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イカ軟骨のコンドロイチン硫酸由来の硫酸化八糖及び十糖 コモンズ

国内特許コード P07P004695
整理番号 A261P20
掲載日 2007年9月14日
出願番号 特願2006-049308
公開番号 特開2007-224216
登録番号 特許第5344787号
出願日 平成18年2月24日(2006.2.24)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
登録日 平成25年8月23日(2013.8.23)
発明者
  • 菅原 一幸
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 イカ軟骨のコンドロイチン硫酸由来の硫酸化八糖及び十糖 コモンズ
発明の概要 【課題】種々の生物活性をもつコンドロイチン硫酸の構造と機能を解明するための研究用試薬として有用な新規硫酸化オリゴ糖を提供すること。
【解決手段】イカ軟骨のコンドロイチン硫酸(CS-E)を出発材料とし、ヒアルロニダーゼを用いて断片化して得られた八糖及び十糖画分を陰イオン交換クロマトグラフィーでさらに分画することによって八糖又は十糖の硫酸化オリゴ糖を含む複数の画分を調製した。各画分に含まれる硫酸化オリゴ糖について構造解析を行い、合計20種類の新規硫酸化八糖及び十糖の構造を決定した。また、これらの硫酸化八糖及び十糖は、抗コンドロイチン硫酸抗体(MO-225)のエピトープ構造の解析に有用であった。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


コンドロイチン硫酸 (CS)は、グリコサミノグリカン (GAG) の一種であり、コアタンパク質に共有結合した形でプロテオグリカン (PG) として、哺乳類組織の細胞表面および細胞外マトリックスに広く分布している。こうしたコンドロイチン硫酸プロテオグリカン (CS-PGs) は、多くの場合そのGAG鎖を介して細胞の移動、分化、分裂増殖、細胞間認識作用および組織の形態形成といった種々の重要な生物活性に関与している(後述の参考文献1-4)。



CS鎖は、グルクロン酸(GlcUA)とN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)の二糖繰り返し構造から成り、この二糖単位中では様々な組み合わせで、GlcUAの2位やGalNAcの4位、6位が硫酸化修飾を受けている。その修飾によってCS鎖は多様な二糖単位を有することになる。このような多様な二糖構造のうちで、多硫酸化CS鎖であるコンドロイチン硫酸E(CS-E)およびコンドロイチン硫酸D(CS-D)は、それぞれE ユニット [GlcUAβ1-3GalNAc(4S,6S)] とD ユニット [GlcUA(2S)β1-3GalNAc(6S)](2S、4S、6Sはそれぞれ、2-O-硫酸、4-O-硫酸、6-O-硫酸を示す)を有する構造であり、海馬ニューロンの神経突起伸長促進活性や、種々のヘパリン結合性増殖因子との結合能などの生物活性が報告されており(参考文献3, 5, 18)、特に注目されている。



最近の研究によって、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン (CS-PGs) の発現パターンがラット中枢神経系の発生に伴って変化することや、単クローン抗体を用いた免疫学的解析によって、硫酸基の位置や数が互いに異なるCS鎖(CSアイソフォーム)が発生段階においてそれぞれ異なった機能を発揮していることが示されている (参考文献6, 7)。神経系の構築において、CS-PGsは、ニューロンの接着、移動、神経突起の形成および軸索誘導の調節に関与し、重要な役割を担っている(参考文献8, 9)。また、ウシ、マウス、ラット、ニワトリおよびブタ胎仔の脳において、少量ではあるが有意量の上記E-ユニットおよびD-ユニットの存在が報告されている。こうしたCSの多硫酸化構造が、リガンドとなるタンパク質と特異的に相互作用し得る特異的な機能ドメインを形成し、当該タンパク質の活性を調節していると考えられている(参考文献5a, 10-13)。特に、脳CS-PGであるアピカンには14.3%、正常マウス乳腺上皮細胞由来シンデカン-1および-4のCS鎖には各々7%と9%というように、多硫酸化E-ユニットが相当量含まれている(参考文献14, 15)。



イカ軟骨およびサメ軟骨には各々CS-EとCS-Dが豊富に含まれており、これらのCS鎖についてin vitroで種々の活性が示されている。例えば、ヘパリン結合性増殖因子であるミッドカイン (MK) を介したニューロンの接着および移動はCS-Eによって抑制される(参考文献16, 17)。種々のヘパリン結合性増殖因子が発生段階の脳に発現するが、これらの増殖因子はCS-Eに強く結合する(参考文献18)。L-, P-セレクチンなどの催炎性分子および種々のケモカインとPG-M/バーシカンとの結合は、CS-E由来のE-ユニット含有四糖によって特異的に阻害される(参考文献19)。CS-E はヘルペス単純ウイルス1感染の強力阻害剤であり(参考文献20, 20a)、CS-DおよびCS-Eは神経突起伸長促進活性を有する(参考文献21-23)。



