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高糖度含有葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法

国内特許コード P07A009815
掲載日 2007年4月20日
出願番号 特願2006-107139
公開番号 特開2006-320316
登録番号 特許第4965150号
出願日 平成18年4月10日(2006.4.10)
公開日 平成18年11月30日(2006.11.30)
登録日 平成24年4月6日(2012.4.6)
優先権データ
  • 特願2005-123599 (2005.4.21) JP
発明者
  • 岡田 益己
  • 井上 めぐる
  • 村井 麻理
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 高糖度含有葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法
発明の概要

【課題】「寒締め栽培」の利点を生かしつつ、従来の「寒締め栽培」の適用時期を越えて適用することができ、なおかつ、気候変動に左右されず、更に、低温処理による可食部品質への望ましくない影響を極力抑えた新しい葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法を提供すること。
【解決手段】葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法において、収穫前の所定の栽培期間或いは収穫時の所定の保持期間、葉茎根菜類又は果菜類の根部を特異的に低温条件に管理して栽培し、葉茎根菜類又は果菜類の可食部に含まれる糖度の上昇を図ることよりなる高糖度含有葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法からなる。本発明の栽培方法により、夏冬の栽培時期を問わず、葉茎根菜類又は果菜類の葉、茎、根及び果実等の可食部の糖度やビタミン等の栄養成分の含量を向上させて、品質の高い野菜を提供することができる。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


ホウレンソウやコマツナのような葉菜類においては、その植物体中に含有される糖やビタミンなどの含量は、その栽培時における気温や土壌養分、光条件、水ストレスなどの様々な環境要因によって影響されるが、一般に、該作物の糖やビタミンC等の含量は、冬期に高く、夏期に低いことが知られている。このことは、栽培期間中の気温が、該葉菜類の糖やビタミンCなどの含量の多少に大きな影響を及ぼす要因の一つであることを示している。



昨今、ホウレンソウやコマツナのような葉菜類においては、冬の寒さを利用して、野菜の甘味や栄養価を高める栽培法が、東北地方を中心に普及・拡大している。この栽培法は、「寒締め栽培」と呼ばれる。この栽培方法は、ハウス栽培のような葉菜類の栽培において、秋から冬にかけ、ハウス内の高い温度を利用して葉菜類を十分に生育させた後、冬期の低温に曝すことによって、葉菜類の糖やビタミンCなどの含量の増大を図る方法である。例えば、ホウレンソウのような葉菜類をこの「寒締め栽培」によって栽培するには、まず、外気温が4℃を下回る頃に出荷可能となるように栽培を始め、ハウス内の高い温度を利用して、十分に生育を図る。その後、ハウスの覆いを開放して、昼夜外気にあてて、外気の低温に曝す。この低温処理により、植物はその耐寒性を高めるために、体内の水分を減少させ、糖やビタミンCなどのような体内成分を増加させる(岡田益己、小沢聖編「べたがけを使いこなす」農文協、P68-70、1997)。



最近、ホウレンソウやコマツナのような葉菜類の冬期ハウス栽培、すなわち「寒締め栽培」に関連して、これらの葉菜類のハウス栽培における低温処理と葉菜類の糖やビタミン含量等の増大の関係についての定量的な研究が進められ、その報告がなされている(日本土壌肥料科学雑誌、第58巻第4号、427-432、1987;東北農業研究、第47号、317-318、1994;東北農業研究、第50号、191-192、1997;農業および園芸、第71巻第3号、409-412、1996;園学研、3(2):187-190、2004;2004年9月6日~8日、農業環境工学関連4学会2004年合同大会発表要旨「寒締めホウレンソウの糖度変化の定量化」)。これらの報告により、葉菜類の栽培における低温処理の温度と葉菜類の糖やビタミン含量等の増大の定量的な関係が、明らかにされている。



近年、野菜類の栽培技術が発達し、施設栽培による生産が著しく増加している一方、施設内で生産された野菜、特に、季節外れの野菜はビタミンCや糖含量が低く、成分面からみた品質が劣っているとも指摘されている中で、これらの栄養成分の増大を図り、施設内で生産された野菜の品質の向上を図る上で、ホウレンソウやコマツナのような葉菜類の冬期ハウス栽培において開発された「寒締め栽培」は極めて重要な栽培技術に位置付けられる。しかしながら、この「寒締め栽培」も、なお、いくつかの課題を残している。



