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共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に積層させた光機能分子素子及びその製造方法 コモンズ

国内特許コード P07A010488
整理番号 P02-31
掲載日 2007年9月14日
出願番号 特願2003-054719
公開番号 特開2004-266100
登録番号 特許第3975273号
出願日 平成15年2月28日(2003.2.28)
公開日 平成16年9月24日(2004.9.24)
登録日 平成19年6月29日(2007.6.29)
発明者
  • 小夫家 芳明
  • 佐竹 彰治
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に積層させた光機能分子素子及びその製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】エネルギーロスの少ない効率のよい光機能分子素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】次の式(VIII)で表される共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に積層させた光機能分子素子。
【化1】



{式中、aはH、アルキル基またはアリール基を表し;Xは-O-,-S-,>NR101(ここでR101はH又はアルキル基を表わす),CHまたは単結合を表わし;Yは=O,=S又は2Hを表わし;mは0~4の整数を表わし;nは0~6の整数を表わし;Zは5~6員の含窒素配位性ヘテロ芳香族環を表わし;Zは、電子受容体もしくは電子供与体となり得る官能基を有する基又はポルフィリン多量体の末端基となり得る基を表し;Dはアリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の基を表わし;Eはアリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む三価の基を表わし;Mは金属のイオンを表し;Qは単結合または二価の連結基を表わし;pは1以上の整数を表す。}
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


ポルフィリン多量体は緑色植物の葉緑体や光合成細菌に見られるような高効率の光捕集能および電子伝達媒体として期待されており、電極上にポルフィリンを化学修飾させることで有機太陽電池、光半導体などの分子素子としての応用が考えられる。分子レベルで配列制御されたポルフィリン薄膜の作製法として交互積層法が報告されている。国武らはポリカチオンとアニオン性ポルフィリンを交互積層させることによってポルフィリン多層膜を作製している(例えば、非特許文献1参照。)。また金属配位子を有するポルフィリンと金属イオンを交互に積層させることでも基板上にポルフィリンを固定化でき(例えば、非特許文献2参照。)、このようなポルフィリン多層膜において電位勾配を構築することで光電変換も行われている(例えば、非特許文献3~5参照。)。



またポルフィリンはp-型半導体として機能することが知られており、CVDや電解重合膜によって積層されたポルフィリン膜で p-n, p-p’接合界面を作り、光電変換素子、光整流界面あるいはSchottkyダイオードの作製を試みた例もある(例えば、非特許文献6~9参照。)。



一方、われわれはイミダゾール置換ポルフィリン金属錯体が分子間で相補的に配位結合することで、以下に示するように光合成細菌中に見られる二量体と同様の超分子構造形成することを見いだしている(例えば、非特許文献10参照。)。



【化14】




このポルフィリン二量体の特長は励起子分裂により広い波長領域において光吸収できること、光励起種が二量体間に非局在化するため電荷分離状態を長寿命化できることであり、効率よい光増感反応に最適である。さらにイミダゾール置換ポルフィリンに側鎖アリル置換基を導入すると、Grubbs錯体を使ったメタセシス閉環反応によってこの二量体構造を共有結合で固定でき、しかもその電子スペクトルは溶媒の影響を受けず強い励起子相互作用を示した。(例えば、非特許文献11参照。):
【化15】




この共有結合によって固定化されたイミダゾール置換ビス亜鉛ポルフィリンユニットによって, 更に高次に階層化した超分子構造の設計が可能になった。すなわちイミダゾール置換ビスポルフィリンは一次元方向に伸長した配位組織体を形成するが(例えば、非特許文献12参照。)、これをメタセシス反応によって段階的に共有結合で固定化すると、つぎの官能基を有するイミダゾール置換亜鉛ポルフィリンを段階的に導入、固定化することが出来る:
【化16】




