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設計支援方法

国内特許コード P06A009648
掲載日 2007年2月16日
出願番号 特願2004-210825
公開番号 特開2006-031488
登録番号 特許第4528962号
出願日 平成16年7月16日(2004.7.16)
公開日 平成18年2月2日(2006.2.2)
登録日 平成22年6月18日(2010.6.18)
発明者
  • 石川 晴雄
  • 南 允議
出願人
  • 学校法人電気通信大学
発明の名称 設計支援方法
発明の概要

【課題】 本発明の一つの目的は、計算機への実装が可能でかつセットベース設計手法に有効な設計支援方法を提供することである。
【解決手段】 本発明の設計支援方法は、次のステップを備える:
(1)設計変数範囲を設定するステップ;
(2)前記設計変数範囲を分割するステップ;
(3)前記分割された設計変数範囲に対応する要求性能の選好度、性能値の可能性および/またはロバスト性を算出するステップ。
この支援方法は、さらに次のステップを備えてもよい;
(4)前記要求性能の選好度、性能値の可能性またはロバスト性のいずれかが0である場合には、該当する分割された設計変数範囲を、設計検討の対象から除外するステップ。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


近年、コンカレントエンジニアリング(Concurrent Engineering, CE)の概念が提唱され、リードタイムの短縮、安全性などの品質の向上などを目的に製品のライフサイクルに属する諸過程の作業を同時並行的に処理する必要性が指摘されている。この同時並行的とは単に複数のプロセスの独立的同時進行ということではなく、各プロセスが共通データに基づいて協調処理を行いながら自らの処理を進めることを意味する。現在、産業界ではこの手法を用いて製品の多様化、多品種少量生産にも対応する製品開発プロセスが一般的になりつつある。



従来の設計では、CEであるかどうかに関わらず、図1(a)のように初期段階からあるポイント値で規定される設計解を求め、その解が要求仕様及び制約を満たすかどうかを評価し、評価結果が不適切だった場合はその解が設計目標に到達するまで修正を繰り返す手法を用いている(これをポイントベースという)。



しかし、実際の設計では、概念設計から詳細設計へと設計が進むにつれ、求めてきた解が不適切になり、設計解の修正やその修正による影響によって既に決定した内容の変更の必要が生じることもある。また、CEの場合は設計部門以外にも企画・開発・生産などの他部門でも同時並行的に作業を進めている可能性が高いため、少しの変更が大きな影響を引き起こす可能性がある。このようにポイントベース手法では最適解を導くまでに解の修正の繰り返しが必要になるため、多くの時間を費やしてしまう。また、初期段階での企画変更やデザイン変更、製品の販売サイドの要望などにより、設計仕様そのものが変更されてしまう場合もある。このような場合は、もう一度最初から設計し直す必要があり、全体の製品開発プロセスが長期化してしまう可能性がある。



最近、これを改善するために、図1(b)のように、初期段階でポイント値ではなく、幅広い集合としての設計解を求め、その解集合を元に各部門による協調作業を行い、設計が進むにつれて徐々に実現性の乏しい解集合を除くことにより設計解集合を狭めていくセットベースコンカレントエンジニアリング(Set-Based Concurrent Engineering, SBCE)という手法(下記非特許文献1-4参照)が提案されている。ポイントベースのアプローチに比べ、設計初期段階では設計解集合の求解にある程度の時間を要するが、設計の後期の段階ではより短時間で最終的な製造プロセスへと解を収束させることができるので、総合的にはより効率的と言える。ここで、セットベース設計とは、初期段階でポイント値ではなく、幅広い集合としての設計解を求め、徐々に実現性の乏しい解集合を除くことにより設計解集合を狭めていく手法である。



以下、非CE型、CE型、SBCE型の各設計手法の特徴・本質について説明する。従来からの設計過程はポイントベースの非CE型(直列型(Sequential Engineering, SE))であり、基本的には上流過程での設計が完了した後に下流過程からのフィードバックがあり、開発期間の長期化が起きる。それに対し、CEでは設計初期段階から下流過程の内容が上流過程へフィードバックされ、より早く多くの要求を考慮するが、本質的には従来の設計開発の流れと同様、単一設計解の修正を繰り返していることになる。そのため、この方法では常に最良の設計解を指向して数多く修正が行われるため、CEを適用することによりさらに開発期間が長期化する可能性もある。SBCEでは設計の初期段階で設計解集合をできるだけ広く取り、様々な異部門間での並行的・協調的な開発により、設計案の実現可能性に関する様々な情報をもとに設計解の集合を徐々に狭めていく。個々の部門のみを見ると効率が悪いように見えるが、システム全体として見ると既に決定した内容を無効化することがなくなるため、より効率的な手法であると言える。



