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可視光を全吸収する水素生成のための黒色光触媒 新技術説明会

国内特許コード P07A009817
掲載日 2007年4月20日
出願番号 特願2004-365794
公開番号 特開2006-167652
登録番号 特許第4608693号
出願日 平成16年12月17日(2004.12.17)
公開日 平成18年6月29日(2006.6.29)
登録日 平成22年10月22日(2010.10.22)
発明者
  • 工藤 昭彦
  • 青野 成彦
  • 長根 聖
  • 辻 一誠
  • 加藤 英樹
出願人
  • 学校法人東京理科大学
発明の名称 可視光を全吸収する水素生成のための黒色光触媒 新技術説明会
発明の概要 【目的】 太陽光の可視光領域のスペクトルを高効率で利用可能な光水分解触媒の提供
【構成】 全可視光を吸収する黒色の半導体であるCuInSのCu又はInの一部をAg又はGaで置換した固溶体から成る光触媒、および、前記触媒にRu、Pt又はRh助触媒を担持させた硫黄化合物を含む水溶液の光水分解により水素を生成させる光水分解用触媒。
【選択図】 図7
従来技術、競合技術の概要


化石資源は無尽蔵とは言えないことから、これらを化学原料に振り向けることが資源の有効利用の観点から好ましい。また、地球温暖化などの環境問題などの観点から、COの発生を伴わないクリーンなエネルギーへの変換が熱望されている。また、石炭の燃焼の際にはCOの発生だけでなく、白雲母として石炭中に含まれている化合物からのフッ素の発生も有ると言われている。前記問題のないエネルギー供給手段として登場して来た原子力利用の発電技術も、燃料物質を製造する工程、及び使用後の処理において生成する物質の兵器としての使用などによる世界秩序の破壊が懸念されるという事態に至り、大きな問題を抱えることになった。ただ、この問題が全地球的な合意により民生用のみの利用に限定することの合意が得られれば、依然として有用なエネルギー供給手段である。
このような中で、環境に優しく、安全性が高く、かつ設備コストも比較的かからないエネルギー資源の開発が望まれている。最近、風力発電に、無尽蔵なエネルギー資源である風力の利用の観点、及び設備費も比較的小さいなどから、風力の利用の向上などの研究開発含めて多くの投資がされている。ただ、ここにも野鳥などへ被害の発生が見られるようになり、再評価の余地もある。また、太陽電池もクリーンで、利用性の高いエネルギーを生産することから、実用化され、更なる効率性の向上と、安定したエネルギー供給に向けて多数の研究が行われている。また、太陽光を利用するエネルギー変換技術として、光触媒を利用した水の光分解反応にも興味が持たれてきた。ここで利用される水の光分解反応に活性を示す光触媒は、太陽光を構成する紫外光、可視光の光吸収、電荷分離、表面での酸化還元反応の一連の反応を振興させる機能を備えた高度な光機能材料であり、多く系が提案されている。



前記太陽エネルギーを利用する技術開発において、太陽光のより有効利用の観点から可視光応答特性が向上した光触媒を見出すことが望まれ、光触媒を構成する化合物のライブラリーの豊富化の研究に努力し、実用化への検討もされている。しかし、可視光の広い領域において活性を示す、太陽光を高効率利用できる水分解触媒の開発においては、未だ初期の段階である。また、犠牲試薬の存在する水溶液を用いての光水分解により水素もしくは酸素を生成させる技術においても、可視光において高い活性を示す光触媒もそう多くはない。このような中で、硫化物光触媒は、犠牲試薬を必要とする光触媒であるが、Sの3p軌道による高い価電子帯の形成によりバンドギャップが小さく、酸化物に比べ可視光の広領域のスペクトルを吸収する特性を示す。また、水分解溶液に存在させる犠牲試薬のS2-には、鉱物や石油等の脱硫過程から回収されるHSを利用することができるため、HSの処理の観点からも注目される技術である(特許文献1)。2.4eVのバンドギャップを持つCdSは、Ptを助触媒として担持させることで、SO2-やS2-のような犠牲試薬(sacrificial reagent)の存在下で水光分解による水素生成反応において、非常に高い活性を示す光触媒であることから、その化学工学的設計などの観点を含めて広く研究がなされている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。例えば、非特許文献1には水素発生Pt触媒を含むCdS結晶をナフィオン(デユポン社の商標)ポリマーマトリックス埋め込んでフィルム状の光活性触媒とする技術が開示され、化学工学的設計を示唆している。しかし、CdSでは520nm付近までの可視光しか利用できず、太陽光の可視光領域のすべてカバーすることができところまでは到達していない。最近、本発明者らのグループは,安定な価電子帯を形成するAgを構成元素として含むカルコパイライト結晶型のAgGaS(バンドギャップ:2.60eV)が可視光照射下での水素生成反応に非常に高い活性を示す光触媒であることを報告した(特許文献2)。更に、本発明者らのグループでは前記技術進めた、AgGaSと類似した構造で、Agよりもポテンシャルの高い位置に価電子帯が形成されているCuを構成元素に含むCuInS(バンドギャップ:1.44eV)に着目し,その光物性および光触媒活性について調べた。また、今まで本発明者らのグループは、Zn-AgInS(非特許文献4)やZn-AgInS-CuInS(特許文献3) のように、可視光吸収特性の向上の固溶体の合成を目指した、バンドギャップエンジニアリングを利用して、高活性・高効率な光触媒を開発している。一方、CuInSは全可視光領域の光を吸収する半導体材料であり、この半導体材料のCuまたはInの一部をAgまたはGaでそれぞれ置換した固溶体を調製できことも知られている(非特許文献5、非特許文献6)が、光触媒活性については研究されていない。そこで、CuInSのカルコパイライト結晶型を維持した固溶体を形成することでエネルギー構造を制御し、光触媒特性の改善された材料としての開発を試みた。



