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イネいもち病罹病性遺伝子Pi21および抵抗性遺伝子pi21ならびにそれらの利用

国内特許コード P07A009805
掲載日 2007年4月20日
出願番号 特願2005-187867
公開番号 特開2007-006711
登録番号 特許第4756238号
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
登録日 平成23年6月10日(2011.6.10)
発明者
  • 福岡 修一
  • 奥野 員敏
  • 河瀬 真琴
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 イネいもち病罹病性遺伝子Pi21および抵抗性遺伝子pi21ならびにそれらの利用
発明の概要 【課題】新規な植物の病斑進展制御遺伝子の提供ならびに該遺伝子を利用した植物の耐病性の改変方法を提供する。
【解決手段】連鎖解析によりイネの圃場抵抗性遺伝子pi21を単離することに成功し、該遺伝子の導入や発現制御により植物のいもち病圃場抵抗性を改変し得る可能性を見出した。これにより、植物に圃場抵抗性を効率的に付与することが可能となった。また、いもち病圃場抵抗性であるイネを早期に選抜することが可能となった。さらには圃場抵抗性に関与する遺伝子の組織発現特異性や発現レベルを変更することにより、抵抗性と実用性の高い特性を兼ね備えた品種を育成することからなる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


イネのいもち病菌に対する抵抗性は真性抵抗性と圃場抵抗性の2種類に分類される(非特許文献1)。前者は過敏感反応に基づく抵抗性であり、効果が大きくレースに対する特異性が高い質的な抵抗性である。1個の抵抗性遺伝子を導入した品種は、その遺伝子に親和性の菌が出現することによって、数年でその効果を失うことが経験的に知られる。一方圃場抵抗性は、真性抵抗性が機能しない条件下で観察される抵抗性の品種間差と定義される。真性抵抗性に比べて効果が小さいものの、レースに対する特異性が低いことから、品種に持続性のある抵抗性を付与できる点で実用性が高い。



真性抵抗性に関与する遺伝子は30種類以上が知られ、そのうち、Pib、Pita遺伝子が単離されている(非特許文献2)。これらの遺伝子は、既報の植物の病害抵抗性遺伝子と類似した構造である nucleotide binding site (NBS)や leucine-rich repeats (LRRs)をもつNBS-LRR クラス遺伝子であることが明らかとなっている。他の病害抵抗性遺伝子と同様、植物の抵抗性遺伝子の産物は、それに対応する病原体の非病原性遺伝子の産物を直接的あるいは間接的に認識する受容体としての機能を果たすものと考えられている。実際、Pitaは非病原性遺伝子産物と物理的に直接結合することが明らかにされている。



圃場抵抗性については、日本陸稲品種が優れた特性を有することが知られ、関与する複数の遺伝子座に関して、染色体上の位置が明らかにされている(非特許文献3)。しかしながら、遺伝子の構造や発現機構は明らかにされておらず、真性抵抗性に比べてこれを効率的に育種選抜に利用できる状況にはない。また、圃場抵抗性と類似した概念である不完全抵抗性(incomplete resistance)に関しては、西アフリカの陸稲品種Moroberekanの複数の染色体領域の関与が報告されている(非特許文献4)ものの、遺伝子は特定されていない。
【特許文献1】
特願平10-271807
【特許文献2】
特願平11-153146
【特許文献3】
特許第3376453号(P3376453)
【特許文献4】
特開2003-88379(P2003-88379A)
【特許文献5】
特開2003-199577(P2003-199577A)
【特許文献6】
特開2003-199448(P2003-199448A)
【特許文献7】
特開2004-329215(P2004-329215A)
【非特許文献1】
イネのいもち病と抵抗性育種 p175-186 高坂・山崎編 1980博友社
【非特許文献2】
Wang et al. Plant J 19:55-64, 1999,Bryan et al. Plant Cell. 12:2033-46, 2000
【非特許文献3】
Fukuoka and Okuno 2001 Theor Appl Genet. 03:185-190
【非特許文献4】
Wang et al. Genet 136:1421-1434, 1994

