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ミトコンドリア膜タンパク質群およびそれらをコードする遺伝子群

国内特許コード P07P005599
整理番号 JICHI-2005-01
掲載日 2007年6月1日
出願番号 特願2005-311816
公開番号 特開2007-119378
登録番号 特許第4920239号
出願日 平成17年10月26日(2005.10.26)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
登録日 平成24年2月10日(2012.2.10)
発明者
  • 遠藤 仁司
出願人
  • 学校法人自治医科大学
発明の名称 ミトコンドリア膜タンパク質群およびそれらをコードする遺伝子群
発明の概要

【課題】ミトコンドリア膜の形態を調節しかつミトコンドリアの機能を調節するタンパク質群の機能や相互の関連性を解明するための方法、また新規蛋白質及びその用途、さらにミトコンドリアの機能を調整する方法の提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列、又は少なくとも80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、ミトコンドリア膜組織の形成能を有する蛋白質。また、別の特定のアミノ酸配列、又は少なくとも80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、ミトコンドリア膜組織の形成能を有する蛋白質の群から選ばれる1種又は2種以上のタンパク質が欠損若しくは過剰発現した細胞、又はこれらのタンパク質が添加された細胞であって、ミトコンドリア形態に異常が生じている細胞に、試験物質を添加して、当該試験物質によるミトコンドリア形態の変化を測定し、ミトコンドリアの形態を正常化させる活性物質をスクリーニングする方法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


ミトコンドリアは真核生物の細胞内小器官で、好気性原核細胞が原始の真核細胞に細胞内共生したものと考えられている。ミトコンドリアは、細胞核とは別に独自のDNAを持ち、これはミトコンドリアDNA(mtDNA)と呼ばれている。mtDNAは動物では16~18kbと比較的一定しているが、原生動物では6~77kbと極めて多様である。これまでに、700種近く生物のmtDNAの全塩基配列が解析されてきており、全てのmtDNAに共通している遺伝子は、2つのrRNAと電子伝達系に関与している2つの遺伝子(cob、及びcox1)であることが知られている。ヒトなどの哺乳動物のmtDNAは、約16.5kbの環状2本鎖DNAであり、1細胞当たり数百~数千コピー存在している。mtDNAは、核DNAとは異なり、ほぼ隙間なく遺伝子がコードされており、ヒトでは13種類のタンパク質、2つのrRNA、及び22種のtRNAがコードされている。
ミトコンドリアは、哺乳動物では約1500種のタンパク質によって構成されているといわれている。そのうちの13種のタンパク質だけがmtDNAにより産生されていることになるから、残りの約99%のタンパク質は細胞核のDNAにコードされていることになる。細胞質で合成されたタンパク質は、N末端に存在するミトコンドリア指向配列(MTS)によりミトコンドリアに選別輸送される。このようなシグナル配列によりミトコンドリアのタンパク質を補足する方法も開発されている(特許文献1及び2参照)。



ミトコンドリアは、生命活動に必要なATPの大部分を産生する。また、アポトーシスの誘導および活性酸素の発生などの重要な機能を有する。これらの機能は、ミトコンドリア内膜上に存在する電子伝達系の働きによる。ミトコンドリア膜は、外膜と内膜の二つの膜から構成されるが、内膜はクリステという指状構造を有する。このクリステの形態はミトコンドリアのエネルギー状態によって異なり、休止状態に比較すると高エネルギー状態では膜間腔が広がりクリステの構造が密になることが知られており、ミトコンドリアの膜形態が電子伝達系の機能調節に密接に連関していると考えられる。これまで真核生物のミトコンドリアの形態が細胞の分化や病的状態により動的に変化することが観察されており、特に肝疾患や先天性筋ジストロフィー症、胃癌や骨髄腫、またミトコンドリアDNA異常に基づく拡張型心筋症などの病的状態で、ミトコンドリアの形態や分布が著しく変化し、巨大ミトコンドリアや環状または車軸状のミトコンドリア、環状や同心円状のクリステ構造を持つミトコンドリアなどを呈することが知られている(非特許文献1及び2参照)。このように、細胞機能とミトコンドリア形態が密接な連関を有することが考えられ、ミトコンドリアのDNA変異と関連性がない疾患でもミトコンドリアの形態異常が報告されている(非特許文献3、4及び5参照)。また、脳筋症(非特許文献6参照)や、アルツハイマー病やパーキンソン病(特許文献3及び4、並びに非特許文献7及び8参照)もミトコンドリアの異常と関連性がることや、さらにII型糖尿病は、少なくとも3243A-Gの変異を有するミトコンドリアtRNAで生じること(非特許文献9参照)も報告されてきている。そして、このようなミトコンドリア性の各種の疾患を処置するための医薬組成物についても開発されてきている(特許文献5及び6参照)。



