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オリゴ糖又は単糖の増強された食品又は食品素材と、その製造方法

国内特許コード P07A010648
掲載日 2007年10月4日
出願番号 特願2006-011059
公開番号 特開2007-189944
登録番号 特許第4742343号
出願日 平成18年1月19日(2006.1.19)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
登録日 平成23年5月20日(2011.5.20)
発明者
  • 徳安 健
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 オリゴ糖又は単糖の増強された食品又は食品素材と、その製造方法
発明の概要 【課題】 アミノ糖残基を含有する多糖やその部分分解物から、機能性食品成分としての単糖又はオリゴ糖等の低分子化物を、安全に、しかも困難を伴うことなく容易に製造する方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 アミノ糖残基を含有する多糖或いはその部分分解物を低分子化してオリゴ糖又は単糖に変換する活性を有する酵素を持つ、1又は2以上の食品素材、又は前記食品素材を含む食品に、基質としてアミノ糖残基を含有する多糖或いはその部分分解物を添加し、前記酵素を用いて前記基質を低分子化処理することを特徴とする、オリゴ糖又は単糖の増強された食品又は食品素材の製造方法を提供する。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


我々は、アミノ糖含有糖質を日常的に食している。アミノ糖残基を含有する多糖としては、キチン、キトサン、ペプチドグリカン、微生物多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、或いはこれらの塩などが知られている。これらは、家畜や魚介類などの動物、或いは納豆、乳酸菌、麹、酵母などの微生物由来の食品素材の構成成分となっており、安全性は十分に高いと考えられているが、ヒトによる消化性が低いことから、栄養性食品素材としての用途は殆ど開発されてこなかった。



しかしながら、機能性食品開発が活発化する中で、キトサンのコレステロール吸収抑制作用が特定保健用食品の「関与する成分」となった他、キチンやキトサンの分解物であるN-アセチル-D-グルコサミンやグルコサミン塩の関節障害改善作用、キトサンオリゴ糖の抗菌作用、キチンオリゴ糖のプレバイオティックス活性、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等のヘリコバクター・ピロリの感染防止効果などについて多くの研究成果が蓄積されつつある。このように、アミノ糖含有多糖やその分解物について、注目が高まりつつある。



このような中で、アミノ糖残基を含有する多糖から、対応するオリゴ糖または単糖を調製する技術が開発されてきた。



N-アセチル-D-グルコサミンについては、甲殻類、イカや微生物細胞壁等から精製されるキチンを原料にして調製される。キチンを低分子化して、キチンオリゴ糖を調製することにより、ある程度の量のN-アセチル-D-グルコサミンが生成する。
その典型的な方法としては、以下の方法が考えられる。破砕した甲殻類の外殻を希塩酸で脱灰した後、NaOHで除蛋白し、濃塩酸で部分加水分解することによりキチンを低分子化する。その後、NaOHで中和し、活性炭で脱色、濾過した後に脱塩して脱アセチル化糖などを除去し、イオン交換樹脂で精製する。



しかしながら、この方法で用いる酸加水分解では、N-アセチル基の脱離が起こり、最終的にはグルコサミン塩にまで変換されることから、反応条件に関する詳細な条件検討を行う必要がある。



それに対して、酵素を用いてキチン又はキチンオリゴ糖からN-アセチル-D-グルコサミンを高収率で調製する方法が報告されている。この酵素法では、N-アセチル基の脱離が起こらず、定量的にN-アセチル-D-グルコサミンが製造できると期待される。酵素については、細菌、放線菌、カビなどに広く分布することが知られており、リゾチーム、ヘミセルラーゼ等の市販酵素製剤に混入している酵素や市販キチナーゼ製剤、市販キトビアーゼ、放線菌またはトリコデルマ属菌の培養物等を利用する方法が考案されている。



現在までに、例えば特許文献1~5が報告されている。
特許文献1は、N-アセチル-D-グルコサミンやキチンオリゴ糖を含むキチン分解物の食品素材としての用途に関するものであり、放線菌による低分子化について記載している。
特許文献2は、キチンオリゴ糖を酵素製剤等により分解することを特徴とするN-アセチル-D-グルコサミンの製造法に関する。
特許文献3は、膜透析で精製することを特徴とする天然型N-アセチル-D-グルコサミンの製造法に関する。
特許文献4は、非晶質キチンを基質とするトリコデルマ酵素とリゾチームによるN-アセチル-D-グルコサミンの製造に関する。
特許文献5は、市販酵素製剤や微生物培養物等によるキチンオリゴ糖の酵素分解等を特徴とするN-アセチル-D-グルコサミンを含有する糖組成物の製造法と飲食品に関する。