産業上の利用分野


本発明は、イネいもち病圃場抵抗性遺伝子pi21、ならびに該遺伝子を利用した植物のいもち病圃場抵抗性を改変する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下(a)又は(b)に記載のDNA;
)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
)配列番号:4または5に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。

【請求項2】
以下(a)または(b)のいずれかに記載のDNAの転写産物と相補的なRNAをコードするDNAであって、Pi21遺伝子機能を抑制し、イネへいもち病圃場抵抗性能を付与するDNA
(a)配列番号:22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号:20または21に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA

【請求項3】
請求項1又は2に記載のDNAを含むベクター。

【請求項4】
請求項1又は2に記載のDNAが導入された形質転換細胞。

【請求項5】
請求項2に記載のDNAが導入された形質転換植物細胞。

【請求項6】
植物がイネ、コムギ、オオムギ、エンバク、トウモロコシ、ハトムギ、イタリアンライグラス、ペレニアルライグラス、チモシー、メドーフェスク、キビ、アワ、サトウキビである、請求項に記載の形質転換植物細胞。

【請求項7】
請求項又はに記載の形質転換細胞を含む形質転換植物体。

【請求項8】
請求項に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。

【請求項9】
請求項またはのいずれかに記載の形質転換植物体の繁殖材料。

【請求項10】
請求項またはのいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法であって、請求項2に記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法。

【請求項11】
請求項2に記載のDNAをイネの細胞内で発現させる工程を含む、イネにいもち病圃場抵抗性を付与する方法。

【請求項12】
請求項2に記載のDNA、または該DNAを含むベクターのいずれか1つを含む、イネのいもち病圃場抵抗性を増加させる薬剤。

【請求項13】
配列番号:1または20に記載の塩基配列の一部を増幅するプライマーセットであって、配列番号:1または20に記載の塩基配列からなる核酸の部分断片である、少なくとも15ヌクレオチドからなる核酸のセットとして構成されるものであり、配列番号:18または19からなる塩基配列の有無を調べるためのプライマーセット。

【請求項14】
配列番号:7、10、23のいずれかに記載の塩基配列の増幅のために用いられる配列番号:8に記載の塩基配列からなるDNAおよび配列番号:9に記載の塩基配列からなるDNAのプライマーセットであって、イネのいもち病抵抗性の有無を判定するために用いられるプライマーセット。

【請求項15】
配列番号:7、10、23のいずれかに記載の塩基配列の増幅のために用いられる配列番号:16に記載の塩基配列からなるDNAおよび配列番号:17に記載の塩基配列からなるDNAのプライマーセットであって、イネのいもち病抵抗性の有無を判定するために用いられるプライマーセット。

【請求項16】
配列番号:7、10、23のいずれかに記載の塩基配列の増幅のために用いられる配列番号:26に記載の塩基配列からなるDNAおよび配列番号:27に記載の塩基配列からなるDNAのプライマーセットであって、イネのいもち病抵抗性の有無を判定するために用いられるプライマーセット。

【請求項17】
配列番号:10に記載の塩基配列からなるDNA。

【請求項18】
以下の(a)~(c)の工程を含む方法であって、分子量または塩基配列が一致するときに、被検イネがいもち病圃場抵抗性であると判定する方法;
(a)被検イネからDNA試料を調製する工程、
(b)該DNA試料から以下(i)~(iv)に記載のDNA領域を増幅する工程、
(i)配列番号:3または22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1、2、20または21に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
iii)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
iv)配列番号:4または5に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)増幅したDNA断片の分子量または塩基配列を、上記(iii)または(iv)のいずれかに記載のDNAのそれと比較する工程。

