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老化抑制作用を有する乳酸菌およびその用途 新技術説明会

国内特許コード P07A009793
掲載日 2007年4月20日
出願番号 特願2005-074773
公開番号 特開2006-256993
登録番号 特許第4604207号
出願日 平成17年3月16日(2005.3.16)
公開日 平成18年9月28日(2006.9.28)
登録日 平成22年10月15日(2010.10.15)
発明者
  • 木元 広実
  • 水町 功子
  • 小林 美穂
  • 鈴木 チセ
  • 栗▲さき▼ 純一
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 老化抑制作用を有する乳酸菌およびその用途 新技術説明会
発明の概要

【課題】 安全性に問題がなく、経口的に摂取可能である乳酸菌の中から特定の菌株を選抜し、該菌株を含有する老化抑制剤、該菌株を用いた食品・製剤を提供すること。
【解決手段】 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(NITE AP-92)を含有する老化抑制剤並びに乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(NITE AP-92)を含有する老化抑制剤を含むことを特徴とする食品または薬剤。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


高齢化社会の到来により、健康で長寿であることに対する関心が高まる中、老化反応を抑える物質の開発が望まれている。
これまでに抗老化剤、老化防止剤として、アスコルビン酸(特許文献1参照)やコラーゲン(特許文献2参照)などの物質を含有するものが報告されている。
一方、乳酸菌は、代表的なプロバイオティクス(宿主の健康維持に有益な働きをする微生物)として知られており、これまでにも様々な機能性が報告されているが、さらに新しい作用の発見も求められている。乳酸菌は医薬品としてだけでなく、発酵乳のような食品としても摂取が可能であり、疾病予防のために毎日摂取することにも、医薬品や先に挙げた物質を摂取するよりも抵抗は少ないと考えられる。従って、乳酸菌を利用した老化抑制、予防食品が望まれていた。



ところで、老化に関連する生理現象としては、記憶能の低下、免疫応答の低下、生体内酸化、骨密度の低下などがある。
これまでに報告されている乳酸菌についての知見としては、ある乳酸菌が老齢マウスの免疫応答を賦活化し、病原菌感染性を低下させたという報告(非特許文献1参照)や発酵乳投与マウスの寿命が延長されるとの報告(非特許文献2参照)がある。しかし、前者は老化を抑制するものではなく、後者は寿命が延びていても老化していないことには言及していない。
また、乳酸菌を用いた抗老化剤として、皮膚の老化防止として「皮膚外用剤」(特許文献3参照)、「皮膚老化防止用化粧料」(特許文献4参照)、「皮膚の免疫系のバランスを保つためのプロバイオティック乳酸菌」(特許文献5参照)などがある。前二者は、食品としての乳酸菌の効果に関するものではなく、第三の報告は、経口摂取によるものではあるが、老齢マウスを試験に使用していないため、老化に関連した潰瘍発生、他の病態に対する影響については検討されていない。



老化に伴う生理現象の解析には、老化促進モデルマウス(Senescence-Accelerated Mouse 、SAM)を用いた研究が有効である。SAMは1991年時で、P系群8系統、R系群3系統が維持されている。1例を挙げれば、P/1系は老化アミロイド症、P/6系は老年性骨粗鬆症、P/8系は学習・記憶障害を発症する。SAM研究会では、前記の病態の他にマウスの行動や外観(皮膚)の老化の程度を表す老化スコアを設定している。SAMを用いた老化関連病態に及ぼす乳酸菌投与の報告はこれまでにない。



骨粗鬆症には、原発性と持続性の二つのタイプがあり、原発性はさらに閉経後骨粗鬆症と老年性骨粗鬆症に分けられる。骨代謝には、骨形成と骨吸収があり、正常であれば、両者のバランスがとれている。閉経後骨粗鬆症は、骨吸収が骨形成よりも異常に亢進しているために見られるもので、骨吸収抑制剤(ビスホスホネート製剤など)の投与が有効である。
骨粗鬆症に対する乳酸菌の効果については、乳酸菌を用いて発酵させた発酵乳(特許文献6参照)やプロピオン酸または乳酸菌体培養物(特許文献7参照)で骨密度の増加や減少抑制に効果があったと報告されている。しかし、これらの報告では、卵巣摘出手術を施したラットあるいは無処置のラットが試験に用いられており、これまでに老化に伴う骨密度の減少に対する乳酸菌の効果を調べた報告はない。老齢時では、骨吸収、骨形成がともに低下した状態であり、閉経後骨粗鬆症モデルラットでは老年性骨粗鬆症の病態と一致しない。



