TOP > 国内特許検索 > 新規なリン酸カルシウム多孔体およびその製造方法

新規なリン酸カルシウム多孔体およびその製造方法

国内特許コード P07A010462
整理番号 P00-17
掲載日 2007年9月14日
出願番号 特願2001-082403
公開番号 特開2002-274968
登録番号 特許第4683590号
出願日 平成13年3月22日(2001.3.22)
公開日 平成14年9月25日(2002.9.25)
登録日 平成23年2月18日(2011.2.18)
発明者
  • 谷原 正夫
  • 大槻 主税
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 新規なリン酸カルシウム多孔体およびその製造方法
発明の概要 【課題】 生体補填材料、環境浄化材料、建築材料として有用な多孔体およびその調製方法を提供する。
【解決手段】 細孔の直径が1~10μmの範囲にある3次元連続貫通孔を有し、該細孔を形成する骨格が1~10μmの範囲にある多孔体およびその調製方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要


リン酸カルシウムは脊椎動物の骨や歯を構成する生体硬組織の主要成分である。その為、生体親和性に優れた材料として注目されており、人工骨、人工歯、人工歯根、骨充填材等の生体補填材料としての使用が進められている。とりわけ、リン酸カルシウム多孔体は、生体内組織とリン酸カルシウム材料との接触面積が大きい為、生体内で骨組織と絡み合い構造を構築でき、しかも手術室での加工も可能なことから、人工骨等に適しているとされてきた。これらの多孔体およびその調製法として、炭酸カルシウム水懸濁液にリン酸を滴下し、この時に錯体形成能を有する第3物質を共存させて得られる、開口部を有する板状構造をしたリン酸カルシウム系化合物およびその製造方法(特開2000-128513)、リン酸カルシウム系セラミックスの粉体を5~50MPaの加圧下で圧縮して圧粉体とするとともに、該圧粉体にパルス状電圧を印加して650℃~900℃に加熱することにより、相対密度35~80%のリン酸カルシウム系セラミックス多孔体を作製する方法(特開平11-035379)、線材メッシュやビーズ結合体など生体用非吸収性材料からなる3次元多孔体の空隙内に、CMキチンとリン酸カルシウムの顆粒との混合材を充填して成る表面修飾骨補填部材およびその製造方法(特開平11-276510)、気孔が一定の方向性を有し、かつその方向に沿って連通してなるリン酸カルシウム化合物から成る多孔体骨補填材(特開平07-023994)、気孔径が10~100μm、開気孔率が40~80%の球状連通気孔を有するリン酸カルシウム系セラミックス多孔体、並びに球状気孔形成材が20~60重量%、リン酸カルシウム系セラミックスが60~40重量%からなるグリーン体を圧縮成型し、これを800~1400℃で焼成することを特徴とするリン酸カルシウム系セラミックス多孔体の製造方法(特開平05-208877)、セラミックス材料のグリーンシートに100~1000μmの孔を形成し、孔が連通するように積層した後焼成して得られる生体補填部材とその製造方法(特開平08-173463)、カルシウムイオンとリン酸イオンとを水性媒質中8以上のpHで反応して得られた、カルシウムとリンのモル比が1.45~1.75の間にあるゼラチン状のリン酸カルシウム沈殿物を3次元網状構造を有する有機多孔体の中に入れ、該ゼラチン状のリン酸カルシウム沈殿物を乾燥して該多孔体の孔の中に顆粒状のリン酸カルシウム成形体を形成し、しかる後、該有機多孔体を除去して得られる顆粒状リン酸カルシウム成形体の製造法(特公平08-29992)、厚み方向に1~3層の熱分解性物質を3次元的に連結した熱分解性物質多孔体と、セラミック基材を接触または近接して配置し、該セラミック基材と同質のセラミック粉末の泥しょうでセラミック基材と多孔体間および多孔体の空間部分を満たした後、加熱焼成して得られるセラミックインプラント材の製造方法(特許第2759147号)、化学反応により気体が発生するカルシウム化合物およびリン酸化合物を含む出発物質を反応させ、水熱ホットプレス法により加圧成形した後、焼成して成るリン酸カルシウム質セラミックス多孔体(特公平07-10749)、結晶質のリン酸カルシウム微粉末に解膠剤を水溶液にして添加し混合する工程と、この混合溶液に起泡剤を添加して連続した微細な空孔を有する多孔性流動体を調製する工程と、この多孔性流動体を乾燥処理してリン酸カルシウムの骨格を有する多孔形成体を作製する工程と、この多孔形成体を加熱して前記解膠剤および起泡剤を分解消失させるとともに前記リン酸カルシウム多孔体を焼結する工程とを具備したリン酸カルシウム多孔体の製造方法(特許第2597355号)が知られている。
しかし、上記何れの方法においても、気孔が1~10μmの範囲でその大きさが均一である多孔体の調製はなされていない。



