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プレイオトロフィン結合性および非結合性のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸オリゴ糖 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P06P003967
整理番号 A261P19
掲載日 2007年2月2日
出願番号 特願2005-197587
公開番号 特開2007-016099
登録番号 特許第5344785号
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
登録日 平成25年8月23日(2013.8.23)
発明者
  • 菅原 一幸
  • バオ シンフォン
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 プレイオトロフィン結合性および非結合性のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸オリゴ糖 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】 種々の生物活性をもつコンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸の構造と機能を解明するための研究用試薬として有用な新規硫酸化オリゴ糖を提供すること。
【解決手段】 ブタ胎仔脳由来のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸ハイブリッド鎖 (E-CS/DS) を断片化し、その神経突起伸長促進活性を媒介するプレイオトロフィン(PTN)固定化カラムを用いたアフィニティクロマトグラフィー等によって、PTN結合性および非結合性の硫酸化オリゴ糖を単離、精製した。さらに、その構造解析を行った結果、多種類の新規硫酸化オリゴ糖の構造を決定した。このうちPTN結合性の硫酸化オリゴ糖は、PTNと結合してその機能を調節するPTN機能調節剤として利用することができる。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


コンドロイチン硫酸 (CS) やデルマタン硫酸 (DS) は、グリコサミノグリカン (GAG) タイプの多糖鎖で、コアタンパク質に共有結合した形でプロテオグリカン (PG) として存在している。他のGAGであるヘパラン硫酸 (HS) と同様に、CS/DS鎖は細胞表面や細胞外マトリックスに存在し、分泌型シグナルタンパク質と直接結合し、あるいは細胞外マトリックス分子と相互作用することによってそれらの活性を調節し、細胞の分裂、接着、分化を調節している。



典型的なCSとDSの骨格構造は、それぞれ [-GlcUA-GalNAc-]、[-IdoUA-GalNAc-] (GlcUA、GalNAc、IdoUAはそれぞれグルクロン酸、N-アセチルガラクトサミン、L-イズロン酸を示す) の二糖繰り返し構造から成り、CS/DSのハイブリッド糖鎖は両者のユニットが様々な比率で含まれている。これらのユニットは糖鎖が伸長する際に、GlcUA/IdoUAのC2位、GalNAcのC4、C6位が様々な組み合わせで、特異的な硫酸基転移酵素によって硫酸化修飾される。それによってCS/DSに特徴的な硫酸化パターンが生じ、様々な臓器由来のCS/DSの組成分析や異なったCS/DSエピトープを認識する抗体を使った免疫組織化学的解析から明らかになったように、厳密に制御されかつ莫大な構造多様性を獲得する。



哺乳動物の脳において、CS/DSは神経細胞の接着、移動、分化、神経突起形成や軸索誘導などの調節を通して、神経の発生に関与している。しかしながら、神経突起生成において報告されている脳のCS/DSの機能には議論の余地がある。黒質線条体路の切断や脊髄損傷の後にコンドロイチナーゼABCで処理しCS鎖を取り除くと、軸索が再生するというin vivoにおける研究から、一般的にCS/DS鎖は神経突起伸長や軸索伸長に対して阻害的に機能していると考えられている。一方で、ラットホスファカンの相同体であるマウスDSD-1-PGは、CS/DS側鎖に機能ドメイン (いわゆるDSD-1エピトープ) を有し、胎仔ラットの海馬ニューロンの神経突起伸長を促進する。さらに、様々な海産動物由来の高硫酸化CS、DSおよびハイブリッド型CS/DS鎖が神経突起生成活性を示すことが明らかとなった。重要なことに、我々は最近ホヤ由来のDSに対する抗体であるモノクローナル抗体2A12を使って、iDユニット [IdoUA(2-O-硫酸)α1-3GalNAc(6-O-硫酸)] を含むユニークなエピトープが、発達段階のマウス脳の特定の領域に空間的時間的に発現し、更に培養胎仔マウスの海馬ニューロンの神経形成に関与していることを明らかにした (非特許文献1)。このようにCS/DS鎖の阻害的あるいは促進的活性の違いは、おそらく特定の微細構造の中にある特徴的な硫酸化パターンを有する特異的な糖鎖配列によって規律されるのではないかと考えられる。



脳のCS/DS鎖の二糖組成やGlcUA/IdoUAの比が発達成長に伴って変化することや、特定のCS/DSエピトープが哺乳動物の脳の特定の領域にのみ見出されることが構造解析研究によって明らかとなった。これらの知見は脳のCS/DS鎖のサブポピュレーションが発達に伴って異なった役割を担っていることを示唆するものである。