しかしながら、これら特許文献1~5に記載された発明は、食品素材由来の酵素や食品加工工程における副生成物中に存在する酵素等の利用による、食品中のN-アセチル-D-グルコサミンの増強技術を想定しておらず、特に、キムチなどの発酵食品中に存在する酵素活性を利用したり、廃棄物となる魚介類の内臓部分を利用するような、今回の発明の内容については検討されていない。また、食品由来の酵素を用いた場合、反応生成物の精製を行わずに調味性等の付加価値をもった混合物として利用することが可能であるが、前述した先行発明においては、このような新たな用途については全く考慮されておらず、食品素材からの酵素の探索も行われていない。



また、ヒアルロン酸オリゴ糖又はコンドロイチン硫酸オリゴ糖、並びにその塩の製造法については、対応する多糖を基質とした化学的加水分解法及び酵素的低分子化法が知られている。
N-アセチル-D-グルコサミンと同様に、化学的方法では、N-アセチル基の脱離等が起こり、反応条件の詳細な検討が必要となることから、主に酵素法が検討されてきた。コンドロイチン硫酸或いはその塩の分解酵素の複数が、ヒアルロン酸或いはその塩の分解酵素活性を有することが知られている。また、低分子化酵素には、加水分解酵素(ヒドロラーゼ)と脱離酵素(リアーゼ)の2種類が知られており、後者を用いた反応では、非還元末端側に不飽和結合をもつ糖鎖が生成することが特徴となる。これまでに、フラボバクテリウム属菌などの細菌、放線菌、ウシ・ヒツジの睾丸、ヒル等に由来する酵素が報告されている。



酵素を用いたオリゴ糖の製造方法については、例えば特許文献6~8が報告されている。
特許文献6は、ヒアルロン酸分解酵素を用いて作用させた後、限外濾過膜を用いて分離する方法に関する。
特許文献7は、分解酵素の糖転移活性を抑えてオリゴ糖収率を向上させるための膜の使用を特徴とする製造方法に関する。
特許文献8は、ヒト由来の酵素を用いたオリゴ糖の製造方法に関する。



しかしながら、これらのアミノ糖残基を含む多糖又はその部分分解物の酵素による低分子化技術については、食品への使用を認められた酵素製剤でなく、市販の研究用酵素製剤を用いることを想定している。これらの変換技術を食品素材に対して用いる場合、食品の安全性に配慮し、製造後に酵素製剤等から反応生成物を分離する必要がある。
従って、これらの既存技術は、反応分解物全体を食品の製造に用いることを想定した発明として構成されていない。また、既存の技術では、酵素を調達する際に、細菌、放線菌やヒルでは生物体の培養等による酵素生産が必要であり、また、ウシ・ヒツジの睾丸由来の酵素は材料調達に難があるため、食品素材等の大量消費素材としてのオリゴ糖の製造は困難が伴う。



【特許文献1】
特公平7-102100号公報
【特許文献2】
特公平5-33037号公報
【特許文献3】
特開2000-281696号公報
【特許文献4】
特許第3170602号公報
【特許文献5】
特開2005-80605号公報
【特許文献6】
特開平11-124401号公報
【特許文献7】
特開2003-339393号公報
【特許文献8】
特開平9-168384号公報

産業上の利用分野


本発明は、オリゴ糖又は単糖の増強された食品又は食品素材と、その製造方法とに関し、詳しくはオリゴ糖又は単糖の増強された食品又は食品素材の製造方法、前記方法により製造された、オリゴ糖又は単糖の増強された食品又は食品素材、並びに、食品又は食品素材からの酵素の製造方法に関する。
より詳しくは、本発明は、アミノ糖残基を含有する多糖やその部分分解物から、機能性食品成分としてのオリゴ糖又は単糖等の低分子化物を製造するための技術を提供することにより、機能性食品又は機能性食品素材の開発に繋げることを主目的としている。食品加工工程において副生される農林水産物・食品素材由来の素材、或いは食品素材から酵素を抽出することにより、該酵素を用いた食品加工技術が多様化するのみならず、廃棄物、未利用資源の有効利用にもつながる。

特許請求の範囲 【請求項1】
キムチに、基質としてアミノ糖残基を含有する多糖或いはその部分分解物を添加し、キムチに含まれる酵素を用いて前記基質を低分子化処理することを特徴とする、オリゴ糖又は単糖の増強されたキムチの製造方法。

【請求項2】
アミノ糖残基を含有する多糖或いはその部分分解物が、キチン又はその部分分解物であり、オリゴ糖又は単糖がN-アセチル-D-グルコサミンである、請求項1記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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17477_01SUM.gif
出願権利状態 登録


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