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形状測定装置及び該方法 コモンズ

国内特許コード P06A009763
整理番号 912
掲載日 2007年4月2日
出願番号 特願2005-168863
公開番号 特開2006-343205
登録番号 特許第4143728号
出願日 平成17年6月8日(2005.6.8)
公開日 平成18年12月21日(2006.12.21)
登録日 平成20年6月27日(2008.6.27)
発明者
  • 木寺 正平
  • 阪本 卓也
  • 佐藤 亨
出願人
  • 学校法人京都大学
発明の名称 形状測定装置及び該方法 コモンズ
発明の概要

【課題】 本発明は物体形状をより精度よく求め得る形状測定装置及び該方法を提供する。
【解決手段】 本発明の形状測定装置は、送信パルスを生成する信号生成部11と、送信パルスを空間に放射する送信アンテナAと、送信パルスの放射位置で物体反射の送信パルスを受信する受信アンテナA及び信号受信部12と、物体に対して送信アンテナAの位置を変えながら送信パルスを放射して得た複数の受信信号と参照信号とから複数の相関波形を求める相関部131と、複数の相関波形に基づいて擬似波面を抽出する擬似波面抽出部132と、擬似波面と物体形状との対応関係から物体形状を推定する形状推定部133と、推定物体形状に応じた受信信号波形を推定する波形推定部134とを備え、参照信号波形として最初は送信パルス波形を用いると共に次回以降は推定した受信信号波形を用い、物体形状を複数回推定することで物体形状を求める。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


ロボット、車両、船舶及び航空機等の移動体が移動する場合や室内から外界の状況を知りたい場合等において、周囲の物体を認識し、その形状を認識することは、重要である。特に移動体を自動走行させる場合にはより重要となる。



そのため、発明者らは、種々の研究を重ねた結果、送信パルスの送受信位置を変化させることによって得られる直接散乱波の遅延時間変化と物体の形状との間に成り立つ可逆な変換関係を利用して物体の形状を推定するSEABED(Shape Estimation Algorithm based on BST(Boundary Scattering Transform) and Extraction od Directly scattered waves)法を開発し、提案してきた(例えば、非特許文献1乃至非特許文献4)。なお、目標の物体の表面(目標境界面)で反射する散乱波には、目標境界面で反射した送信パルスの反射波を直接受信することによって得られる直接散乱波と、目標境界面で反射した送信パルスの反射波がさらに目標境界面における別の部分で1又は複数回反射した反射波を受信することによって得られる多重散乱波とがある。



まず、このSEABED法の原理を以下に説明する。図6は、SEABED法におけるアンテナ走査の様子を説明するための図である。この原理説明では、図6に示すように、目標の物体O及び送受信アンテナAが同一平面内に存在すると仮定した2次元問題を扱い、電波の伝播は、TE波であるとする。この目標の物体O及び送受信アンテナAが存在する空間を「r-空間(r-domain)」と呼称することとし、r-空間で集合を表現する場合その表現を「r-領域での表現」と呼称することとする。また、r-空間の点を(x,y)で表現する。ここで、x及びy(y>0)は、何れも真空中での送信パルスの中心波長λにより正規化される。送受信アンテナAは、無指向性であり、r-空間のx軸上を走査しながら所定の間隔(例えば等間隔)を空けた各測定位置x(n=1~Nの整数)でモノサイクルパルスの送受信を繰り返すものとする。



そして、送受信アンテナAの測定位置(x,y)=(X,0)における受信電界をs’(X,Y)と定義し、送信から受信までの時間をt、真空中の光速をcとした場合にYをY=(c×t)/(2×λ)と定義する。なお、y>0よりY>0であり、また、送受信アンテナAの測定位置xにおける電界の瞬時包絡線が最大となる時刻をt=0とする。



さらに、雑音除去の観点からs’(X,Y)のY方向に送信波形を用いた整合フィルタを適用し、この整合フィルタを適用して得られる受信波形を新たにs(X,Y)とする。このs(X,Y)を目標の物体Oの形状を求めるデータとして用いる。ここで、(X,Y)で表現される空間を「d-空間(d-domain)」と呼称することとし、d-空間で集合を表現する場合その表現を「d-領域での表現」と呼称することとする。X及びYは、それぞれ送信パルスの中心波長及び送信パルスの中心周期で正規化されている。



