糖は、種々の抗コンドロイチン硫酸抗体(CS-56、MO-225、2H6およびLY111)のエピトープ構造の解析に有用であった。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


ヘパラン硫酸 (HS) と同様に、コンドロイチン硫酸 (CS) やデルマタン硫酸 (DS) はグリコサミノグリカン (GAG) の一種であり、コアタンパク質に共有結合した形でプロテオグリカン (PG) として合成され(非特許文献1-3)、あらゆる組織の細胞表面や細胞外マトリックスに存在している。さらに、こうしたCS/DS-PGsは、哺乳類の脳の構成成分であり、神経細胞の接着、移動、分化、神経突起形成や軸索誘導などの調節を通して、神経の発生に関与している(非特許文献4-8)。



CSとDSの骨格構造は、それぞれ [-GlcUA-GalNAc-]、[-IdoUA-GalNAc-] (GlcUA、GalNAc、IdoUAはそれぞれグルクロン酸、N-アセチルガラクトサミン、イズロン酸を示す) の二糖繰り返し構造から成る。さらに、これらの構造を様々な割合で有するハイブリッド糖鎖も存在する(非特許文献9)。これらの二糖単位中では様々な組み合わせで、GlcUA/IdoUAの2位やGalNAcの4位、6位が硫酸化修飾を受けている。それらの修飾によってCS、DS、CS/DSハイブリッド糖鎖は特徴的な硫酸化パターンを有し、さらには構造の膨大な多様性を有することになる。



最近の研究によって、脳におけるCS/DSのGlcUA/IdoUAの存在比、硫酸化パターンが個体発生に伴って変化し(非特許文献10-12)、神経突起生成において、異なった構造の糖鎖のサブポプュレーションが異なった役割を担っていることが示されている (非特許文献13-15)。さらに、様々な海産動物由来の多硫酸化CS/DS鎖は、in vitroでマウス海馬ニューロンの神経突起伸長促進活性を有する(非特許文献16-19)。例えば、サメ皮膚から単離されたCS/DSハイブリッド糖鎖は、増殖因子と結合し、神経突起生成活性を有する。これらの知見は、発生段階において出現する異なった構造の糖鎖が増殖因子などの他の分子とそれぞれ特異的・選択的に相互作用し、各発生段階で異なる生理機能を発揮していることを示唆している。



このようにコンドロイチン硫酸などの糖鎖が、その種々の構造に応じてそれぞれ特有の生理機能を有することが近年徐々に明らかにされつつある。コンドロイチン硫酸には、主にCS-A、CS-C、CS-DおよびCS-Eの4種類が知られており、それぞれ、A-ユニット[GlcUAβ1-3GalNAc(4S)]、C-ユニット[GlcUAβ1-3GalNAc(6S)]、D-ユニット[GlcUA(2S)β1-3GalNAc(6S)]、およびE-ユニット[GlcUAβ1-3GalNAc(4S,6S)]の二糖単位を他よりも多く含む。これらの二糖単位の配列構成によってCS鎖の構造上の多様性、さらには機能上の多様性が生ずると考えられるが、コンドロイチン硫酸の構造、及びその機能との相関については、現在までごく限られた研究しかなされていない(非特許文献16など)。コンドロイチン硫酸の構造と機能に関する研究を今後もなお一層精力的に進めることは、哺乳類の中枢神経系の形成・発達における糖鎖の役割や、増殖因子等の作用機構における糖鎖の役割を解明する上において非常に重要である。更にその研究成果を利用した創薬、疾病の診断法の開発など医療等への応用も期待される。
【非特許文献1】
The Biochemistry of Glycoproteins and Proteoglycans (Lennarz, W. J., ed.), pp. 267-371, Plenum Publishing, New York (1980)
【非特許文献2】
Annu. Rev. Biochem. 47, 385-417 (1991)
【非特許文献3】
Trends Glycosci. Glycotechnol. 12, 321-349 (2000)
【非特許文献4】
Persp. Dev. Neurol. 3, 319-330 (1996)
【非特許文献5】
Physiol. Rev. 80, 1267-1290 (2000)
【非特許文献6】
Arch. Biochem. Biophys. 374, 24-34 (2000)
【非特許文献7】
Curr. Opin. Struct. Biol. 13, 612-620 (2003)
【非特許文献8】
Glycoconj. J. 21, 329-341 (2004)
【非特許文献9】
IUBMB Life 54, 177-180 (2002)
【非特許文献10】
J. Biol. Chem. 272, 31377-31381 (1997)
【非特許文献11】
J. Biol. Chem. 279, 9765-9776 (2004)
【非特許文献12】
J. Biol. Chem. 278, 35805-35811 (2003)
【非特許文献13】
J. Cell Biol. 126, 783-799 (1994)
【非特許文献14】
J. Biol. Chem. 273, 28444-28453 (1998)
【非特許文献15】
J. Biol. Chem. 280, 9180-9191 (2005)
【非特許文献16】
J. Biol. Chem. 273, 3296-3307 (1998)
【非特許文献17】
Neurosci. Lett. 269, 125-128 (1999)
【非特許文献18】
J. Biol. Chem. 278, 43744-43754 (2003)
【非特許文献19】
J. Biol. Chem. 280, 4058-4069 (2005)

