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耐塩性強化転移因子

国内特許コード P07A010352
掲載日 2007年8月31日
出願番号 特願2004-231602
公開番号 特開2006-042731
登録番号 特許第4815579号
出願日 平成16年8月6日(2004.8.6)
公開日 平成18年2月16日(2006.2.16)
登録日 平成23年9月9日(2011.9.9)
発明者
  • 山田 晃世
  • 小関 良宏
出願人
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 耐塩性強化転移因子
発明の概要

【課題】 塩、水分、熱ストレス等の環境ストレス、特に塩ストレス耐性向上活性を有する、耐塩性強化転移因子と考えられるタンパク質や、該タンパク質をコードする遺伝子や、環境ストレス耐性が増強されたトランスジェニック植物等を提供すること。
【解決手段】 強力な塩ストレス耐性向上活性を有し、塩類が集積した乾燥地でも生育が可能な塩生植物シチメンソウ を用いて、シチメンソウの耐塩性機構に関与する遺伝子群(cDNA)の単離を目指し、大腸菌の遺伝子発現系を用いた機能スクリーニング法により、シチメンソウの耐塩性に関与する遺伝子の探索を行い、670アミノ酸からなる耐塩性強化転移因子と考えられるタンパク質や、このアミノ酸配列中の計17回繰り返されるPSTTKとそれに類似するアミノ酸配列を有する領域を含むタンパク質は、大腸菌の耐塩性、ソルビトール耐性(水分ストレス耐性)、耐熱性を強化する機能を有することを見い出した。

従来技術、競合技術の概要


自然界に存在する生物は塩、高温、低温、凍結、乾燥、塩ストレス等の種々の環境ストレスに曝されている。特に、塩ストレスは多くの高等植物の生育を阻害する最も大きな要因の1つである。高等植物の耐塩性強化は、農産物生産の増大につながるため、遺伝子導入により高等植物の耐塩性を強化させる試みが、活発に進められている。耐塩性を強化する機能を有するタンパク質は、大別して適合溶質(グリシンベタイン、マンニトール、トレハロース、プロリン)合成酵素や、イオンホメオスタシスに関与する酵素(Na/Hアンチポーター)、及びこれらの遺伝子の発現を制御する転写調節因子に大別することができる。これらのタンパク質を発現した形質転換細胞で、耐塩性の向上が認められた例が近年多数報告されている。例えば、コリンオキシダーゼをコードする遺伝子が染色体DNA中に導入されたユーカリ属の植物体(特許文献1参照)や、耐塩性藍藻 (Aphanothece halopytica) 由来Na/HアンチポーターをコードするDNA(特許文献2参照)や、植物の細胞内におけるプロリン分解系の酵素をコードする遺伝子の発現を抑制することを特徴とする植物のストレス耐性を上昇させる方法(特許文献3参照)がそれぞれ報告されている。しかし、上記の耐塩性強化因子を発現した生物(特に植物)において、約500mMのNaClを含む海水に耐える形質転換体は未だ得られておらず、海水に耐える形質転換体を作成するためには、適合溶質合成系酵素やイオンホメオスタシスに関与する酵素だけでは不十分であると思われる。



一方、自然界にはその進化の過程で強力な耐塩性機構を獲得した植物(塩生植物)がある。このような植物群がもつ耐塩性因子を、単独、あるいは複数組み合わせて使用することで、塩生植物並みの強力な耐塩性を獲得した形質転換体(特に植物)を作出できると期待されている。例えば、本発明者らは塩生植物の一種であるマングローブに着目し、既に培養細胞系が確立されているBruguiera sexangulaの培養細胞の分与を得て、この細胞株を100mMのNaCl存在下で培養し、培養細胞から抽出したmRNAを基にcDNAライブラリーを作製し、この中からマングローブの耐塩性に関与する遺伝子の探索を試み、単離したストレス耐性に関与する遺伝子群の中の1つの遺伝子を導入することにより、酵母、植物細胞(タバコ培養細胞)、そして植物体(タバコ)の耐塩性を強化させることに成功している(特許文献4参照)。また、マングローブの1種である、メヒルギ中に新規な耐塩性増大遺伝子を見出し、その塩基配列及びそれがコードするアミノ酸を決定し、さらに該遺伝子を他の植物に導入してその耐塩性が増大することが確認されている(特許文献5、6参照)。しかし、現在までに塩生植物由来の耐塩性因子に関する知見は大変少ない。




