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繊維芽細胞増殖促進剤

国内特許コード P07A009807
掲載日 2007年4月20日
出願番号 特願2005-201419
公開番号 特開2007-016004
登録番号 特許第4973975号
出願日 平成17年7月11日(2005.7.11)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
登録日 平成24年4月20日(2012.4.20)
発明者
  • 石原 賢司
  • 小山田 千秋
  • 金庭 正樹
出願人
  • 国立研究開発法人水産研究・教育機構
発明の名称 繊維芽細胞増殖促進剤
発明の概要 【課題】新規な繊維芽細胞増殖促進剤を提供すること、従来はほとんど使用の途がなかった二枚貝の内臓や紅藻類に属する海藻の中でも低品質で食用に不適なノリから有用な繊維芽細胞増殖促進剤を抽出して提供すること、及び創傷治癒剤や化粧品等の構成原料としてすぐれた効果を奏し、しかも使いやすい繊維芽細胞増殖促進剤を提供すること。
【解決手段】マイコスポリン様アミノ酸(MAA)よりなるか又はMAAを有効成分とする繊維芽細胞増殖促進剤。MAAは二枚貝の内臓から抽出するか又は紅藻類に属する海藻から抽出することが好ましい。ヒト皮膚の繊維芽細胞の増殖を促進するのに有効であり、創傷治癒剤、化粧品、浴用剤、飲食品、繊維芽細胞用培地等の構成原料として用いることができる繊維芽細胞増殖促進剤。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


ホタテガイは、年間56万トン程度漁獲されているが、製品となるのは貝柱の部分がほとんどで、ホタテガイ全量の13%程度にすぎない。貝柱以外の貝殻、内臓、外套膜等は加工の過程で産業廃棄物として処理されているので、自然環境への負荷や処理コストの点で問題が多い。特に、ホタテガイの内臓は、重金属カドミウムが含まれているので、これを廃棄又はリサイクルするにはカドミウムを除去する必要があるため、処理コストが非常にかさむ。そのため、業界からは、ホタテガイ廃棄物の有効利用方途や有用成分の利用法の開発によってホタテガイ加工廃棄物の付加価値向上が要望されている。



また、我が国では紅藻類アマノリ属に属するノリが盛んに養殖されているが、近年、ケイ藻プランクトンの発生に伴う養殖海域の栄養塩の減少によって色落ちと呼ばれる低品質のノリが多量に発生しており、食用に適さないため、廃棄処分しなければならず、社会問題化している。このような低品質のノリの成分の生理活性を明らかにすることで有効利用の方途を開発することは水産業において重要な課題であり、また、環境への負荷の低減という意味でも重要である。



本発明者らは、当初、ホタテガイの廃棄物から有用物質を見出し、廃棄物そのものに付加価値を付与することでホタテガイ廃棄物の処理コストを低減化することを志向して、ホタテガイの加工廃棄物から有用物質を探索したところ、ホタテガイの卵巣抽出物にB領域紫外線(UVB:波長280~320nm)吸収活性を見出した。さらにこのUVB吸収活性成分の一つとして数種のマイコスポリン様アミノ酸を同定した。



マイコスポリン様アミノ酸(Mycosporine-like amino asids:以下「MAA」とも記載する。)は、菌類の代謝産物であるマイコスポリン(シクロヘキセノン又はシクロヘキセニミン骨格にアミノ酸又はアミノアルコールが結合した構造)の部分構造を有するアミノ酸類の総称で、UVBからA領域紫外線(UVA:波長320~400nm)の領域に強い吸収帯を有する。MAAは、動植物プランクトン、海藻類、無脊椎動物、魚類など水生生物に広く分布することが知られており、太陽光紫外線による傷害からこれら水生生物を保護していると考えられている(非特許文献1)。



このようにMAAは、天然の紫外線防御物質であるが、紫外線吸収活性以外にも抗酸化性を有することが知られており、化粧品や浴用剤や飲食品等への用途が期待されている。しかし、実用化するには、なお研究を続ける必要がある。



