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Hモード・ドリフトチューブ線形加速器及びその設計方法

国内特許コード P07A009994
整理番号 NIRS-244
掲載日 2007年6月1日
出願番号 特願2005-277426
公開番号 特開2007-087855
登録番号 特許第4194105号
出願日 平成17年9月26日(2005.9.26)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
登録日 平成20年10月3日(2008.10.3)
発明者
  • 岩田 佳之
  • 山田 聰
出願人
  • 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
発明の名称 Hモード・ドリフトチューブ線形加速器及びその設計方法
発明の概要 【課題】 多大な時間を要する三次元電磁場計算を大幅に削減して比較的容易に共振器の自動チューナーを選定する。
【解決手段】 少なくとも1つのチューナーに対して、チューナー挿入量に対する電圧変化の線形性を確認し、電圧変化の線形性に基づいて、すべてのチューナーに対して、個々の挿入量に対する個別の電圧変化データを比例計算により求め、個別の電圧変化データを用いて自動チューナーと挿入量の組み合わせを決定し、組み合わせが適正かどうかを直接三次元電磁場計算によって確認する。組み合わせの決定は、選択したチューナーの個別の電圧変化データを足し合わせ、それらのチューナーによる電圧変化が打ち消し合って全体の電圧分布が実質的に変化しないようにすることにより行う。
【選択図】 図16
従来技術、競合技術の概要


ビーム軸に対し垂直に電流が流れるTE波(Hモード)を利用して荷電粒子を加速するドリフトチューブ線形加速器をHモード・ドリフトチューブ線形加速器と呼ぶ。Hモード・ドリフトチューブ線形加速器では、空洞共振器内に、そのビーム軸に沿って多数のドリフトチューブが配列されており、それぞれ隣り合うドリフトチューブ間のギャップに所定の電圧が発生していて、粒子がドリフトチューブの中を通過するたびにその電圧により次々と加速されるようになっている。



Hモード・ドリフトチューブ線形加速器のうち、Interdigital H-mode(IH)型共振器を用いた線形加速器をIH型線形加速器と呼ぶ。代表的なIH型共振器は円筒形の共振器内部に上下(対向方向に)2枚のリッジと呼ばれる板が取り付けられている構造を持つ(リッジはなくても良い)。これらのリッジには、ステムを介して複数個のドリフトチューブが上下交互に取り付けられて軸方向に配列されている。粒子はこれらのドリフトチューブの中を通過して軸方向に進む。



線形加速器では、共振器の空洞全体の共振周波数や電圧分布を調整するためにチューナーが設けられている。電圧分布及び共振周波数の粗調整は、共振器のタンク側壁に設けられた複数個の固定チューナーを用いて行われる。これら固定チューナーは調整後は溶接され、固定される。更に微調整は手動チューナーが用いられ最終的な空洞の電圧が決定される。



線形加速器の運転中には、タンクの熱膨張等によって共振周波数が変化することがある。自動チューナーは、このような温度変化による共振周波数の変動を運転中に補正するのに有効である。温度変化などによるタンク側の共振周波数の微少なずれは、高周波増幅器の出力の進行波成分とタンク内でピックアップしたモニタ信号の位相差を測定することで求められる。測定された位相差は自動周波数調整回路(AFC)により計算され、更に微少な共振周波数のずれを補正するよう自動チューナーが駆動される。



Hモード・ドリフトチューブ線形加速器では、複数のチューナーが使用されており、その一部を自動チューナーとして使用し、残りを手動及び固定チューナーとして使用している。これらのチューナーは、いずれも後述するように、共振器タンクの外面に軸方向に配置され、共振器タンクの側壁から先端部を空洞内に挿入して、共振器の回路定数を変化させることによって共振周波数又は電圧分布を変更させるものである。共振器のインダクタンスを変化させるように構成されたものが誘導チューナーすなわちLチューナーであり、共振器の容量を変化させるように構成されたものが容量チューナーすなわちCチューナーである。



自動チューナーとしては、電圧分布を変えずに周波数のみを変える機能が求められる。しかしながら、1つのチューナーの位置を変えると、共振器全体の電圧分布が変わることがある。これは、特に、IH型線形加速器において顕著であることが分かっている。そのため位置の異なる複数のチューナーを用いて電圧変化を打ち消して電圧分布を変えないようにする必要がある。共振器の電圧分布は、共振器全体の構造に依存するため、電圧分布を正確に求めるためには、三次元電磁場計算を行う必要がある。しかしながら、チューナー挿入量と電圧変化の関係を求めるのに、全チューナーに対して挿入量を細かく変え三次元電磁場計算を行うことは多大な時間を要する。自動チューナーとして適切なチューナーの組み合わせを調べるために、このような三次元計算を繰り返すのは現実的でない。



