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造影剤注入プロトコル決定方法および造影剤注入プロトコル演算装置

国内特許コード P07P005230
整理番号 05-016
掲載日 2007年6月22日
出願番号 特願2005-342633
公開番号 特開2007-143880
登録番号 特許第4086309号
出願日 平成17年11月28日(2005.11.28)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
登録日 平成20年2月29日(2008.2.29)
発明者
  • 青山 正人
  • 浅田 尚紀
出願人
  • 公立大学法人広島市立大学
発明の名称 造影剤注入プロトコル決定方法および造影剤注入プロトコル演算装置
発明の概要

【課題】経験的なフィッティング処理に依ることなく一相注入のための適正な注入プロトコルを得る。
【解決手段】テスト注入プロトコルに従って被検体に造影剤をテスト注入するとともに、被検体がプレスキャンされる(テスト検査:S1~S3)。このテスト検査に基づき、テスト時間濃度曲線が作成される(S4,S5)。テスト時間濃度曲線に基づき、注入速度はテスト注入速度と等しい一定値とし、注入速度は種々の値に定めた場合の複数の推定時間濃度曲線が作成される(S7)。各推定時間濃度曲線において、所要の濃度維持時間を確保できる最大濃度値が求められる(S8)。この最大濃度値と所要濃度値との比に基づき、注入速度が定められる(S9)。さらに、注入速度および注入時間を乗じて造影剤注入量が求められ、造影剤注入量および注入速度よって規定される一相注入を表す複数の注入プロトコルが作成される(S10)。
【選択図】図18

従来技術、競合技術の概要


動脈瘤や血管閉塞といった、血管やその周辺臓器の病変を発見する手段としてCTA(Computed Tomography Angiography;コンピュータ断層撮影血管造影法)がある。通常のCT(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)によって得られたCT画像は、臓器、血管、筋肉などの軟部組織におけるX線吸収値の差が小さく、低コントラストの画像となってしまう。したがって、これらの部位に関して満足な診断を行うことが困難である。それに対し、CTAは、X線吸収値が高い造影剤を静脈に投与して、注目する血管部位のX線吸収値が増加している状態で、連続してCTを行う手法であり、これによりコントラストを高めて、明瞭な臓器の像を得ることができる。



CTAにおける造影剤の注入は、一般的には、ヨード系造影物質を用い、その総注入量および注入速度を決定して行われる。そして、注入開始から撮影のためのスキャン開始までの遅延時間を変化させることによって、造影剤による画像濃度の増強が調節される(非特許文献1)。
しかし、造影剤の注入速度および注入量に基づいて設定される注入パラメータが適切でない場合、画像の濃度値の差が小さいために診断の役に立たなかったり、逆に濃度値が高すぎることによりコントラストがつかない画像となったりする可能性がある。ところが、造影剤注入による時間濃度変化(画像濃度の時間変化)は、患者の体重や抱えている疾患などによって大きく異なる。そのため、濃度値や造影剤の注入開始から注目領域の血管に造影剤が現れるまでの遅延時間のばらつきが大きく、各々の患者に対してCTAにおける動脈の濃度変化を推定して造影剤注入パラメータを最適化することは、適切なCT血管造影像を得る上で非常に重要な事項であるにも拘わらず、必ずしも容易ではない。



さらに、現在の医療の現場では、造影剤の投与は患者にとって負担となるにもかかわらず、安定した造影を行うために、患者に対して適正量よりやや多量の造影剤を投与しているという問題がある。
このような問題に対し、計算機による支援により時間濃度曲線を推定できれば、使用する造影剤量を適切に設定でき、過剰に投与することがなくなると期待できる。これにより患者の身体的、経済的負担も軽減できると考えられる。



時間濃度曲線を解析する従来研究としては、Freischmannらの手法(非特許文献1)が挙げられる。この手法は、ある患者に対して、テスト注入パラメータで造影剤を注入したときの時間濃度曲線(CT値の時間変化)が既知である場合に適用することができる。すなわち、この手法では、まず、テスト注入パラメータとそれによる時間濃度曲線とに対してフーリエ変換を適用し、その患者の注入に対する時間濃度変化の関係を伝達関数として導出する。その伝達関数を用いることで、任意の注入パラメータに対する時間濃度曲線を推定でき、また、逆に、CTにおいて要求される時間濃度曲線を設定することで、それを得るための最適な注入パラメータを推定することができる。



