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光学活性分子の絶対配置決定方法、絶対配置決定装置、及びプログラム コモンズ

国内特許コード P07A009909
整理番号 ShIP-P04045
掲載日 2007年5月25日
出願番号 特願2005-105319
公開番号 特開2006-284390
登録番号 特許第4547499号
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
登録日 平成22年7月16日(2010.7.16)
発明者
  • 田中 康隆
  • 石田 俊正
出願人
  • 学校法人静岡大学
発明の名称 光学活性分子の絶対配置決定方法、絶対配置決定装置、及びプログラム コモンズ
発明の概要

【課題】光学活性分子の絶対配置を簡易且つ確実に決定する光学活性分子の絶対配置決定方法及び決定装置を提供する。
【解決手段】光学活性分子の円二色性スペクトル及び吸収スペクトルを測定する。光学活性分子のR体及びS体の各々について、R体及びS体の分子構造情報から理論円二色性スペクトル及び理論吸収スペクトルを各々生成し、理論吸収スペクトルの実測吸収スペクトルからのシフト量を用いて理論円二色性スペクトルを補正する。そして、実測円二色性スペクトルのコットン効果の符号と補正後のR体の理論円二色性スペクトルのコットン効果の符号とを比較して、両符号が一致する場合には前記光学活性分子の絶対配置はR体であると判定し、両符号が一致しない場合には前記光学活性分子の絶対配置はS体であると判定する。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


分子はその構造によっては右手体(以下、「R体」という。)と左手体(以下、「S体」という。)の一対が存在する場合がある。いわゆる光学活性分子である。この光学活性分子においては、時としてR体とS体の一方は薬として、もう一方は毒として働くような極端な場合がある。サリドマイド禍がその例である。このため一対のうち必要な方だけを選択的に合成する方法や、R体とS体の混合物から各々を分離する技術の開発が進められている。しかしながら、R体とS体の一方が分離されても、分離した化合物がR体なのかS体なのかは簡単には分らない。即ち、光学活性分子の絶対配置を決定することは容易ではない。



従来、光学活性分子の絶対配置は以下の方法により決定されていた。(1)絶対配置が既知の原料や触媒を用いた場合は原料や触媒と生成物の旋光度や円二色性スペクトル(以下、「円二色性スペクトル」という。)を比較して類推する、(2)励起子キラリティ法が適用できる場合はこれを用いる、(3)単結晶X線構造解析の際に異常散乱を測定する、(4)絶対配置が既知の分子と共結晶を作成し、単結晶X線構造解析を行う、(5)分子軌道法、密度汎関数法などの電子状態計算によりR体とS体の理論円二色性スペクトルを算出し、実験により得られる円二色性スペクトルと比較する等である(非特許文献1を参照)。

【非特許文献1】宍戸昌彦(岡山大学工学部)、「らせん高分子の円二色性計算」、第5回高分子計算機研究会講演要旨集、1994年

産業上の利用分野


本発明は、光学活性分子の絶対配置決定方法、絶対配置決定装置、及びプログラムに関し、特に、光学活性分子の実測円二色性スペクトルと理論円二色スペクトルとを比較して、その絶対配置を決定する光学活性分子の絶対配置決定方法及び決定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
光学活性分子の円二色性スペクトル及び吸収スペクトルを測定するスペクトル測定工程と、
前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、R体及びS体の分子構造から理論円二色性スペクトル及び理論吸収スペクトルを各々生成する理論スペクトル生成工程と、
前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、理論吸収スペクトルの実測吸収スペクトルからのシフト量を用いて理論円二色性スペクトルを補正するスペクトル補正工程と、
実測円二色性スペクトルのコットン効果の符号と補正後のR体の理論円二色性スペクトルのコットン効果の符号とを比較して、両符号が一致する場合には前記光学活性分子の絶対配置はR体であると判定し、両符号が一致しない場合には前記光学活性分子の絶対配置はS体であると判定する絶対配置判定工程と、
を有する光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項2】
前記理論スペクトル生成工程において、前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、最安定構造の原子座標を設定し、設定された原子座標を用いて遷移エネルギーに対応する吸収波長での旋光強度を演算し、演算された旋光強度と吸収波長との関係に基づいて理論円二色性スペクトル及び理論吸収スペクトルを各々生成する請求項1に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項3】
最安定構造を含む複数の安定構造が存在する場合に、複数の安定構造の各々について理論円二色性スペクトル及び理論吸収スペクトルを各々生成し、各安定構造の存在確率に応じた重み付けを行って真の理論円二色性スペクトル及び真の理論吸収スペクトルを各々生成する請求項1又は2に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項4】
前記光学活性分子の全電子を考慮した分子軌道計算により前記旋光強度を演算する請求項2又は3に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項5】
密度汎関数法を用いた分子軌道計算により前記旋光強度を演算する請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項6】
下記式(1)に従い演算した旋光強度Rと下記式(2)に従い演算した旋光強度Rとが一致するように、前記密度汎関数法に用いる基底関数系を選択する請求項5に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。
【数式1】


