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磁性体材料の製造方法

国内特許コード P07A009788
整理番号 DP1169
掲載日 2007年4月13日
出願番号 特願2005-275314
公開番号 特開2007-088215
登録番号 特許第4858941号
出願日 平成17年9月22日(2005.9.22)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
登録日 平成23年11月11日(2011.11.11)
発明者
  • 廣田 健
  • 庄田 良史
出願人
  • 学校法人同志社
発明の名称 磁性体材料の製造方法
発明の概要

【課題】 高周波帯域における透磁率μ、磁化σ及び電気抵抗率ρがより高く、鉄損が更に少ない磁性体材料ならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】 MgFeフェライトのFeの一部がMnに置換されてなるスピネル型フェライト磁性材料であって、少なくとも一般式Mg(Fe1-xMn(xはMnの固溶量、0<x≦0.4)で構成されているものとする。好ましくは、上記磁性材料はMg、Fe、Mnの各硝酸塩1a~1cからなる出発原料を蒸留水に溶解して混合水溶液2を調製する工程と、この混合水溶液2にクエン酸3とエチレングリコール4を加えて金属-クエン酸錯体5を調製する工程と、その金属-クエン酸錯体5をゲル状になるまで加熱攪拌した後乾燥することにより前駆体7を得る工程と、を含む工程から製造される。さらに、前駆体7を粉砕したのち加熱処理することにより、前駆体から仮焼粉体8が得られる。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


Feを主成分とする磁性酸化物の総称であるフェライトは、組成や製造方法によって結晶構造、磁気特性が大きく変化する特徴を有しており、現在ではその様な特性を利用して永久磁石や電磁波吸収材料のほか、磁心材料や磁気記録材料として既に広く用いられている。
近年では、フェライト材料の重要性は一層増しており、例えば(1)情報通信技術の発展に伴い、100Gbit/inchを超える高密度の垂直磁気記録を可能にする垂直磁気記録材料としてのフェライトのほか、(2)パワーエレクトロニクス技術の発展に伴う機器の小型高密度化により使用周波数の高周波化が進んでいることを踏まえ、より高周波領域で使用するために磁気特性のほかに電気抵抗率の高いフェライトが要望されている。
特に、スイッチング電源その他のトランス用磁芯に用いられる磁性材料においては、高周波化への対応が急務とされ、小型化した場合の発熱を防止するために、高周波において低損失であることが強く求められている。



ここで、一般的にトランス磁芯材料には、大きく分けて酸化物フェライト系材料のほか、金属系材料が存在する。しかしながら金属系の材料は、飽和磁束密度B、透磁率μとも高いという長所がある一方、電気抵抗率ρが10-6~10-4Ω・cm程度と低いため、高周波においては渦電流損が生じ、損失が大きくなるという欠点があった。



一方フェライト系材料は、飽和磁束密度は金属系材料の1/2程度しかないが、電気抵抗率ρは通常用いられているMnZn系のもので1Ω・cm程度と、金属系材料に比べて各段に高い値を得ることが出来る。そのため、渦電流損失が小さく、(1)特別な工夫をする事なく比較的高周波まで使用でき、また(2)複雑形状のものも容易に作れ、かつ(3)低コストであるといった特徴を持つ。従って、一般に高いスイッチング周波数を扱うスイッチング電源等に用いるトランス磁芯材料としては、このフェライト系の材料が多用されている。



しかしながら、このようなフェライト系材料においても、MHzオーダー或いはそれ以上の高周波数において使用する場合には、電気抵抗が十分ではなく、渦電流損失が大きくなって発熱が生じるという問題点があった。そこでCaOやSiOを添加する事により電気抵抗率を10~100Ω・cm程度と高めたものも作製されているが(特許文献1参照)、このような添加物は、フェライト自身と反応してその磁気特性を劣化させ、渦電流損失はある程度減少しても、ヒステリシス損失を増加させてしまい、結果としてトータルな損失はあまり低下しないという問題があった。
又新たに、MnZn系よりも電気抵抗の大きなNiZn系フェライトや、それよりもさらに電気抵抗の大きなMgFeからなるMgフェライトなるものも既に開発されているが(非特許文献1参照)、それでもMHzオーダーの高周波で機器を動作させるに当たっては十分な性能が得られないという問題があった。その他、フェライトをより実用的な材料とするため、Li-Zn-CuフェライトのFeの一部をMnで置換し、電気抵抗を向上させたという研究も報告されている(非特許文献2参照)が、これについても理論的、性能的に十分なものではなかった。