本発明者はこれまで、多硫酸化二糖構造を有するCS-EおよびCS-Dを含む、種々のCSアイソフォームの詳細な構造について網羅的な調査研究を行ってきた。そうした中、サメ軟骨CS-D(参考文献24-26)、イカ軟骨CS-E(参考文献27, 28及び非特許文献1, 2)、ヌタウナギ脊索CS-H(参考文献29)、カブトガニ CS-K(参考文献30, 31)およびサメ皮膚(参考文献31a)から各オリゴ糖を単離精製し、その配列の決定に成功した。これまでの研究により明らかにされた多硫酸化CSアイソフォームが示す生物活性の重要性に鑑みると、その構造と機能に関する研究を今後もなお一層精力的に進めることは、哺乳類の中枢神経系の形成・発達における糖鎖の役割や、増殖因子等の作用機構における糖鎖の役割を解明する上において非常に重要である。更にその研究成果を利用した創薬、疾病の診断法の開発など医療等への応用も期待される。



ところで、市販の単クローン抗体MO-225は、ニワトリ胎仔四肢原基のPG-Mを抗原として作製されたものであり(参考文献32)、その抗体との結合にはCS-DおよびCS-Cに存在するA-D四糖配列が不可欠とされている(参考文献33, 34)。しかし、イカ軟骨CS-Eは、D-ユニットを含まないにもかかわらず、MO-225と結合する(参考文献32)。その理由は不明である。



【非特許文献1】
J. Biol. Chem. 272, 19656-19665 (1997)
【非特許文献2】
Biochemistry 40, 12654-12665 (2001)

産業上の利用分野


本発明は、イカ軟骨のコンドロイチン硫酸E由来の新規硫酸化八糖及び十糖に関する。本発明は特に、糖鎖の構造及び機能の研究解析において、及びその医療等への応用分野において有用な技術を提供するものである。
なお、本明細書及び図面において使用される主要な略号の意味は以下のとおりである。
PG:プロテオグリカン、GAG:グリコサミノグリカン、CS:コンドロイチン硫酸、DPPE:L-α-Dipalmitoyl phosphatidyl ethanolamine、MALDI-TOF/MS:マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析、GlcUA:D-グルクロン酸、GalNAc:N-アセチルD-ガラクトサミン、HexUA:ヘキスロン酸、Δ4,5HexUA(ΔHexUA):4-deoxy-L-threo-hex-4-enepyranosyluronic acid、HPLC:高速液体クロマトグラフィー、2AB:2-アミノベンズアミド、ΔO:ΔHexUAα1-3GalNAc、ΔC:ΔHexUAα1-3GalNAc(6-O-硫酸)、ΔA:ΔHexUAα1-3GalNAc(4-O-硫酸)、ΔD:ΔHexUA(2-O-硫酸)α1-3GalNAc(6-O-硫酸)、ΔE:ΔHexUAα1-3GalNAc(4,6-O-二硫酸)。

特許請求の範囲 【請求項1】
イカ軟骨由来のコンドロイチン硫酸をヒアルロニダーゼ処理後、ゲル濾過カラム、次いで陰イオン交換カラムを用いて分画することにより得られた、以下の(1)~(5)、(7)、(9)、(10)の八糖構造の硫酸化オリゴ糖を含む画分。
(1)C-E-E-C、(2)E-E-A-C、(3)E-E-A-A、(4)C-E-E-A、(5)E-E-C-A、(7)E-A-E-E、(9)E-C-E-E、(10)A-E-E-E
(ただし、Eは、[GlcUAβ1-3GalNAc(4S,6S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(4-O-硫酸, 6-O-硫酸)]、Aは、[GlcUAβ1-3GalNAc(4S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(4-O-硫酸)]、Cは、[GlcUAβ1-3GalNAc(6S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(6-O-硫酸)]、の二糖構造をそれぞれ意味する。)

【請求項2】
イカ軟骨由来のコンドロイチン硫酸をヒアルロニダーゼ処理後、ゲル濾過カラム、次いで陰イオン交換カラムを用いて分画することにより得られた、以下の(11)~(20)のいずれかの十糖構造の硫酸化オリゴ糖を含む画分。
(11)E-E-E-A-A、(12)C-E-E-E-A、(13)E-E-E-C-A、(14)E-E-E-E-C、(15)E-E-E-E-A、(16)E-E-E-E-E、(17)E-E-E-A-A、(18)E-E-E-E-A、(19)E-E-E-E-C、(20)E-E-E-E-A
(ただし、Eは、[GlcUAβ1-3GalNAc(4S,6S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(4-O-硫酸, 6-O-硫酸)]、Aは、[GlcUAβ1-3GalNAc(4S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(4-O-硫酸)]、Cは、[GlcUAβ1-3GalNAc(6S)]、即ち、[グルクロン酸β1-3N-アセチルガラクトサミン(6-O-硫酸)]、の二糖構造をそれぞれ意味する。)

【請求項3】
抗コンドロイチン硫酸抗体などの抗糖鎖抗体のエピトープ解析に用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硫酸化オリゴ糖の画分の利用方法。

【請求項4】
請求項1又は2記載の硫酸化オリゴ糖の画分の、当該硫酸化オリゴ糖と相互作用する物質の探索のための使用。

【請求項5】
請求項1又は2に記載の硫酸化オリゴ糖の画分から調製した、当該硫酸化オリゴ糖と相互作用する物質の探索に用いられるプローブ。

国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 糖鎖の生物機能の解明と利用技術 領域
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