本発明者らはホタテガイの内臓から抽出したMAAのさらなる付加価値を見出すべく、その機能性を探索したところ、MAAが繊維芽細胞に対して増殖促進効果を呈し、その結果として、創傷の治癒を促進することを見出した。また、紅藻類アマノリ属であるノリからもMAAを抽出して試験した結果、ホタテガイの内臓から抽出したMAAと同様に、ノリ由来MAAも繊維芽細胞に対して増殖促進効果を呈し、その結果として、創傷の治癒を促進することを見出した。
【特許文献1】
特開平06-062878号公報
【特許文献2】
特開平10-045615号公報
【特許文献3】
特開平10-077472号公報
【特許文献4】
特開2002-179575号公報
【特許文献5】
特開2002-034514号公報
【特許文献6】
特開2002-336818号公報
【特許文献7】
特開2003-034631号公報
【特許文献8】
特開2004-344802号公報
【非特許文献1】
石原賢司・金庭正樹・桑原隆治・蛯谷幸司『ホタテガイ卵巣から得られる紫外線吸収アミノ酸』農林水産技術・研究ジャーナル(社団法人農林水産技術情報協会)Vol.28、No.6(2005年6月号)、p33~37
【非特許文献2】
作田庸一・富田恵一・田辺雄三『ホタテガイ副産物の処理・利用技術に関する研究開発(第1報)-ホタテガイの成長に伴う重金属含量の変化-』北海道立工業試験場報告、No.291、p13~19(1992)



従来から、MAAや繊維芽細胞増殖促進剤に関する発明は、多数特許出願されている。
その数例を挙げると以下のとおりである。すなわち、特許文献1には微生物由来のMAAの製法やその用途(化粧品添加物等)について記載されている。しかし、特許文献1にはMAAが繊維芽細胞に対して増殖促進能を有することは何ら開示されていない。また、特許文献2と同7には、植物抽出物含有の繊維芽細胞増殖促進剤の製法やその用途(皮膚外用剤・浴用剤・飲食品・抗老化化粧料等)について記載されている。しかし、特許文献2や同7には、MAA由来の繊維芽細胞増殖促進剤については何ら開示されていない。なお、特許文献2と同7に記載の繊維芽細胞増殖促進剤は、その効果を奏するには培地中に0.25~1%の濃度を必要としている。



特許文献3にはノリ由来のMAAを含有する抗酸化剤の製法について記載されている。しかし、特許文献3にはノリ由来のMAAが繊維芽細胞に対して増殖促進能を有することは何ら開示されていない。また、特許文献4には単糖類又は二糖類と脂肪酸との糖エステルからなる皮膚創傷治癒促進剤について記載されている。しかし、特許文献4にはMAAが皮膚創傷治癒促進剤として有用であることについては何ら開示していない。



特許文献5には、ホタテガイの卵巣・精巣の加工方法及び加工食品について記載されている。また、特許文献6には、ホタテガイの内臓を含む軟体動物の加工残渣の処理方法について記載されている。さらに、特許文献8には、ホタテガイ内臓組織から、カドミウムのような有害金属を除去して、これを有用な飼料に転換する方法が記載されている、しかし、特許文献5、同6及び同8には、ホタテガイの内臓にMAAが含有されていることやホタテガイ由来のMAAが繊維芽細胞増殖促進能を有することについては全く開示されていない。



以上を総合すると、MAAが繊維芽細胞に対して増殖促進能を有することは従来知られていない事項であると認められる。本発明者らは、その後さらに研究を続け、MAAのヒト皮膚の繊維芽細胞増殖促進能や創傷治癒能についても確認し、本発明を完成するに至った。

産業上の利用分野


本発明は繊維芽細胞増殖促進剤に関する。詳しくは、マイコスポリン様アミノ酸の機能に基づく新規な繊維芽細胞増殖促進剤とその用途に関する。本発明の繊維芽細胞増殖促進剤は、ホタテガイを代表とする二枚貝の内臓やノリ(海苔)等の紅藻類に属する海藻を原料として抽出することができる。

特許請求の範囲 【請求項1】
繊維芽細胞用培地の構成原料として用いるためのマイコスポリン様アミノ酸よりなるか又はマイコスポリン様アミノ酸を有効成分とする繊維芽細胞増殖促進剤。

【請求項2】
創傷治癒剤又はその構成原料として用いるためのマイコスポリン様アミノ酸よりなるか又はマイコスポリン様アミノ酸を有効成分とする繊維芽細胞増殖促進剤。

【請求項3】
浴用剤の構成原料として用いるためのマイコスポリン様アミノ酸よりなるか又はマイコスポリン様アミノ酸を有効成分とする繊維芽細胞増殖促進剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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16138_01SUM.gif
出願権利状態 登録


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