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有機-無機ハイブリッド体の製法

国内特許コード P07A010490
整理番号 P05-52
掲載日 2007年9月14日
出願番号 特願2003-080559
公開番号 特開2004-283439
登録番号 特許第4437173号
出願日 平成15年3月24日(2003.3.24)
公開日 平成16年10月14日(2004.10.14)
登録日 平成22年1月15日(2010.1.15)
発明者
  • 谷原 正夫
  • 大槻 主税
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 有機-無機ハイブリッド体の製法
発明の概要

【課題】骨と同様の柔軟性と強度を合わせ持ち、生体内で分解・吸収され、生体に適用しても修復性や安全性の高い新規な有機-無機ハイブリッド体を簡便かつ効率よく提供する。
【解決手段】シラノール基を有する化合物が共有結合した水溶性多糖類を主成分とするゲル基材に、カルシウムイオンおよびリン酸イオンを含有する水溶液を接触させ、該ゲル基材にアパタイト類を沈着させることを含む有機-無機ハイブリッド体の製法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要
従来から、生体活性ガラスとしての「バイオグラス(Bioglass)」(登録商標)や結晶化ガラスA-W[「セラボーン(Cerabone)」(登録商標)A-W]等の特定のセラミックスが生体内で骨と結合することが知られている。このセラミックスと骨との結合は、生体内またはヒトの体液に近いイオン濃度を有する水溶液中で、該セラミックスの表面にヒドロキシアパタイト層を形成することに起因している。その結合メカニズムは、先ず、該セラミックスの表面に形成されたケイ酸イオンやシラノール基が水溶液中のカルシウムとリン酸イオンと反応してヒドロキシアパタイトの核を形成し、この核をベースに水溶液中の過飽和なカルシウムとリン酸イオンを取り込んで成長すると考えられる。
【0003】
当該分野においては、上記の技術に関連して、種々の知見が得られている。例えば、板状、棒状、線維状、粒状など各種の形状の金属およびセラミックスなどの基材に、液状のシリカヒドロゾル又はゲルをコーティングし、乾燥し加熱処理してシリカゲルを基材に結合させた後、ヒドロキシアパタイトに対して過飽和となる量のカルシウムとリン酸イオンとを含む水溶液(疑似体液)に浸漬することにより、基材表面にヒドロキシアパタイト層をコーティングする生体活性層のコーティング方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、アパタイト被覆材料は、人工骨、生体埋込材料、生体埋込医療機器および器具などへ利用できることも記載されているが、該基材は生体内での分解が困難で、また骨と著しく異なる強度や柔軟性を持つために生体への長期間の埋植によって様々な不具合が生じる。
【0004】
一方、アルギン酸等の多糖類を共有結合で架橋して得られる高分子ゲル(特許文献2参照)は、水膨潤性に優れ、低毒性であることから、皮膚の損傷の修復材や神経の修復材料、また骨形成材料や血管新生材料の基材として優れていることが報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら、多糖類から得られる高分子ゲルは、柔軟性は高いが、強度が低いために、単独では荷重のかかる骨欠損部に使用することはできない。
【0005】
強度と柔軟性を備えた骨欠損部の充填材料として、ヒドロキシアパタイト微粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液からなる自己硬化材料が報告されている(非特許文献2参照)。粉末部と練和液のいずれかまたは両方にリン酸成分、カルシウム成分、アルギン酸化合物が含有されている硬化性組成物が提案されている(特許文献3参照)。リン酸カルシウムなどのセラミック粒子が多糖ゲルに懸濁されている組織増強物質が提案されている(特許文献4参照)。リン酸三カルシウムと他のリン酸カルシウムを含むセメント粉体、アルギン酸塩類などの凝集促進剤、リン酸水素二ナトリウムの硬化加速剤からなるボーンセメントペーストが提案されている(特許文献5参照)。
【0006】
また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性多糖類にシラン化合物を結合した化合物が加水分化によって生じるシラノール基の縮合によって硬化することが報告されている(非特許文献3および4参照)。さらに、多糖類などの親水性物質とポリシロキサンまたはシランを結合させ、シラノール性水酸基を有するものと、加水分解によってシラノール性水酸基を生成するものとを共重合して得られたポリシロキサン粒子が提案されている(特許文献6参照)。しかしながら、これらはいずれも骨と近い力学的特性を示すものではなく、また体内分解性にも優れていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平5-103829号公報
【特許文献2】
特開平8-24325公報
【特許文献3】
特開平7-289627号公報
【特許文献4】
特公表2003-507351号公報
【特許文献5】
特開2000-295号公報
【特許文献6】
特開2000-191792号公報
【0008】
【非特許文献1】
谷原正夫編・著「有機・無機ハイブリッドと組織再生材料」(株)アイピーシー、東京、2002年、第31頁~第53頁
【非特許文献2】
J. Biomed. Mater. Res.、1995年、第29巻、第329頁~第336頁
【非特許文献3】
Adv. Colloid. Interface Sci.、2002年、第99巻(3)、第215頁~第228頁
【非特許文献4】
Biopolymers、2002年、第63巻(4)、第232頁~第238頁
産業上の利用分野
本発明は、シラノール基を有する多糖類を含むゲル基材とアパタイト類との新規な有機-無機ハイブリッド体、特に、人工骨、骨修復材料、骨充填材料、人工関節固定材料、顎骨再建材料および骨組織の組織工学や再生医療による構築のための基材等の生体埋植材料などの生体親和性材料として有用な有機-無機ハイブリッド体およびその製造方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】シラノール基を有する化合物が共有結合した水溶性多糖類を主成分とするゲル基材に、カルシウムイオンおよびリン酸イオンを含有する水溶液を接触させ、該ゲル基材にアパタイト類を沈着させることを含む有機-無機ハイブリッド体の製法。
【請求項2】アパタイト類がヒドロキシアパタイトである請求項1記載の製法。
【請求項3】ゲル基材が、水溶性多糖類を共有結合で架橋して得られる基材である請求項1または2記載の製法。
【請求項4】ゲル基材が、シラノール基の縮合によって架橋された基材である請求項1または2記載の製法。
【請求項5】ゲル基材が、水溶性多糖類の共有結合による架橋とシラノール基の縮合による架橋によって得られる基材であるる請求項1または2記載の製法。
【請求項6】水溶性多糖類がアルギン酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、キトサン、澱粉、アミロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースから成る群から選択される1種または2種以上の多糖類である請求項1から5いずれかに記載の製法。
【請求項7】水溶液が、リン酸カルシウムに対して過飽和量のカルシウムイオンとリン酸イオンを含有する請求項1から6いずれかに記載の製法。
【請求項8】水溶液が、36.5℃において、2.5mM以上のカルシウムイオンと1mM以上のリン酸イオンを含有する水溶液である請求項1から6いずれかに記載の製法。
【請求項9】水溶液が、36.5℃において、2.5~30mMのカルシウムイオンと1~30mMのリン酸イオンを含有する請求項1から6いずれかに記載の製法。
【請求項10】請求項1から9いずれかに記載の製法によって得られる有機-無機ハイブリッド体。
産業区分
  • 治療衛生
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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