活性酸素は、生体内で過酸化脂質を生成し、疾病、細胞老化の原因となると考えられている。乳酸菌の抗酸化作用については、「抗酸化剤」(特許文献8参照)などの報告があるが、老化に関連した病態としての骨密度減少、皮膚の潰瘍発生に対する抗酸化作用を有する乳酸菌摂取の効果に関する報告はない。



乳酸菌は20属に分かれているが、機能性研究が進んでいるのは、ラクトバチルス属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、ラクトコッカス属である。しかし、エンテロコッカス、ストレプトコッカス属乳酸菌については、そのグループに属する菌株がすべて安全であるとは限らず、病原性を有する菌株も存在するため、使用する菌株を慎重に選ぶ必要がある。
ラクトバチルス属乳酸菌は、乳酸菌のなかでも安全性が高いグループであることが知られているが、一般に牛乳中での生育が悪いものが多く、発酵乳の製造の際、十分に生育させるには乳由来の乳酸菌と混合したり、タンパク分解物などを添加しなければならない。ラクトコッカス属乳酸菌は、ラクトバチルス属乳酸菌と並んで安全性が高く、かつ、牛乳中での生育がよく、乳製品の製造に適した乳酸菌グループである。また、通性嫌気性細菌のため、取り扱いも容易である。従って、ラクトコッカス属乳酸菌の中から、新規な、付加価値の高い乳製品製造開発に向け、老化抑制効果を有する乳酸菌株が求められていた。



「プロバイオティクス」とは、もともと「宿主の腸内フローラのバランスを改善することにより宿主動物に有益に働く微生物添加物」(非特許文献3参照)と定義されており、乳酸菌がプロバイオティクスとしての機能を十分に発揮するためには、腸管まで生きたまま到達することが望ましいとされてきた。
しかし、最近ではプロバイオティクスは「宿主の健康維持に有益な働きをする微生物」(非特許文献4参照)として広い意味で用いられることが多く、死菌体でもプロバイオティクスに含めることができるという考えもみられる(非特許文献5参照)。すなわち、機能性によっては死菌体でも生菌と同じ作用を有する場合がある。例えば、免疫賦活作用、コレステロール低下作用、抗腫瘍効果などである。死菌体は生菌に比べて取り扱いが容易であり、製剤としての利用が可能であり、または食品に添加してもよい。従って、生菌だけでなく、死菌体でも抗老化作用を有する乳酸菌が求められていた。




【特許文献1】特開2004-359554号公報

【特許文献2】特開2004-067551号公報

【非特許文献1】Hori et al.,(2002)Clin.Diagn.Lab.Immunol.,9:105-108

【非特許文献2】荒井ら(1980)、栄養と食糧、33:219-223

【特許文献3】特開2002-037742号公報

【特許文献4】特開平07-145034号公報

【特許文献5】特表2004-510740号公報

【特許文献6】特開2004-315477号公報

【特許文献7】再表01/028547号公報

【特許文献8】特開2003-253262号公報

【非特許文献3】Fuller,(1989)J.Appl.Bacteriol., 66,365-378

【非特許文献4】Lee and Salminen,(1995)Trends Food Sci. Technol.6,241-245

【非特許文献5】Salminen et al.,(1999)Trends Food Sci. Technol.,10,107-110

産業上の利用分野


本発明は、特定の乳酸菌を含有する老化抑制剤に関し、詳しくは、骨密度減少抑制能、皮膚潰瘍発生抑制能を有するラクトコッカス属乳酸菌を有効成分とする老化抑制剤および該乳酸菌を利用した薬剤(医薬品)に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris) H-61株(NITE -92)を有効成分として含有することを特徴とする老化抑制剤。

【請求項2】
ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris) H-61株(NITE -92)が生菌である請求項1記載の老化抑制剤。

【請求項3】
ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris) H-61株(NITE -92)が死菌体である請求項1記載の老化抑制剤。

【請求項4】
老化抑制が骨密度減少抑制であることに由来する請求項1~3のいずれかに記載の老化抑制剤。

【請求項5】
老化抑制が皮膚潰瘍発生抑制であることに由来する請求項1~3のいずれかに記載の老化抑制剤。

【請求項6】
乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris) H-61株(NITE -92)を有効成分として含有する老化抑制剤を含むことを特徴とする薬剤
産業区分
  • 薬品
  • 食品
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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16124_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


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