【非特許文献1】
山田聰、外3名、「重粒子線がん治療装置建設総合報告書」、1995年5月、放射線医学総合研究所

産業上の利用分野


本発明は、共振器内部に発生するTE波(Hモード)を利用したHモード・ドリフトチューブ線形加速器及びその設計方法に関し、特に、線形加速器の設計方法における自動チューナーの選定方法及びその選定方法によって選定された自動チューナーの調節方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
共振器内部に発生するTE波(Hモード)を利用したHモード・ドリフトチューブ線形加速器の設計方法において、共振器の軸方向に配置された複数のチューナーの中から少なくとも2つのチューナーを選択し、それらのチューナーの共振器軸方向の位置とその共振器内部への挿入量との組み合わせを利用して、共振器内の電圧分布を変えずに周波数のみを変えるように自動チューナーを選定することを特徴とする線形加速器の設計方法。

【請求項2】
上記自動チューナーの選定は、
チューナー挿入量と電圧変化との間の一定の関係に基づいて、上記複数のチューナーに対して、個々の挿入量に対する個別の電圧変化データを計算ないし測定し、
上記個別の電圧変化データを用いて自動チューナーと挿入量の組み合わせを決定する
段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の設計方法。

【請求項3】
上記チューナー挿入量と電圧変化との間の一定の関係を確認する段階を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の設計方法。

【請求項4】
上記決定した組み合わせが適正かどうかを確認する段階を更に含むことを特徴とする請求項2~3のいずれか1つに記載の設計方法。

【請求項5】
上記一定の関係が、チューナー挿入量と電圧変化の線形関係であり、上記線形関係に基づいて、複数のチューナーに対して、比例計算によって個々の挿入量に対する個別の電圧変化データを計算することを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の設計方法。

【請求項6】
上記自動チューナーと挿入量の組み合わせを決定する段階は、上記選択したチューナーの個別の電圧変化データを足し合わせ、それらのチューナーによる電圧変化が打ち消し合って全体の電圧分布が実質的に変化しないような組み合わせによって決定すること特徴とする請求項2~5のいずれか1つに記載の設計方法。

【請求項7】
共振器内部に発生するTE波(Hモード)を利用したHモード・ドリフトチューブ線形加速器であって、共振器の軸方向に配置された複数のチューナーのうちの一部を自動チューナーとして使用する線形加速器において、上記自動チューナーが、上記複数のチューナーのうちから選択された少なくとも2つのチューナーから成り、且つ、上記少なくとも2つのチューナーが、該チューナーの共振器軸方向の位置とその共振器内部への挿入量との組み合わせを利用して、共振器内の電圧分布を変えずに周波数のみを変えるように選定されたものであることを特徴とする線形加速器。

【請求項8】
上記選定された少なくとも2つの自動チューナー相互の挿入量の比率を変更せずに挿入量を調節する挿入量調節手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の線形加速器。

【請求項9】
上記挿入量調節手段が、上記少なくとも2つの自動チューナー相互の挿入量の比率を記憶する手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の線形加速器。

【請求項10】
共振器内部に発生するTE波(Hモード)を利用したHモード・ドリフトチューブ線形加速器の設計方法における自動チューナーの選定方法において、共振器の軸方向に配置された複数のチューナーの中から少なくとも2つのチューナーを選択し、それらのチューナーの共振器軸方向の位置とその共振器内部への挿入量との組み合わせを利用して、共振器内の電圧分布を変えずに周波数のみを変えるように自動チューナーを選定することを特徴とする自動チューナーの選定方法。

【請求項11】
共振器内部に発生するTE波(Hモード)を利用したHモード・ドリフトチューブ線形加速器に使用される自動チューナーであって、共振器の軸方向に配置された複数のチューナーの中から少なくとも2つのチューナーを選択し、それらのチューナーの共振器軸方向の位置とその共振器内部への挿入量との組み合わせを利用して、共振器内の電圧分布を変えずに周波数のみを変えるように選定された自動チューナーの調節方法において、上記選定された自動チューナー相互の挿入量の比率を変更せずに挿入量を調節することを特徴とする自動チューナーの調節方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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