【特許文献1】
特開2002-306966号公報、特許請求の範囲
【非特許文献1】
Albert W.H. Mau,Chorng Bao Huang,Noriyoshi Kakuta, Allen J.Bard,Alan Campion,Marye A.Fox,J.Michael White,Stephen E.Webber,J.Am.Chem.Soc.;106 (1984) 6537-6543
【非特許文献2】
M.Matsumura,S.Furukawa,Y.Saho and H.Tsubomura, J.Phys.Chem.,89 (1985) 1327-1329.
【非特許文献3】
J.F.Reber and K.Meier,J.Phys.Chem.,90 (1986) 824-832
【特許文献2】
特開2003-255355号公報、特許請求の範囲
【非特許文献4】
I.Tsuji,H.Kato,H.Kobayashi,A.Kudo,J.Am.Chem.Soc.,126(2004),13406-13413
【特許文献3】
特願2004-10374
【非特許文献5】
T.Kato,S.Hayashi,T.Kikuchi,Y.Ishihara,Y.Nabetani,T.Matsmoto,J.Cryst,Gowth.,237(2002)2005-2008
【非特許文献6】
I.V.Bondner,L.V.Yasykevich,B.V.Korzoum,A.G.Karoza,J.Material.Sci.,33(1998)183-188

産業上の利用分野


本発明は、可視光のほぼ全領域の光を吸収する半導体CuInSのCu又はInの一部を金属AgまたはGaで置換した黒色固溶体からなる光半導体にRu、PtまたはRh助触媒を担持させた光触媒および前記光触媒を用いて硫黄化合物を含む水溶液、特にSO2-とS2-イオンを生成する硫黄化合物を含む水溶液の光水分解により水素を製造する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式Cu1-XAgXInS2(Xは、0.4以上0.6以下である。)で表されるCuInS2のCuの一部をAgで又は一般式CuGa1-YInY2(Yは、0.7以上0.9以下である。)で表されるCuInS2のIn一部を金属Gaで置換した黒色固溶体からなる光半導体にRu、PtまたはRh助触媒を担持させた半導体光触媒

【請求項2】
請求項1に記載の半導体光触媒からなる、硫黄化合物を含む水溶液の光水分解により水素を生成する水分解用半導体光触媒。

【請求項3】
黄化合物を含む水溶液がSO32-とS2-イオンが存在する水溶液である請求項に記載の光水分解により水素を生成する水分解用半導体光触媒。

【請求項4】
請求項1乃至3項に記載の半導体光触媒を構成する一般式Cu1-XAgXInS2(Xは、0.4以上0.6以下である。)で表されるCuInS2のCuの一部をAgで又は一般式CuGa1-YInY2(Yは、0.7以上0.9以下である。)で表されるCuInS2のIn一部を金属Gaで置換した黒色固溶体からなる光半導体。

【請求項5】
硫黄化合物を含む水溶液に、Ru、PtまたはRh助触媒を担持させた一般式Cu1-XAgXInS2(Xは、0.4以上0.6以下である。)で表されるCuInS2のCuの一部をAgで置換した黒色固溶体からなる水分解用半導体光触媒、又は一般式CuGa1-YInY2で(Yは、0.7以上0.9以下である。)表されるCuInS2のIn一部を金属Gaで置換した黒色固溶体からなる水分解用半導体光触媒を加え可視光および近赤外光までの光を照射して光水分解により水素を生成させる光水分解方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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