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鱗翅目害虫の防除剤

国内特許コード P07A010361
掲載日 2007年8月31日
出願番号 特願2005-021798
公開番号 特開2006-206519
登録番号 特許第4635195号
出願日 平成17年1月28日(2005.1.28)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
登録日 平成22年12月3日(2010.12.3)
発明者
  • 島田 順
出願人
  • 学校法人東京農工大学
発明の名称 鱗翅目害虫の防除剤
発明の概要

【課題】
野菜類には食用部位を加害する害虫である鱗翅目害虫を防除する方法を提供する。
【解決方法】
サリチルアルデヒドを空気中に気化させ、野菜の食用部位に加害を加える鱗翅目害虫のうち、ウワバ類、ヨトウガ類、コナガ等の害虫を防除する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


食の安全、あるいは環境負荷の観点から無農薬・減農薬栽培が叫ばれているが、集約的野菜栽培においては化学的合成農薬に頼らざるを得ないのが現状である。野菜類には収穫部位を加害する害虫種が多く、その食害は生産物の著しい品質劣化を招く。特に、葉菜類の栽培においては害虫の加害部位と食用部位が一致する場合が多く、それらの防除には、人畜に対する毒性や残効性の高い農薬の不使用が奨励されている。



野菜類、特に、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カリフラワーなどのアブラナ科野菜に対する害虫として、モンシロチョウ、コナガ、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、タマナギンウワバ、タマナヤガ、カブラヤガなどの鱗翅目害虫やアブラムシ類が挙げられる。特に、コナガは、熱帯地方から高緯度地帯まで広く分布する体長約10mmの蛾で、アブラナ科植物を加害する世界的な大害虫である。我が国においては、かつては発生が目立たず、その被害が問題とされることはなかったが、1960年頃からキャベツを中心に全国各地で恒常的に多発するようになった。



これらの害虫に対する防除には、化学合成農薬が一般に用いられ、殺虫剤に依存した栽培体系における春播きキャベツの農薬散布回数は、約100日の栽培期間中に30~50回にまでに及ぶと言われている。現在の栽培技術において、一般に用いられている化学合成殺虫剤は、有機塩素剤、有機リン剤、カーバメート剤、ピレスロイド剤、カルタップ剤などであるが、これらはいずれも神経機能を阻害することによって効果を発揮する。



これらの殺虫剤は、比較的安価であり、散布労力をさほど要せず、更に、適用昆虫範囲が広く、数種の害虫を同時に防除することが出来る、などの利点を有するため、連続的な過使用を引き起こしている。その結果、人畜に対する急性および慢性の中毒、生産物への残留、天敵相の減少による害虫の異常発生、害虫の殺虫剤に対する抵抗性の発達などを招き、世界的な問題となっている。



更に、化学農薬に対する感受性の回復の程度は地域個体群により異なるが、コナガやヨトウガなどのように薬剤耐性を獲得しやすい害虫においては、殺虫剤散布による天敵相や競争種の減少と相まって、農薬を使用しないときより、増加してしまうリサージェンスと呼ばれる現象を引き起こしている。



防虫網や寒冷紗を用いた物理的防除法は、これらの問題を回避することができるが、大規模栽培においては労力的に不可能である。現状の技術に比べても大きな労働負担とならず、しかも、人畜に対する毒性や環境負荷の少ない防除手段こそが、綜合防除、の概念に沿った実現可能な防除法である。



それらには、天敵相の温存もさることながら、飛来害虫個体数を減少させ、産卵を防ぎ、害虫の初期密度を低下させるような防除技術が重要である。



昆虫は、種固定のフェロモンによって同種異個体間の交信を行っている。合成性フェロモンは、害虫の交尾行動を撹乱して次世代の発生を抑制する交信撹乱剤として害虫の防除に使用されているが、性フェロモンであるため、異なる害虫に対しては効果がなく、複数の種類の害虫を防除するには、複数の合成性フェロモンを混合する必要がある。