非常に興味深いことに、ブタ胎仔脳から単離したCS/DSハイブリッド糖鎖 (E-CS/DS) は培養細胞系で、胎仔マウス海馬ニューロンの神経突起伸長促進活性を有していることが分かった (非特許文献2)。さらに、ヘパリン結合性増殖因子であるプレイオトロフィン (PTN) に結合する少量のE-CS/DSサブポピュレーションが、内在性のPTNと相互作用し、神経細胞表面にPTNを提示することによって、神経突起生成を促進することが明らかになった (非特許文献3)。構造-機能活性相関に関しての予備的な結果では、D/iDユニット [HexUA(2-O-硫酸)-3GalNAc(6-O-硫酸)]、E/iEユニット[HexUA-3GalNAc(4, 6-O-硫酸)] (HexUAはヘキスロン酸を表す) のような高硫酸化二糖とIdoUAを含んだ構造が、E-CS/DSとPTNとの相互作用に重要な役割を担っていることが分かってきた (非特許文献3)。



【非特許文献1】
J. Biol. Chem. 280, 23184-23193 (2005)
【非特許文献2】
J. Biol. Chem. 279, 9765-9776 (2004)
【非特許文献3】
J. Biol. Chem. 280, 9180-9191 (2005)

産業上の利用分野


本発明は、プレイオトロフィン結合性および非結合性のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸オリゴ糖に関する。本発明は特に、糖鎖の構造及び機能の研究解析において、及びその医療等への応用分野において有用な技術を提供するものである。



尚、本明細書並びに図面において使用される主要な略号の意味は以下のとおりである。
CS:コンドロイチン硫酸、DS:デルマタン硫酸、CS/DS:コンドロイチン硫酸及び/又はデルマタン硫酸、HS:ヘパラン硫酸、GAG:グリコサミノグリカン、PG:プロテオグリカン、E-CS/DS:ブタ胎仔脳由来CS/DSハイブリッド糖鎖、GlcUA:D-グルクロン酸、GalNAc:N-アセチルD-ガラクトサミン、IdoUA:L-イズロン酸、HexUA:ヘキスロン酸、Δ4,5HexUA(ΔHexUA):4-deoxy-L-threo-hex-4-enepyranosyluronic acid、2S:2-O-硫酸、4S:4-O-硫酸、6S:6-O-硫酸、PTN:プレイオトロフィン、2AB:2-アミノベンズアミド、HPLC:高速液体クロマトグラフィー。

特許請求の範囲 【請求項1】
ブタ胎仔脳由来のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸ハイブリッド糖鎖をコンドロイチナーゼB処理後、ゲル濾過カラム、次いで陰イオン交換カラムを用いて分画することにより得られた以下の(1)~(7)、(17)~(23)のいずれかの八糖構造の硫酸化オリゴ糖を含む画分:
(1)ΔC-O-C-C、(2)ΔA-O-A-C、(3)ΔA-O-A-A、(4)ΔA-C-C-C、(5)ΔA-C-A-C、(6)ΔA-C-C-A、(7)ΔC-A-A-A、(17)ΔC-C-D-C、(18)ΔA-C-D-C、(19)ΔD-C-D-C、(20)ΔC-D-D-C、(21)ΔC-D-iD-C、(22)ΔE-D-A-D、(23)ΔE-D-iA-D、
(ここで、上記O、C、A、D及びEはいずれも二糖単位の略号であり、
Oは [GlcUAβ1-3GalNAc]、Cは [GlcUAβ1-3GalNAc(6-O-硫酸)]、Aは [GlcUAβ1-3GalNAc(4-O-硫酸)]、Dは [GlcUA(2-O-硫酸)β1-3GalNAc(6-O-硫酸)]、Eは [GlcUAβ1-3GalNAc(4-O-硫酸, 6-O-硫酸)]、の二糖構造をそれぞれ意味する。
上記iA及びiD、さらにΔC、ΔA、ΔD及びΔEも二糖単位の略号であり、
iAは [IdoUAα1-3GalNAc(4-O-硫酸)]、iDは [IdoUA (2-O-硫酸) α1-3GalNAc(6-O-硫酸)]、ΔCは [ΔHexUAα1-3GalNAc(6-O-硫酸)]、ΔAは [ΔHexUAα1-3GalNAc(4-O-硫酸)]、ΔDは [ΔHexUA(2-O-硫酸) α1-3GalNAc(6-O-硫酸)]、ΔEは [ΔHexUAα1-3GalNAc(4-O-硫酸, 6-O-硫酸)]、の二糖構造をそれぞれ意味する。)

【請求項2】
上記(1)~(7)のいずれかの八糖構造の硫酸化オリゴ糖を含む、プレイオトロフィン非結合性である、請求項1記載の硫酸化オリゴ糖の画分。

【請求項3】
上記(17)~(23)のいずれかの八糖構造の硫酸化オリゴ糖を含む、プレイオトロフィン結合性である、請求項1記載の硫酸化オリゴ糖の画分。

【請求項4】
請求項3記載の硫酸化オリゴ糖を含む画分を含み、プレイオトロフィン(PTN)の機能調節に用いられるPTN機能調節結合剤。

【請求項5】
請求項1記載の硫酸化オリゴ糖を含む画分の、当該硫酸化オリゴ糖と相互作用する物質の探索のための使用。

【請求項6】
請求項1記載の硫酸化オリゴ糖を含む画分から調製した、当該硫酸化オリゴ糖と相互作用する物質の探索に用いられるプローブ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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15450_01SUM.gif
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 糖鎖の生物機能の解明と利用技術 領域
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