TOP > 国内特許検索 > ビアを用いない左手系媒質

ビアを用いない左手系媒質 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P06A009559
整理番号 IP91
掲載日 2007年1月9日
出願番号 特願2005-058443
公開番号 特開2006-245984
登録番号 特許第3947793号
出願日 平成17年3月3日(2005.3.3)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
登録日 平成19年4月27日(2007.4.27)
発明者
  • 真田 篤志
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 ビアを用いない左手系媒質 新技術説明会 外国出願あり
発明の概要

【課題】 基板上面に施した導体パターンとグランド面に施した導体パターンとの組み合わせにより電気的に等価な並列インダクタンスを実現したビアを用いない左手系媒質を実現する。
【解決手段】 図6(A)の上面基板2の単位セルの導電パターンと、図6(B)のグランド面3の導電パターンを並べて示している。縦の細い濃線は電気的に等価な並列インダクタンスを示し、上面基板2とグランド面3を、間隔をもって上下に配置して左手系媒質1を構成した時に、グランド面3の浮島状の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分が接続されることによって電気的に等価な並列インダクタンスを形成する。また、上面基板2の導電パターン21とグランド面3の導電パターン31との間でキャパシタンスを形成し、媒質中の直列の容量の役割を果たす。これらの両者の相互の働きにより左手系特性を示すものである。
【選択図】 図6

従来技術、競合技術の概要


金属、誘電体、磁性体、超伝導体などの小片を、波長に対して十分短い間隔(波長の20分の1程度以下)で並べることで自然にはない性質を待った媒質を人工的に構成することができる。この媒質を自然にある媒質を超えると言う意味でメタマテリアル(metamaterials)と呼んでいる。メタマテリアルの性質は、単位粒子の形状、材質およびそれらの配置により様々に変化するが、中でも、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に負となるメタマテリアルは、その電界と磁界と波数ベクトルが左手系をなすことから「左手系媒質」(Left-Handed Materials)と名づけられた。これに対して、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に正となる通常の媒質は「右手系媒質(Left-Handed Materials」と呼ばれる。特に、「左手系媒質」は、バックワード波と呼ばれる、波の群速度(エネルギーの伝播する速度)と位相速度(位相の進む速度)の符号が逆転している波の存在や、また、非伝播領域で指数関数的に減衰する波であるエバネセント波の増幅、等の特異な性質を持つことが1967年にロシアの物理学者Veselagoによって予言されている。これら誘電率ε、透磁率μと媒質との関係領域は、図1に示すように、誘電率εの正負及び透磁率μの正負に応じた第1象限~第4象限の媒質に分類できる。



従来より、左手系媒質がいくつか発明されているので、以下に代表的な物を例示する。スプリット・リング共振器とワイヤ共振器とを単位セルとして構成した左手系人工媒質があり、左手系特性を示すことが実験的にも示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この構造は共振器を用いるため共振型左手系媒質と呼ばれる。この媒質は、スプリット・リング共振器とワイヤ共振器の共振周波数付近でのみ動作することができるため、共振による損失が非常に大きくかつ動作帯域も非常に狭いものであった。



共振器を用いないで左手系特性を得る1次元の非共振型の左手系媒質として、マイクロストリップ線路のもの(例えば、非特許文献2参照。)、あるいはコプレーナ線路(Coplanar Waveguide:CPW)を基にした1次元の構成のもの(例えば、非特許文献3参照。)もある。これらの媒質は、隣接する単位セル金属パターン間の直列容量と、金属パターンとグランド面を接続するビアにより生ずる並列インダクタンスにより左手系特性を得ている。ところが、基板を貫通するビアの密度は制作上限られているため、この制限により単位セルの大きさを小さくすることが難しく、集積化が困難といった問題があった。また、基板面のみの加工に加えて基板を貫通する金属を作成するため、製造コストがかかるといった問題点もあった。



