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診断用X線CT

国内特許コード P07A010030
整理番号 NIRS-102
掲載日 2007年6月1日
出願番号 特願平11-145147
公開番号 特開2000-333945
登録番号 特許第3864262号
出願日 平成11年5月25日(1999.5.25)
公開日 平成12年12月5日(2000.12.5)
登録日 平成18年10月13日(2006.10.13)
発明者
  • 取越 正己
  • 遠藤 真広
  • 森井 保次
  • 片山 雅弘
出願人
  • 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
  • 株式会社東芝
発明の名称 診断用X線CT
発明の概要 【課題】加速器から発せられる広い範囲のエネルギーを持つX線からCT撮影に必要な複数のエネルギーを選択し、同じサイズで同じ光軸で被験者の位置までビームを導くことが可能で、かつ高速でエネルギーの切り換えが可能な診断用X線CTを提供する。
【解決手段】加速器30からの広い範囲のエネルギーをもつX線を入射して1次反射光とn次反射光に分光して被検者4に照射するものであって、第1結晶2及び第2結晶3を有する1個の分光器と、被検者4を透過する1次透過光とn次透過光を検出する検出器5を備え、2エネルギーのX線を選択し、被検者4の画像を撮影可能にした診断用X線CT。
従来技術、競合技術の概要


従来の診断用X線CTはX線管球のX線を用いるため、広い範囲のエネルギーのX線を含んでいる。X線はエネルギーが高いほど透過率が良いため、被検者の厚さが変われば、透過後のX線のエネルギー成分が異なってくる。これをビームハードニングと呼び、これはX線CTで得られるCT値の誤差要因となる。



これに対して、1エネルギーだけの単色X線を用いると、このビームハードニング現象は生じなくCT値の精度が向上する。



次に、2つのエネルギーの単色X線を用いると電子密度分布がわかることを説明する。X線の減弱係数μは、C.M.Tasi等の近似により、光電効果と仁科・クラインの項で表せる。



μ(E)=KA(ρno)<Z>E-3 + KB(ρno)f(E) (1)
KA、KB:定数、ρn。:電子密度(cm-3)、 <Z>:平均的原子番号
ここで、透過率をTとすると、減弱係数μとの関係は、
T(E)=exp(-∫μ(E,x)dx)=exp(-μ(E)t) (2)
と表せる。xはX軸方向の距離、tは被検者の厚さであり、ここでμ(E)は場所に無関係の透過光の強度をS、入射光の強度をIとすると
S=TI (3)
(3)式で、2つのエネルギーE、Eの単色X線を用いると連立方程式になり、
=I(E1)T+I(E2)T
=I(E1)T+I(E2)T
略して表示すると次式となる。



=I11+I12
=I21+I22 (4)
これで、2つのエネルギーのX線を選択(片方をゼロにする)する、または強度の比を変えて、その強度が既知であると、(4)式は解け、透過率T,Tが求まる。



(1)、(2)式より電子密度分布の情報が得られる。この電子密度分布は粒子線がん治療の治療計画等で必要となる体内での粒子の飛程を求める際に要求されているデータである。



従来のCT値からの近似では数%の誤差が避けられなかったが、この方式では直接電子密度分布が得られるので、治療計画の精度が向上する。



この様に単色X線CT、とりわけ2エネルギーの単色X線CTが有効であることは理解されていたが、これを用いるには、2つの単色X線を高速に切り替えることが必要となる。エネルギー選択は白色光をシリコン、ゲルマニウム等の結晶を用いて分光する。



一方ビームサイズに関しては、放射光は広がり角が狭いため伝送距離を長くしないと被験者に照射するサイズまで広がらない。広がり角はそれほど大きな値ではないため相当長い伝送距離を必要とし、ビームライン装置が長くなる。



この1例として鉛直方向の広がり角を0.25mradとすると、50mmまでビームを拡大するためには200m以上の伝送距離を必要とする。そこで結晶の非対称反射を用いてビームを拡大し、距離を短縮して被験者に照射する。