一方、高齢化社会における生活習慣病や老化関連疾患の占める重要度は大きい。ミトコンドリアの機能は生活習慣病や老化、各種神経疾患と密接に関係があることが知られている。例えば、ミトコンドリアはATPを産生し大量の酸素を消費するが、ミトコンドリアが消費する酸素の0.4~4%はATP産生に関連せず、活性酸素となることが知られている。ミトコンドリアで産生されたこの活性酸素が、細胞に障害を与え、細胞数を減少させ、細胞の機能低下や、個体の老化を促進すると考えられている。
また、癌や栄養障害などにおいては、ミトコンドリア形態の異常も報告されている。本発明によって明らかにされたタンパク質群をコードする遺伝子断片や、タンパク質を認識する抗体などを用いることにより、将来的には疾患の診断マーカーなどへの応用も期待される。また、これらのタンパク質は治療標的としても考えることができ、これらのタンパク質派生体は治療薬などへの応用も考えられる。



したがって、ミトコンドリアの機能を正常に保ち、当該機能をうまく制御することが、老化の防止だけでなく、個体の恒常性を維持して上で極めて重要となってくる。
しかしながら、ミトコンドリアには約1500種のタンパク質が存在すると言われているが、どのような種類のタンパク質が存在し、それらのタンパク質がどのような機能を有し、どのような関連性を有しているのかと言うことは未だに解明されていない。また、ミトコンドリア膜の形態を調節する詳しい分子メカニズムや、ミトコンドリアの膜形態と機能の連関性に関しては未だ明らかにされていない。
ミトコンドリアが有する各種の機能を解明するために、近年において多くの検討がなされてきている。例えば、ミトコンドリア膜のイオン透過性に関するもの(特許文献7参照)、カスパーゼの活性化に関するもの(特許文献8参照)、タンパク質のミトコンドリアへの細胞内移動に関するもの(特許文献9参照)、ミトコンドリアDNAを用いた遺伝子検出方法に関するもの(特許文献10参照)などが報告されてきている。




【特許文献1】特開2001-224389号

【特許文献2】特開平10-146200号

【特許文献3】特開2005-82523号

【特許文献4】特開2005-151810号

【特許文献5】特開2002-523434号

【特許文献6】特開2004-538326号

【特許文献7】特開2004-189730号

【特許文献8】特開2004-67531号

【特許文献9】特開2004-41067号

【特許文献10】特開2003-116576号

【非特許文献1】Arbustini E, Diegoli M, et al., Am J Pathol. 1998 Nov;153(5):1501-10.

【非特許文献2】Nishino I, Kobayashi O, et al., Muscle Nerve. 1998 Jan;21(1):40-7.

【非特許文献3】Ann. NY Acad. Sci., 488, 65-81, 1986

【非特許文献4】Acta haemat. 68, 241-249, 1982.

【非特許文献5】Scand. J. Gastroenterol. 33, 975-981, 1998.

【非特許文献6】Goto, Y.; Nonaka, I.; et al., Nature 348: 651-653, 1990.

【非特許文献7】Lustbader,J.W., Cirilli,M., et al., Science 304 (5669), 448-452 (2004)

【非特許文献8】Shoffner, J. M., et al., Genomics 17: 171-184, 1993.

【非特許文献9】Ouweland, J. M. W.; Lemkes, H. H. P. J.; et al., Nature Genet. 1: 368-371,1992.

産業上の利用分野


本発明は、ミトコンドリアの形態を制御又は調節する機能を有するタンパク質、及び当該タンパク質をコードする遺伝子に関する。また、本発明は、ミトコンドリアに存在するタンパク質、好ましくはミトコンドリア膜タンパク質を網羅的に精製し、単離することからなるミトコンドリアの形態を制御又は調節する機能を有する新規なタンパク質、及び当該タンパク質をコードする遺伝子に関する。さらに、本発明は、ミトコンドリアの形態を制御又は調節する機能を有するタンパク質が欠損又は過剰に存在して、ミトコンドリアの形態が異常になっている細胞を用いて、ミトコンドリアの形態を正常化させる活性を有する物質をスクリーニングする方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列表の配列番号5,10,13,18~22のいずれかに記載のアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列と少なくとも90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつミトコンドリア膜組織の形成能と共に、GTPase活性非依存性のミトコンドリアの形態凝集活性を有するタンパク質を有効成分として含む、ミトコンドリア形態凝集の制御又は調節剤

【請求項2】
配列表の配列番号5,10,13,18~22のいずれかに記載のアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列と少なくとも90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつミトコンドリア膜組織の形成能と共に、GTPase活性非依存性のミトコンドリアの形態凝集活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を有効成分として含む、ミトコンドリア形態凝集の制御又は調節剤

【請求項3】
配列表の配列番号5,10,13,18~22のいずれかに記載のアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列と少なくとも90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつミトコンドリア膜組織の形成能と共に、GTPase活性非依存性のミトコンドリアの形態凝集活性を有するタンパク質の群から選ばれる1種又は2種以上のタンパク質が欠損若しくは過剰発現した細胞、又はこれらのタンパク質が添加された細胞であって、ミトコンドリアの形態凝集に異常が生じている細胞に、試験物質を添加して、当該試験物質によるミトコンドリアの形態凝集の変化を測定することからなる、ミトコンドリアの形態凝集を正常化させるために活性な物質をスクリーニングする方法。
産業区分
  • 有機化合物
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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