一方、実用的なデバイスへと展開するためには電極などの固体基板上にこのようなポルフィリン多量体を構築する必要がある。我々は初期の研究として、金基板上にリンカーポルフィリンをつけた後、イミダゾール置換亜鉛ポルフィリン溶液に基板を浸漬し、配位結合によってポルフィリン多量体を積層する実験をおこなった。そして実際に積層化された素子の光電流測定を行い、動作することを確認した。(例えば、非特許文献13参照。):
【化17】




さらにこのような素子の機能をより向上させるためには、性質の異なるポルフィリン多量体を固体基板上の一定方向に順次導入する方法が必要となる。そうすれば、エネルギーロスの少ない効率のよい素子が構築できるからである。上記で述べたような基板をただ浸漬し積層する方法では、2回目の積層の際に1回目の層もはがれて交換が起こってしまうので、このような目的を達するのは不可能であった。



【非特許文献1】
K. Ariga, Y. Lvov, T, Kunitake, J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 2224-2231
【非特許文献2】
D.-J. Quian, C. Nakamura, T. Ishida, S.-O. Wenk, T. Wakayama, S. Takeda, J. Miyake, Langmuir 2002, 18, 10237-10242
【非特許文献3】
K. Araki, M. J. Wagner, M. S. Wrighton, Langmuir, 1996, 12, 5393-5398
【非特許文献4】
F. B. Abdelrazzaq, R. C. Kwong, M. E. Thompson, J. Am. Chem. Soc. 2001, 124, 4796-4803
【非特許文献5】
A. Ikeda, T. Hatano, S. Shinkai, T. Akiyama, S. Yamada, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 4855-4856
【非特許文献6】
F. J. Kampas, M. Gouterman, J. Phys. Chem. 1977, 81, 690-695
【非特許文献7】
F. J. Kampas, K. Yamashita, J. Fajer, Nature 1980, 284, 40-42
【非特許文献8】
Y. Harima, K. Yamashita, J. Phys. Chem. 1985, 89, 5325-5327
【非特許文献9】
H. Segawa, N. Nakayama, T, Shimidzu, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1992, 784-786
【非特許文献10】
Y. Kobuke, H. Miyaji, J. Am. Chem. Soc., 1994, 116, 4111-4112
【非特許文献11】
第82回 有機合成シンポジウム講演要旨集 2-2、p.65-68(2002)
【非特許文献12】
K. Ogawa, Y. Kobuke, Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 4070-4073
【非特許文献13】
A. Nomoto, Y. Kobuke, Chem. Commun., 2002, 1104-1105

産業上の利用分野


本発明は、共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に有する素子の製造方法に関する。本発明の方法により製造される共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に有する素子は、光機能分子素子、具体的には、例えば、有機太陽電池のような光電変換素子や3次の非線形有機材料として使用することが出来る。

特許請求の範囲 【請求項1】
次の式(VIII)又は(VIII'):
【化1】


【化2】


(式中、
aは、H、アルキル基またはアリール基を表し、
Xは、-O-、-S-、>NR101(ここで、R101は、Hまたはアルキル基を表わす。)、CH2または単結合を表わし、
Yは、=O、=Sまたは2Hを表わし、
mは、0~4の整数を表わし、
nは、0~6の整数を表わし、
1は、5若しくは6員の含窒素配位性ヘテロ芳香族環を表わし、
2は、電子受容体もしくは電子供与体となり得る官能基を有する基、又はポルフィリン多量体の末端基となり得る基を表し、
Dは、アリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の基を表わし、
Eは、アリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む三価の基を表わし、
Mは、典型金属及び遷移金属から選択される金属のイオンを表し、
Qは、単結合または二価の連結基を表わし、
pは、1以上の整数を表す。)
で表される共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に積層させた光機能分子素子。

【請求項2】
次の工程を含む、共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に積層させた光機能分子素子の製造方法:
(1)次の式(I):
【化3】