【数式2】




【請求項7】
前記光学活性分子の励起状態を時間依存密度汎関数法で取り扱う請求項5又は6に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項8】
前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、とり得る総ての立体配座の各々について分子力場計算と分子軌道計算とにより全エネルギーを計算し、計算された全エネルギーが最小となる立体配座を前記最安定構造とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項9】
前記理論スペクトル生成工程において、前記遷移エネルギーに対応する吸収波長を中心波長として、前記旋光強度を積分エネルギーとしたピーク波形の関数を当てはめてモデル関数を作成し、理論円二色性スペクトル及び理論吸収スペクトルを各々生成する請求項2乃至8のいずれか1項に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項10】
前記ピーク波形の関数がガウス関数である請求項9に記載の光学活性分子の絶対配置決定方法。

【請求項11】
光学活性分子の実測円二色性スペクトル及び実測吸収スペクトルを表す情報と、前記光学活性分子のR体及びS体の分子構造を表す情報とを入力する入力手段と、
前記入力手段から入力された前記情報を記憶する記憶手段と、
前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、前記記憶手段に記憶された分子構造を表す情報を読み出し、該情報に基づいて分子軌道計算を実施し、該分子軌道計算の結果に基づいて理論円二色性スペクトル及び理論吸収スペクトルを各々生成する生成手段と、
前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、前記記憶手段に記憶された実測吸収スペクトルを表す情報を読み出し、前記生成手段で得られた理論吸収スペクトルの実測吸収スペクトルからのシフト量を演算し、演算したシフト量を用いて理論円二色性スペクトルを補正する補正手段と、
前記記憶手段に記憶された実測円二色性スペクトルを表す情報を読み出し、実測円二色性スペクトルのコットン効果の符号と補正後のR体の理論円二色性スペクトルのコットン効果の符号とを比較して、両符号が一致する場合には前記光学活性分子の絶対配置はR体であると判定し、両符号が一致しない場合には前記光学活性分子の絶対配置はS体であると判定する判定手段と、
を有する光学活性分子の絶対配置決定装置。

【請求項12】
コンピュータに、
光学活性分子の実測円二色性スペクトル及び実測吸収スペクトルを表す情報と、前記光学活性分子のR体及びS体の分子構造を表す情報とを取得するステップと、
取得された前記情報を記憶手段に記憶するステップと、
前記記憶手段に記憶された前記分子構造を表す情報を読み出し、前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、該情報に基づいて分子軌道計算を実施し、分子軌道計算の結果に基づいて理論円二色性スペクトル及び理論吸収スペクトルを各々生成するステップと、
前記記憶手段に記憶された実測吸収スペクトルを表す情報を読み出し、前記光学活性分子のR体及びS体の各々について、理論吸収スペクトルの実測吸収スペクトルからのシフト量を演算し、演算したシフト量を用いて理論円二色性スペクトルを補正するステップと、
前記記憶手段に記憶された実測円二色性スペクトルを表す情報を読み出し、実測円二色性スペクトルのコットン効果の符号と補正後のR体の理論円二色性スペクトルのコットン効果の符号とを比較して、両符号が一致する場合には前記光学活性分子の絶対配置はR体であると判定し、両符号が一致しない場合には前記光学活性分子の絶対配置はS体であると判定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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16359_05SUM.gif
出願権利状態 権利存続中
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