連続した境界面を持つ目標の物体Oにおける複素誘電率ε(x,y)の変化が複数の区分的に微分可能な曲線の集合であるとする。即ち、目標の物体Oにおける複素誘電率ε(x,y)が式1で表される。



【数式1】




ここで、g(x)は、微分可能な1価関数であり、q={(x,y)|y=g(x),x∈J}∈Hとする。Jは、関数g(x)の定義域である。aは、q∈Hに依存する正の定数であり、Hは、q全体の集合である。Hの要素が「目標境界面」である。



d-空間の部分集合Pを式2で定義する。



【数式2】




連結な閉集合p⊂Pを考え、領域Iを式3で定義する。



【数式3】




任意のX∈Iに対し(X,Y)∈pを満たすYが唯一存在する場合にpに対し定義域Iを有し、Y=f(X)を満たす1価関数f(X)が存在する。関数f(X)が微分可能でかつ|∂f(X)/∂X|≦1を満たすpの集合をGと定義し、このGの要素を「擬似波面(Quasi Wavefront)」と呼称することとする。



式1が満たされる場合、境界からの直接散乱波は、目標境界面(目標の物体Oの表面、目標の物体Oの形状を表す)の情報を保持している。以下では、簡単のため、直接波の伝播経路は、全て真空であるとするが、伝播速度が一定で既知である媒質でも同様に成立する。



図7は、境界散乱変換を説明するための図である。図7(A)は、r-領域における複素誘電率の変化の一例を示し、図7(B)は、図7(A)に対応するd-領域の擬似波面を示す。



pがqからの直接散乱に対応すると仮定すると、図7から分かるように、送受信アンテナAからqの表す曲線Lqへ下ろした垂線の長さと送受信アンテナAの位置との関係を用いることで、p上の点(X,Y)は、式4によって表される。この式4によって表される変換を境界散乱変換(Boundary Scattering Transform)と呼称することとする。



【数式4】




但し、(x,y)は、q上に存在する点である。



この境界散乱変換の逆変換を求めれば、受信波形から目標の物体Oの形状を求めることができる。この逆変換は、式5のように求められる。この逆変換を逆境界散乱変換(Inverse Boundary Scattering Transform)と呼称することとする。



【数式5】




なお、上述では、2次元の場合について説明したが、3次元へ容易に拡張可能である。また、送受信アンテナAが直線で走行する場合について説明したが、任意の曲線に沿った走行に対応する変換式も容易に求めることができる。



この式5を用いて受信波形から目標の物体Oの形状を推定するSEABED法は、具体的には、次のように処理が実行され、目標の物体Oの形状を測定している。



図8は、SEABED法による物体の形状を測定する処理手順を示すフローチャートである。図8において、従来のSEABED法による形状測定装置1000(不図示)は、図6に示すように、無指向性の送受信アンテナAを走査しながら各測定位置xでモノサイクルパルスの送信パルスを送信し、目標の物体Oから反射した送信パルスの反射波を受信し、受信波をアナログ/ディジタル変換(以下、「A/D変換」と略記する。)し、記憶する(S101)。



即ち、形状測定装置1000は、まず、測定開始位置xにおいて無指向性の送受信アンテナAからモノサイクルパルスの送信パルスを送信し、目標の物体Oから反射した送信パルスの反射波を受信し、受信波をA/D変換して第1受信信号を生成し、記憶する。測定開始位置xにおける送受信が完了すると、形状測定装置1000は、測定開始位置xから所定の間隔だけ移動した測定位置xにおいて送受信アンテナAからモノサイクルパルスの送信パルスを送信し、目標の物体Oから反射した送信パルスの反射波を受信し、受信波をA/D変換して第2受信信号を生成し、記憶する。以下同様に、測定開始位置xから測定終了位置xまでの各測定位置xで、形状測定装置1000は、送受信アンテナAからモノサイクルパルスの送信パルスを送信し、目標の物体Oから反射した送信パルスの反射波を受信し、受信波をA/D変換し、記憶する。こうして測定開始位置xにおける第1受信信号から測定終了位置xにおける第N受信信号が得られる。