また、2次元の非共振型左手系媒質として、直列容量と並列インダクタンスをLC集中定数チップ素子で構成したもの(例えば、非特許文献4参照。)、金属パターンのみにより構成した分布定数型のもの(例えば、非特許文献5参照。)がある。いずれの場合にも、接地面に対する並列インダクタンスを構成するために、基板を貫通するインダクタチップまたはビア(スルーホール)を用いており前述の問題を孕んでいる。



ビアを用いないで左手系特性を持たせるよう工夫した1次元線路も知られており、この構造は並列のインダクタンスをビアで基板裏面の接地面に直接接続する代わりに、大きな対地容量を持つ大面積金属パッチに接続した構成である(例えば、非特許文献6参照。)。ところが、この構成は大面積の金属パッチを必要とするため、集積化には向かない。また、2次元媒質への拡張もなされていない。

【非特許文献1】D.R.Smith,W.J.Padilla,D.C.Vier,S.C.Nemat-Nasser,and S.Schultz,“Composite medium with simultaneously negative permeability and permittivity,”Phys.Rev.Lett.,vol.84,no.18,pp.4184-4187,May 2000.

【非特許文献2】C.Caloz,and T.Itoh,“Application of the transmission line theory of left-handed(LH)materials to the realization of a microstrip LH transmission line”,IEEE-APS Int‘l Symp.Digest,vol.2,pp.412-415,June 2002.

【非特許文献3】A.Grbic and G.V.Eleftheriades,“Experimental verifica-tion of backward-wave radiation from a negative refractive index material,”Journal of Applied Physics,Vol.92,No.10,pp.5930-5935,Nov.2002.

【非特許文献4】A.K.Iyer and G.V.Eleftheriades,“Negative refractive index media using periodically L-C loaded Transmission lines,”IEEE-MTT Int‘l Symp.Digest,pp 1067-1070,June 2002.

【非特許文献5】Atsushi Sanada,Christophe Caloz and Tatsuo Itoh,``Planar Distributed Structures with Negative Refractive Index,’’IEEE Trans.on Microw-ave Theory and Techniques,Vol.52,No.4,pp.1252-1263,April 2004.

【非特許文献6】Atsushi Sanada,Koichi Murakami,Shuji Aso,Hiroshi Kubo,and Ikuo Awai,“A via-free microstrip left-handed transmission line,”IEEE International Microwave Symposium Digest,pp.301-304,Fort Worth,June 2004.

産業上の利用分野


本発明はビア(スルーホール)を用いない、左手系特性を持つ2次元構造周期構造の媒質に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基板上面に複数の単位セルからなる導電パターンを形成し、基板下面にグランド面としての導電パターンを形成してなる左手系媒質において、上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンの一部とグランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成することを特徴とするビアを用いない左手系媒質。

【請求項2】
上記基板上面の単位セルの導電パターンは方形金属パッチで形成され、該基板上面の単位セルの導電パターンに対向するグランド面の導電パターンは、2辺をグランド領域で隔離され、他の1辺の部分で導電体に接続された三角形の金属パッチが、グランド領域で隔離された2辺でなる頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチの組み合わせで形成されることを特徴とする請求項1記載のビアを用いない左手系媒質。

【請求項3】
上記基板上面の単位セルの導電パターンは菱形の金属パッチで形成され、該基板上面の単位セルの導電パターンに対向するグランド面の導電パターンは、長辺をグランド領域で隔離され、他の2辺でなる頂点が導電体に接続された三角形の金属パッチが、頂点で対向するように配置された4つの三角形の金属パッチの組み合わせで形成されることを特徴とする請求項1記載のビアを用いない左手系媒質。

【請求項4】
上面基板の導電パターンとグランド面の導電パターンとの間でキャパシタンスを形成し、グランド面の導電パターンにおける上面基板の導電パターンの縁と対向する部分と、グランド面のグランド部分でもって電気的に等価な並列インダクタンスを形成することを特徴とする請求項2または請求項3記載のビアを用いない左手系媒質。
産業区分
  • 伝送回路空中線
国際特許分類(IPC)
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2005058443thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close