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高分子物質の示差走査熱量測定データから該物質中の結晶の結晶長分布を算出する方法

国内特許コード P06P005108
整理番号 IP17-025
掲載日 2007年2月9日
出願番号 特願2005-209342
公開番号 特開2007-024735
登録番号 特許第4228080号
出願日 平成17年7月20日(2005.7.20)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
登録日 平成20年12月12日(2008.12.12)
発明者
  • 田中 信行
出願人
  • 学校法人群馬大学
発明の名称 高分子物質の示差走査熱量測定データから該物質中の結晶の結晶長分布を算出する方法
発明の概要

【課題】 熱に敏感で繊細な高分子物質の構造や性質を反映した結晶長分布を、X線解析装置及び高純度の安息香酸を用いることなく、DSCデータに基づいて算出する。
【解決手段】 複数の所与の温度で熱処理したときの高分子物質のDSCデータから得られる複数の融解開始温度及び融解終了温度からこの物質のTmxとTb0を求める。これらのTmxとTb0を用いて、仮想融解ピークBのピーク点におけるヒートフロー(dQ/dt)pを求め、更に仮想融解ピークBの立ち上がり勾配Cを求める。次に前記融解ピークAの曲線と温度軸線で囲まれた吸熱量Qに相当する面積∫TbTe(dQ/dt)dTを求め、TbからTeまでの各温度でのΔQ/Qに相当する(dQ/dt)/∫TbTe(dQ/dt)dTを求める。各温度は上記立ち上がり勾配Cで補正する。高分子結晶の結晶長の一般式より、結晶長ζを求め、F(ζ)=(ΔQ/Q)/ζに上記ΔQ/Qとともにζを代入してF(ζ)から結晶長分布を求める。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


高分子物質のDSC融解ピーク曲線は、高分子結晶の結晶長ζの分布に変換でき、その分布はX線解析による結果と良く一致することが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
非特許文献1では、融解ピーク曲線を示す融解温度Tmの補正に、純粋な安息香酸の融解ピークの初期勾配が用いられている。即ち、実測された高分子物質の融解ピーク曲線上の点から安息香酸の融解ピークの初期勾配をもつ直線を引き、温度軸と交わった温度が、融解ピーク曲線上の点での融解温度Tmであるとされている。ただし、安息香酸は僅かな純度の低下で、融解ピークの立ち上がりが緩やかになる特徴がある(例えば、非特許文献2参照。)。そのため、温度補正には、高純度の安息香酸が要求されている。



しかしながら、低分子である安息香酸の結晶の融解の仕方は、非結晶部分と共存する高分子結晶の融解とは異なるため、安息香酸の融解ピークの立ち上がり勾配で高分子結晶の融解温度Tmを補正することに対しては、厳密性が欠けている。更に、非特許文献1で算出された結晶長(ζ)分布は温度で規格化されていないため、即ち、分布関数の単位が「nm-1-1」ではなく「nm-1」であるため、他の試料のζ分布との比較ができない。またζ分布を算出するために必要な単位面積当りの結晶末端表面自由エネルギーσは、他の文献から引用しなければならない(例えば、非特許文献3参照。)。その場合、この結晶末端表面自由エネルギーσは、あくまで仮の値であって用いている試料の値ではない。

【非特許文献1】Polymer, Vol.25, pp1268-1270(1984)

【非特許文献2】Principles of Thermal Analysis and Calorimetry, RSC Paperbacks, P87(2002)

【非特許文献3】Thermochimica Acta, Vol.396, PP79-85(2003)

産業上の利用分野


本発明は、高分子物質を示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、以下「DSC」という。)して得られた融解ピーク曲線から必要な融解温度を補正することにより、この高分子物質中の結晶(以下、「高分子結晶」という。)の結晶長分布を算出する方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a) 高分子物質を複数の所与の温度(Ta1, Ta2, ... Tan)で熱処理して前記高分子物質の示差走査熱量測定を行う工程と、
(b) 前記熱量測定から前記複数の所与の温度(Ta1, Ta2, ... Tan)における各温度に対応する複数の融解開始温度(Tb1, Tb2, ... Tbn)及び複数の融解終了温度(Te1, Te2, ... Ten)を求める工程と、
(c) たて軸を前記高分子物質の融解温度Tm、及びよこ軸を前記熱処理温度Taとする図中に、前記複数の融解開始温度(Tb1, Tb2, ... Tbn)及び前記複数の融解終了温度(Te1, Te2, ... Ten)をそれぞれプロットする工程と、
(d) 前記プロットした複数の融解開始温度(Tb1, Tb2, ... Tbn)から得られる直線P1を前記プロットした複数の融解終了温度(Te1, Te2, ... Ten)から得られる直線P2に交差させてその交点Mに対応する温度Tb0を求める工程と、
(e) 前記図中にTm=Taの仮想直線P3を引き、前記直線P2を延長して直線P3に交差させてその交点Nに対応する平衡融解温度Tmxを求める工程と、
(f) 前記高分子物質の重量をW、前記(a)工程の示差走査熱量測定で実測された融解ピークAの物質のグラム当りの融解吸熱量をQ、昇温速度をdT/dt(Tは温度、tは時間)とし、前記(d)及び(e)工程でそれぞれ求めた温度Tb0及び温度Tmxを用いて、次の式(1)から仮想融解ピークBのピーク点Pにおけるヒートフロー(dQ/dt)pを求め、この式(1)の両辺を(Tmx-Tb0)で除すことにより得られた式(2)から仮想融解ピークBの立ち上がり勾配Cを求める工程と、
(dQ/dt)p=2QW(dT/dt)/(Tmx-Tb0) ………(1)
C=(dQ/dt)p/(Tmx-Tb0)=2QW(dT/dt)/(Tmx-Tb0)2 …(2)
(g) 前記融解ピークAの曲線と温度軸線で囲まれた吸熱量Qに相当する面積∫TbTe(dQ/dt)dTを求め、更にTbからTeまでの各温度で単位温度当りの吸熱変化量ΔQのQに対する比ΔQ/Qに相当する(dQ/dt)/∫TbTe(dQ/dt)dTを求める工程と、
(h) σを高分子物質中の結晶の単位面積当りの結晶末端表面自由エネルギー、huをその単位体積当りの融解熱とするとき、温度補正されたTmを用いて、次の式(3)より前記高分子結晶の結晶長ζを求める工程と、
ζ=(2σ/hu)[Tmx/(Tmx-Tm)] ………(3)
(i) 前記(g)工程で求めたΔQ/Qと、前記(h)工程で求めた結晶長ζを次の式(4)に代入して、補正された温度で規格化された結晶長分布関数F(ζ)を求め、この関数F(ζ)から結晶長分布を求める工程と
F(ζ)=(ΔQ/Q)/ζ ………(4)
を含むことを特徴とする高分子物質の示差走査熱量測定データから該物質中の結晶の結晶長分布を算出する方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005209342thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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