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Al-Si膜の形成方法 新技術説明会

国内特許コード P07A010442
掲載日 2007年9月14日
出願番号 特願2004-228109
公開番号 特開2006-045616
登録番号 特許第4979882号
出願日 平成16年8月4日(2004.8.4)
公開日 平成18年2月16日(2006.2.16)
登録日 平成24年4月27日(2012.4.27)
発明者
  • 湯本 敦史
  • 山本 剛久
  • 廣木 富士男
  • 塩田 一路
  • 丹羽 直毅
出願人
  • タマティーエルオー株式会社
発明の名称 Al-Si膜の形成方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】アルミニウム系マトリクス中にシリコン相が微細に分散したAl-Si膜とその形成方法を提供する。
【解決手段】アルミニウムとシリコンを含有するAl-Si膜であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金のマトリクスと、前記マトリクス中に分散された、粒径が数~100nmであるシリコン微粒子とを有し、プラズマの使用または加熱により生成されたシリコン微粒子とアルミニウム微粒子を、超音速フリージェットの気流に乗せて真空チャンバー(成膜チャンバー30)中に噴出して、真空チャンバー中に配置した基板33上に物理蒸着させて形成した膜とする。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


軽量化のため自動車,航空宇宙関連などをはじめ、幅広い分野で運動部品へ軽量金属材料であるAl合金の使用が着実に増加している中、摺動を伴う運動部品への適用に際しては、Al合金の耐摩耗性(摩擦および摩耗特性)の更なる向上が不可欠とされている。そのため、Al合金の耐摩耗性向上のためSiを添加したAl-Sii合金の活用が注目されている。



Al-Si合金の高い耐摩耗特性は、マトリクスの隅々まで分布する硬いシリコン相の存在によるためであり、この特性はマトリクス中のシリコン相の体積比に依存し、Al-Si合金中のシリコン含有量を高めることにより耐摩耗特性が向上すると考えられている。



しかし、Al-Si合金中のシリコン含有量の増加に伴い、合金中の初晶シリコン相は、大きく成長・肥大化する。例えば、Al-17重量%Si合金を通常の鋳造法で作製するとアルミニウムマトリクス中のシリコン相の粒径は数十μmに、電磁振動(electromagnetic vibrations)を用いると5μm程度になると報告されている(非特許文献1参照)。
大きな初晶シリコン相はAl-Si合金の機械的特性および耐摩耗特性の深刻な悪化を引き起こす。その理由は、シリコンが脆性材料であるため、肥大したAl-Si合金中のシリコン相が破壊の起点となるためである。
すなわち、Al-Si合金では、合金中のシリコン含有量を高めつつ、マトリクス中のシリコン相を均一かつ微細に分散させることが、Al-Si合金の機械的特性を損なわず高い耐摩耗特性を獲得する鍵となる。



これまでAl-Si合金における初晶シリコン相の成長メカニズム関する研究がなされており、例えば、急速凝固鋳造法、塗布法、溶射法および粉末冶金技術などの様々な手法で、マトリクス中に分散するシリコンのサイズを制御する研究がなされた。
さらに、児島ら(非特許文献2参照)、Seokら(非特許文献3参照)、および森ら(非特許文献4参照)は、溶射法によって、過共晶Al-Si合金膜を作製し、マトリクス中に分散したマイクロメートル大のシリコン相の形成に成功した。



一方、清宮らは、遠心鋳造法でアルミニウムマトリクス中のシリコン相の分散量(Al-Si合金中のシリコン組成)を連続的に変化させた機能傾斜Al-Si合金を開発した(非特許文献5参照)。
傾斜機能材料(FGM;functionally graded material)は、二つ、あるいはそれ以上の異種材料間の組成を連続的に変化させた複合材料であり、それぞれの材料特性をいかしつつ、異種材料間の物理的、機械的、化学的および/あるいは電気的な物性を連続的に変化させることで異種材料間に発生する応力を緩和することを主な目的として提唱されている材料設計の一つである。FGMとする大きなメリットは、例えば金属などの軟質材料と例えばセラミックスや金属間化合物など硬質材料の複合化である。延性および靱性などに富む金属材料と、耐熱性、耐酸化性あるいは耐摩耗性に富むセラミックスのFGMは、互いに不足する特性を相互補完し、かつ通常、金属材料とセラミックスの接合した場合などに見られる異種材料間の物性値の違いが起因する界面からの破壊を抑制することが可能となる。
基礎となるアルミニウムあるいはアルミニウム合金の組成から始まり、連続的にシリコン組成を増加させた傾斜機能Al-Si合金は、シリコン含有量の多いAl-Si合金にしばしば見られる低延性、低靱性の問題を基材のアルミニウムあるいはアルミニウム合金により補完し、耐衝撃性、耐疲労性など各種機械的特性を保持して、機械部品をより破損しにくくしながら、高い耐摩耗性を有する合金材料を開発できる可能性を持っている。