【請求項19】
以下の(a)~(d)の工程を含む方法であって、ゲル上での移動度が一致するときに、被検イネがいもち病圃場抵抗性であると判定する方法;
(a)被検イネからDNA試料を調製する工程、
(b)該DNA試料から以下(i)~(iv)に記載のDNA領域を増幅する工程、
(i)配列番号:3または22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1、2、20または21に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
iii)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
iv)配列番号:4または5に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)増幅した二本鎖のDNAを非変性ゲル上で分離する工程、
(d)分離した二本鎖DNAのゲル上での移動度を、上記(iii)または(iv)のいずれかに記載のDNAのそれと比較する工程。

【請求項20】
以下の(a)~(e)の工程を含む方法であって、ゲル上での移動度が一致するときに、被検イネがいもち病圃場抵抗性であると判定する方法;
(a)被検イネからDNA試料を調製する工程、
(b)該DNA試料から以下(i)~(iv)に記載のDNA領域を増幅する工程、
(i)配列番号:3または22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1、2、20または21に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
iii)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
iv)配列番号:4または5に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程、
(d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程、
(e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を、上記(iii)または(iv)のいずれかに記載のDNAのそれと比較する工程。

【請求項21】
以下の(a)~(d)の工程を含む方法であって、ゲル上での移動度が一致するときに、被検イネがいもち病圃場抵抗性であると判定する方法;
(a)被検イネからDNA試料を調製する工程、
(b)該DNA試料から以下(i)~(iv)に記載のDNA領域を増幅する工程、
(i)配列番号:3または22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1、2、20または21に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
iii)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
iv)配列番号:4または5に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程、
(d)分離したDNAのゲル上での移動度と、上記(iii)または(iv)のいずれかに記載のDNAのそれと比較する工程。

【請求項22】
以下の(a)および(b)に記載の工程を含む、いもち病圃場抵抗性であるイネを選抜する方法;
(a)いもち病圃場抵抗性能であるイネと任意の機能を有するイネとが交配された品種を作製する工程、
(b)請求項1821のいずれかに記載の方法により、工程(a)で作製されたイネがいもち病圃場抵抗性であるか否かを判定する工程。

【請求項23】
以下の(a)および(b)の工程を含む方法であって、被検イネのDNA試料が配列番号:10に記載の塩基配列を有する場合に、被検イネがいもち病圃場抵抗性であると判定する方法;
(a)被検イネからDNA試料を調製する工程、
(b)該DNA試料が配列番号:10に記載の塩基配列を有するか否か決定する工程。

【請求項24】
以下の(a)および(b)に記載の工程を含む、いもち病圃場抵抗性であるイネを選抜する方法;
(a)いもち病圃場抵抗性能であるイネと任意の機能を有するイネとが交配された品種を作製する工程、
(b)請求項23に記載の方法により、工程(a)で作製されたイネがいもち病圃場抵抗性であるか否かを判定する工程。

【請求項25】
以下の(a)~(c)の工程を含む、イネのいもち病を予防または改善するための薬剤のスクリーニング方法;
(a)イネから採取した細胞に、被検化合物を接触させる工程、
(b)以下(i)または(ii)に記載のDNAの転写産物の発現レベルを測定する工程、
(i)配列番号:3または22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1、2、20または21に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、上記転写産物の発現レベルを減少させた被検化合物を選択する工程。

【請求項26】
以下の(a)~(c)の工程を含む、イネのいもち病を予防または改善するための薬剤のスクリーニング方法;
(a)以下(i)または(ii)記載のDNAが導入された形質転換イネ細胞より形質転換イネを再生させる工程、
(i)配列番号:3または22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(ii)配列番号:1、2、20または21に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(b)該形質転換イネに、いもち病菌および被検化合物を接触させる工程、
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、該形質転換イネのいもち病を抑制する被検化合物を選択する工程。

【請求項27】
配列番号:10、18、19のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA、または請求項1316のいずれかに記載のプライマーセットの少なくとも1つを含む、請求項25または26に記載のスクリーニング方法に用いるためのキット。
国際特許分類(IPC)
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画像

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16136_01SUM.gif
出願権利状態 登録


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