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診断・治療用X線切換え発生装置

国内特許コード P07A009986
整理番号 NIRS-240
掲載日 2007年6月1日
出願番号 特願2005-139720
公開番号 特開2006-318745
登録番号 特許第4612466号
出願日 平成17年5月12日(2005.5.12)
公開日 平成18年11月24日(2006.11.24)
登録日 平成22年10月22日(2010.10.22)
発明者
  • 野瀬 裕之
  • 石田 大典
  • 金子 七三雄
  • 栄 久晴
  • 上坂 充
  • 深沢 篤
  • 土橋 克広
出願人
  • 株式会社IHI
  • 国立大学法人 東京大学
  • 独立行政法人放射線医学総合研究所
発明の名称 診断・治療用X線切換え発生装置
発明の概要

【課題】 診断用X線としての単色硬X線と治療用X線としての特性X線を切換えて発生することができる診断・治療用X線切換え発生装置を提供する。
【解決手段】 パルス電子ビーム1を加速して所定の直線軌道2を通過させる電子ビーム発生装置10と、パルスレーザー光3を発生するレーザー発生装置20と、パルスレーザー光3を直線軌道2上にパルス電子ビーム1に対向して導入するレーザー光導入装置30と、パルス電子ビーム1の衝突により特性X線5を発生する金属ターゲット42を直線軌道上の衝突位置2aと軌道外の退避位置との間で移動可能なターゲット移動装置40とを備える。金属ターゲット42の衝突面は、衝突点2aと空間的に同一位置に位置する。金属ターゲットの退避位置でパルス電子ビーム1とパルスレーザー光3の衝突で単色硬X線4を発生し、金属ターゲット42の衝突位置でパルス電子ビーム1と金属ターゲット42の衝突により同一の光源位置2aから特性X線5を発生する。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


X線は波長が約0.1~100Å(10-11~10-8m)程度の電磁波であり、このうち波長の短いX線(10~100keV,λ=1~0.1Å)を硬X線、波長の長いX線(0.1~10keV,λ=100~1Å)を軟X線という。また、物質に電子線などを当てた時に放射される、物質の構成元素固有の波長をもつX線を特性X線という。



X線を用いた装置としてX線透過装置、X線CT装置、X線回折装置、X線分光装置等が、医療、生命科学、材料科学など広い分野で利用されている。例えば、心筋梗塞の治療には、50keV程度のX線を用いた冠状動脈血管造影(IVCAG)が一般に行なわれている。また、X線CT装置は、測定する物体に異なる方向からX線を照射してその吸収を測定し、コンピュータによって画像を再構築して物体の二次元断面画像を得る装置である。



X線の発生源としては、X線管とシンクロトロン放射光が広く知られている。
X線管は、真空中でフィラメントを加熱して得られる熱電子を高電圧で加速して金属陽極(ターゲット)に衝突させて、X線を発生させる装置である。X線管から発生するX線は、電子の制動放射による連続X線と、輝線スペクトルである特性X線とからなる。連続X線は特定の波長のX線を必要としない用途、例えば医療用や工業用の透過法の光源として用いられる。また特性X線は、特定の波長のX線を必要とする用途、例えばX線回折や蛍光X線分光等に用いられる。



一方、シンクロトロン放射光(SR光)は、環状加速器(シンクロトロン)において、光速に近い速度まで加速した電子ビームの軌道を強力な磁石で変化させ、その軌道変化の際に発生するX線である。SR光は、X線管に比べて桁違い(10倍以上)に強力なX線源であり(例えばX線強度(光子数):約1014photons/s、パルス幅:約100ps)、高いX線強度を必要とする分野で用いられる。



しかし、シンクロトロンを用いた放射光施設は、シンクロトロンの長径が例えば50m以上、軌道長が100m以上に達する大型設備であるため、研究や医療用であっても容易には導入できない問題がある。そこで、小型の線形加速器を用いた小型X線発生装置が提案されている(例えば非特許文献1)。



一方、従来のX線CT装置では、放射光から単色硬X線を得る手段として2枚の結晶板からなるモノクロメータを用いている。また、単色X線CT装置では電子密度の測定精度が低いため、主波と高調波の混合比が異なる2種類のX線を用いる混合2色X線CT装置が提案されている(例えば非特許文献2)。



また、特性X線を照射用X線として利用する診断・治療装置として特許文献1が、電子ビームを治療用にX線ビームを診断用に用いる診断・治療装置として特許文献2が既に開示されている。



非特許文献1の「小型X線発生装置」は、図4に示すように、小型の加速器51(Xバンド加速管)で加速された電子ビーム52をレーザー53と衝突させてX線54を発生させるものである。RF電子銃55(熱RFガン)で生成されたマルチバンチ電子ビーム52はXバンド加速管51で加速され、パルスレーザー光53と衝突する。コンプトン散乱により、時間幅10nsの硬X線54が生成される。
この装置は、一般に線形加速器で用いられるSバンド(2.856GHz)の4倍の周波数にあたるXバンド(11.424GHz)を電子ビーム加速用のRFとして用いて小型化を図っており、例えばX線強度(光子数):約1×10photons/s、パルス幅:約10psの強力な硬X線の発生が予測されている。



