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荷電粒子線照射装置

国内特許コード P07A009855
整理番号 NIRS-235
掲載日 2007年5月11日
出願番号 特願2005-175606
公開番号 特開2006-351339
登録番号 特許第4639401号
出願日 平成17年6月15日(2005.6.15)
公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
登録日 平成22年12月10日(2010.12.10)
発明者
  • 古川 卓司
  • 野田 耕司
出願人
  • 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
発明の名称 荷電粒子線照射装置
発明の概要 【課題】 水平(X)方向と垂直(Y)方向の荷電粒子の分布がガウス分布となるビームを照射部に向けて輸送できる荷電粒子線照射装置を提供する。
【解決手段】 加速器で加速された荷電粒子ビームの輸送系4と、輸送系4の末端に設けられる照射部5とを備えた荷電粒子線照射装置1において、輸送系4に荷電粒子ビームの散乱体11と、散乱体11の下流に設けられて荷電粒子ビームの水平(X)方向および垂直(Y)方向のエミッタンス楕円の形状を調整可能な下流側電磁石12とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図3
従来技術、競合技術の概要


現在、癌治療に荷電粒子線照射装置が用いられている。図1に示すように、従来の荷電粒子線照射装置101は、イオン発生源(図示せず)で発生させたC6+等の荷電粒子をシンクロトロン等の加速器102で光速の80%程度まで加速して、出射デフレクタ103から輸送系104を経由して照射部105から癌等の患部に、荷電粒子ビーム(以下、ビームと記す)を照射する構成になっている。輸送系104には複数の偏向電磁石106、四極電磁石107が備えられ、ビームの進行方向等を制御できるようになっている。



一般に、荷電粒子線照射装置101におけるビーム中の荷電粒子の運動は、ビームの進行方向をs、ビームの進行方向に対して水平方向をX方向(図1では紙面と同一平面)、垂直方向をY方向(紙面に垂直な方向)として記述される。本発明でX方向、Y方向というときも、この意味で用いている。



ここで、輸送系104におけるビーム中の荷電粒子の分布は均一ではなく、一般にY方向にはガウス分布を示すが、X方向については非ガウス分布となっている。
また、個々の荷電粒子の運動に注目すると、その進行方向は個々に異なり、かつ、経時的に変化しており、ビーム全体ではベータトロン振動と呼ばれる一定周期の振動をしている。



このような荷電粒子の運動は、位相空間上で、図2に示すようなエミッタンス楕円として表すことができる。図2のx、y軸はそれぞれ、ビームの中心を基準線として、任意の荷電粒子のX方向、Y方向における位置成分を示し、x',y'軸は任意の荷電粒子の移動方向の基準線に対する角度成分を示す。そして、エミッタンス楕円によるx、y軸の切片の長さm、nは、実空間におけるビームのX方向、Y方向の径に相当する。



この位相空間上の楕円で囲まれる面積は、エミッタンスと呼ばれている。このエミッタンス楕円の角度や幅は四極電磁石等によって変えることはできるが、この場合でもエミッタンス(楕円の面積)は一定に保たれる。
一般に、輸送系104においては、図2に示すようにX方向とY方向ではエミッタンスが非対称になっており、四極電磁石等によってもこの差を打ち消すことはできない。



以上の要因により、放射線治療の治療計画を立案するとき、患部に照射される線量の均一性を確保することが困難になる。
すなわち、患部でX方向の荷電粒子が非ガウス分布であることは治療計画立案を複雑にし、また許容範囲内ではあるが、実際に照射される線量の不均一を生じる原因になる。
一方、患部に集中的に放射線を照射しつつ、正常組織の被爆量を最小限にするには、患部の周囲に照射部105を旋回させる回転ガントリを用いることが好ましい。しかし、エミッタンスの非対称性があると、回転ガントリの回転角度によりビームの患部におけるスポット形状が変化することになり、これも治療計画の立案を困難にする原因となる。



特許文献1には、輸送系中にX方向およびY方向のエミッタンスを調整するスキュー四極電磁石、またはソレノイド電磁石を設け、回転対称なエミッタンスを有するビームに調整して回転輸送系の回転角に依存しない形状で物体を照射する荷電粒子ビームの輸送系が開示されている。



特許文献1の荷電粒子ビームの輸送系は、シンクロトロンから出射されたビーム形状に基づいてスキュー四極電磁石の生成するスキュー磁場を制御することで、ビームのX方向エミッタンスとY方向エミッタンスの混合を生じさせてその位置と角度成分の分布が回転対称となるようにビームを調整するものである。すなわち、ソレノイド磁場中、またはスキュー四極磁場中では、粒子のX方向とY方向の運動が混ざり合うことで、X方向およびY方向のエミッタンスを調整することが可能なことを利用するものである。
【特許文献1】
特開平9-265000号公報(段落0007~0008、図3)

産業上の利用分野


本発明は、荷電粒子線照射装置に関し、特に癌治療に用いられる荷電粒子線照射装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
加速器で加速された荷電粒子ビームの輸送系と、前記輸送系の末端に設けられる照射部とを備えた荷電粒子線照射装置において、
前記輸送系の前記荷電粒子ビームの通路に、
前記荷電粒子ビームを、多重散乱により、前記荷電粒子ビームの進行方向と直角をなす水平方向の第1方向と、前記荷電粒子ビームの進行方向および前記第1方向と直角をなす垂直方向の第2方向とのそれぞれの方向のエミッタンスを同一とするとともに、エミッタンス楕円の前記第1方向および前記第2方向の角度成分を散乱させて当該両方向の角度成分をガウス分布とする散乱体と、
前記散乱体の上流側に設けられ、前記散乱体通過前の前記荷電粒子ビームの第1方向および第2方向のエミッタンス楕円の位置成分方向の幅を、同一に調整可能な上流側電磁石と、
前記散乱体の下流に設けられて前記荷電粒子ビームの第1方向および第2方向の前記エミッタンス楕円の形状を調整するとともに、前記第1方向または前記第2方向のうちの少なくとも何れかの方向のベータトロン振動の位相を進めることにより前記エミッタンス楕円を回転させて、前記第1方向または前記第2方向のうちの少なくとも何れかの方向の荷電粒子の分布をガウス分布にすることが可能な下流側電磁石とを備え、
かつ、前記ベータトロン振動の位相の調整と前記荷電粒子ビームのエミッタンス楕円の形状の調整とを行なうために、前記下流側電磁石に、直流電流を印加する制御手段を
備えることを特徴とする荷電粒子線照射装置。

【請求項2】
前記照射部が、回転ガントリで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線照射装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005175606thum.jpg
出願権利状態 登録
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