また、詳細段階における最適解は初期設計段階での設計案の選定に大きく左右される。しかし、初期設計段階では、正確な要求仕様を決めるのが困難であること、製造及び組立寸法のばらつき、使用環境の変化、設計者による最良の設計案選定の難しさ、他部門からの設計解の変動性などといった様々な不確実性が存在する。従って、性能の観点から最適でロバストな設計解を得るためには、様々な不確実性を考慮した設計が要求される。SBCEはこのような不確実性に対応できる手法であるとも言える。



一方、現在の設計現場では、設計解の妥当性を確認するために、強度特性、振動特性、衝突特性、リサイクル性、運転性、コストなどの性能評価に様々な解析ツールを用いる場合が多くなってきた。しかし、このような解析に要する人的・時間的コストは非常に高く、すべての要求仕様に対応した解析を実行し、その解析結果から要求仕様を満足する最適解を求めるのは難しい。これを解決するための一つの方法として、実験計画法により必要最小の解析を行い、その解析結果から設計変数と性能変数間の関係性を表す近似的な計算モデルを導出するメタモデリング技法が多く使われている。従って、実際の解析の代わりに、この近似計算モデルを用いることで、より低コストで迅速に複数の性能を評価することができる。また、個々の解析結果を統合することによって、多目的・多領域設計のための計算モデルが作成できるという利点から、近似計算モデルの利用は、CEを実現するための有効な方法だと考えられる。



SBCEはCEの実現に有効な手法として位置づけられるが、計算機への実装が可能な方法は確立されていない。また、ファジーセットベース手法(下記非特許文献5-7)、インターバルセットベース手法(下記非特許文献8-10)、確率ベース手法(下記非特許文献11,12)などの不確実性に対応した様々なセットベース設計手法やその計算機支援に関する研究が数多く提案されているが、SBCEの全ての仕組みを実現できる手法は未だ存在しない。

【非特許文献1】(1) Ward, A., J.K. Liker, J.J. Cristiano, and D.K. Sobek II, "The Second Toyota Paradox: How Delaying Decisions Can Make Better Cars Faster", Sloan Management Review, 36(3): 43-61, 1995.

【非特許文献2】(2) Liker, J.K., D.K. Sobek II, A.C. Ward, and J.J. Cristiano, "Involving Suppliers in Product Development in the United States and Japan: Evidence for Set-Based Concurrent Engineering", IEEE Transactions on Engineering Management, 43(2): 165-178, 1996.

【非特許文献3】(3) Sobek II, D.K., A.C. Ward, "Principles from Toyota's Set-Based Concurrent Engineering", Proc. of DETC'96, DETC96/DTM-1510, Irvine, CA, August 18-22, 1996.

【非特許文献4】(4) Sobek II, D.K., A.C. Ward and J.K. Liker, "Toyota's Principles of Set-Based Concurrent Engineering", Sloan Management Review, 40(2): 67-83, 1999.

【非特許文献5】(5) Wood, K.L., E.K. Antonsson, "Computations with Imprecise Parameters in Engineering Design: Background and Theory", ASME Journal of Mechanisms, Transmissions, and Automation in Design, 111(4): 616-625, 1989.

【非特許文献6】(6) Antonsson, E.K., K.N. Otto, "Imprecision in Engineering Design", Transactions of the ASME Journal of Mechanical Design, 117(B): 25-32, 1995.

【非特許文献7】(7) Scott, M.J., E.K. Antonsson, "Preliminary Vehicle Structure Design: An Industrial Application of Imprecision in Engineering Design", Proc. of DETC'98, DETC98/DTM-5646, Atlanta, GA, September 13-16, 1998.

【非特許文献8】(8) Ward, A.C., T. Lozano-Perez and W.P. Seering, "Extending the Constraint Propagation of Intervals", Artificial Intelligence for Engineering Design, Analysis and Manufacturing, 4(1): 47-54, 1990.