【特許文献1】特開2003-143988号公報

【特許文献2】特開2003-180373号公報

【特許文献3】特開2003-186879号公報

【特許文献4】特開2001-333784号公報

【特許文献5】特開2003-116546号公報

【特許文献6】特表2003-512837号公報

産業上の利用分野


本発明は、耐塩性強化転移因子と考えられる塩ストレス耐性向上活性等の環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNAや、耐塩性強化転移因子と考えられる塩ストレス耐性向上活性等の環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質や、トランスジェニック植物などのこれらDNAやタンパク質の利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)又は(b)記載のタンパク質をコードするDNA。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質。

【請求項2】
配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一性が95%以上のアミノ酸配列からなり、かつ環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。

【請求項3】
以下の(a)~(j)のいずれか記載のDNA;
(a)配列番号1に示される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号3に示される塩基配列からなるDNA;
(c)配列番号5に示される塩基配列からなるDNA;
(d)配列番号2の1-520で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;
(e)配列番号2の1-434で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;
(f)配列番号2の1-375で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;
(g)配列番号2の1-329で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;
(h)配列番号2の1-264で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;
(i)配列番号2の88-264で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA;
(j)配列番号2の88-259で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。

【請求項4】
配列番号1、3又は5に示される塩基配列において、1~15個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。

【請求項5】
請求項3の(a)~(c)のいずれか記載のDNAと同一性が95%以上のDNAからなり、かつ環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質をコードするDNA。

【請求項6】
環境ストレス耐性が、塩ストレス耐性、熱ストレス耐性、水分ストレスから選ばれる1以上のストレス耐性である請求項1~5のいずれか記載のDNA。

【請求項7】
配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。

【請求項8】
配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一性が95%以上のアミノ酸配列からなり、かつ環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質。

【請求項9】
以下の(A)~(I)のいずれか記載のタンパク質;
(A)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(B)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(C)配列番号2の1-520で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(D)配列番号2の1-434で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(E)配列番号2の1-375で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(F)配列番号2の1-329で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(G)配列番号2の2-264で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(H)配列番号2の88-264で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(I)配列番号2の88-259で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。

【請求項10】
配列番号2、4又は6に示されるアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質。

【請求項11】
環境ストレス耐性が、塩ストレス耐性、熱ストレス耐性、水分ストレスから選ばれる1以上のストレス耐性である請求項7~10のいずれか記載のタンパク質。

【請求項12】
請求項7~11のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを含む組換えベクター。

【請求項13】
請求項1~6のいずれか記載のDNAを含む組換えベクター。

【請求項14】
請求項12又は13記載の組換えベクターを宿主細胞に導入することにより得られる形質転換細胞。

【請求項15】
宿主細胞が、植物細胞である請求項14記載の形質転換細胞。

【請求項16】
宿主細胞が、微生物細胞である請求項14記載の形質転換細胞。

【請求項17】
請求項14~16のいずれか記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞又はその培養液の上清から組換えタンパク質を回収することを特徴とする環境ストレス耐性向上活性を有するタンパク質の製造方法。

【請求項18】
請求項7~11のいずれか記載のタンパク質をコードするDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる環境ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。

【請求項19】
請求項1~6のいずれか記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる環境ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。

【請求項20】
請求項12又は13記載のベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞の分裂・増殖と再分化を行わせることにより得られる環境ストレス耐性向上活性を有するトランスジェニック植物。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
※ 国立大学法人東京農工大学では、先端産学連携研究推進センターにおいて、知的財産の創出・権利化・活用に取り組んでいます。上記の特許・技術の内容および導入に興味・関心がありましたら、当センターまでお気軽にお問い合わせください。


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