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抗肥満剤のスクリーニング方法

国内特許コード P07P004807
整理番号 123-424
掲載日 2007年9月21日
出願番号 特願2006-053112
公開番号 特開2007-228855
登録番号 特許第5066706号
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
登録日 平成24年8月24日(2012.8.24)
発明者
  • 新垣 尚捷
  • 樋口 富彦
  • 喜多 俊行
出願人
  • 国立大学法人徳島大学
発明の名称 抗肥満剤のスクリーニング方法
発明の概要

【課題】短期間で精度良く抗肥満剤をスクリーニングする方法や、かかるスクリーニング方法により得られる抗肥満剤や、抗肥満用食品・抗肥満用飼料や、脂肪細胞の分化の程度を短期間で精度良く判定する方法を提供すること。
【解決手段】分化した脂肪細胞を、被検物質の存在下に培養した後、細胞内のミトコンドリアの形態を観察し、分化した脂肪細胞中の断片化及び/又は凝集したミトコンドリアが、チューブ状のネットワークを形成しているとき、前記被検物質が抗肥満剤であると評価することにより抗肥満剤をスクリーニングする。また、高級脂肪酸で処理したHela細胞を、被検物質の存在下に培養した後、細胞内のミトコンドリアの形態を観察し、高級脂肪酸で処理したHela細胞中の断片化及び/又は凝集したミトコンドリアが、チューブ状のネットワークを形成しているとき、前記被検物質が抗肥満剤であると評価することにより抗肥満剤をスクリーニングする。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


近年我国では、食生活の欧米化にともない、栄養豊富な食事、例えば、動物性蛋白質、動物性脂肪あるいはインスタント食品、ファーストフード等の摂取量が著しく増加している。そのためカロリー摂取量が増加し、過食による栄養過多さらに運動不足などの原因により、肥満が著しく増加しており、今後も増加傾向にあると考えられる。また、肥満が原因となり、糖尿病、高血圧症、心血管障害、高脂血症、動脈硬化等の種々の疾患に罹る危険率も高くなり、先進国の国民の健康を脅かす大きな社会問題となっている。肥満は、体質的因子、食餌性因子、精神的因子、中枢性因子、代謝性因子、運動不足などが要因となり、結果的に摂取カロリーが消費カロリーを上回り、脂肪が蓄積して起こると言われている。肥満では、生体内における個々の脂肪細胞の蓄積している脂肪、すなわちトリグリセリド量が増加し細胞が肥大化している。また近年、成人期以降でも脂肪細胞数が増加することが明らかとなり、前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化を抑制し、成熟脂肪細胞数を減少させることや、成熟脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制することにより肥満の進行を抑え、肥満を改善させることが期待されている。



脂肪組織は、生体内余剰エネルギーを脂肪として蓄積する器官であり、脂肪細胞やその前駆細胞、マクロファージ、血管周囲細胞、血液細胞等から構成されている。脂肪細胞は、その前駆細胞が食物摂取や運動などの環境因子などから派生する数多くの因子によって分化(分化誘導)され、成熟型脂肪細胞(成熟脂肪細胞)となり、細胞内に脂肪を蓄積する。また、前駆型脂肪細胞(脂肪前駆細胞)や脂肪細胞自身が細胞分裂を繰り返し細胞の数が増えることも知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また近年、成人期以降でも脂肪細胞数が増加することが明らかにされている。脂肪組織の増大の要因として、脂肪細胞の大きさの増大によるもの(肥大性肥満)、脂肪細胞の数の増大によるもの(過形成性肥満)、あるいは両方の増大によるもの(肥大性-過形成性肥満)がある。したがって、脂肪細胞やその前駆細胞の数を減少させることや、前駆型脂肪細胞から脂肪細胞へと分化・脂肪蓄積(成熟)するのを抑制したり、脂肪細胞の肥大化を抑制することで蓄積脂肪量の増加を抑制することにより、肥満の進行を止め、肥満を治療することが期待されている。



現在、肥満の治療法には、一般的にカロリー制限による食事療法、運動療法、薬物療法、及びその組み合わせがある。また、薬物療法では、マジンドール(mazindol)やペンタミン(phentermine)などのアドレナリン作動薬、フェンフルラミン(fenfluramine)やフルオキセチン(fluoxetine)などのセロトニン作動薬といった食欲抑制剤や、トフィソパム(tofisopam)などのストレスによる過食に奏効する自律神経調整剤の他、リパーゼ阻害剤を有効成分とする抗肥満剤(例えば、特許文献1~4参照。)、脂肪細胞分化抑制剤を有効成分とする抗肥満剤(例えば、特許文献5及び6参照。)、3,4-seco-lupane型トリテルペノイドサポニン化合物を有効成分とする抗肥満剤(例えば、特許文献7参照。)、ザクロ花の乾燥粉末や抽出物を有効成分とする抗肥満剤(例えば、特許文献8参照。)、柑橘類のじょうのう膜を原料とした抗肥満剤(例えば、特許文献9参照。)等数多く提案されている。



一方、韓国大学のKimらは、3T3-L1前駆脂肪細胞(preadipocyte)の細胞膜にH-ATP合成酵素が存在し、その酵素が脂肪細胞の分化に従って増加することを報告している(例えば、非特許文献2参照。)。さらに、ヒストン脱アセチル化酵素活性化剤(Sirt1 activator)であるレスベラトロール(resveratrol)が分化した脂肪細胞における脂肪蓄積を減少させること(例えば、非特許文献3参照。)や、肥満の発症と共にミトコンドリア関連遺伝子及びタンパクが減少することが示されており(例えば、非特許文献4参照。)、肥満とミトコンドリアの量的及び質的変化とが関係していることが示唆されている。