産業上の利用分野


本発明は、サメ軟骨のコンドロイチン硫酸由来の新規硫酸化八糖に関する。本発明は特に、糖鎖の構造及び機能の研究解析において、及びその医療等への応用分野において有用な技術を提供するものである。
尚、本明細書並びに図面において使用される主要な略号の意味は以下のとおりである。
PG:プロテオグリカン、GAG:グリコサミノグリカン、CS:コンドロイチン硫酸、mAb:モノクローナル抗体(単クローン抗体)、DPPE:L-α-Dipalmitoyl phosphatidyl ethanolamine、MALDI-TOF/MS:マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析、BSA:ウシ血清アルブミン、PBS:リン酸緩衝液、GlcUA:D-グルクロン酸、GalNAc:N-アセチルD-ガラクトサミン、HexUA:ヘキスロン酸、Δ4,5HexUA(ΔHexUA):4-deoxy-L-threo-hex-4-enepyranosyluronic acid、HPLC:高速液体クロマトグラフィー、2AB:2-アミノベンズアミド、ΔO:ΔHexUAα1-3GalNAc、ΔC:ΔHexUAα1-3GalNAc(6-O-硫酸)、ΔA:ΔHexUAα1-3GalNAc(4-O-硫酸)、ΔD:ΔHexUA(2-O-硫酸)α1-3GalNAc(4-O-硫酸)、ΔE:ΔHexUAα1-3GalNAc(4,6-O-二硫酸)。

特許請求の範囲 【請求項1】
サメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸をヒアルロニダーゼ処理後、ゲル濾過カラム、次いで陰イオン交換カラムを用いて分画することにより得られた、以下の(1)~(17)のいずれかの八糖構造の硫酸化オリゴ糖を含む画分。
(1)C-C-C-O
(2)C-O-A-C
(3)C-O-A-A
(4)C-C-A-C
(5)C-C-A-A
(6)C-A-C-C
(7)D-C-C-C
(8)C-D-C-C
(9)C-D-C-A
(10)A-D-C-C
(11)C-C-C-D
(12)C-D-A-A
(13)C-C-A-D
(14)D-C-A-C
(15)D-A-C-C
(16)C-A-C-D
(17)C-E-C-C
(ただし、Oは、[GlcUAβ1-3GalNAc]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン]、Cは、[GlcUAβ1-3GalNAc(6S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(6-O-硫酸)]、Aは、[GlcUAβ1-3GalNAc(4S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(4-O-硫酸)]、Dは、[GlcUA(2S)β1-3GalNAc(6S)]、即ち、[グルクロン酸β1(2-O-硫酸)-3N-アセチルガラクトサミン(6-O-硫酸)]、Eは、[GlcUAβ1-3GalNAc(4S,6S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(4-O-硫酸, 6-O-硫酸)]、の二糖構造をそれぞれ意味する。)

【請求項2】
請求項1記載の硫酸化オリゴ糖の画分の、当該硫酸化オリゴ糖と相互作用する物質の探索のための使用。

【請求項3】
請求項1記載の硫酸化オリゴ糖の画分から調製した、当該硫酸化オリゴ糖と相互作用する物質の探索に用いられるプローブ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 糖鎖の生物機能の解明と利用技術 領域
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