ところで、2結晶分光器から出射した光は被験者に照射するため、X線のエネルギーが変わっても同じ光軸で同じビームサイズである必要がある。そこで非対称反射を用いてこの仕様を満たすための従来の手法を次に説明する。



白色光から必要なエネルギーのX線を取り出すためには結晶のブラッグ反射を用いている。ブラッグ反射の関係は、(5)式で表される。



λn=2dsinθ (5)
λ:波長、d:結晶定数、θ:ブラッグ角、n:次数
従って、反射する光の波長(エネルギー)は結晶、入射角により異なる。



またビームを拡大するには結晶の非対称反射を用いる。その時の拡大率Mと非対称反射角αは式(6)、(7)で表せる。



M=sin(θ+α)/(θ-α) (6)
α=tan-1[(M-1)/(M+1)×tanθ] (7)
以上の関係からエネルギーが異なるとブラッグ角も異なるため、一つの結晶の非対称反射で異なるエネルギーのX線を同じ拡大率にするのは不可能である。



次に、分光器への入射光と出射光を同軸にするための条件を説明する。図4(a)、(b)に2結晶モノクロメータモデル図を示す。図中記号は下記の通り。



θB1 :結晶1のブラッグ角、θB2:結晶2のブラッグ角、α :結晶2の非対称反射角、βIN :結晶2へのビーム入射角 、βOUT:結晶2からの出射角
βIN =θB2-α (8)
βOUT=θB2+α (9)
出射ビームが入射ビームに対して常に水平であるためには、図5の関係より
90°-2×θB1+βIN+βOUT=90゜
つまり、βIN+βOUT=2θB1 (10)
が成り立てばよい。(8)、(9)式を(10)式へ代入すると、
θB1=θB2 (11)
従って、ビームのエネルギーが違っても同じ結晶(ブラッグ角が等しい)を用い、2枚の結晶の角度、位置をエネルギー毎に調節してやればビームは常に同軸で出射する。

産業上の利用分野


本発明は、例えば加速器からの広い範囲のエネルギーをもつX線を分光器に入射して得られる1次反射光とn次反射光を被検者に照射し、被検者の透過光に基づき被検者の像を撮影する診断用X線CT(Computed Tomography)に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有し、
この検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。

【請求項2】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記2結晶分光器と前記被検者の間に配置され、フィルター素子がある部分と無い部分を組合せてなるフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光とn次反射光のうち一方を選択透過するとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。

【請求項3】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
CdTe検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記加速器と前記2結晶分光器の間に配置され、フィルター素子がある部分と無い部分を組合せてなるフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光と同じ波長の光と前記2結晶分光器から出射されるn次反射光のうち一方を選択透過するとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。

【請求項4】
加速器から発せられ入射されるX線をブラッグ反射して1次反射光とn次反射光に分光する第1分光結晶と、この第1分光結晶でのブラッグ反射による1次反射光とn次反射光を入射して非対称反射でかつ光軸が重なった状態で拡大する第2分光結晶とを有する2結晶分光器と、
半導体検出器を有し、被検者を透過した後の前記第2分光結晶からの拡大光が導かれるよう配置され、透過後のX線のエネルギーにより1次透過光とn次透過光を分別して強度を検出する検出手段と、
を有する診断用X線CTであって、
前記加速器と前記2結晶分光器の間に配置され、2種類のフィルター素子を隣接配置して組合せてなりフィルター素子の交互の出し入れが可能なフィルターを有し、前記2結晶分光器から出射される1次反射光と同じ波長の光と前記2結晶分光器から出射されるn次反射光と同じ波長の光の透過率または吸収率が異なる光を前記被検者に照射可能とするとともに、前記検出手段により検出される1次透過光とn次透過光によりX線の電子密度分布を得ることを特微とする診断用X線CT。

【請求項5】
前記フィルターの回転切替えを行うフィルター回転装置を備えた請求項2乃至請求項4のいずれか一つに記載の診断用X線CT。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP1999145147thum.jpg
出願権利状態 登録
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