ところで、フェライトの分子式は一般的にMO・Feのように表される(Mは2価の金属イオン)。この一群の物質は鉱物のスピネル(MgO・Al)の結晶構造と同じであることからスピネル型フェライトと呼ばれる。スピネル型フェライトは[MFe]8分子で単位胞を形成し、図12に示される様な結晶構造を持っている。ここで、単位胞は24個の金属イオンと32個の酸素イオンを含んでいる。また、金属イオンの入る位置はA及びBの2種類がある。A位置は8個あって、近接4個の酸素イオンO2-に四面体的に囲まれ、8aの点或いは四面体位置と呼ばれる。又B位置は16個あって、近接6個の酸素イオンO2-に八面体的に囲まれ、16dの点或いは八面体位置と呼ばれる。
この場合、金属イオンの入り方には3種類あり、MがA位置に入る正スピネルと呼ばれるもの、MがB位置に入る逆スピネルと呼ばれるもの、そして、正スピネルと逆スピネルの中間体に属するものがある。すなわち、正スピネル型はM2+イオンが全部A位置に、Fe3+イオンが全部B位置に入るものであり、M2+[Fe3+]O2-で表わされる。逆スピネル型ではM2+イオンが全部B位置に、Fe3+イオンが半分ずつA位置及びB位置に入り、Fe3+[Fe3+2+]O2-で表わされる。また、正スピネルと逆スピネルの中間体とは、MがA位置とB位置の両方に配分されているものであり、上記MgFeはそれに属する。



このように、スピネルフェライトは原料混合を行うことによって多様な組み合わせが実現され得るため、非常に変化に富んだ組成をもつ磁性材料を作り出すことが可能である。その中でもMgFeは、軟磁性スピネルフェライトの中でも比較的高電気抵抗を示すものとして知られている。
しかしながら、如何に多様な組み合わせがあるといえども、MHzオーダーの高周波領域において、磁気特性である透磁率μ、磁化σに加え、電気抵抗率ρが十分に高く高周波損失特に鉄損の低減に有効な、磁気特性及び電気特性の優れたフェライトは、結局のところ現在に至るまで満足に提供されていなかったのである。

【特許文献1】特開平1-234357号公報

【非特許文献1】武井武, “フェライトの理論と応用”, 丸善, p.44-48(1960年)

【非特許文献2】T.Murase, T.Aoki, H.Umeda, Abs. Spring Meeting J. Jpn. Soc. Powder & Powder Metallurgy, p.108(2004年)

産業上の利用分野


本発明は、電子部品・電子機器において有効に使用される磁性材料製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一般式Mg(Fe1-xMn(xはMnの固溶量、0<x≦0.4)で構成されている、MgFeフェライトのFeの一部がMnに置換されてなるスピネル型フェライト磁性材料を製造するための方法であって、
Mg、Fe、Mnの各硝酸塩からなる出発原料を蒸留水に溶解して混合水溶液を調製する工程と、
前記混合水溶液にクエン酸とエチレングリコールを加えて金属-クエン酸錯体を調製する工程と、
前記金属-クエン酸錯体をゲル状になるまで加熱攪拌したのち乾燥することにより前駆体を得る工程と、
前記前駆体を粉砕したのち加熱処理することにより、前記前駆体から仮焼粉体を得る工程と、
前記仮焼粉体を整粒後、加圧成型して成形体を作製する工程と、および、
前記成形体を焼結させて焼結体を作製する工程と、
からなり、
前記前駆体を、前記金属-クエン酸錯体を80℃~120℃の温度、及び2時間~8時間の条件で加熱攪拌したのち、130℃~180℃の温度、及び12時間~36時間の条件で乾燥することにより得、
前記仮焼粉体を、前記前駆体を粉砕したのち、大気中で600℃~1000℃の温度、及び1時間~8時間の条件で加熱処理することにより得、
前記成形体を、前記仮焼粉体を整粒後、一軸金型成形により50MPa~150MPaの条件で加圧成型して作製し、さらに、
前記焼結体を、前記成形体をホットプレスにより大気中で1200℃~1400℃の温度、1時間~4時間、及び20MPa~50MPaの条件で焼結させて作製する、
ことを特徴とするフェライト磁性材料の製造方法。

【請求項2】
前記Mg、Fe、Mnの各硝酸塩からなる出発原料が、硝酸マグネシウム(II)六水和物(Mg(NO・6HOと、硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HOと、硝酸マンガン(II)六水和物(Mn(NO・6HOとからなることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁性材料の製造方法。

【請求項3】
前記クエン酸が無水クエン酸(C(CHCOOH)(OH)(COOH))又はクエン酸一水和物C・HOからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェライト磁性材料の製造方法。
産業区分
  • 磁性材料
  • 窯業
  • 電子部品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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