しかし、この手法では、最適注入パラメータを求める際のフィッティング処理が経験的に行われている。すなわち、最適注入パラメータは、注入速度が時間に伴って非線形に変化する複雑な形状の関数によって表されるが、自動注入器を用いて行われる実際の注入では、時間経過に伴って注入速度を複雑に変化させていくことは非現実的である。そこで、注入速度を2段階に切り換える、いわゆる二相注入を行うこととして、最適注入パラメータが求まった後は、操作者の経験によって当該最適注入パラメータに適合する二相注入のパラメータを定める、フィッティング処理が行われる。



前記手法において二相注入が行われるようになっているのは、最適注入パラメータが二相注入にフィッティングしやすい形状となっていて、注入速度を終始一定に保持する一相注入に対するフィッティングを行うことができないからである。しかし、臨床上は、一相注入の方が現実的であるという側面もある。

【非特許文献1】Dominik Freischmann and Karl Hittmair: "Mathematical Analysis of Arterial Enhancement and Optimization of Bolus Geometry for CT Angiography Using the Discrete Fourier Transform", Journal of Computer Assisted Tomography 23(3):474-484, 1999

【非特許文献2】立入弘・稲邑清也監修、山下一也・速水昭宗編集: “診療放射線技術上巻改訂第10 版”, 南江堂,pp.83,pp.86,pp.175-177,pp.339,2001

【非特許文献3】日本医用画像工学会監修, 同・医用画像工学ハンドブック編集委員会編集, “医用画像工学ハンドブック”, 篠原出版,pp.220-221,pp.364-365,1994

産業上の利用分野


この発明は、被検体(典型例は人体)に造影剤を注入して当該被検体の関心領域の濃度を増強して行う撮影法に適用可能な造影剤注入プロトコル決定方法および造影剤注入プロトコル演算装置に関する。さらに、この発明は、そのような造影剤注入プロトコル演算装置を備えた造影剤注入装置および撮影システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
撮影対象に対して一定のテスト注入速度で所定のテスト注入時間に渡って造影剤をテスト注入したときに、関心領域を撮像して得られた画像濃度の時間変化を表すテスト時間濃度曲線に基づいて本番検査のための造影剤注入プロトコルを定める方法であって、
前記テスト時間濃度曲線に基づいて、注入速度を前記テスト注入速度と等しい一定値とし、前記テスト注入時間とは異なる所定の注入時間を設定した場合についての時間濃度曲線を推定して、推定時間濃度曲線を作成するステップと、
前記推定時間濃度曲線において所要の濃度維持時間を確保できる最大濃度値を求めるステップと、
前記最大濃度値および所要濃度値に基づいて、前記濃度維持時間にわたって前記所要濃度値を維持できるように、前記所定の注入時間に対応した注入速度を定めるステップと、
前記所定の注入時間およびこれに対応する注入速度に基づいて造影剤注入量を求め、この造影剤注入量およびこれに対応する前記注入速度の対を含む注入プロトコルを作成するステップとを含む、造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項2】
前記所定の注入時間は前記テスト注入時間の自然数倍であり、
前記推定時間濃度曲線を作成するステップは、前記テスト時間濃度曲線と、前記テスト時間濃度曲線を時間軸上で前記テスト注入時間の自然数倍だけずらした一つ以上のシフト時間濃度曲線とを重ね合わせることにより、前記所定の注入時間に対応した推定時間濃度曲線を作成するステップを含む、請求項1記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項3】
前記推定時間濃度曲線を作成するステップは、
前記テスト時間濃度曲線に基づいて、所定の微小単位時間の造影剤注入に対応する時間濃度曲線であるインパルス応答曲線を求めるステップと、
前記所定の注入時間に応じて、前記インパルス応答曲線を時間軸上でずらして複数個重ね合わせて前記推定時間濃度曲線を求めるステップとを含む、請求項1記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項4】
前記インパルス応答曲線を求めるステップは、
テスト注入時の注入速度の時間変化を表すテスト注入関数をフーリエ変換するステップと、
前記テスト時間濃度曲線をフーリエ変換するステップと、
前記テスト注入関数およびテスト時間濃度曲線の各フーリエ変換の比をとることにより、注入速度の時間変化を表す注入関数と時間濃度曲線との関係を表す伝達関数を求めるステップと、
前記伝達関数を逆フーリエ変換して前記インパルス応答曲線を求めるステップとを含む、請求項3記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項5】
前記推定時間濃度曲線を作成するステップは、
テスト注入時の注入速度の時間変化を表すテスト注入関数をフーリエ変換するステップと、
前記テスト時間濃度曲線をフーリエ変換するステップと、
前記テスト注入関数およびテスト時間濃度曲線の各フーリエ変換の比をとることにより、注入速度の時間変化を表す注入関数と時間濃度曲線との関係を表す伝達関数を求めるステップと、
注入速度を前記テスト注入速度と等しい一定値とし、前記注入時間を前記所定の注入時間に設定した場合の注入関数である設定注入関数をフーリエ変換するステップと、
前記設定注入関数のフーリエ変換および前記伝達関数に基づいて、前記設定注入関数に対応する推定時間濃度曲線を作成するステップとを含む、請求項1記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項6】
前記テスト時間濃度曲線のフーリエ変換に対して高周波成分を除去するフィルタ処理を行うステップをさらに含み、
前記伝達関数を求めるステップは、前記フィルタ処理されたテスト時間濃度曲線のフーリエ変換を用いて行われる、請求項4または5記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項7】
前記所定の注入時間は、互いに異なる複数の注入時間を含み、
前記推定時間濃度曲線を作成するステップは、前記複数の注入時間にそれぞれ対応する複数の推定時間濃度曲線を作成するステップであり、
前記濃度維持時間を確保できる最大濃度値を求めるステップは、前記複数の推定時間濃度曲線のそれぞれについて、前記濃度維持時間を確保できる最大濃度値を求めるステップであり、
前記注入速度を求めるステップは、前記複数の推定時間濃度曲線のそれぞれについて求められた複数の最大濃度値と前記所要濃度値とに基づいて、前記複数の注入時間にそれぞれ対応する複数の注入速度を求めるステップであり、
前記注入プロトコルを作成するステップは、前記複数の注入速度およびそれらにそれぞれ対応する複数の造影剤注入量の複数の対をそれぞれ含む複数の注入プロトコルを作成するステップである、請求項1~6のいずれかに記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項8】
前記複数の注入プロトコルから、注入速度が所定範囲内の値である注入プロトコルを抽出するステップをさらに含む、請求項7記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項9】
前記複数の注入プロトコルから、注入速度が最低の注入プロトコルを抽出するステップをさらに含む、請求項7または8記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項10】
前記複数の注入プロトコルから、造影剤注入量が最低の注入プロトコルを抽出するステップとをさらに含む、請求項7~9のいずれかに記載の造影剤注入プロトコル決定方法。