{式中、
a、b及びdは、各々独立してH、アルキル基またはアリール基を表わし、
Xは、-O-、-S-、>NR101(ここで、R101は、Hまたはアルキル基を表わす。)、CH2または単結合を表わし、
Yは、=O、=Sまたは2Hを表わし、
mは、0~4の整数を表わし、
nは、0~6の整数を表わし、
1は、5若しくは6員の含窒素配位性ヘテロ芳香族環を表わし、
1は、
【化4】


(式中、Dは、アリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の基を表わし、Eは、アリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む三価の基を表わし、R3は、Hまたはアセチル基を表わす。)を表わす。}
で表されるリンカー分子を基板上に固定化する工程、及び前記リンカー分子由来のポルフィリン残基に、典型金属及び遷移金属から選択される金属Mを導入する工程により、次の式(II)または(II’):
【化5】


(式中、各置換基は、上で規定したとおり)で表される単分子膜体を得る工程(だだし、前記リンカー分子を基板上に固定する工程と、前記金属Mを導入する工程とは、いずれが先でもよい)と、
(2)前記単分子膜体のポルフィリン残基と、
次の式(III):
【化6】


{式中、
a、b、d、X、Y、m、n、M及びZ1は、上で規定したとおりであり、
Qは、単結合または二価の連結基を表わす。}で表されるメソ-メソ連結ヘテロ芳香族置換ビスポルフィリンの一方のポルフィリン残基とを2つの配位結合により連結し、次の式(IV)または(IV'):
【化7】


(式中、各置換基は、上で規定したとおりであり、pは、1である。)で表される第一積層体を得る工程と、
(3)前記第一積層体のリンカー分子由来のポリフィリン残基のオレフィン部分と、前記リンカー分子由来のポリフィリン残基に配位結合したポルフィリン残基のオレフィン部分とを、Grubbs触媒の存在下に閉環メタセシス反応させ、これらのポルフィリン間を共有結合で固定化し、次の式(V)または式(V'):
【化8】


(式中、各置換基は、上で規定したとおりであり、pは、1である。)で表される固定化第一積層体を得る工程と、
(4)必要に応じて、前記工程(2)と同様に、前記固定化第一積層体の末端に位置するポルフィリン残基と、前記式(III)で表されるメソ-メソ連結ヘテロ芳香族置換ビスポルフィリンの一方のポルフィリン残基とを、配位結合により連結し、第二積層体(前記式(IV)又は式(IV')において、pは、2以上の整数を表す。)を得、次いで、前記第二積層体において、前記工程(3)と同様に、Grubbs触媒の存在下に閉環メタセシス反応させ、固定化第二積層体(前記式(V)又は式(V')において、pは、2以上の整数を表す。)を得る工程を1回またはそれ以上繰り返すことにより固定化第q積層体(前記式(V)又は式(V')において、pは、qを表し、qは、2以上の整数である。)を得る任意の工程と、
(5)前記工程(3)で得られた固定化第一積層体又は前記工程(4)で得られた固定化第q積層体の末端に位置するポルフィリン残基と、次の式(VI):
【化9】


(式中、
1、M、X、Y、m、n、a、b及びdは、上で規定したとおりであり、
2は、電子受容体もしくは電子供与体となり得る官能基を有する基、又はポルフィリン多量体の末端基となり得る基を表す。)で表される、ポルフィリン誘導体のポルフィリン残基とを2つの配位結合により連結し、次の式(VII)又は式(VII'):
【化10】


【化11】


(式中、各置換基は、上で規定したとおり。)で表される光機能分子前駆体を得る工程と、
(6)前記ポルフィリン誘導体のポルフィリン残基のオレフィン部分と、前記ポルフィリン誘導体のポルフィリン残基に配位結合したポルフィリン残基のオレフィン部分とを、Grubbs触媒の存在下に閉環メタセシス反応させ、これらのポルフィリン間を共有結合で固定化し、次の式(VIII)又は(VIII'):
【化12】


【化13】


(式中、各置換基は、上で規定したとおり。)で表される共有結合により固定化されたポルフィリン多量体を基板上に積層させた光機能分子素子を得る工程。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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