【特許文献1】特開平11-139904号公報



クモ類、ムカデ類、オサムシ科昆虫は、畑地に生息する節足動物の中では最上位の栄養段階に位置している。耕地生態系におけるこれらの徘徊性節足動物は、生態系においてさらに上位の栄養段階に位置するノネズミ、モグラなどの哺乳動物や鳥類の攻撃に対して、毒性を持つ防御物質を放出することが知られている。



兼久は、わが国に生息する大半の徘徊性捕食甲虫類の自己防御物質を詳細に分析し、その主成分が有機酸、メタクレゾール、ベンゾキノンであることを明らかにした。兼久による一連の研究では、防御物質の分泌腺を取り出して破砕し、それをジエチルエーテルで抽出・分析しているが、この方法で検出された物質には、液相のままでガス化しにくい物質も含まれている。




【非特許文献1】兼久、「昆虫の生理と化学」、有限会社喜多見書房、1979年、p.301-318



昆虫の誘引物質、あるいは忌避物質等のいわゆる行動制御を行う情報伝達物質には普遍的なものはなく、昆虫の種類、更にはその成長段階によっても異なると言われている。このような昆虫が空気中に放出する物質は、通常非常に微量であり、そのため、その成分を分析する方法として、超高感度GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)が知られている。



クロマトグラフ分析では、通常何らかの試料前処理を伴うが、対象成分が微量の場合は、抽出した成分を従来の前処理操作で処理すると、試料の一部のみを分析系に導入する事になるため、感度が不十分な場合が多い。このような、前処理プロセスをミニュチュア化し、抽出した全量をガスクロマトグラフに導入できる方法として、固定マイクロ抽出法が開発され、1999年になると、より高感度分析を実現したスターバー抽出法が開発された。



スターバー抽出法では、攪拌子に固定相として100%ポリジメチルシロキサンをコーティングしたGerstel社の、「Twister」(登録商標)(以後、Twisterという)、などを使用して、食品や飲料などに含まれる微量成分の吸着に用いられている。試料溶液中で攪拌させ目的物質を吸着させるSBSE法と、試料から気化する匂い成分を捕集するHSSE法がある。固相ミクロ抽出法では空気中のフェロモンを直接捕集することが出来る。



又、害虫に対する、誘引、あるいは忌避行動制御を行う情報伝達物質は、情報伝達物質を感知したとき触角に発生する生物電位を測定するための触角電位検出器を装着したガスクロマトグラフ(GC-EAD)を用いた検定法が知られている。つまり、ガスクロマトグラフのカラムの中を、キャリアガスで運ばれた揮発成分を二分岐し、一方は水素炎イオン検出器(FID)に導入し、もう一方の出口に、導入導線を介した2本のマイクロ電極を配置し、害虫の触覚を頭部から切取り、更に、その先端部も切除し、切取った触角の両端面が2本の電極に橋渡しとなるように装着し、害虫の触角が情報伝達物質を感知すると、生物電位が発生し、電極間の電圧が変化するので、その電位変化を測定する。水素炎イオン検出器のピークと触角電位の変化が、チャート上で同一時に起これば、その成分がその害虫に対する情報伝達物質である事が推察できる。



昆虫の触角には匂い物質結合タンパクの嗅感覚子がある。匂い物質はこの感覚子の内部にある嗅受容細胞に受容され、神経インパルス列に変換されて脳内に伝達される。このため、昆虫類が放出する自己防御物質に、害虫が忌避反応する事は、その害虫の遺伝子に作用することであり、薬剤耐性という問題は発生しない面を持つと考えられる。このような薬剤は、畑作圃場でこん跡程度の量を気化させておくだけで、特定の害虫の飛来を防御できるので、人にとって安全な防除剤として評価されている。

産業上の利用分野


本発明は野菜類の重要害虫である鱗翅目害虫の防除剤に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
サリチルアルデヒドを含有する、ウワバ類、ヨトウガ、ハスモンヨトウ及びコナガの忌避剤。

【請求項2】
空中で気化させて使用するものである請求項1又は請求項2に記載の忌避剤。
産業区分
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005021798thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
※ 国立大学法人東京農工大学では、先端産学連携研究推進センターにおいて、知的財産の創出・権利化・活用に取り組んでいます。上記の特許・技術の内容および導入に興味・関心がありましたら、当センターまでお気軽にお問い合わせください。


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