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ミスマッチ塩基対検出分子およびミスマッチ塩基対検出方法、並びにその利用

国内特許コード P07A010257
掲載日 2007年8月17日
出願番号 特願2004-295238
公開番号 特開2006-104159
登録番号 特許第4701378号
出願日 平成16年10月7日(2004.10.7)
公開日 平成18年4月20日(2006.4.20)
登録日 平成23年3月18日(2011.3.18)
発明者
  • 中谷 和彦
  • 後藤 佑樹
  • ペン タオ
  • 小堀 哲夫
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 ミスマッチ塩基対検出分子およびミスマッチ塩基対検出方法、並びにその利用
発明の概要

【課題】 熱安定性、アルカリ安定性が向上しているとともに、優れたミスマッチ結合力、分子認識力を有する化合物、この化合物の固定化物、この化合物を用いたミスマッチ塩基対の検出方法、当該方法に用いられるキット、並びに塩基配列の異常の検出方法とを提案する。
【解決手段】 一般式(1)

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~5の炭化水素基、あるいは炭素数1~5の炭化水素基の1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されている有機基を示し、Rは炭素数4~6のアルキレン基または炭素数4~6のアルキレン基の1つ以上の炭素原子が酸素原子で置換されている有機基を示す。)で表される化合物であり、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるミスマッチ塩基対に、疑似的に塩基対を形成する化合物、この化合物の固定化物を用いる。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


DNAやRNAなどの核酸(ポリヌクレオチド)がハイブリダイズして二本鎖となる場合には、対をなす塩基が決まっている。具体的には、グアニン(G)にはシトシン(C)、アデニン(A)にはチミン(T)が対をなす。それゆえ、核酸がハイブリダイズしている状態では、通常は、全ての塩基が上記のような対を形成しているが、状況によっては、当該核酸の塩基配列の一部が、このような対を形成することができない場合がある。



例えば、あるDNAと他のDNAをハイブリダイズし得る条件下においた場合に、これらDNA同士が全く相補的な塩基配列を有するものであれば、全ての塩基において上記のような対が形成される。これに対して、これらDNA同士は、ほぼ完全に相補的な塩基配列を有するものであれば、大部分の塩基はこのような対を形成することができるが、1個または数個の一部の塩基はこのような対を形成することができない。このように、通常の塩基対を形成することができない塩基の対のことを、本発明ではミスマッチ塩基対と称する。



ところで、最近、ゲノムの塩基配列中における微細な違い(1個または2個以上の塩基が異なること、多型)についての研究が行われてきている。上記多型の代表的な例としては、1個の塩基が通常のものとは異なっている多型、すなわち一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、略称SNP)が挙げられる。このような多型は、各種遺伝病の原因となり得ることが明らかにされており、さらには、各生物の個体差を生じさせる要因の一つとなるとも考えられている。したがって、このような多型について研究することはポストゲノムシークエンスにおいて、非常に重要なものとなっている。



ここで、例えば、上記SNPを含む遺伝子を正常な遺伝子とハイブリダイズさせると、大部分の塩基は正常な塩基対を形成し得ることができるために、ハイブリダイズして二本鎖の状態を形成することは可能である。しかしながら、上記SNPの部分については、ミスマッチ塩基対が生じることになる。



上記ミスマッチ塩基対を検出する方法としては、従来から、様々な技術が提案されており、近年では、(1-1)二本鎖DNAのハイブリダイゼーション効率を比較する手法が一般的である。また、(1-2)MutS等のDNAの修復タンパク質(ミスマッチ認識酵素)が遺伝子損傷箇所に選択的に結合することを利用する手法も知られている。しかしながら、これらの方法は、それぞれ課題を抱えているため実用性に欠ける場合がある。



具体的には、(1-1)の方法では、ミスマッチ塩基対を含むDNAの塩基配列をあらかじめ知っておかなければならないために多大な労力が必要となり、多くの検体を処理する方法としては不適当である。また、この方法では、ミスマッチ塩基対を検出する感度が実用的に十分ではない場合がある。さらに、(1-2)の方法では、ミスマッチ塩基対の種類を区別して認識することが可能であるが、熱安定性を維持したり、酵素活性を維持する構造(フォールディング)を維持したりすることが難しく、使用上の制約が多い。



ところで、本発明者らは、以前に、次に示す各化合物を開発し、これら化合物を用いることで、ミスマッチ塩基対やバルジ塩基に擬似的な塩基対を形成する技術を提案している。
(2-1)二本鎖DNA中に生成する不対塩基(バルジ塩基)を持つDNA(バルジDNA)に特異的に結合し、安定化する分子であるバルジDNA認識分子(特許文献1参照)。
(2-2)A-L-Bの一般式で表され、Aが正常な塩基対を形成することができない塩基の対における片方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Bが正常な塩基対を形成することができない塩基の対のもう一方の塩基と対を形成し得る化学構造部分、Lが上記AおよびBの化学構造部分を結合するリンカー構造を示すミスマッチ塩基対認識分子(特許文献2参照)。