次に、形状測定装置1000は、第1乃至第Nの各受信信号に対し、当該受信信号の波形と参照信号の波形との相互相関を求めることによって、第1乃至第Nの各受信信号にそれぞれ対応する第1乃至第Nの相関波形を求める(S102)。相関関数ρ(τ)は、遅延時間をτ、参照信号をr(t)、受信信号をs(t)とすると、式6で与えられる。なお、積分範囲は、受信信号s(t)が存在する範囲である。



【数式6】




ここで、参照信号の波形は、送信パルスの波形としており、これは、受信信号の波形が送信パルスの波形と同一形状であると仮定していることに相当する。この処理S102は、受信信号に整合フィルタを適用することに相当する。



次に、形状測定装置1000は、第1乃至第Nの相関波形における極値(極大値及び極小値)を求める(S103)。



次に、形状測定装置1000は、近隣の極値同士を連結する(S104)。より具体的には、形状測定装置1000は、式7を満たすようように極値を連結する。



【数式7】




ここで、極値Mの位置は、測定位置xにおいて得られた第nの相関波形から求められた極値のXY平面における位置である。このように極値を連結して得られた曲線が擬似波面である。



次に、形状測定装置1000は、真の擬似波面を抽出する(S105)。処理S104によって得られた擬似波面には、雑音により生じたもの、振動的な部分を抽出したもの、及び、多重散乱により生じたもの等の不要な擬似波面が含まれている。このため、これらを取り除き、真に物体Oの境界面を示す真の擬似波面を抽出する必要がある。この真の擬似波面の抽出は、第1に、式8で定義される評価値wを用い、所定の閾値αよりも評価値wが大きい擬似波面を選択し、抽出する。閾値αは、その値を小さくし過ぎると不要な擬似波面が多く含まれ、その値を大きくし過ぎると真の擬似波面まで除去されてしまうので、評価値wの最大値を考慮の上、実験的、経験的に設定される。



【数式8】




評価値wは、擬似波面上における受信信号の振幅が大きく、しかもfp(X)の定義域が広い範囲に渡るものについて大きな値をとる。



ここで、式8のみによって真の擬似波面を抽出すると、例えば雑音に起因する擬似波面が有意な擬似波面の近くに存在する場合ではその評価値wが大きくなり、除去することができない場合が生じ得る。そのため、p,p∈G、p≠p、wp1≦wp2に対し(x,y)∈pかつ(x,y)∈pが成立する場合には、p→p’、p”(但し、p’∪p”=pかつp’∩p”=p∩p)に擬似波面の分割を行って評価値wを求め不要な擬似波面を除去する。



そして、真の擬似波面の抽出は、第2に、第1フレネルゾーンとして知られる式9で表されるFを用いて式10で定義される新たな評価値Wを用い、所定の閾値βよりも評価値Wが大きい擬似波面を選択し、抽出する。閾値βは、その値を小さくし過ぎると不要な擬似波面が多く含まれ、その値を大きくし過ぎると真の擬似波面まで除去されてしまうので、評価値Wの最大値を考慮の上、実験的、経験的に設定される。



【数式9】




【数式10】




評価値Wは、或る擬似波面のフレネルゾーン内に値の大きい別の境界面が存在する場合にはその値が低下する。ξ(x)は、重み関数であり、簡単のために、例えば、ξ(x)=1に設定する。



このように抽出された真の擬似波面は、各測定位置で得られる、送信パルスを送信してから、目標の物体Oの表面における接平面に対し垂直に入射して反射した送信パルスの反射波を直接受信するまでの時間の集合である。



次に、形状測定装置1000は、処理S105で抽出した真の擬似波面から式5を用いて物体Oの形状を求める(S106)。



このようにSEABED法では、目標の物体Oの形状を逆変換の式5により直接的に推定することができるので、極めて短時間で物体Oの形状を測定することができる。



図9は、目標の物体を示す図である。図10は、第1乃至第Nの受信信号を示す図である。図11は、第1乃至第Nの相関波形を示す図である。図12は、図9に示す物体に対する極値をプロットした図である。図13は、図9に示す物体に対する擬似波面を示す図である。図14は、抽出した真の擬似波面を示す図である。図15は、真の擬似波面から求めた物体の形状を示す図である。なお、図9における小さなアンテナマークは、送受信アンテナAの走査中における各測定位置xを示しており、0.125λ間隔で40点としている。また、図15において、破線は、式5によって求めた物体Oの形状を示し、実線は、実際の物体Oの形状を示す。