【請求項11】
撮影対象に対して一定のテスト注入速度で所定のテスト注入時間に渡って造影剤をテスト注入したときに関心領域を撮像して得られた画像濃度の時間変化を表すテスト時間濃度曲線に基づいて本番検査のための造影剤注入プロトコルを演算する装置であって、
前記テスト時間濃度曲線に基づいて、注入速度を前記テスト注入速度と等しい一定値とし、前記テスト注入時間とは異なる所定の注入時間を設定した場合についての時間濃度曲線を推定して、推定時間濃度曲線を作成する推定時間濃度曲線作成手段と、
この推定時間濃度曲線作成手段によって作成された前記推定時間濃度曲線において所要の濃度維持時間を確保できる最大濃度値を求める最大濃度値演算手段と、
この最大濃度値演算手段によって演算された前記最大濃度値および所要濃度値に基づいて、前記濃度維持時間にわたって前記所要濃度値を維持できるように、前記所定の注入時間に対応した注入速度を定める注入速度演算手段と、
前記所定の注入時間およびこれに対応して前記注入速度演算手段によって演算された注入速度に基づいて造影剤注入量を求め、この造影剤注入量およびこれに対応する前記注入速度の対を含む注入プロトコルを作成する注入プロトコル作成手段とを含む、造影剤注入プロトコル演算装置。

【請求項12】
撮影対象に造影剤を注入する造影剤注入手段と、
前記テスト注入速度およびテスト注入時間に対応したテスト注入プロトコルに従って前記撮影対象に造影剤が注入されるように前記造影剤注入手段を制御するテスト注入制御手段と、
請求項11記載の造影剤注入プロトコル演算装置と、
この造影剤注入プロトコル演算装置によって演算された注入プロトコルに従って前記撮影対象に造影剤が注入されるように前記造影剤注入手段を制御する本番注入制御手段とを含む、造影剤注入装置。

【請求項13】
請求項12記載の造影剤注入装置と、
撮影対象を撮影して画像濃度に対応する信号を生成する撮影手段と、
テスト注入時に前記撮影対象の関心領域を撮影するように前記撮影手段を制御するテスト撮影制御手段と、
前記本番注入制御手段によって前記造影剤注入手段が制御されるときに、これに同期して前記撮影対象の関心領域を撮影するように前記撮影手段を制御する本番撮影制御手段とを含む、撮影システム。
産業区分
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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