このように、高い耐摩耗性を得るためシリコン含有量を高めた過共晶Al-Si合金を実用化するためには、シリコン量の増加に伴うAl-Si合金の靱性の低下を抑制する必要がある。その対策は、Al-Si合金中のアルミニウム(あるいはアルミニウム合金)マトリクス中に分散するシリコン相の微細化すること、ならびにシリコン含有量を高めた過共晶Al-Si合金とアルミニウム(あるいはアルミニウム合金)を複合化した傾斜機能材料とすることが必要不可欠となる。

【非特許文献1】Y. Mizutani, S. Kawai, K. Miwa, K. Yasue, T. Tamura and Y. Sakaguchi: Mater. Trans. 45(2004), 1939-1943.

【非特許文献2】児島 慶亨、目幡 輝、坂本 征彦、大中 紀之:日本溶射協会誌24巻3号(1988)21-30.

【非特許文献3】H. K. Seok, J. C. Lee, S. Seo, G. M. Yoon, J. D. Lim and H. I. Lee: Proc. Of the 65th World Foundry Congress (2002) 481-488

【非特許文献4】森 広行、中西 和之、太刀川 英男:日本金属学会誌第65巻第8号(2001)707-713.

【非特許文献5】清宮 義博、篠田 哲守、福井 泰好、山口 信行、齋藤 孝基、山田 卓郎、峯岸 和正:日本金属学会誌第64巻第5号(2000)315-318.

【非特許文献6】湯本 敦史、廣木 富士男、塩田 一路、丹羽 直毅:熱処理42巻(2002)83-90.

【非特許文献7】A. Yumoto, F. Hiroki, I. shiota and N. Niwa: Surf. Coat. Technol., 169-170 (2003) 499-503

【非特許文献8】A. Yumoto, T. Yamamoto, F. Hiroki, I. Shiota and N.Niwa: Mater. Trans., JIM 43 (2002) 2932-2934

産業上の利用分野


本発明はアルミニウムとシリコンを含有するAl-Si膜およびその形成方法に関し、特に超音速フリージェットPVD法を用いて形成したAl-Si膜と、超音速フリージェットPVD法を用いるAl-Si膜の形成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルミニウムの蒸発源材料からアルミニウム微粒子を生成する工程と、
シリコンの蒸発源材料からシリコン微粒子を生成する工程と、
前記シリコン微粒子を含むHeガスと前記アルミニウム微粒子を含むHeガスを、流体混合装置内で混合することにより、前記シリコン微粒子と前記アルミニウム微粒子を混合する工程と、
該混合後に、混合した前記アルミニウム微粒子と前記シリコン微粒子とを超音速ノズルを通過させることにより、超音速フリージェットの気流に乗せて真空チャンバー中に噴出して、前記真空チャンバー中に配置した基板上に物理蒸着させ、シリコン相がアルミニウムマトリクス中に分散してなるAl-Si膜を形成する工程と
を有するAl-Si膜の形成方法。

【請求項2】
前記アルミニウム微粒子を生成する工程においては、Heガス雰囲気下で前記アルミニウムの蒸発源材料を入れたるつぼの加熱により前記アルミニウムの蒸発源材料を加熱して蒸発させる
請求項1に記載のAl-Si膜の形成方法。

【請求項3】
前記シリコン微粒子を生成する工程においては、Heガス雰囲気下で前記シリコンの蒸発源材料に向けて放電して得られるプラズマによって前記シリコンの蒸発源材料を加熱して蒸発させる
請求項1または2に記載のAl-Si膜の形成方法。
産業区分
  • 表面処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004228109thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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