非特許文献2の「混合2色X線CT装置」は、図5に示すように、回転フィルター61、モノクロメータ62、コリメータ63、透過型イオンチェンバー64、散乱体65、スライド・回転テーブル66、NaI検出器67、及びプラスチックシンチレーションカウンター68を備え、シンクロトロン放射光69aからモノクロメータ62により40keVの主波X線と80keVの2倍高調波X線を抽出し、回転フィルター61により40keVX線と80keVX線の混合比を調整し、散乱体65からの散乱X線スペクトルをNaI検出器67で観察して混合比を測定し、コリメータ63で混合2色X線69bのサイズを整形し、透過型イオンチェンバー64および被写体60を透過させ、プラスチックシンチレーションカウンター68で強度を測定するものである。
この装置により、電子密度の測定精度を高めるとともに、電子密度および実効原子番号のイメージ像の作成に成功している。



特許文献1の「X線診断装置およびX線治療装置」は、図6に示すように、被験者77に摂取させたX線遮断性金属錯体を患部に選択的に蓄積させて、X線発生装置71、72からのX線を照射してX線撮像装置76で患部のX線画像を形成するX線診断装置であって、所定のエネルギー範囲に属する特性X線を発生する金属ターゲット73を用いて、電子発生器71で発生し電子加速器72で加速した電子ビームを金属ターゲット73にぶつけて発生した特性X線を照射用X線として利用するものである。
なおこの図で、74はフィルター装置、75は寝台である。



特許文献2の「低ドーズ低位及びポータルイメージング用X線ソースを有する放射線治療装置」は、メガボルトの放射線治療及びポータルイメージング用の診断X線ソースの両方に適用可能な装置であり、図7に示すように、図示しない電子銃から放出され導波管内で加速させた電子ビーム81(高エネルギー治療ソース)と、電子銃82から発射された電子ビーム83の可動ターゲット84への衝突により発生するX線ビーム85(低エネルギー診断ソース)の両方が、装置内の物理的に同一ライン上86に配置され、かつ可動ターゲット84を軸方向に移動するアクチュエータを備え、所望により治療または診断用の位置に配置して、電子ビーム81を治療用にX線ビーム85を診断用に用いるものである。




【非特許文献1】土橋克広、他、「Xバンドリニアックを用いた小型硬X線源の開発」、2002

【非特許文献2】佐々木誠、他、「混合2色X線CTシステムの開発」、医学物理 Vol.23 Supplement No.2 April 2003




【特許文献1】特開2003-38475号公報、「X線診断装置およびX線治療装置」

【特許文献2】特開平8-206103号公報、「低ドーズ低位及びポータルイメージング用X線ソースを有する放射線治療装置」

産業上の利用分野


本発明は、診断用X線と治療用X線を切換えて発生するX線切換え発生装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
パルス電子ビームを加速して所定の直線軌道を通過させる電子ビーム発生装置と、
パルスレーザー光を発生するレーザー発生装置と、
前記パルスレーザー光を前記直線軌道上にパルス電子ビームに対向して導入するレーザー光導入装置と、
パルス電子ビームの衝突により特性X線を発生する金属ターゲットと、
該金属ターゲットを前記直線軌道上の衝突位置と該軌道外の退避位置との間で移動可能なターゲット移動装置とを備え、
前記衝突位置において、金属ターゲットの衝突面が、パルス電子ビームとパルスレーザー光の衝突点と空間的に同一位置に位置しており、
これにより金属ターゲットを退避位置に位置決めして前記直線軌道上でパルス電子ビームとパルスレーザー光が正面衝突して衝突点で診断用の単色硬X線を発生し、金属ターゲットを衝突位置に位置決めしてパルス電子ビームと金属ターゲットの衝突により同一の衝突点から特性X線を発生し、同一の装置の同一の光源位置から診断用と治療用のX線を照射する、ことを特徴とする診断・治療用X線切換え発生装置。

【請求項2】
前記金属ターゲットは、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、銀、またはこれらの合金からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の診断・治療用X線切換え発生装置。

【請求項3】
前記衝突点と被験者の間に、診断用単色硬X線および治療用特性X線の放射方向を制御するコリメータを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の診断・治療用X線切換え発生装置。

【請求項4】
前記レーザー発生装置は、互いに波長が異なる複数のパルスレーザー光を発生する複数のパルスレーザー装置と、
前記複数のパルスレーザー光を同一光路上に合流させるレーザー合流光学系と、
前記複数のパルスレーザー光が互いに時間差を有するように複数のパルスレーザー装置を制御するレーザー制御装置とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の診断・治療用X線切換え発生装置。

【請求項5】
前記直線軌道上の衝突点におけるパルスレーザー光のビームプロファイルを調整するプロファイル調整光学系を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の診断・治療用X線切換え発生装置。
産業区分
  • 電子応用機器
  • 原子力
  • 治療衛生
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005139720thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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