上記(2-1)の化合物を用いれば、バルジ塩基の検出が可能となり、(2-2)の化合物を用いれば、ミスマッチ塩基の検出が可能となる。また、(2-2)の技術を応用することで、例えば、テロメアの一本鎖部分において安定なヘアピン構造を形成させ、染色体末端におけるテロメア領域の伸長反応を阻害することも提案している(特許文献3参照)。

【特許文献1】特開2001-89478公報(平成13(2001)年4月3日公開)

【特許文献2】特開2001-149096公報(平成13(2001)年6月5日公開)

【特許文献3】特開2002-30094公報(平成14(2002)年1月29日公開)

産業上の利用分野


本発明は、例えば、一本鎖の核酸がハイブリダイズして二本鎖を形成した場合に、正常な塩基対を形成することができない塩基の対(以下、「ミスマッチ塩基対」または単に「ミスマッチ」と称する。)が生じたとき、当該ミスマッチ塩基対に特異的に結合することが可能な化合物と、その利用方法に関するものであり、特に、高い熱安定性およびアルカリ安定性を有する、ミスマッチ塩基対の間に擬似的に塩基対を形成することが可能な化合物(ミスマッチ塩基対検出分子)と、この化合物の固定化物、この化合物を用いたミスマッチ塩基対の検出方法、当該方法に用いられるキット、並びに当該方法を用いたDNAまたはRNAにおける塩基配列の異常の検出方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(
【化学式1】


(()中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~5の炭化水素基、あるいは炭素数1~5の炭化水素基の1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されている有機基を示し、Rは水素原子を示し、Aは酸素原子またはイオウ原子を示し、nは3~5を示す。)
で表される化合物であり、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるミスマッチ塩基対に、疑似的に塩基対を形成する化合物であることを特徴とするミスマッチ塩基対検出分子。

【請求項2】
上記一般式()で表される化合物が、次に示す一般式(
【化学式2】


(()中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~5の炭化水素基、あるいは炭素数1~5の炭化水素基の1つ以上の炭素原子が窒素原子および/または酸素原子で置換されている有機基を示し、Aは酸素原子またはイオウ原子を示す。)
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のミスマッチ塩基対検出分子。

【請求項3】
上記一般式()で表される化合物が、次に示す化学式(
【化学式3】


で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のミスマッチ塩基対検出分子。

【請求項4】
上記ミスマッチ塩基対が、グアニン-グアニン、グアニン-アデニン、シトシン-チミン、シトシン-シトシン、シトシン-アデニン、チミン-チミンのうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のミスマッチ塩基対検出分子。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のミスマッチ塩基対検出分子を用いて、ハイブリダイズされた核酸に含まれる、正常な塩基対を形成することができない塩基の対であるミスマッチ塩基対に疑似的に塩基対を形成させる工程と、
当該ミスマッチ塩基対に形成された疑似的な塩基対を検出する工程とを含むことを特徴とし、インビトロにおいて行うミスマッチ塩基対検出方法

【請求項6】
上記ミスマッチ塩基対検出分子は、担体に固定化されて用いられることを特徴とする請求項5に記載のミスマッチ塩基対検出方法

【請求項7】
上記ミスマッチ塩基対検出分子は、標識化されて用いられることを特徴とする請求項5または6に記載のミスマッチ塩基対検出方法

【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載のミスマッチ塩基対検出方法を実施するために用いられるキットであって、少なくとも上記ミスマッチ塩基対検出分子を固定化した担体を含むことを特徴とするミスマッチ塩基対検出キット

【請求項9】
さらに、標的領域を増幅するためのプライマーセットと、標的領域を含み当該領域の塩基配列が確認されている核酸とを含むことを特徴とする請求項8に記載のミスマッチ塩基対検出キット

【請求項10】
検体となる一本鎖のDNAまたはRNAと、それに対応する正常な塩基配列を有するDNAまたはRNAとをハイブリダイズさせる工程と、
請求項5~7のいずれか1項に記載のミスマッチ塩基対検出方法を用いて、上記ハイブリダイズした二本鎖DNAまたはRNAにミスマッチ塩基対が含まれるか否かを検出する工程とを含むことを特徴とし、インビトロにおいて行う塩基配列の異常の検出方法。

【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載のミスマッチ塩基対検出分子を固定化した担体を備えていることを特徴とするミスマッチ塩基対検出装置

【請求項12】
一般式(4)
【化学式4】


で表される化合物。

【請求項13】
請求項12に記載の化合物を固定化した担体
産業区分
  • 有機化合物
  • 微生物工業
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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