例えば、図9に示す平面の一部に略半円形状の凹部を有する目標の物体Oに対し、処理S101を実行すると図10が得られる。これに処理S102を実行すると図11が得られる。これに処理S103を実行すると図12が得られる。これに処理S104を実行すると図13が得られる。これに処理S105を実行すると図14が得られる。そして、これに処理S106を実行すると図15の破線が得られる。なお、物体Oに対する擬似波面をFDTD(Finite Difference Time Domain)法で計算した結果を図16に示す。FDTD法は、Maxwellの方程式を差分化し、リープフロッグアルゴリズム(Leap-flog algorithm)で電界と磁界とを交互に計算することによって時間領域で解く方法である。

【非特許文献1】阪本卓也、佐藤亨、「UWBパルスレーダシステムのためのノンパラメトリックな目標形状推定法」、電子情報通信学会技術研究報告、A・P2003-36、103巻120号、1~6頁、2003年6月19日

【非特許文献2】阪本卓也、佐藤亨、「パルスレーダを用いた高分解能形状推定のための位相補正法」、電子情報通信学会技術研究報告、A・P2004-72、104巻202号、37~42頁、2004年7月22日

【非特許文献3】木寺正平、阪本卓也、佐藤亨、「UWBパルスレーダのための高精度物体形状推定法の開発」、電子情報通信学会研究報告、A・P2004-131、104巻283号、41~46頁、2004年9月9日

【非特許文献4】Takuya SAKAMOTO,Toru SATO,”A Target Shape Estimation Algorithm for pulse Radar Systems based on Boundary Scattering Transform”,IEICE TRANSACTIONS on Communications,Vol.E87-B,No.5,MAY 2004,pp1357-1365

産業上の利用分野


本発明は、送信パルスを放射して目標の物体から反射した該送信パルスの反射波を受信することによって該物体の形状を測定する形状測定装置及び形状測定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
物体の形状を測定する形状測定装置において、
パルスを生成して送信パルスとして空間に放射するパルス生成放射部と、
前記送信パルスを放射した位置で前記物体で反射した前記送信パルスの反射波を受信信号として受信する受信部と、
前記物体に対して前記パルス生成放射部の位置を変えながら前記送信パルスを放射することによって前記受信部で受信された複数の受信信号の波形と参照信号の波形との相互相関をそれぞれ求めることで複数の相関波形を求める相関部と、
前記相関部で求められた複数の相関波形に基づいて擬似波面を抽出して擬似波面と物体の形状との対応関係から前記物体の形状を推定する形状推定部と、
前記形状推定部で推定した物体の形状に応じた受信信号の波形を推定する波形推定部とを備え、
前記参照信号の波形として最初は前記送信パルスの波形を用いると共に次回以降は前記波形推定部で推定した受信信号の波形を用い、前記物体の形状を複数回推定することによって前記物体の形状を求めること
を特徴とする形状測定装置。

【請求項2】
前記送信パルスは、中心周波数に対する占有帯域幅の比である比帯域が20%以上であること
を特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。

【請求項3】
前記送信パルスは、UWBパルスであること
を特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。

【請求項4】
前記送信パルスは、モノサイクルパルスであること
を特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。

【請求項5】
物体の形状を測定する形状測定方法において、
パルスを生成して送信パルスとして空間に放射するパルス生成放射ステップと、
前記送信パルスを放射した位置で前記物体で反射した前記送信パルスの反射波を受信信号として受信する受信ステップと、
前記物体に対して前記送信パルスを放射する位置を変えながら前記送信パルスを放射することによって受信された複数の受信信号の波形と参照信号の波形との相互相関をそれぞれ求めることで複数の相関波形を求める相関ステップと、
前記相関ステップで求めた前記複数の相関波形に基づいて擬似波面を抽出して擬似波面と物体の形状との対応関係から前記物体の形状を推定する形状推定ステップと、
前記形状推定ステップで推定した物体の形状に応じた受信信号の波形を推定する波形推定ステップとを備え、
前記参照信号の波形として最初は前記送信パルスの波形を用いると共に次回以降は前記波形推定ステップで推定した受信信号の波形を用い、前記物体の形状を複数回推定することによって前記物体の形状を求めること
を特徴とする形状測定方法。
産業区分
  • その他通信
  • 工業用ロボット
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005168863thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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