すなわち、まず、(1)温暖な秋の間に野菜を生長させ、冬の寒さに当てて糖度やビタミンの高い野菜を収穫する従来の「寒締め栽培」は、「冬の寒さ」に依存せざるを得ないため、その適用できる栽培時期が限られている。したがって、温暖な春から秋の間に栽培される野菜について、消費者から甘く栄養価の高い野菜が求められても、従来の「寒締め栽培」は、これらの消費者からのニーズに答えることは難しい。



また、(2)従来の「寒締め栽培」は、該栽培方法で収穫された野菜の品質が、そのときの気象に大きく依存するという側面を有している。例えば、晩秋から初冬にかけて気温が高く経過すると、寒さが来る前に出荷規格の大きさを超えてしまい、糖度が高まる前に出荷せざるを得ない。またその期間が異常に寒いと、野菜が出荷規格に達しないまま、冬を迎えてしまい、糖度が上昇しても規格が小さいため市場性が損なわれる。更に、異常な暖冬であれば、糖度上昇は望めない。最近の異常気象により、この不安定な生産傾向が「寒締め栽培」に重大な影響を及ぼしている。このように、栽培時期の気象に依存するこれらの栽培法では、秋期の生長調節の失敗や暖冬による糖度不足などにより、安定した高品質の野菜の生産がしばしば損なわれている。



更に、(3)従来の「寒締め栽培」は、冬の外気の低温を利用するため、その温度管理には熟練が必要とされ、また、地上部に出ている可食部を低温に曝すため、低温処理による栄養成分の増大と共に、凍害や黄変等の低温による可食部品質への影響を引き起こす恐れがあるという面を有している。したがって、「寒締め栽培」は、高品質野菜の栽培方法として有力の手段ではあるが、上記のように、なお、解決されなければならない制約を有しており、したがって、かかる「寒締め栽培」の利点を生かしつつも、上記のような制約を解消した新しい高品質野菜の栽培方法の確立が望まれているところである。




【非特許文献1】岡田益己、小沢聖編「べたがけを使いこなす」農文協、P68-70、1997。

【非特許文献2】日本土壌肥料科学雑誌、第58巻第4号、427-432、1987。

【非特許文献3】東北農業研究、第47号、317-318、1994。

【非特許文献4】東北農業研究、第50号、191-192、1997。

【非特許文献5】農業および園芸、第71巻第3号、409-412、1996。

【非特許文献6】園学研、3(2):187-190、2004。

【非特許文献7】2004年9月6日~8日、農業環境工学関連4学会2004年合同大会発表要旨「寒締めホウレンソウの糖度変化の定量化」。

産業上の利用分野


本発明は、葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法において、葉茎根菜類又は果菜類の根部を特異的に低温条件に管理して栽培し、葉茎根菜類又は果菜類の可食部に含まれる糖度の上昇を図る高糖度含有葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アカザ科、アブラナ科、キク科(サニーレタスを除く)、ユリ科及びセリ科から選択される葉茎根菜類又はナス科及びウリ科から選択される果菜類の栽培方法において、葉茎根菜類については、収穫前の数日~3週間の範囲の栽培期間或いは収穫時の所定の保持期間、又は、果菜類については、収穫前の開花結実後から収穫時までの期間、葉茎根菜類又は果菜類の根部を実質的に0~15℃の範囲の低温条件に管理して栽培し、葉茎根菜類又は果菜類の可食部に含まれる糖度の上昇を図ることを特徴とする高糖度含有葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法。

【請求項2】
葉茎根菜類又は果菜類の根部の低温条件の管理を、葉茎根菜類又は果菜類の根部への低温水の供給或いは冷却媒体による根部雰囲気の冷却によって行うことを特徴とする請求項1記載の高糖度含有葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法。

【請求項3】
低温水が、養液栽培における供給養液であることを特徴とする請求項2記載の高糖度含有葉茎根菜類又は果菜類の栽培方法。
産業区分
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中


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