【非特許文献9】(9) Finch, W.W., A.C. Ward, "Quantified Relations: A Class of Predicate Logic Design Constraints among Sets of Manufacturing, Operating and Other Variables", Proc. of DETC'96, DETC/DTM-1278, Irvine, CA, August 18-22, 1996.

【非特許文献10】(10) Finch, W.W., A.C. Ward, "A Set-Based System for Eliminating Infeasible Design in Engineering Problems Dominated by Uncertainty", Proc. of DETC'97, DETC/DTM-3886, Sacramento, CA, September 14-17, 1997.

【非特許文献11】(11) Chen, W., C. Yuan, "A Probabilistic-Based Design Model for Achieving Flexibility in Design", Transactions of the ASME Journal of Mechanical Design, 121(1): 77-83, 1999.

【非特許文献12】(12) Wallace, D.R., M.J. Jakiela and W.C. Flowers, "Design Search under Probabilistic Specifications using Genetic Algorithms", Computer-Aided Design, 28(5): 405-421, 1996.

【非特許文献13】(13) Zimmermann, H.-J., Fuzzy Set Theory and Its Applications, Kluwer Academic Publishers, 2001.

【非特許文献14】(14) Luoh, L., W.-J. Wang, "A Modified Entropy for General Fuzzy Sets", International Journal of Fuzzy Systems, 2(4): 300-304, 2000.

【非特許文献15】(15) Terwiesch, C., A. De Meyer and C.H. Loch, "Exchanging Preliminary Information in Concurrent Engineering: Alternative Coordination Strategies", Organization Science, 13(4): 402-419, 2002.

【非特許文献16】(16) Scott, M.J., E.K. Antonsson, "Aggregation Functions for Engineering Design Trade-offs", Fuzzy Sets and Systems, 99(3): 253-264, 1998.

【非特許文献17】(17) Otto, K.N., E.K. Antonsson, "Trade-Off Strategies in Engineering Design", Research in Engineering Design, 3(2): 87-104, 1991.

【非特許文献18】(18) Kusiak, A., J. Wang, "Dependency Analysis in Constraint Negotiation", IEEE Transactions on Systems, Man, and Cybernetics, 25(9): 1301-1313, 1995.

産業上の利用分野


本発明は各種の設計を支援する方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータを用いて実行される次のステップを備えたことを特徴とする設計支援方法:
(1)設計変数範囲と、前記設計変数の入力選好度と、要求性能変数範囲と、前記要求性能の選好度とを設定するための命令を前記コンピュータが受け付けるステップ;
(2)前記コンピュータが、前記設計変数範囲を分割するための命令を受け付けるステップ;
(3)前記分割された設計変数範囲における性能の期待値およびロバスト性を統合的に評価するために、分割された各設計変数範囲について、以下の式に基づいて、前記コンピュータにおける算出手段がPRIを算出するステップ
PRI=NDPI*NPSI
ここで、
NDPI:正規化されたDPI;
DPI:前記要求性能変数範囲における前記要求性能の選好度(p(x))と、前記設計変数範囲と前記設計変数の入力選好度とから得られる前記要求性能の可能性分布(q(x))とから算出される、性能の期待値;
NPSI:正規化されたPSI;
PSI:前記要求性能の可能性分布(q(x))の精度と安定性とを示す測度
である

【請求項2】
さらに、コンピュータにより実行される次のステップを備えたことを特徴とする、請求項1記載の設計支援方法;
(4)前記PRIが0である場合には、該当する分割された設計変数範囲を、前記コンピュータにおける計算手段が、設計検討の対象から除外するステップ。

【請求項3】
請求項1における前記可能性分布を算出するために、コンピュータにより実行される次のステップを備えたことを特徴とする可能性分布の算出方法:
(1)前記設計変数の入力選好度が0の場合における、設計対象についての性能値の可能性分布を示す計算モデルを、前記コンピュータの算出手段が算出するステップ;
(2)前記コンピュータにおける算出手段が、任意の入力選好度における設計変数に対応する性能値を、前記計算モデルを用いて内挿により算出することにより、前記可能性分布を取得するステップ。
産業区分
  • 計算機応用
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004210825thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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