従来のリン酸カルシウム多孔体材料は、主に、起泡剤を用いて、泡を含むリン酸カルシウム材料のスラリーを硬化させるか、またはそれを焼成して製造される。例えば、特公平07-10749では化学反応により気体を発生する方法を用いる多孔体の製造方法を開示している。しかし、該方法では、均一に気体を発生させること、即ち気孔径を均一にすることが困難であり、0.01~500μmの不均一な孔を持つ多孔体しか得られない。また、特許第2597355号では、起泡剤により発泡させて多孔体の製造方法を開示している。この方法で得られる多孔体の空孔は、0.05~1.3mmである。このように、発泡体を用いて多孔体を調製する方法は気孔形成のコントロールが困難であり、そして形成された気孔構造は不定型である。こうして得られる多孔体は強度が低いという問題がある。更に、気孔径が均一でない為、生体補填材料として使用した場合、骨組織との絡み合い構造構築において高い効果は得られない。



また、リン酸カルシウムの粉末を圧縮成型したグリーン体を焼成する製造方法もある。この方法で得られたリン酸カルシウム多孔体は、特開平05-208877および特開平08-173463で開示されている。しかし、特開平05-208877による多孔体は気孔径が10~100μm、開気孔率が40~80%の球状連通気孔であり、特開平08-173463による多孔体は孔径が100~1000μmである。これらの方法で得られる多孔体は、一般に骨格を形成するリン酸カルシウム相が厚いため、有効表面積の確保が困難であり、さらに気孔径の小ささが十分ではなく、周囲の環境に対して反応できる面積が単位体積あたりで小さくなるため、細胞の進入やリン酸カルシウムの示すタンパク質吸着特性やイオン交換特性、並びにそれらに起因する細胞親和性や刺激性において、効果が小さくなる。このように、従来開示されていた技術では細孔の直径が1~10μmの範囲にある多孔体、とりわけ、細孔の直径が1~10μmの範囲でその大きさが均一である多孔体、を得ることができなかった。

産業上の利用分野


本発明は新規なリン酸カルシウム多孔体とその製法に関する。さらに詳しくは、本発明は、細孔の直径が1~10μmの範囲にある3次元連続貫通孔を有し、該細孔を形成する骨格が1~10μmの範囲にあり、気孔率が40~90%の範囲にある、1μm以上の細孔の表面積が極めて大きいリン酸カルシウム多孔体およびその製造方法に関する。
本発明により得られるリン酸カルシウム多孔体は、直径が1~10μmの均一な細孔を有し、その表面積が極めて大きいため、骨形成材料等の生体補填材料として有用であり、さらに空気浄化フィルターや廃水処理などの環境浄化材料、断熱材などの建築材料としても有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
細孔の直径が1~10μmの範囲にある3次元連続貫通孔を有し、該細孔を形成する骨格の直径が1~10μmの範囲にあるリン酸カルシウム多孔体。

【請求項2】
気孔率が40~90%の範囲にある請求項1記載のリン酸カルシウム多孔体。

【請求項3】
該リン酸カルシウムが、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸八カルシウム、オルトリン酸カルシウム、非晶質リン酸カルシウムまたはリン酸カルシウム系ガラス、またはこれらの2種以上の混合物である、請求項1または請求項2に記載のリン酸カルシウム多孔体。

【請求項4】
リン酸カルシウム、水溶性有機化合物および水からなるスラリーを、水不溶性3次元網状構造を有する有機体に担持して焼成する、細孔の直径が1~10μmの範囲にある3次元連続貫通孔を有し、該細孔を形成する骨格の直径が1~10μmの範囲にあるリン酸カルシウム多孔体の製造方法。

【請求項5】
500℃~1700℃の温度で焼成する、請求項4に記載のリン酸カルシウム多孔体の製造方法。

【請求項6】
該リン酸カルシウムが、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸八カルシウム、オルトリン酸カルシウム、非晶質リン酸カルシウムまたはリン酸カルシウム系ガラス、またはこれらの2種以上の混合物である、請求項4または請求項5に記載のリン酸カルシウム多孔体の製造方法。

【請求項7】
水溶性有機化合物が、糖類、蛋白質、ポリアクリル酸または、ポリビニルアルコール、またはこれらの2種以上の混合物である、請求項4ないし請求項6の何れかに記載のリン酸カルシウム多孔体の製造方法。

【請求項8】
水30重量部に対するスラリー中のリン酸カルシウムの割合が10~30重量部の範囲にあり、かつ水溶性有機化合物の割合が10~30重量部の範囲にある、請求項4ないし請求項7の何れかに記載のリン酸カルシウム多孔体の製造方法。

【請求項9】
スラリーの25℃における粘度が1000mPa・s~1500mPa・sの範囲にある、請求項4ないし請求項8に記載のリン酸カルシウム多孔体の製造方法。

【請求項10】
水不溶性3次元網状構造を有する有機体が、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ヘチマ、海綿、不織布および綿から1またはそれ以上選択される、請求項4ないし請求項9の何れかに記載のリン酸カルシウム多孔体の製造方法。

【請求項11】
該焼成が、500~1000℃における焼成と500℃~1700℃の焼成との2段階からなる、請求項4ないし請求項10に記載のリン酸カルシウム多孔体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

17233_01SUM.gif
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記「問合せ先」までお問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close