しかしながら、前駆脂肪細胞の分化に伴うミトコンドリアの形態変化や、H-ATP合成酵素阻害剤のミトコンドリアの形態に及ぼす影響、さらにミトコンドリアの形態変化を指標とした抗肥満剤のスクリーニング方法については、今まで報告されていなかった。




【特許文献1】特開2006-22095号公報

【特許文献2】特開2005-225863号公報

【特許文献3】特開2005-8572号公報

【特許文献4】特開2002-179586号公報

【特許文献5】特開2005-220074号公報

【特許文献6】特開2004-75640号公報

【特許文献7】特開2006-22094号公報

【特許文献8】特開2004-161721号公報

【特許文献9】特開2005-40107号公報

【非特許文献1】杉原ら;別冊・医学のあゆみ,脂肪細胞 -基礎と臨床、p.7-12,1999

【非特許文献2】Exp. Mol. Med, Vol.36, No.5, 476-485 (2004)

【非特許文献3】Nature, Vol.429, 771-921 (2004)

【非特許文献4】J. Clin. Invest., Vol.114, No.9, 1281-1289 (2004)

産業上の利用分野


本発明は、脂肪細胞の細胞膜H-ATP合成酵素を分子標的とした、抗肥満剤のスクリーニング方法、該スクリーニング方法により得られたH-ATP合成酵素の触媒部位Fを標的とするF阻害剤を有効成分とする肥満症、高脂血症、高血圧、糖尿病、動脈硬化症、癌、慢性間接リューマチ、糖尿病網膜症等に係わる治療薬、予防薬、研究用試薬等として用いることができる抗肥満剤、前記F阻害剤を有効成分として含有する抗肥満用食品や抗肥満用飼料等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
分化した脂肪細胞を、被検物質の存在下に培養した後、細胞内のミトコンドリアの形態を観察し、分化した脂肪細胞中の断片化及び/又は凝集したミトコンドリアが、チューブ状のネットワークを形成しているとき、前記被検物質が抗肥満剤であると評価することを特徴とする抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項2】
分化した脂肪細胞を、被検物質の非存在下に培養した場合のミトコンドリアの形態と比較することを特徴とする請求項1記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項3】
高級脂肪酸で処理した、H-ATP合成酵素を細胞膜表面に発現している動物細胞を、被検物質の存在下に培養した後、細胞内のミトコンドリアの形態を観察し、高級脂肪酸で処理した前記動物細胞中の断片化及び/又は凝集したミトコンドリアが、チューブ状のネットワークを形成しているとき、前記被検物質が抗肥満剤であると評価することを特徴とする抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項4】
高級脂肪酸で処理した、H-ATP合成酵素を細胞膜表面に発現している動物細胞を、被検物質の非存在下に培養した場合のミトコンドリアの形態と比較することを特徴とする請求項3記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項5】
未分化の前駆脂肪細胞を、被検物質の存在下、未分化の前駆脂肪細胞が脂肪細胞に分化する条件下で培養した後、細胞内のミトコンドリアの形態を観察し、ミトコンドリアが断片化及び/又は凝集せず、チューブ状のネットワークを形成しているとき、前記被検物質が抗肥満剤であると評価することを特徴とする抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項6】
未分化の前駆脂肪細胞を、被検物質の非存在下、未分化の前駆脂肪細胞が脂肪細胞に分化する条件下で培養した場合のミトコンドリアの形態と比較することを特徴とする請求項5記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項7】
脂肪細胞内のミトコンドリアの形態を、ミトコンドリアを蛍光染色し、100倍の対物レンズを使用し、油浸で観察することを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項8】
被検物質として、H-ATP合成酵素の触媒部位Fを標的とするF阻害剤を用いることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項9】
分化した脂肪細胞が、未分化の3T3-L1前駆脂肪細胞が分化した細胞であることを特徴とする請求項1又は2記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項10】
高級脂肪酸で処理した、H-ATP合成酵素を細胞膜表面に発現している動物細胞がHela細胞であることを特徴とする請求項3又は4記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項11】
未分化の前駆脂肪細胞が、未分化の3T3-L1前駆脂肪細胞であることを特徴とする請求項5又は6記載の抗肥満剤のスクリーニング方法。

【請求項12】
未分化の前駆脂肪細胞における、チューブ状のネットワーク形成したミトコンドリアの断片化及び/又は凝集化抑制剤であって、レスベラトロール、ピーセタノール、ケンフェロール、ゲニステイン、アピゲニン、ダイゼイン、ルテオリン、ロスマリニック酸、又は抗H-ATP合成酵素αサブユニット抗体から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とすることを特徴とする、前記抑制剤

【請求項13】
単離された脂肪細胞内のミトコンドリアの形態を観察し、ミトコンドリアが断片化及び/又は凝集せず、チューブ状のネットワークを形成しているとき、未分化の前駆脂肪細胞と判断し、ミトコンドリアがチューブ状のネットワークを形成しておらず、断片化及び/又は凝集しているとき、分化した脂肪細胞と判断することを特徴とする脂肪細胞の分化の程度を判定する方法。

【請求項14】
細胞内のミトコンドリアの形態を、ミトコンドリアを蛍光染色し、100倍の対物レンズを使用し、油浸で観察することを特徴とする請求項13記載の脂肪細胞の分化の程度を判定する方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 畜産
  • 食品
  • 薬品
  • 薬品
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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